《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》9話 VSシエラチーム その2
「アアアアアアアアアアア!!!!」
アビス・ウォーカー。
深淵歩き。
ダンジョンの祝福を、呪いを最も濃くけた存在。
人の形をしたダンジョン。
「何……あれ」
「ふうん……」
「き、興味深い……見たかい? 助手、アレは怪種だ」
「なんか、最近、人間の方が化けっぽくなってきたっすね〜。おい! タダ! 本當に1人でいいんすか?」
探索者達は本能的に目の前のアビスウォーカーの危険に反応する。
ダンジョンの空気に慣れ親しんでいる彼らだからこそ理解出來るアビスウォーカーの脅威。
それは神を前にしてを痺れさせる人類と似ている。
探索者は時に、深淵に屈する。
探索者は深淵から祝福され呪われる。
探索者もまた、深淵の生き、それ故に、そのルールに囚われる。
だがこの男は違う。
「ギャッハッハッハッハ!! いやあ〜問題ねえよ! グレン!! 1人でやらせてくれ、俺がぶっ殺されたらつぎ頼みまぁす!」
この男にその摂理は反映されない。
なぜなら深淵は彼に何も與えなかったからだ。
「アアアア……アビス・ウォーカー……! アレフチーム、探索者! 貴方が奪えるものは何も、ない!」
「いや〜? そうでもないぜえ? 俺は探索者だからよ〜、ダンジョンから貰いたいモンは貰うぜ。力盡くでな」
凡人探索者。
深淵から與えられるのではなく、全て自力で奪い取った男が笑う。
「アアアア……ハハ、ハハハハハハハハ!! なんというエネルギー、なんという力……! 負ける訳がありません! 私の機能と、深淵の力! この星の中の力! あ? あれ、使命……支配……破壊……」
ずっ。
黒鎧のもがれた腕から生えるのは、蛇の頭。
遠い星雲の生命が、地球の化けを従えて。
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「誰にも、私たちを奪わせない」
その蛇の腕を耳男へ向けた。
ずちゅ。
「えっ」
本から消えた蛇の腕。
アビスウォーカーの傍。
呑気にあくびをしてあぐらをかいてる耳男。
くる、くる、くる。
すとん。白目を剝いた蛇の頭、斬(・)り(・)落(・)と(・)し(・)た(・)それが地面に落ちた。
「もう始めてんぞ」
「ーーアアアア」
どじゅるるるるる。
気付く事すらなく腕を落とされる。
その異常事態にシエラゼロのは更に焦り、進化する。
斷面から何本も、何本も新たな蛇の頭が生えて。
「アビスPERK・サウザンド・サーペント」
溢れるような蛇の濁流が耳男へ。
「あなたを、排除します、探索者!」
TIPS€ アビス・ウォーカーは怪種を構する事が可能だ。怪種74號"ウネリ湖ヘビ"の群、來るぞ
どちゃちゃ、ちゃちゃ。
突き上げるような赤縞模様の蛇の大群が耳男のを攫う。
まさに濁流。
流されるゴミのような勢いで耳男が攫われて。
「ーーアビスPERK、レイブンネスト」
ぶちり。
ぶつ、ぶつっ。
黒鎧の背中から生えた翼、それが細かく、細かく千切れてゆく。
ぎゃぎゃぎゃぎゃ。
一つ一つの片が、頭が二つあるカラスに変わる。
牙のついたを開け、蛇の濁流に呑まれた獲へ向けて一斉に殺到し。
「喰い殺せ」
どぶしゃ。
潰れ、へちゃげ、捻れる音。
ダンジョン、バベルの大の生命が耳男を圧倒して。
「あは」
「おい、何笑ってんだ、気を抜くな」
「えっ」
黒鎧が口を緩ませた瞬間だった。
真顔の耳男が、すぐ側に。
「な、んで?」
「レッスン5、手を止めるな、だな」
ぼごん!!
