《愚者のフライングダンジョン》127 止方角
ダジストリがいた場所には何も殘ってない。あるのは深い大だけ。
ちゃんと倒せたかはわからない。カメーやプルモートクラスのマナガス神ならアレでやれただろうが、ムカエルクラスなら回避したはず。
黒紫喰いしたときの味さえ判別できれば安心できるが、地獄の底の味が強すぎてダジストリの味がしなかった。味を薄めるために2kmくらい土を食ってしまった。
生きていれば反撃が來るはずだ。警戒を解かずにこのまま待ってみる。
ゴゴゴゴゴ……
「ん?」
上の方からパラパラと石ころが落ちてきた。一粒一粒が臭い。やっとここの臭いに慣れてきたのに、新鮮な臭みに上書きされた。
石の雨が続く。しかも粒の大きさと量がどんどん増えてきた。巖まで落ちてきた。
「暴れすぎたかな」
地獄の底が崩落を始めた。開けたばかりの大がきっかけみたいだ。思っていたよりも地盤が緩かったらしい。
これ以上ここに留まっていたら、臭い土で生き埋めになる。そこまでして待つ理由もないし、『冥府送り』で天國に逃げた。
明るい空。爽やかな風の香り。地獄の底と空気が違いすぎて頭がクラクラする。
海水に浸かって、染みついた臭みを取ろうと試みる。手でってもなかなか臭いが落ちない。
こういうときに便利なのが【大黒紫星食點】だ。の側に溜まった汚れも全て除去してくれる。
さっそく発させる。
「ん? 【大黒紫星食點】! ん? んん?」
なぜか発しない。発しそうなじはあるのに、途中でなにかに引っかかったみたいに止まる。
日常的に使うから、これができなくなると不便だ。勤務中にパソコンが故障したレベルの大問題だ。急がなければ仕事に支障が出るとしても、冷靜に対処しなければならない。焦ってパソコンの設定をいじくり回すと、逆に遠回りになったりする。こういう時は、一旦落ち著いて電源を切るといい。
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と言っても、俺に電源なんて付いていない。だから、全に張り巡らせた魔力を一度だけ魔力袋に戻す。
「【大黒紫星食點】。……ダメだ。出ない。何が原因だ?」
一度、設定を見直してみる。
すると、すぐに原因がわかった。修正して試す。設定をいじくり回すのは良くないとしても、原因がわかればその限りではない。
「〖超・神パワー〗×〖神パワー:〖魔王〗×『靜寂』〗×『黒紫無雙』×『極複製神の神鏡』=
【 大黒紫星食點 】」
出た。
黒紫のドームで全を覆い、染みついた汚れを全て除去する。
どうやら、〖黒紫のオーラ〗が『黒紫無雙』に進化したことで、ショートカット魔法のリンクが切れていたらしい。式を置き換えただけだが、ちゃんと作してくれてよかった。
ひと安心したところでスマホを出す。もちろんダジストリの反撃を見越して警戒態勢は解かないでおく。しかし、今だに姿を現さないことを考えると、あの一撃で倒してしまったのかもしれない。
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< メモ + …
ふざけてる場合じゃねーよ
世界中のドラゴンが一斉に人を襲い始めたん
だよ
カゲワニは北朝鮮に逃げたし
巨大なゲートが現れてマナガスの軍隊が攻め
てきた
軍を先導してるのは煙神ケツァルポルカ
どういう経緯かわからないけどムツキたちが
人質に取られてる
下手に手を出せない
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なるほどな。どうりで助けを求めてくるわけだ。この事態は本でしか収められない。いや、本でも全てを救うことはできないだろう。
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特にドラゴンによる被害は甚大なものになりそうだ。一斉に暴れ始めたということは、ドラゴンの帝王が號令をかけたに違いない。
そいつさえ討てば騒は収まるのだが、タイミング的に考えて、ドラゴンの帝王はカゲワニの可能が高い。韓國ならまだしも、北朝鮮に行くのは立場的にリスクが高すぎる。暴れるドラゴンを各個撃破する以外に被害を抑える方法はないだろう。
ただ、撃破しすぎるのも危険だ。ドラゴンを殺すと、そいつが蓄えていた魔力が一気にばら撒かれる。
