《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》

まずはロバート牧師が、俺たちふたりに対して、の誓いを確かめる。

俺は練習もしてないので、一発勝負だ。

かなり張する……。

「琢人くん。あなたはここにいる、ミハイルくんを……」

よく映畫とかで聞いたことのあるセリフ。

俺の人生でこんなこと、絶対に起きないだろうと思っていた。

ちょっと、していたら……。

「攻める時も、けの時も……また痔になっても、マンネリ化しても」

思わず、その場でずっこけるところだったが。

ミハイルが腕を組んでいるので、転ばずにすんだ。

「パートナーとしてし、敬い、慈しむことを誓いますか?」

即答でYESと言いたいところだが、一部のセリフをれたくない。

でも、ここはロバート牧師の言う通りにしよう。

「は、はい……誓います」

その答え方に、ロバートが苛立つ。

眉間に皺を寄せ、再度誓いを確認する。

「タクトくん? 絶っ対に誓いマスね!?」

めっちゃ怒ってる、ドMのくせして。

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「誓います! 永遠にっ!」

するとロバートは嬉しそうに微笑む。

「オーケー」

次はミハイルの番。

俺の時とは違い、ちゃんとした誓いの言葉だった。

『病める時も、健やかな時も……』という、おなじみのやつだ。

當然、ミハイルもYESと即答し、無事に誓いが立したのであった。

というか、なぜ俺だけ、あんな誓いを立てられたの?

結婚式のプログラムを知らされていない俺は、次にどんなことを行うか。知るわけもなく……。

きょろきょろと辺りを見回していると、隣りに立つミハイルが俺の袖をくいっと摑む。

「大丈夫だよ☆ オレに合わせて」

「ああ……」

そんな俺を見て呆れたのか、宗像先生が深いため息をついたあと、こう言った。

「では、リングガールの場です」

きっとプログラムを順次、説明するから安心しろということなのだろうが……。

リングガールってなんだ?

今から際どい水著姿のお姉ちゃんが、場するのか。とアホな妄想をしていたら。

會場奧の口に、ひとりのが立っていた。

先ほどミハイルが歩いていた、ヴァージンロードの上を。

小學生ぐらいのの子だ。

白いドレスを著て、頭に花冠をかけている。

手には網かご。

徐々にこちらへ近づいてくると、その子に違和じる。

それは顔つきだ……。

遠目で見れば、の子だが。よく見れば、しっかり人した

いや、もう30歳を迎えたのに、獨のかわいそうなアラサー。

俺の元擔當編集。白金 日葵だ。

「はい。お二人の結婚指を、屆けに來ましたよ」

と網かごを差し出す白金。

自らんでやっているようには見えない。

その証拠に、舌打ちをつく。

「チッ……なんで、私がこんなことをしないといけないんだか」

顔を歪めて、神聖なヴァージンロードへ唾を吐き捨てる。

これには俺もブチギレそうだったが、みんなやミハイルの前だ。

怒りをこらえて、白金に禮を言う。

「悪いな、白金。ありがとう」

そう言って、カゴをけ取る。

「フンッ! 私より先に結婚なんてしやがって、クソウンコ作家のくせに!」

ダメだ。祝いの席でキレてはいかん。堪えろ。

「は、はは……まさか白金まで、結婚式に參加してくれるとはな」

「別に私は參加したくなかったのですけどね。DOセンセイじゃなかった。“アンナ”センセイのお父さんが『山々崎』を飲ませてくれるって聞いたもんで」

お前も結局、酒かよ……。

どうなってんの? 初代、伝説のヤンキーたちは。

白金が持ってきた網かごには、2つのプラチナリングがっていた。

黙ってけ取ったけど、この結婚指は誰が用意したんだ?

俺はミハイルに告白する時、渡したのは婚約指であって、結婚指じゃない。

ロバートに「どうゾ、お互いの指に差し込んで下サイ」に促されたが……。

こちらが用意したものじゃないから、怪しんでしまう。

後で多額のお金を、請求されるのではないかと。

俺が指を睨んで固まっていると、ミハイルがそれを見て、クスクス笑う。

「フフフッ、早く指れてよ☆」

と細い指を差し出す。

「え……でも、これ。誰が買ったんだ? 俺は買ってないのに……」

「タクトって結構、心配だよね。こんな時ぐらい信じてよ☆」

「?」

「オレが買った……ていうか、作ったの☆ 二人分ね☆」

「つ、作っただと!? ミハイルはそんなチートスキルを、持ち合わせていたのかっ!?」

あれだろ?