銅鐸を鳴らすような重低音。
耳男が、黒鎧を毆りつけた音だ。
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「あっ、がっ!?」
「ほら、それ。攻撃されたら攻撃しかえせよ。お前のスペックとその能力ならそれが出來るはずだ」
たたらを踏む黒鎧。
アビス・ウォーカーの力が齎す強烈な多幸は、耳男の一撃により呆気なく霧散する。
「ど、どうして、どうやって、拘束を……」
「うーん。中途半端だ。確かに怪種を自在に生み出し、自分のの機能として使えるのは強いんだけど……使い方がなあ」
青い。
黒鎧は今更気付く。
腕から放った蛇の濁流も、翼から生み出したカラスの化けの群れも、全部青いのシミに代わっている。
「そ、んな……深淵の怪、その群れをこんな……」
「いや、これくらいで驚かれると困るんだ。頼む、もっと本気になってくれ」
「……は?」
「お前はもっと飢える必要がある。何かを守る? 周りの人間を死なせない? 違うだろ、もっと先に守るべき、お前が全霊をもって守るべきものがあるはずだ」
「そんなものは、あ、ありません……私は、ヨキヒトを、彼の周りの人間を、守る……そのために存在している……貴方のような脅威を排除する、そのための生命」
黒鎧が持つ己の生きる意味。
だが、黒鎧はマルスは忘れている。
他者を守る、コミュニティを守る、仲間を守る、己が大切なを守る。
その為にまず、行わなければならない最低限のことを。
「いいや、違う。黒鎧、お前が今まず最初に守らないといけないのはな」
2メートルはある巨軀、耳男が黒鎧の懐に潛り込み。
「あっ」
「ーー自分の命だろ」
ごりっ。
大力を持って振るわれた右の拳が黒鎧の腹へ。
「あっあああ!!」
苦し紛れに振るわれた黒鎧の腕、地面を叩きつけるようなそれを耳男が真正面からけ止める。
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「弱い」
みしっ。
軋む音を鳴らすのみ。
耳男は倒れない。
「貴方は、なんなんだ、なんで、こんなに、あ、アアアアアアアア!!」
ずろろろろろろ。
蛇、蟹、鳥、獅子、貝、昆蟲。
様々な怪種の部位を中に生やす黒鎧。
生きが狩りの為に使う部位を、耳男へ向けて。
「だが、悪くない」
TIPS€ アビス・ウォーカーは怪種の力を己がものとして振る舞う事が出來る。生態系そのもの、人のカタチをしたダンジョンだ
「それでいい、もっと死に狂いになれ。化けバトルの大事なとこだ」
「あっ」
黒鎧は目撃する。
己の機能。怪種の力を利用した猛攻。
その全てを捌きながら、ゆっくりこっちへ近付いてくる男を。
「お前のその力の強みは圧倒的な手數と対応力。敵との戦が長引けば長引くほど、お前は有利になっていく。何故か分かるか?」
じゃろろろろ!!
