《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》最ギフ第104話 カノンVSハンマー使いの魔族
勇者編完結まで毎日更新します!
1月15日 小説3巻・コミカライズ2巻同時発売です!
「ここ、どこだー!」
ナスターシャ、エンピナが地下で魔族の幹部に戦いを挑んでいた頃。
地上の街では、カノンが迷子になっていた。
「くっそー。酒場で朝飯食ってたら、他の連中とはぐれちゃった。地図に書かれた通りの場所に來ても、誰も居ないし。確かに地図だとこの辺のはずなんだけどな~」
棒付き飴を銜えながら、カノンがもらった地図を広げる。
「やっぱり、ここであってるよなぁ?」
そんなことはない。
カノンは、地図を完全に読み違えていた。
メルキス達が発見した魔族の拠點の出り口は街の北の方の繁華街だが、カノンが今居るのは街の広場である。ちょうど目的地の真反対の方向へ向かっていた。
「くっそー。もしかしてみんな遅刻か? 寢坊してるのか? まったく、だらしないなーもう」
等とカノンが不満をらしていると。
”ズシン”
突如、広場にあった石像の1つが倒れて地下へと続く通路が現れた。
Advertisement
魔族はこの街の地下に巨大な拠點を築いていた。そしてその出り口は、メルキスが見つけたもの以外にも沢山存在する。石像の下に隠されていたのは、そのうちの1つだ。
「まさか人間共に拠點に乗り込まれるとはな。『偽の領主によって街を裏から支配し、影で著実に力を増していく』というオレたちの作戦はどうやらここまでのようだ」
現れたのは、長が2メートルを超える巨軀の魔族。肩には巨大なハンマーを擔いでいる。
「バレてしまったなら仕方ない。もはやこの街の人間を活かしておく理由はない。面倒くさいが、他の街に報を持って逃げる前に皆殺しにしておくか」
そう言って魔族は周りを見渡す。
空は明るくなり始め、広場の周りには市民が沢山集まっていた。
「アレって、魔族!?」
「俺たちを皆殺しにするって? 噓だよな……!?」
人で賑わっていた広場は、一気に恐怖のどん底にたたき落とされる。魔族の圧倒的な迫力の前に、みな恐怖で足がすく
Advertisement
んでけなくなっていた。
たった一人例外を除いて。
「300年振りだな、魔族よぉ。お前達をギタギタに出來る日がまた來るのを、アタシはずっと楽しみにしてたよ」
拳をポキポキと鳴らしながら、カノンが魔族に向かって堂々と歩いて行く。
「お前、何者だ?」
「アタシはカノン。300年前にお前らの親玉、魔王を1けちょんけちょんにしてやった、大英雄カノン様だ。ビビって逃げ出すんなら今のうちだぜ? まぁ、逃げるならに回し蹴りをお見舞いするけどね」
飴を銜えたまま、カノンが挑発的な笑みを浮かべる。
「馬鹿な。カノンは300年前に封印されたはず。ここに居るはずがない」
「実はなんと、つい數日前に復活したんだな~。どうした? おしっこらしながら逃げるか?」
カノンが拳を打ち合わせる。
「ぶっふふ! その頭の悪そうな口ぶりと顔! 確かに本かもしれんな!」
魔族は突如大笑いし始める。
「お前、あまりに稚な罠に引っかかって封印されたと聞いているぞ。魔族の中では有名な話だ。冬眠明けの寢ぼけたクマの方がお前よりまだ頭が回るだろうよ」
「なんだとぉ!?」
カノンが飴をかみ砕く。
「決めた! お前はアタシがこの拳でぶちのめす!」
犬歯をむき出しにしたカノンが拳を構える。
「やってみろ、矮小な人間!」
魔族がハンマーを構える。戦闘態勢にった両者が広場の中央で向き合う。
「頑張れ! お姉ちゃん!」
「本かは分からないけど、頑張ってくださいカノン様~!」
広場にいた人間がカノンに聲援を送る。こうして、民衆に見守られながらカノンとハンマーを持った魔族の戦いが幕を開けた。
そして五分後。
「うぎゃー!」
カノンは、一方的にボコボコにされていた。
ハンマーの攻撃をモロに食らって、広場の端まで吹き飛ばされる。攻撃をけるのは、これで五回目だ。
「くっそぉ……。なかなかやるじゃんか」
ふらつく足取りでカノンが立ち上がる。
「常人なら一撃で骨まで々にする俺のハンマーを、何発もけて立っていられるとは。言うだけのことはあるか。だが、俺にはほど遠い」
「なんのぉ!」
カノンが弾ける様に急加速して、一気に拳の間合いにる。
「食らいやがれ、デカブツ!」
歯を食いしばり、大ぶりのパンチを繰り出すカノン。しかし。
「……なんだ、そんなものか。多頑丈なようだが、攻撃力の方は一般人とそう変わらんな」
カノンの拳は魔族の顔に直撃していた。しかし魔族は平然としている。
「ま、まだまだぁ!」
カノンが拳の連撃を浴びせる。だが、魔族はビクともしない。
「もういい。お前の力は十分に分かった」
”ドン!”
