転校してきたは、この青き星(ブルー・アース)の霊、マーテルだった。

ややあって。

場所は俺たち同好會が使っている、部室。

「ふむ？　そういえば勇者よ。青き星(ブルー・アース)とはなんじゃ？」

そう聞いてきたのは、俺の相棒にして、魔王ヴェノムザード。

銀髪の姉ちゃんだ。

「なんだ知らんのか？　俺たちの住んでいる星のことだよ」

誰が呼んだか青き星(ブルー・アース)。

ま、確かに外から見れば青い球に見えるからな。

「ほう、人間の間ではチキューのことを、そう呼んでいるのか」

「？　なにそれチキューって？」

「いや、なんでもない。しかし勇者よ、大霊と契約していたとはな」

すると今度は俺の半ともいえる、我がガイアスが尋ねる。

「大霊ってなんだい？　霊は聞いたことあるけど」

「おお！　そうか知らないか。よーし兄ちゃんが手取り足取り教えてやろう！」

「手と足はいらないよ……」

そっか、ガイアスもまだ知らないことがあるんだなぁ。

最近兄ちゃん、ガイアスが長しまくってて、教えることなくなってて、結構さみしかったんだぜえ？

「あいにうえ、がいあす相手だと骨にテンションがあがってるです？　らぶでーすー？」

「でゅふ……♡　兄×弟でわたくしはあとご飯１兆杯は食べれますでゅふふふ……♡」

義弟と嫁がなんだか楽しそうに會話していた。

「大霊ってのは、上位の霊のことだ。通常の霊と違うのは、を持ってることだな」

「なるほど……霊って確かこの世界のを持ってないんだったね。けど……そんな上位の霊が、どうしてここに？」

ふぅむ、確かに変だな。

「たしか大霊は霊核……霊の力の源のもとから離れられなかったんじゃあないか？」

前世《ユージーン》時代では、マーテルと出會ったのはこの青き星(ブルー・アース)の中心地帯だった。

そこからマーテルは通常けなかったので、契約の指をもらった。

魔王ヴェノムザードとの戦いの時は、その指を通して、マーテルの力を借りたのである(霊裝)。

するとマーテルは言う。

「これは仮のなのですわ、お兄様」

「ほぅ……誰かがおまえにを與えたのか。して、誰……っつっても、一人くらいしか思いあたらないんだがな」

こういうことを企むのは……。

「どうもぉ～」

「あ、舊です。生きてやがったです？　最近影薄かったけども」

「生きてますよぉう。愚弟。どうも久しぶりです、學園長のルシフェルですよぉ」

シルクハットを被った、うさんくさそうな男……ルシフェルが現れる。

まあどう考えてもこいつが何かやったんだろう。

「なんでマーテルにを與えた？」

「えぇ、わたしは知りませんよぉ。ただわたしは転校生を連れてきただけでぇ」

「で、何が目的なんだよ」

「目的なんてそんなそんな……ただぁ、彼はＳＳクラスの一人として連れてきただけです」

ふむ？

ＳＳクラス……？

「この學園の生徒の能力向上のため、わたしが各地からスカウトしてきた、すんごい人たちですよぉ」

「マーテル以外にも転校生がいるってことか？」

「ええ」

うーん、星の大霊クラスが他にもいるってことか……。

うん！

「良い仕事してるねえ！」

「兄さん！？」

「だってする弟《ガイアス》の練習臺をいっぱい釣れてきてくれたんだろぉ？　いやぁ、謝謝！」

ばしばし、とルシフェルの肩を叩く俺！

なんだよ學園長、初めて良い仕事したなぁ！

「喜んでもらえて栄ですよぉ。じゃ、そのうちＳＳクラスの人たちも、あなたに突っかかってくるでしょうが、あとはよろしくぅ」

「おう！　さんきゅーな！」

いやぁ、學園長ってば良いことするじゃあねえか。

今まで裏でこそこそしてて、変なやつくらいの認識だったけどもな。

「悪の親玉相手でもこの対応……兄さんはやっぱりオカシイよ……」

「あにうえかっこいーです！」

まあなんにせよマーテルが転校してきた理由は判明したな。

「ところで……お兄様♡」

にっこぉ……と笑って、マーテルが言う。

「そちらにいらっしゃる、髪の長い雌は……だれ？」

お、なんだなんだ。

雌？　ああ、ダンタリオンのことか。

「俺の嫁」

「…………………………………………………………は？」

おや？　マーテルがなんだか怖い顔をして、ダンタリオンをにらんでるぞ？

どうしたんだぁ？