裂けるチーズのように縦に裂かれる蛇の怪の悲鳴と共に耳男が呟く。
「あ……」
「相手の手札には限りがあるのに、お前の手札に限りはない。意とひらめきであらゆる組み合わせで対応し続ける事が出來る、最強の後出しじゃんけんだな」
「……後だしじゃんけんを無視してくる化けには言われても、嬉しくないですね」
「お、レスバに対応できるのは高評価だ。ムカつく奴を口喧嘩でボコボコにしつつ、をギタギタにするのはに良いからな」
べりりりりりり。
がき、がき。
あらゆる化けの攻撃。
蛇に噛まれればそのまま口を裂き、蟹のはさみに挾まれればそれを砕いてそのまま進む。
「は、はは」
いつのまにか、黒鎧は笑っていた。
己の持つ力の全て、機能の全てが通じない絶。
殺せるはずの攻撃で殺せない。
なのに、恐らく相手はその気になればいつでもこちらを殺せる。
その力量差の恐怖。
「「「……………」」」
かない仲間達。
もう失う訳にはいかない己の大切な存在。
幾重にも巻き付く枷により、思考を歪ませていた彼。
笑える要素など何一つない。そのはずなのに。
「は、はははははははは!! ははははははははは!!最悪、最悪の狀況ですね。でも、何故でしょう。もはや己の力も通じるかわからないこの狀況、私は、し……堪らなく愉快な気持ちになってきました」
生命の進化はいつも、死と共にある。
味山という死の存在が、生存者を引き上げる。
「私は……戦います。己の生命の意義のために」
「好きにしてくれ。でも、そのままじゃ勝てねえ。――化けバトルの一番大事なことはな。使えるもんは全部使う事だ」
「ええ、ですが私の至上目的は変わらない。私は私のパイロットを守る。ーー力は借りますが」
耳の男と黒鎧が向かい合う。
「『IDDシステムオンライン』」
「『戦闘ドクトリンを変更、アリサ・アシュフィールドモデルから、海原善人モデルへ』」
『「HELO,アビス」』
ず、ず、ずずずずずずずず。
黒鎧の背中から、ありとあらゆる怪種の形が現れる。
暴走に近い力の発。
が生命が、今目の前に現れた最大の脅威に対し、解決策を探し続ける。
それが、この答だ。
「ああああああああああああああ……化け! それでも、私は、いえ、我々は生存する! どんな力もどんな暴力もどんな殘酷な運命があっても、生き殘る、生き殘らせてみせる!!」
「いいね、どんな戦いでもやる気は大事だ。特に俺達みたいな化けバトルではな」
「アジヤマタダヒト。貴方を排除します。貴方は危険すぎる」
「過保護め。これは勘だが、そのスタンスじゃお前の相棒は近くに死ぬな」
「何が、わかるんですか、貴方に」
「いや、なんも。ただ、戦える奴を大事に大事にしておく。世の中こんな風になってんのに、隨分悠長だなって思うだけさ」
もう、言葉は要らない。
靜かに相対する2人、きっと最初にくのは黒鎧でーー。
がちゃん。
扉が現れた。
神種が扱う技に人のでたどり著いた免疫機構。
し、ズタボロになってなお、この國と共に戦うことを選んだ大いなる者。
「……西表くん」
「やあ、多賀くん。待たせたね。済まない、君の所まで彼らを連れてきてしまった」
赤い髪の麗人。
當たり前のように空を歩き、音もなく黒鎧の隣へ。
「悪いね、シエラチーム。その戦い。混ぜてもらうよ」
サキモリ・主席執行、西表波。
バババババババババ。
遅れて空を鳴らす機械。雙翼のヘリコプターが多數。
改修されたパワードスーツ。牙なき人々を守る為、資格なくともその道を選んだ達。
「はい、集合集合。全部隊、気合れろ~。ここがニホンの正念場。こんな所で負けてりゃキリねえぞ」
「「「「「了解、隊長!!」」」」」
サキモリ・警備部隊・ロッカーチーム。
「やり直し、だ……前鬼と、後鬼の支配権を取り戻す……ふざけた真似は許さねえ。ここは、俺の國だ」
「一族総出。神坂家、當代初の鬼狩りでございますな」
空に浮く人。の、影の護國。神の防波堤。
サキモリ・寮。
そして。
ヘリコプターからふらりと降りるいくつかの人影。
「凜ちゃんの憧れの人、めちゃくちゃやってるね、本當に話で聞いた通り無茶苦茶だ。……ミサキちゃんがおかしくなるのもわかるかも」
「名瀬さん。先輩の代わりは私が。……イズ王國を討ってくれた恩人に刃を向ける事、本當に申し訳なく思っています。味山只人さん」
