☆★☆★　コミカライズ更新　☆★☆★

『アラフォー冒険者、伝説となる』のコミカライズ最新話が、

BookLiveにて更新されました。

最近発売された第６巻も、絶好調です。是非最新話も読んでくださいね。

「レミニア！！」

ハシリーの悲鳴が響く。

レミニアの小さなが後ろにノックバックしようという瞬間、寸前で足を止めた。飛んだしぶきと裏腹に、その目には生気が宿っている。

実はレミニアは斬られていない。

斬られたのは、あの一瞬レミニアの前に踴り出た鼠牙族(ラトゥーム)だった。細腕に握られた杖を懸命にばして、をしてレミニアを守ったのだ。

「コノリ！！」

「大丈夫です」

コノリは人間の言葉を話すのが苦手だ。

その時、流暢に聞こえてきた人語と、コノリから漂ってくる気配をじて、レミニアは察する。

「あなた、もしかして……」

「ほう……。まだ巫にやつすほどの力が殘っていたか、聖樹リヴァラスよ」

聲を響かせたのは、ガダルフだ。

背後には影竜がいて、レミニアたちを威嚇している。

「良いのか、リヴァラス。お前もまた蟲の息……。しかも『マイナス階梯』の魔法の中では、もはや力も使えまい」

「私も舐められたものですね。邪なるよ」

を吐きながら、コノリのに取り憑いた聖樹リヴァラスは杖を掲げる。

瞬間、発的に地面から枝がびてきた。あっという間にリヴァラス頂上付近を林に変えてしまうと、ガダルフのを絡め取る。

「ふん！　この程度か、聖樹の力は。影竜、やれ！！」

黒い竜は尾を揺らし、一気に生えた木を刈り取る。一瞬で生まれた林は、一瞬にして刈り取られたわけだが、リヴァラスは終わらない。

斬っても斬っても、生えてくる。

「貴様！　ここで潰えるつもりか？」

「油斷しましたね、ガダルフ。１度あなたには私の聖域を侵されましたが、何の対策もないままあなたの前に現れたとお思いか？　このまま竜ごと消滅させてあげましょう」

聖樹リヴァラスは本気らしい。

無限にもじる太いと幹は、何度斬られ、焼かれても再生する。

まるで植の意地を見せられているかのようだった。

ついにガダルフは絡め取られる。

詠唱を阻止するため、その口を押さえ付けると、一気に枝がを浸蝕していった。

「く……おの…………」

悲鳴さえ上げられず、ガダルフは幹とに飲み込まれていく。

黒い竜ですら抗えず、太い幹との向こうに消えていった。小のような小さな悲鳴を上げながら、ついに黒い竜が先に潰える。

波のように押し寄せた幹とは、また波のように引いていき、ガダルフを木の中に閉じ込めてしまった。先ほどまで世界の命運をかけた戦場であったとは思えないほど、靜かな時が訪れる。

同時に、コノリが倒れる。

慌ててレミニアは駆け寄った。

「コノ…………！　いや、リヴァラスか。どっちでもいいわ！　大丈夫？」

「すみません、レミニア。どうやら私はここまでのようです」

「……わかった。大丈夫。あとのことはこの天才にして【大勇者(レジェンド)】のレミニアちゃんに任せなさい」

「それを今言いますかね」

遅れてやってきたハシリーが傷口に回復魔法をかける。

すると、コノリに取り憑いた聖樹リヴァラスは笑う。

「本當にすみません。もうし長い生きするつもりだったのですが……。ガダルフとあなた方の戦いを見て、いてもたってもいられず」

「意外と好戦的なのね。まあ、１度やられてるようだから仕方ないけど。さっき言ったけど、安心して」

「はい。あとコノリには『ごめんなさい』と伝えてください」

「ええ……。わか――――。リヴァラス？」

それまで安らかな笑みを浮かべていたリヴァラスの表が急に強張る。

お腹の辺りを押さえると、悲痛な聲で痛みを訴え始めた。

「くっ！　まさか……。今のでも生きて――――」

ドンッ！！

発音が背後で響く。

地面となっている無數の樹木の下から現れたのは黒い竜だ。

その竜頭にはガダルフの姿もあった。

「ガダルフ！　まだ生きて！！」

「死にが……。最後の力を使ったか。が、もう遅い。リヴァラスも、お前たちも」

「どういうことよ！」

レミニアがぶと、ガダルフは口端を尖らせて薄く笑う。

「まだ気づかんか？　所詮はお子様勇者だな」

「なんですって！！」

「レミニア！　あれを！！」

突如、ハシリーが指差す。見ると、青々と茂っていたリヴァラスの葉が枯れ、さらに黒く変していく。葉だけではない。まるで病気にかかったようにリヴァラスのと幹がカビが生えたように黒くなっていた。

それと比例するようにガダルフが召喚した竜が膨らみ始める。

そしてレミニアは気づく。

「まだ魔力を吸うの？」

「気づいたか。我が影竜は召喚魔法でも、攻撃魔法でもない。生きとし生けるもの、いや死であっても魔力を包してるもの……。そのすべての魔力を吸い付くす魔法だ」

「なんですって……」

「ありがとう」

「え？」

「教えてくれたのはお前たちだ。リヴァラスを介して、ヴォルフ・ミッドレスにかけた強化魔法……。魔法を構築する式はあれと変わらない。か弱い羽なしどもは、いつも〝協力〟という言葉を使うが、こういうことをさすのだな。私にない考えだった。謝しよう」

ガダルフは合図を送る。

黒い竜は大きく嘶いた。

すべての生きとし生ける者に自分の存在を知らしめるように。

直後、レミニアもハシリーも膝を突く。急激に魔力が吸い取られていっていた。２人とも愚者の石(アンチ・エクサリー)を手にし、膨大な魔力を回復させたばかりだ。

その魔力がすべて黒い竜に飲み込まれよとしていた。

「まさかガダルフ……。あの竜を使って、もう１度愚者の石(アンチ・エクサリー)を……」

「再生する。そうだ。その通りだ。……自分で言うのもなんだが、私は諦めが悪い。そもそもこの世界に、私以外の存在を許さない。例え、一時的な力を得てお前たちの肢を嬲ったところで何の慨も浮かばない。滅ぶのは人ではない」

私以外の全てだ！

☆★☆★　昨日・本日発売　☆★☆★

『公爵家の料理番様』第３巻が本日発売されました。

こちらもhontoで１位とすでにご好評いただいております。

さらに昨日は『劣等職の最強賢者』第４巻の発売日でした。

ピッコマでベスト１０にるなど、こちらも好調です。

どちらもまだ書店にあると思われますので、是非お買い上げください。