《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》作戦に向けて
機上にある地図上に置いた、敵を記す赤い凸駒と味方を記す青い凸駒。
これらを何度も移させ、作戦の確認と調整を行った。
評定の途中、僕達の後に到著した騎士団長のダイナス、ルーベンス達もえ、彼等の意見も取りれている。
抜かりはないはずだ。
「……これで大まとまったな」
作戦における自陣の青い凸駒の配置が、ようやく完。
父上の発した言葉に、この場にいる誰もが合點がいった様子で相槌を打っている。
「はい。後は関係各所に伝えれば問題ないかと存じます」
ダイナスが代表して返事をすると、父上は「うむ」と頷き、視線を僕とアモンに向けた。
「今回の作戦、例の『渉』如何で功するか否かが大きく変わる。頼むぞ、二人共」
「承知しております。お任せください、父上」
「私も必ず説得してみせます」
僕達の答えを聞き、父上は鋭い視線の矛先を変える。
「それと、カペラ。お前は、この手のことに詳しいはずだ。必ず二人を護り、かつ功できるよう盡力しろ」
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「畏まりました」
彼が深く頭を下げると、父上は改めてこの場にいる皆を見回した。
「明日の戦は、厳しいものになるだろう。だが、我等は斷固戦い抜き、必ず勝つ。そして、『皆で』凱旋を果たすぞ」
「おぉ!」
この場に騎士達は、父上の言葉に力強く答えてくれるのであった。
軍評定が終わり、皆はそれぞれに退室し、明日の作戦に向けた準備と配置にき始める。
見送っていると、今しがた室してきた一般騎士からクロスが何か報告をけたらしく、こちらにやってきた。
「リッド様、アモン殿。しよろしいでしょうか?」
「うん。どうしたの?」
聞き返すと、彼は真剣な面持ちで続けた
「実は、捕虜とした狐人族の戦士が妙なことをんでいるようです。もしかすると、重要な報になるやも知れません。恐れりますが、お二人に會って頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「妙なこと……?」
一、何をんでいるのでだろうか。
隣にいるアモンを顔を見合せた。
「ちなみに、どのようなことでしょうか?」
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アモンが尋ねると、クロスは不可解そうに首を捻った。
「々なこと言っているようですが、要約すると、『バルディア家が、アモン様と護衛の戦士達を騙し討ちにした』……と。戦士は、そうんでいるようです」
「……⁉」
アモンは目を見張り、僕は眉間に力がる。
「わかった。すぐに行こう」
僕達は、クロスの案で狐人族の戦士が捕虜とされている場所に向かった。
クロスに案された場所は、狹間砦の収監所である。
本來は罪人を収監しているそうだけど、今は狐人族の捕虜を収監しているそうだ。
彼が重そうな扉を開けた先には、何個もの小部屋あるらしく、廊下の壁に沿って均一に扉があった。
クロスは監視をしている騎士に聲を掛けて、とある扉の前で足を止める。
室からは、戦士のものと思われる唸り聲がれ聞こえ、鎖で拘束されているのか、荒々しい金屬音も聞こえてくる。
「狐人族の戦士がいるのはこの部屋です。お二人に刺激的かもしれません。まずは、この小さな覗き窓からご覧下さい」
「うん。じゃあ、まずは僕から……」
そう言って、室にいる戦士を確認する。
戦士は返りでも浴びていたのだろうか。
赤く黒く汚れた服を纏っており、甲冑は著ていない。
両腕は壁の鎖に拘束されており、口は布のようなもので猿轡をされている。
両足も鎖で繋がれており、『これを外せ!』と言わんばかりに唸って鎖を鳴らしていた。
彼の瞳は怒りと憎悪で走っているが『電界』を通して伝わってくるは、慟哭のような深い哀しみだ。
戦爭によるもの……じゃないな。
もっと深くて、しい人を亡くしたようなじだろうか。
考えを巡らせていた時、ふと戦士の首に見覚えがある『モノ』が付いていることに気付いた。
形も大きさも違うけど、クッキーと出會った時、彼に付けられていた『首』と同じようなじがする。
「クロス。彼の首に付いている『あれ』って……」
「裝備者の魔力を抑制して魔法、強化、獣化などの発を疎外するものです。魔法が使えない者であれば裝著させないのですが、彼は暴れる上に獣化も使いこなせる戦士でした。それに……」
決まりの悪い顔を浮かべ、クロスは続けた。
「死を恐れずに砦に侵してきた手練れの中には、リッド様が仰っていた本屋敷を襲撃したという者達同様、自攻撃を行ってきた戦士がおりました」
「な……」
僕は唖然とするが、アモンは悔しそうに震えながら目を伏せる。
「今、この室に捕らえている者は、そうした戦士の生き殘りと思われます。幸か不幸か、彼は自する前に気絶したようですね。戦闘が終わり、捕虜としてここに連れて來たのですが、あの暴れよう。加えて、自できないと悟ると舌を噛んで自害しようとしました。従いまして、あのように拘束している次第です」
「じゃあ、んでいたって言うのは?」
淡々と説明を続けるクロスに聞き返すと、彼は近くに控える騎士を一瞥する。
「監視していた騎士曰く、彼が意識を取り戻した時、錯した様子で々とんでいたそうです。それが……」
「要約すれば、『バルディア家が、アモンと護衛の戦士達を騙し討ちにした』……ということだったんだね?」
「はい。その通りです」
確認の問い掛けに、クロスは會釈した。
なるほどね。
エルバとガレスが、アモンをバルディア家の屋敷に差し向けた理由は単なる宣戦布告と時間稼ぎだけじゃない。
アモンを慕っている豪族や戦士達は勿論、軍全の士気高揚に利用するためだったということか。
「……私にも見せてもらっても良いだろうか」
「あ、うん。そうだね」
顔を上げたアモンと場所を変わると、彼は覗き窓から室の様子を確認する。
そして、ゆっくりとこちらに振り返った。
「彼のことは知っています。私の従者であったリックのい頃からの友人であり、グランドーク家の一般戦士でした。名前は『カラバ』です」
「そうか。彼の……」
リックとは、最後までアモンのことを案じ、僕達の目の前で亡くなった戦士だ。
「リッド殿。彼と直接話したい。扉を開けてもらえないだろうか?」
「そうだね、わかった。お願いできるかな?」
アモンの問い掛けに頷き、クロスに視線を向ける。
「畏まりました。しかし、かなりの興狀態であります故、拘束はそのままにいたします。ご了承ください」
「はい。わかりました」
アモンと僕が頷くと、クロスは鍵を外して扉をゆっくりと開ける。
室にいる狐人族の戦士ことカラバは、アモンの姿を見るなり鎖の音を鳴らして目を見開いた。
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