「うっっわ。あれがアレフチーム? 激ヤバじゃん。てか、なんか神種2人いるぽくね? 西表さん、これ、本気で戦うの? トーキョーがなくなるよ」
「ヒミコの時とも、アサマの時ともちがう。神種との最悪の戦闘予想、首都決戦。しかも、総理邸敷地って、最悪っしょ」
「時間稼げば、シエラチームの星と月がナガノのスタンピード処理から帰ってくる。"樹海帰り"のメンツも今首都に向かってる。ギリ……か?」
「師匠の言ってた大枚はたいてくれた探索者……アックス師匠、アンタの不始末は俺がつけてやる。師匠の業を、間違った方法では使わせない」
「貴崎凜ナシでこのレベルの相手とやるの、無理じゃないすか?」
「殘念だけど、あの子は完全にあの化けに魅られてる。鎮靜剤を10人分投與してようやく眠ったの、このままあの子の介がないままに、終わらせたい」
「……當該戦地の全サキモリへ。宮本より。敵戦力は非常に強大だ。心してかかれ。……総理殿。ここは彼らが時を稼ぎます、離を」
「……いや、よしておくよ。どのみちこれだけの戦力が敗れるなら、どこに逃げても一緒だろう。ーー西表くん」
「ああ、手筈通りに。多賀くん」
サキモリ・主力の集結。
TIPS€ 警告・複數の保有者
TIPS€ 數人、お前の命に屆く力があるぞ
味山の目の前に、現代を護る最後の砦達が集結する。
「は、ハハハハハハハハハハハ!! 味山只人! 化けバトルのご教示をお願いしたく!」
「いいね、講料はニホン政府持ちか?」
眼前、ニホン戦力。
「開け、門。懐かしの門、遙かなるべく常世の隅へ」
西表波の周囲に走る赤いの軌跡。
それは複雑な印となって世界に走る。
「異界"永遠夏燈篭"」
ぎいいいいいいいい。
大門が開く。
それは味山を、サキモリごと飲み込むようにどんどん近く、大きく。
門の向こうに広がる景。
むせるような青い空、茹る熱気、海の香り、雨の匂い。
夏。
水の抜けた田んぼ。そこに吹き抜ける風、稲穂の掠れる音。
夕焼けの向こうで、食卓の音が。
がたん、がたん。一両だけの電車が遠く。
「ああ、そりゃ確かに命掛けで守る価値があるわな」
味山が一歩前へ。
もう道は選んだ。
誰になんと思われようと、どんな評価をされようと関係ない。
気分が悪い。
このままじゃ、あの門の向こう側にあるような景も何かも全部終わる。
「味山只人の探索記録――」
ガラじゃないのはわかってる。でも自分の役割は、なんとなく理解できた。
この終わった世界での自分の役割、それは。
「俺はワクチンだ。これからやってくる大病を祓うためのワクチン、それでいい、だから覚えろよ、お前達が戦うべきクソ共の力を」
TIPS€ お前は凡人ので神すら狩り取る異常存在となり果てた
TIPS€ 誰もがお前を嫌悪する、誰もがお前に恐怖する、誰もお前を認めない
TIPS€ お前は一人で生きて、一人で死ぬ。誰にけ継がせることもない、お前は世界でひとりきり、何も殘さず、何も理解されず、死んで、全部が終わる。
いつもヒントは事実しか言わない。
きっとそれは本當の事だ。
味山只人の人生に意味はない。
こんな事をしても誰にも理解されないし、報われる事もないかもしれない。
TIPS€ お前の人生に、意味はない。生きる意味だってきっとない
いつも、そうだ。
味山は間に合わない、味山は防げない。
只目の前に迫る危機に、敵に、挑み続ける、その繰り返す。
出會って、戦って殺して、また出會って。終わりのない螺旋、いつか味山が終わる日まで繰り返される報いのない作業。
なんの意味があるんだろう。
ふと、そうじる時だってある。
ほんとは生まれてきたくなんてなかったのかもしれない。
勝手に始めさせられて、勝手に競爭させられて、勝手に値踏みされて。
しでも普通じゃなければ、出來損ないと評価されて。凡人と揶揄されて。
理解できないとののしられて。それで――
「ちょっと、タダヒト。貴方1人でやる訳じゃないでしょ?」
「観戦役というのはに合わなくてね。さて、一つニホンを試してやろうじゃないかい」
「やっあ〜っと出番っすね。……ちなみにこのちびっこさんもやる気満々なんすけどいいんすか?」
「あさま、超強いから大丈夫。黒いどろどろのお兄さん」
《スワンプマンがいれば羨ましがる景だな! アメリカの炎がお前達と共にある!!」