異世界に飛ばされた主人公が、鉱山で希な鉱石を掘り出し。

コツコツと貯めたスキルポイントを使い、鍛冶スキルに全振りする。スローライフ的な……。

とひとりで、次回作の主人公は金髪ハーフの年が、異世界でエルフより可くなるストーリーを考えていたら。

ミハイルが俺のおでこを、人差し指でデコピンする。

「いでっ!」

「考えすぎだってば。福岡に工房があってね、そこの先生に教えてもらいながら、作ったんだよ☆ ちょっと歪んじゃったけどね」

「そういうことか……」

「お店で買った方がキレイだけど。作ったらし安くなるし、何より世界で2つだけのリングだもん☆ タクトが可い婚約指をくれたから、結婚指はオレが作りたかったんだ☆」

「……」

その言葉を聞いて、今までの自分を呪った。

ミハイルがこの數ヶ月、會えないと言っていた理由は、全て今日のため。

俺が結婚式を斷ったから、ひとりで宗像先生や友達に相談して、式を用意し。

まで自分で作ってくれた……。

なら、ミハイルの気持ちにしっかりと応えるべきだ。

それからの俺は、素早かった。

換をさっさとすませ、司會の宗像先生や牧師であるロバートの言葉も無視して、ミハイルにこう囁く。

「ベールを上げたいから、腰を屈めてくれ」

「う、うん……」

その場でミハイルが、ゆっくりと腰を屈めるのを確認すると。

俺は彼の頭にかかったベールを、両手で上げていく。

ベールを上げると、ミハイルが瞼を閉じて待っていた。

俺が「もういいぞ」と言うと、ゆっくり瞼を開き、腰をばす。

厚底のローファーを履いているとはいえ、俺たちには長差がある。

どうしても、彼の方が上目遣いになってしまう。

2つのエメラルドグリーンを輝かせて、微笑むミハイル。

薄紅は、どこか艶がかっているような気がした。

ひょっとして何かリップを塗っているのか?

「お待たせ、タクト☆」

「ミハイル……」

とても長い時間。すれ違っていたような気がする。

やっとこいつの顔を、見ることが出來た。

それだけで、心が満たされていく。

もう……ダメだ。我慢できん。

「それでは、誓いのキスを……」

とロバートが最後までセリフを言う前に、俺はミハイルを抱きしめていた。

もうお互いが離れないように、強くきつく。

「た、タクト?」

している……ミハイル」

「オレもだよ。でも、このままじゃ、誓いのキスが出來な……」

ミハイルの小さなを、力づくで奪う。

こんな強引なキスをするはずじゃなかったのに。

久しぶりに見た彼が可すぎて、理が吹っ飛んでしまった。

彼が逃げられないように、右手で頭を抑え、腰に左手を回す。

「んんっ……」

誰かは分からないが、悲鳴のような歓聲が上がる。

そりゃ、そうだろう。

俺は誓いどころか、かなりディープなキスを堪能しているのだから。

ミハイルの舌先を探すことで、頭はいっぱい。

もちろん、彼が拒むことはないが。し恥ずかしがっているようにじる。

腰に回していた手の位置も、次第に下りていく。

彼が一生懸命作ったウェディングスーツ。

れたことで、ようやく気がついた。

この生地はきっとフェイクレザーだろう。つるつるのスベスベ。

で回すのに最適。いや、みしだくのが良い!

~10分後~

「んちゅ……じゅばじゅば……ぶちゅっ、ちゅ~!」

誓いのキスにしては、あまりに長い接吻だった。

おまけにミハイルの小を、で回してはみまくる……を繰り返していた。

しかし、それを黙って見ている大人たちではない。

誰かが固い筒で、俺の頭を引っぱたく。

「長いっ! さっさとやめんかっ! 初夜なら後にしろ、バカモン!」

後頭部をさすりながら、ミハイルから離れると。

顔を真っ赤にした宗像先生が、結婚式のプログラムを丸めて立っていた。

「すみません……つい」

「つい、じゃない! お前、このあと式をどうすんだ!?」

宗像先生が指差す方向に目をやると、ミハイルがまた『トリップ』していた。

「うへへへ☆ タコさんのタクトだぁ~ だから、オレのおってきたんだぁ。くすぐったいよぉ~」

「……」

ミハイルが正気を取り戻すのに、30分を要した。

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