魔族がハンマーを振るい、カノンを吹き飛ばす。
「そう言えば名乗っていなかったな。俺は魔族幹部セリウム。他の幹部とは違い、地上戦を任されている。俺が全力を出したら、地下の拠點が壊れちまうからな。さて、そろそろ終わりにしてやる」
”ゴン! ゴン! ゴン!”
魔族達セリウムが、何度も倒れたカノンにハンマーを振り下ろす。
「いくら頑丈だろうと、これだけやれば十分だろう。本だったか偽だったか知らんが、さらばだカノンよ」
魔族セリウムが立ち去ろうとする。だが。
「どこいくの? アタシはまだまだ元気いっぱいだけど?」
カノンが、ふらふらと立ち上がる。
「……馬鹿な。なぜ立てる」
魔族達セリウムが目を見開く。
「魔族よぉ。この聲が聞こえる?」
カノンが、広場の外周を指し示す。
「頑張って、お姉ちゃん!」
「魔族なんかに負けるな! 英雄カノン!」
広場にいた人達から、応援の聲がカノンに集まる。
「英雄っていうのは。けた聲援を力に変えて戦うんだよ!」
カノンが魔族の腹にパンチを撃ち込む。
「この、人間風が!」
魔族達セリウムがハンマーの一撃を返す。カノンが吹き飛ばされ、地面に転がる。だがまた、すぐに立ち上がる。
「いいぞカノン!」
「やっぱりお前、本の大英雄カノンだ!」
カノンが立ち上がる度、広場は盛り上がっていく。
「どういう、ことだ……!? 気力でなんとかなるとか、そんな次元ではないぞ?」
セリウムの脳で、考えが巡る。
(そもそも、なぜ骨さえ折れていない? が頑丈? いや、能力が異常に高いのか。それなら防力の高さは納得できる。だがそれなら、なぜあれほどに攻撃力が低いのだ? もしや手を抜いている? わからん、わからんぞ)
頭をフル回転させるセリウム。
(そう言えば、カノンは異常に名聲をする格だと聞いている。そしてこの狀況。――まさか)
セリウムが出したのは、あまりにあり得ない結論。だが、それ以外にこの狀況を説明できる理由がない。
「まさかお前、周囲から聲援をもらいたいからわざとやられたフリを――!」
「あ、余計なこと言うなお前!」
カノンが慌てた顔になる。
そして次の瞬間、何が起きたのか見たものは居なかった。
”ド ン ! !”