「あ……」
すぐ後ろから掛けられた聲に、味山の思考は止まった。
報酬がいる。クソみたいな人生を進んだおかげで、今ここに確かにいる連中が。
死にたい、生きたくない、生まれてきたくなんてなかった。
生きたい、死にたくない、生まれてきてよかった。
TIPS€ 人生はくだらなく、無価値で、殘酷で
「それでも、それが俺の人生だ」
あの日、終わった世界で得た答えがある。
このクソくだらない人生をそれでも進む。意味がなくても、やりたくなくても。
それでも、進む。
死にたいと生きたいを互に繰り返しながら――。
「タダヒト」
「あ?」
「せっかくの機會。多くの人、國丸ごと敵に回す機會なんてあまりないわ。たのしんでいきましょう」
嗤う英雄、細められた瞳、ハイライトのないそれに宿る熱。
「……お前、実は結構騒な奴だよな?」
「あら、心外。あたしはね、たくさんの人が救われて、しでもこの世の中から悲しい事がなくなるなら、別に正義の味方じゃなくてもいいの」
「英雄のくせに?」
「最近はダークヒーローってのもあるの」
「ダーク強くない?」
「貴方が言う? ――ねえ」
アレタが味山の隣に。
そのまま握りこぶしを味山に向けて。
「今度は、最後まで付き合うわ。――凡人探索者」
「――了解、52番目の星」
門の向こう。
夏の景、夏の絵。
それに、アレフチームが飲み込まれ。
「探索開始」
門が、閉まった
◇◇◇◇
がちゃん。
門が開いた。
ぽいと、ぽいっ。
ぽいっ、ぽいっ。
放り捨てられるのは、機械、人、人、人。
決戦の場に向かった者達、その全てがズタボロの狀態で次々と扉の向こう側からは放り投げられて。
「あー……強っ……鳴人君……遠いなあ、キミまでさあ」
「あ、はは。わかってたけどな、勝てんって……でも、ここまで差あるんか……」
「はいはい……部隊全員壊滅、だが、全員生存? あ~手加減されてんなこりゃ」
「バカな……前鬼と後鬼が、あんな……が積み重ねた1000年が通じない……?」
「なんなんだよ、こいつら……激やばじゃん」
心折れた者達の聲。
倒れ伏すニホンの戦力、その最高峰達。
彼らが仰ぎ見るのは、扉。
そこから現れるのは。
「ふうっ。まあまあね。あのサキモリっていうを使う人達、まだまだ強くなれそうだけど」
「いやー、ワタシのアレタは最強だったね。心のファイルの容量をまた増やしておかないと」
「アビス・ウォーカー……あれ、便利っすね〜どうやったら使えんだろ」
「あさまだけで充分だったのに、きんぱつ達、まあまあやるじゃん」
アルファチーム。
人類の最前は容易に、ニホンの護國の輩を制覇した。
そして。
ずる、ずる、ずるずる。
何かを引き摺る音、
「……」
「…………げほ」
赤い髪の麗人。
そして黒髪の、目つきの鋭いイケメン系の。
その目は奇妙、青と茶のオッドアイ。
男のスラックスに男のカッターシャツ姿で。
彼達の襟首をつかみ、ずる、ずる引きずるのは、耳の面をつけた怪人。
門の向こう側から帰って來たのは、ズタボロになったニホン最高戦力。
息はしている。
だが、意識は完全に失われ、力なく化けに引きずられていく。
サキモリ達は理解した。
その圧倒的な彼我の戦力差を。
理不盡とはこのように突然に現れるものだと。
門から、出でた化けが、その2人から手を放す。
どさり、力なく地面に倒れ墮ちる2人のニホン最強。
人類軌跡、生存者。
その2人をもってしても。
「ぎゃはははははははははははははっははははははははははっははははははははっははははははははははっはっははははははっははははははははっははははははっは!!!!! あ~まあまあだった」
アレフチーム、ニホン殘存勢力その6割を、出現から1時間以で制圧。
そして。
「……完敗だね」
「いや、まだアンタが殘ってる。ニホンはアンタが殘る限り、負けることはない」
「君は……何を見ている? まるで、君は――」
総理の言葉に味山は何も答えない。
代わりにハートマンの車両ドアが自で開く。
サキモリを含めたニホンの全戦力の目のまえで。
「これからの世界の話をしようや、総理殿」
ニホン閣総理大臣、多賀影史。
國際指名テロリスト集団、アレフチームにより、拐。
読んで頂きありがとうございます!ブクマして是非続きをご覧ください!