マナガスにとって、その魔力は多大な恩恵を與えるものだが、地球の生命にとっては毒でしかない。ケアエナジーでカバーできる範囲は人間に限られている。魔力の濃度が急激に上昇すれば、人間以外の生命まで生能力を失う。他の植は地球環境のマナガス化に適応しやすいため、救う選択肢から除外していた。見通しが甘かった。
もし、地球のドラゴンを全て討伐しても、次は大飢饉が訪れる。ある程度の食料はダンジョンで採れるとしても、世界人口の全てを賄うことはできないだろう。
そこは山本メイも同じ考えのはず。ドラゴン討伐に行かずに、韓國で監視を継続していることからもそれがわかる。
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< メモ + …
大わかった。おめぇはムツキだけに集中し
ろ。他を全部無視してでもムツキを取り戻せ。
冥界を出る努力はするが、俺を待つな。
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指示しなくてもわかっているだろうが、あえて言葉にする。
ドラゴンも、ケツァルポルカの軍も、放置したところで直ちに人類は滅びない。この混沌とした狀況下で優先すべきなのは、敵の殲滅ではなく人質の解放だ。
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それにしても、人質か。マナガス神ともあろう者がそんな狡い手を使うだろうか。しかも、偶然ムツキが巻き込まれるなんて都合が良すぎる。
確実に何者かのれ知恵がある。タイミング的にヤヨイさんが絡んでそうだ。だとしたら、早急にムツキを取り返したい。もし、ケツァルポルカにれ知恵したのがヤヨイさんなら絶対に罠があるし、人質としての役割もフェイクの可能がある。できれば、正を知られていない山本メイに人質を救ってほしい。
ポコポコ……
何かが泡立つ音がした。海面を見るが、近くで泡が発生した形跡はない。
「うっぷ」
ゲップが出た。腹の調子がおかしい。腹痛なんていつぶりだ。いててて。痛すぎる。
しかも長えぇ。痛みも増えている。ガスが溜まってんのか、心なしか腹が膨れているように見える。
いや、違う。実際に膨れている。さっきよりも大きい。妊婦みたいだ。まだ大きくなる。腹に力をれても収まらない。
その時、腹から黃金の刀が現れた。
まずい。弾ける!
パァン!
腹が破けた直後に、ユニコーンの頭が見えた。そいつは俺の下半を蹴って飛び上がり、足音を鳴らして軽快に海面を駆けた。
金の鎧を著た黃金のユニコーンだ。
當然のようにダジストリが騎乗している。その手には、一太刀で竜の首を落とせそうな広刃剣を握っていた。あれは俺の腹を割いた剣だ。
生きているとは思っていたが、まさか避けずにちゃんと喰らっていたとはな。
これは非常にまずい。黒紫喰いの良いところは、魔法金屬さえ全て分解して吸収できるところだ。分解されずにで生き殘るなんて想定していない。
「やはりお前は、吾輩が出會ってきた中で最も恐ろしい神だ」
人の腹割いて出てきた奴が言えた話じゃねぇだろうがよ。
「なんだその馬は。我を斷ち切りそうな剣まで持ちやがって。どこぞの黃金騎士のつもりかよ」
「ほう。詳しいではないか」
深夜の特撮作品はおっぱいがポロリするから1フレームも見逃したことはない。
「意識してたんか。腰のやつは変ベルトか?」
「ほほー。これがわかるか。金のバックルをけ取ったとき、すぐに連想したのは仮面ライダーだったのであるが、そのまま流用するのも気が引けてな。吾輩の好みも混ぜつつ……、ペラペラ……、大人の要素も詰め込んで……、ペラペラ……、亡くしたペットの……、ペラペラ……」
鎧の節々から特撮ヒーローの面影をじるし、もしかしたらと思ったが、こいつ相當厄介なヒーローオタクだ。聞いてもないことをペラペラとしゃべってる。
リアルに出會うと會話から逃げるのが困難な相手だが、戦いの場では逃げ道を與えてくれる。おかげで隙ができた。
〖存在消失〗
スキルを発する隙さえあれば、裏世界にいる俺の獨壇場だ。
「アシンメトリーにしようか、マントをつけようか考えたんだが、結局、見た目よりも機能を……。雰囲気が変わったな」
気づいたか。裏世界に行くと俺が存在した記憶も希薄になるはずだが、戦いの最中だし流石に忘れないよな。
だが、気付いたところでもう遅い。あちらは俺を認識できないし、俺にれられない。
ここにいれば無敵とはいえ、奴の力は俺の想像を超えている。とにかくは危ない。何があるかわからないから、今のうちに『刈払う貝』を著ておく。