音とともに、セリウムの巨がハンマーごと吹き飛んだ。セリウムは広場の石像に叩き付けられる。衝撃で、石像が木っ端みじんに砕けていた。
「お前、今なにをした……!」
「なにって。魔族の中では、ただの右パンチがそんなに珍しいわけ?」
カノンは右手を閉じたり開いたりしてみせる。
「それほどの力を隠していたのか。なるほど、これなら魔王様にも屆きうる」
「違いますー。皆さんの聲援でパワーアップしただけですー。手抜きなんてしてませーん」
そう言ってカノンは舌をだす。
「えぇ……こんな大事な戦いで手抜きしてたの?」
「カノンってそんなにチヤホヤされたい格なんだ……」
「アレが本の英雄カノン? まじか、なんかガッカリだな」
広場には、困の空気が広がっていた。
それでも、全員が確信していることがある。
「「「あの人なら魔族を倒せる」」」
カノンは、その背中に信頼を集めていた。
「だが、まだまだ俺は倒れんぞ!」
セリウムが起き上がり、再びハンマーを持って飛びかかる。
「くら――え?」
”パシッ”
カノンは、ハンマーを片手でけ止めていた。口には、いつの間にか新しい飴を銜えている。
「えいっ」
軽いかけ聲とは裏腹の、カノンの鮮烈な手刀が魔族の両腕を切り落とす。
「いってえええええ!」
切り落とされた腕がもやになって消える。
”ドスウゥン!!”
重い音を立ててハンマーが地面に落ちた。
「なんなんだ、なんなんだお前は……!!」
魔族が餅をついてカノンを見上げる。その聲は震えていた。
「何度も言ったでしょ。アタシはカノン。300年前魔族共をボコボコにして、魔王も叩き潰した大英雄だよ。よいしょっと」
カノンは、落ちていた魔族のハンマーを拾い上げる。
「さてこうしてニコニコしているアタシですが。さっきボコスカとハンマーで叩かれて、実は結構ムカついてるんだよね。叩かれた13発、キッチリお返しさせてもらうよ」
そう言ってカノンが片手でハンマーを振り上げる。
「お、オレの両手持ちハンマーを軽々と片手で持ち上げるだと!?」
「まず一発目ぇ!」
”ド ン ! !”
驚きで固まる魔族に、カノンがハンマーを振り下ろす。その衝撃は、街中に響いた。
「次、二発目いっくよ~! ……ってありゃ。これはもうダメだね。ちぇっ」
カノンが舌打ちする。
「13発やり返すつもりだったのに。たった一発でやられちゃうなんてさ。脆すぎない? カルシウム足りてる?」
ハンマーが振り下ろされた場所には、深い深いが開いていた。そして、魔族は痕跡一つ殘さず消し飛んでいた。
「まあいいや。……という訳で! 大英雄カノン様の勝利だ! はい、皆さん拍手~!」
魔族のハンマーを掲げて、カノンが高らかに宣言する。
「うおおおお! 疑って悪かったよ! あんた、やっぱ本の英雄カノンだよ!」
「お姉ちゃん凄い! とっても強い!」
「本の英雄カノンの復活よ! これは大ニュースだわ!」
広場にいた人達は、カノンに惜しみない拍手を送る。
「いいねぇ~! 拍手喝采をけるこの瞬間、たまんない! この瞬間のために戦ってるんだよなぁ」
カノンは両腕を広げて、歓聲を全でけ止める。
そして広場にいた人達は一人殘らず心
「「「英雄カノン、自己顕示もめちゃくちゃ強いな!」」」
と思っていた。
勇者編完結まで毎日更新します!
1月15日 小説3巻・コミカライズ2巻同時発売です!