凡人探索者3巻、12月25日発売です。
書き下ろしめちゃくちゃやりました。
ラブコメにホラーに探索に化けに。
年末は是非バベル島、探索者祭へお越し下さい。
凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ 3
https://amzn.asia/d/4klhy3w
また年末はカクヨムコン9に參加しまーす。
凡人探索者お試し配信版もし投下してるので良ければ作者フォローしていただければ嬉しいです。
https://kakuyomu.jp/users/kurosiba
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しば犬部隊ページ。
ひねくれ領主の幸福譚 性格が悪くても辺境開拓できますうぅ!【書籍化】
【書籍第2巻が2022年8月25日にオーバーラップノベルス様より発売予定です!】 ノエイン・アールクヴィストは性格がひねくれている。 大貴族の妾の子として生まれ、成人するとともに辺境の領地と底辺爵位を押しつけられて実家との縁を切られた彼は考えた。 あの親のように卑劣で空虛な人間にはなりたくないと。 たくさんの愛に包まれた幸福な人生を送りたいと。 そのためにノエインは決意した。誰もが褒め稱える理想的な領主貴族になろうと。 領民から愛されるために、領民を愛し慈しもう。 隣人領主たちと友好を結び、共存共栄を目指し、自身の幸福のために利用しよう。 これは少し歪んだ気質を持つ青年が、自分なりに幸福になろうと人生を進む物語。 ※カクヨム様にも掲載させていただいています
8 135【書籍化・コミカライズ決定!】過労死寸前だった私は隣國の王子様と偽裝結婚することになりました
書籍化・コミカライズが決定しました! 情報は追ってお知らせいたします。 宮廷付與術師として働くフィリス・リールカーン。彼女は國內で初めて宮廷付きになった付與術師として活躍していた。両親を失い、多額の借金を肩代わりしてくれた婚約者とその家に恩返しをするため、日夜パワハラに耐えながら仕事に打ち込む。 しかしそんな努力も空しく、ある日突然信じていた婚約者から婚約破棄を言い渡されてしまう。知らぬ間に浮気されていたことを知り、悲しみと怒りが溢れるフィリス。仕事で朝帰りをしている時に愚癡を漏らしていたら、見知らぬ男性に聞かれてしまった! しかもその相手は、隣國の王子様だった! 絶體絶命の窮地に陥ったフィリスに、隣國の王子は予想外の提案をする。 「フィリス、お前は俺の嫁になれ」 これは無自覚な天才付與術師が、新天地で幸せを摑む物語。
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ある世界で倒されかけた魔神、勇者の最後の一撃が次元を砕き別世界への扉を開いてしまう。 魔神が逃げ込んだ別世界へ勇者も追うが時空の狹間でピンチが訪れてしまう。 それを救うのが一ノ瀬(イチノセ) 渉(ワタル)、3人の少女と出會い、仲間を得て、 魔神を倒す旅へ出る。 2作目の投稿となります。よろしくお願いします!
8 71ヤンデレ彼女日記
高校一年の夏休み前のある日、清楚で成績上位で可愛くて評判な同級生に告られた市川達也。(いちかわたつや)すぐさまOKしたが、彼女はヤバイ人だった…。
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