「銀のスーツとは……。まるでウルトラマンみたいだな」
「なっ?!」
確認のために全力で腕を振る。世界は無傷なままだ。俺は確実に裏世界にいる。
「……俺が見えてんのか?」
揺して、思わず敵に聞いてしまった。
「何を言っているかわからないが見えるぞ」
聲も屆いている。だが、奴がいるのは表世界だ。裏世界にはっていない。問題はそこだ。
原則、裏世界から表世界の質を傷つけることはできない。同じように、ここから表世界のダジストリを直後は攻撃できない。やるには裏世界に連れ込むか、攻撃が直撃する寸前に〖存在消失〗を解除するしかない。
一度〖存在消失〗を解除すると、再発のときに隙ができてしまうから、裏世界に連れ込むのが最適だろう。ただ、裏世界に適応されるリスクもある。
例外として『刈払う貝』は原則ごと斷ち切れるし、まずは裏世界から一方的に毆りますか。
初速から最高速度を出し、距離を詰めて毆りかかる。
不意打ちで近づいたつもりだったが、しっかり対応してきた。同じくらいの速さで逃げられる。
防しないあたり、すでに『刈払う貝』の効果は見破られているのだろう。だが、効果を知っていて逃げるということは、攻撃が効くということの裏返しだ。絶対に當てたい。
ダジストリは空間を壊しながら逃げ、俺は幽霊のように追いかける。冥界で幽霊と例えるのも変だが。
しばらくチェイスを続けてみてわかったが、ダジストリよりも俺の方がし速い。
だが、まだ攻撃がヒットしていない。間合いにった瞬間にパンチを繰り出してみたものの、ダジストリの馬が勢を変えてギリギリ避けてくる。
そもそもなんなんだ。この馬は。ムツキと同じ魔法金屬生命か?
それにしてはスペックがあまりにも高くないか。これも『天無法』とやらの力か。
さっき、ダジストリは「金のバックルをけ取った」と言っていたが、それを渡したのは何者だ?
「思い出したぜ。その聲。おめぇ、一度會ってるな? スマホのバッテリーが切れたカップルの片割れだ」
「そういうことを言うな。怖いぞ本當に」
「ウヅキさんを攫おうとしたな?」
「攫う? 普通に迷っていただけだ」
「思い返せば、あの時のおめぇは今よりも強かった。レベルが高いだけの一般市民と思って見逃しちまったよ」
「発信機を仕掛けておいてそれを言うか」
「発信機? なんのことだ?」
「とぼけるな。分解したら出てきたぞ」
そんなものを仕掛けた覚えは無い。モバイルバッテリーは村で買ったものだから、変なものはってないはずだが。
話が逸れたな。わかっているのは、あのときよりも今の方が確実に弱いということだ。この強さは『天無法』に依存するものと言い切れる。
「そのバックル。手にれたのは最近だな?」
追うのをやめたら向こうも止まった。最初、こいつは「追撃に來た」と言っていたが、現世の狀況を考えると、おそらく時間稼ぎも兼ねている。會話に付き合ってくれるのも、それが奴にとって好都合だからだ。
「そうだ」
「俺の知る中で、そのバックルは最強の魔法金屬武だぜ。他の神が譲るとは思えん。極娯楽神から直接渡されたじか?」
「勘が鋭いな。その通りだ」
全部答えてくれるやん。なんだこいつ。素直すぎんか。
「代償は大きかったようやな」
「ああ、神の力を失った。不便ではあるが、お前に勝てないなら神の力なんて持っていてもしょうがない」
「へぇ。おめぇとは気が合いそうだぜ。それだけに殘念やな」
やはり、看破したステータスに偽りはなかったようだ。中は無敵じゃないどころか、能力もない貧弱なというわけか。
しかし、全を貫通したはずの黒紫線でも、中を食い殺せなかった。そのことから、『天無法』は『刈払う貝』と同じ原則無視の能力で中を守っていると考えていい。
となると、倒す方法はかなり限定される。最も簡単なのは、『刈払う貝』で鎧ごと破壊する方法だが、問題はダジストリが一瞬だけ俺よりも速くくことだ。
無敵に近い防力だけなら倒す方法はいくらでも浮かぶ。自分がそうだからこそ、常日頃から考えていた。
ただ、俺の攻略法を敵視點で考えると、いつもスピードの問題にぶつかる。高い防力を無視して倒すには、中を狙うのが最適で、その點においては逃げようがないソウルノートが最高の答えだ。
それ以外で考えつく方法は、スピードさえあれば大避けられる。何者かが『針の世界』系の能力を止した理由もそこにあるだろう。
だから、まずはスピードを封じる。本來、これは対『しわよせ』を想定して編み出した魔法だ。まさか、マナガス神相手に使うとは思わなかった。