【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】
魔法使い。 それは魔法を駆使して戦い、守り、救う超越者。 だが、魔法使いの世界は才能が物を言う。長く続く魔法の歴史は才能ある一族だけを拾い上げ、今では魔法使いは貴族のみとなった。 ここマナリル國でもそれが常識。 マナリル國有數の教育機関であるベラルタ魔法學院には今年も優秀な魔法使いの卵が集まっている。 そう、一人を除いては。 一際目を引く素樸な少年。 煌びやかな世界とは無縁の田舎者。 そこにいたのは學院唯一の平民だった。 "魔法使いになりたい" 魔法になりきれない魔法の使い手による夢を葉える物語が今始まる。 ※この度KADOKAWA様から書籍化する事となりました!11月13日発売です! ♢ 第五部完結しました! 第一部『色の無い魔法使い』完結。 第二部『二人の平民』完結。 第三部『初雪のフォークロア』完結。 第四部『天泣の雷光』完結。 第五部『忘卻のオプタティオ』完結 第六部『灰姫はここにいる』完結。 第七部『氷解のミュトロギア』完結。 第八部『翡翠色のエフティヒア』完結。 第九部『呪われた魔法使いとお姫様』完結。 第十部前編『星生のトロイメライ』更新準備中……。 第十部後編『???』 王道ファンタジー、だと思います。
8 156グンマー2100~群像の精器(マギウス)
2100年のグンマーは、半知成體ビーストとの戦いの最前線。 群馬で最高の権力と知能、精神力を持つ少年少女達の生徒會。 名は、群馬最高司令部、通稱GHQ(Gunma・Head・Quarters)。 此れは、グンマー人によるグンマー物語であるかもしれない。 ★は挿絵等有り 人類の敵、ビースト。 OTONA(國連)や首都圏首席との政治的対立。 首都圏、栃木・茨城・千葉連合との武力衝突。 色んな事が起こる予定。 アルファポリス様にも投稿
8 77老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
彼は、誰もが羨む莫大な資産を持っていた…… それでも彼は、この世にある彼の資産全てを、赤の他人に譲る遺書を書く…… 真田(サナダ) 英雄(ヒデオ)56歳は伝説的圧倒的技術を持つプレイヤーだった。 40年続くMMORPG ヴェルフェリア・オンライン。 時代の進化によって今終わろうとしているRPG。 サービス終了とともに彼は自分の人生を終えようとしていた。 そんな彼のもとに一つの宅配便が屆く。 首に縄をかけすべてを終わらせようとしていた彼の耳に入ったのは運営會社からという言葉だった。 他のどんなことでも気にすることがなかったが、大慌てで荷物を受け取る。 入っていたのはヘッドマウントディスプレイ、 救いを求め彼はそれをつけゲームを開始する。 それが彼の長い冒険の旅の、そして本當の人生の始まりだった。 のんびりゆったりとした 異世界? VRMMO? ライフ。 MMO時代の人生かけたプレイヤースキルで新しい世界を充実して生き抜いていきます! 一話2000文字あたりでサクッと読めて毎日更新を目指しています。 進行はのんびりかもしれませんがお付き合いくださいませ。 ネット小説大賞二次審査通過。最終選考落選まで行けました。 皆様の応援のおかげです。 今後ともよろしくお願いします!!
8 81スキルを使い続けたら変異したんだが?
俺、神城勇人は暇潰しにVRMMOに手を伸ばす。 だけど、スキルポイントの振り分けが複雑な上に面倒で、無強化の初期スキルのみでレベル上げを始めた。 それから一週間後のある日、初期スキルが変異していることに気付く。 完結しました。
8 171史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する ~剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚~
一度目の転生では《魔帝》、二度目の転生では《剣聖》と呼ばれ、世界を救った勇者ユーリ。しかし、いつしか《化物》と人々に疎まれる存在になっていた。 ついに嫌気が差したユーリは、次こそ100%自分のために生きると決意する。 最強の力を秘めたユーリは前世で培った《魔帝》と《剣聖》の記憶を活かして、Fランクの駆け出し冒険者として生活を始めることにするのだった――。
8 170永遠の抱擁が始まる
発掘された數千年前の男女の遺骨は抱き合った狀態だった。 互いが互いを求めるかのような態勢の二人はどうしてそのような狀態で亡くなっていたのだろうか。 動ける片方が冷たくなった相手に寄り添ったのか、別々のところで事切れた二人を誰かが一緒になれるよう埋葬したのか、それとも二人は同時に目を閉じたのか──。 遺骨は世界各地でもう3組も見つかっている。 遺骨のニュースをテーマにしつつ、レストランではあるカップルが食事を楽しんでいる。 彼女は夢見心地で食前酒を口にする。 「すっごい素敵だよね」 しかし彼はどこか冷めた様子だ。 「彼らは、愛し合ったわけではないかも知れない」 ぽつりぽつりと語りだす彼の空想話は妙にリアルで生々しい。 遺骨が発見されて間もないのに、どうして彼はそこまで詳細に太古の男女の話ができるのか。 三組の抱き合う亡骸はそれぞれに繋がりがあった。 これは短編集のような長編ストーリーである。
8 161