「『靜寂』×『重力作』×〖結合〗=
【 止方角(しどうほうがく) 】」
さきほどまでとは比べものにならないほど、ゆっくりと海面を走り出し、ダジストリに近づく。
向こうは俺の接近に構えるも、逃げようとはしない。直前で避ければいいとでも思っているのだろう。
その油斷がこの一撃を生む。
「にゃおらァッ!」
ユニコーンの腹に照準を合わせ、右腕を弾丸のように放つ。
「ヒンっ!」
ユニコーンの土手っ腹に風を開けてやった。
ユニコーンはを翻して俺から離れる。だが、遅い。びた腕を戻しながら、もう片方の拳を固め、追撃のパンチを放つ。
腹にもう一つが増えた。二つのの間がひび割れ、徐々に崩壊が始まる。ユニコーンはバランスを崩し、ついには膝を折った。
「セマル! 剣に戻れ!」
ユニコーンはブルンと鼻を鳴らした後、を放って小さくなった。そして、60センチほどの曲剣になり、ダジストリの手に握られた。
「なるほど、剣が馬に変形するんか。なんでもありやな」
「きが遅い。変中は魔法が効かないのではなかったのか?」
「世界にかける魔法だ。俺とおめぇの速さだけがこの世界で著しく鈍くなる」
世界が俺たち二人だけの速度を制限する。ダジストリだけを対象にすることもできるが、無限に速度を上げられる者にとって無意味な魔法であるため、俺を基點とすることで、俺以上の速度にならない縛りを設けた。
つまり、俺がスピードを上げない限り、奴もスピードを上げられない。常に先手を取れる狀態だ。カウンターされても俺より遅いから全く怖くない。
ブンブンッ!
ダジストリは俺の言葉に納得いってないようで、広刃剣をがむしゃらに振り回してきた。どんなに抗おうと、剣の速度はハエより遅い。
「シャッ! にゃおらァ!」
そして、俺のパンチはピストルよりも速い。
「なにっ?!」
鮮が舞う。
絶対切斷のパンチがダジストリの肩を貫いた。
ようやく目に見えるダメージを與えられた。もちろん、腕を引き抜いたりはしない。
このまま全を切り刻んでやる。徐々にスピードを上げながら、の中心に向かって腕を進めた。
ダジストリは大人しく切られてくれず、俺が腕をかした瞬間に同じ方向にいて、ダメージを遅らせてくる。
だが、魔法の効果でしだけ先にける俺が有利だ。しずつだが心臓に近づいている。
大量出でくたばってくれたら楽なんだが、切り進んだ先から鎧も中も修復していた。噴き出すの量が減らないことから、輸も間に合っているに違いない。
海面を走するダジストリを追いかけつつも、手は心臓に近づける。もうしで握りつぶせそうだ。
必死の抵抗か、ダジストリは広刃剣のサイズを変え、切先を俺のに突き立ててきた。
「ルグル!」
ダジストリがぶ。それと共に、広刃剣がり輝いた。
馬の曲剣が出したと同じだ。こっちも変形するらしい。
の中から巨大な獅子の顔が現れた。
黃金の牙を俺に押し當て、俺を後ろに突き飛ばそうとする。
どうやら、こいつには『刈払う貝』が効かないらしい。元の『ルグル』には無かったはずの特殊能力が付いている。だが、そうだとしても【止方角】の効果範囲だ。ノロマを増やしたところで、俺は止まらない。
暇な方の手で牙を摑み、押す力に逆らわず、後方へズラすじで牙を引く。
すると、翼の生えた巨大な獅子が四本足をピンとばして飛んでいった。
「ルグル! 一か八か、こちらもヤケクソでいくぞ!」
ダジストリが拳骨を作って毆りかかってきた。
鎧には『刈払う貝』が効くし、毆られたところで傷つくのはダジストリのはずだ。
何かある。絶対に。だが、回避すれば手が引っこ抜ける。もうしで心臓を握りつぶせるのに、チャンスを手放すなんてもったいないことをしていいのだろうか。
そんなことで迷っていると、ダジストリの腕が発し、拳だけが飛んできた。
「おまッ! 俺と同じ手を!」
一気にスピードを上げる羽目になったが、頬を掠める程度でギリギリ避けられた。
まさか、部分的に鎧を著可能とは想定外だ。
しかも、魔力の循環は普段通りという【止方角】のに気づいている。魔法の速度までは縛れないってわけだ。ただ、俺たちにとって普通の魔法はダメージにならない。
だから、攻撃手段は魔法金屬武になる。俺はスーツの側で魔法を炸裂させ、銃弾のように拳を飛ばした。ダジストリは小手を切り離し、発の魔法で拳を飛ばしてきたわけだ。
問題は、ダジストリの自攻撃が俺に有効だったということだ。『刈払う貝』のマスクがし削れている。
危ないところだった。避けた拍子にダジストリから離れてしまったが、それで正解だった。『刈払う貝』の絶対切斷を信じて攻撃をけていれば、俺の頭は今頃海に沈んでいた。
『刈払う貝』の切斷速度を上回る速さで、小手の質量を増やしたのだろう。散らばった魔法金屬のの量が語っている。
無限に質量を増やす魔法金屬なんて、まるで俺の本を相手にしているようだ。
【書籍化】俺は冒険者ギルドの悪徳ギルドマスター~無駄な人材を適材適所に追放してるだけなのに、なぜかめちゃくちゃ感謝されている件「なに?今更ギルドに戻ってきたいだと?まだ早い、君はそこで頑張れるはずだ」
※書籍版2巻でます! 10/15に、gaノベル様から発売! コミカライズもマンガup で決定! 主人公アクトには、人の持つ隠された才能を見抜き、育てる才能があった。 しかしそれに気づかない無知なギルドマスターによって追放されてしまう。 數年後、アクトは自分のギルド【天與の原石】を作り、ギルドマスターの地位についていた。 彼はギルド構成員たちを次から次へと追放していく。 「鍛冶スキルなど冒険者ギルドに不要だ。出ていけ。鍛冶師ギルドの副支部長のポストを用意しておいたから、そこでせいぜい頑張るんだな」 「ありがとうございます! この御恩は忘れません!」 「(なんでこいつ感謝してるんだ?)」 【天與の原石】は、自分の秘めた才能に気づかず、理不盡に追放されてしまった弱者たちを集めたギルドだった。 アクトは彼らを育成し、弱者でなくなった彼らにふさわしい職場を用意してから、追放していたのだ。 しかしやっぱり新しい職場よりも、アクトのギルドのほうが良いといって、出て行った者たちが次から次へと戻ってこようとする。 「今更帰ってきたいだと? まだ早い。おまえ達はまだそこで頑張れる」 アクトは元ギルドメンバーたちを時に勵まし、時に彼らの新生活を邪魔するくそ上司たちに制裁を與えて行く。 弱者を救済し、さらにアフターケアも抜群のアクトのギルドは、より大きく成長していくのだった。
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8 69【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
「お前との婚約をここで破棄する! 平民の研究者が功績を上げて勲章を與えられたからな。お前をその褒美として嫁がせよう!」 王太子の婚約者であった公爵令嬢ヴィルヘルミーナは、夜會の席で婚約を破棄されて平民との結婚を命じられる。 王太子に嵌められ、実家である公爵家からも僅かな手切れ金だけ渡して追放され、顔も見たことのない平民の研究者の元へと嫁がされることとなった。 ーーこれがわたくしの旦那様、ダサい男ですわね。 身長は高いがガリガリに痩せた貓背で服のサイズも合わず、髪はもじゃもじゃの男。それが彼女の夫となるアレクシであった。 最初は互いを好ましく思っていなかった二人だが、ヴィルヘルミーナは彼の研究を支え、服裝を正すなかで惹かれ合うようになる。そして彼女を追放した実家や王太子を見返すまでに成り上がって幸せになっていく。 一方、彼女を追放した者たちは破滅していくのであった。 【書籍化】が決まりました。詳細はいずれ。 日間・週間総合ランキング1位 月間総合ランキング2位達成 皆様の応援に感謝いたします。
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川に落ちた俺は、どういう訳か異世界に來てしまった。 元の世界に戻るため、俺は自分の手で『魔王』を倒さねばならない……という話だったのだが…… いつの間にか、俺は魔王の息子を育てる事になっていた。 いや、なんでだよとも思うけど、こうなった以上はもう仕方無い。 元の世界に帰る術を探すための冒険の準備、+育児。 俺の異世界奮闘記が始まる。 コメディ要素強めです。 心躍る大冒険は期待せず、ハートフルな展開とかは絶対に無い事を覚悟して、暖かく見守ってください。 それと34~45話にかけて少し真面目な雰囲気が漂います。 結局元に戻りますが。 ※★のついている話には挿絵が挿入してあります。 イラスト制作・ロゴ制作:トマトヘッド様 トマトヘッド様のホームページ(Twitter):https://twitter.com/starfullfull ※「小説家になろう」外部サイトのURLです。
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