《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第110話 村の訓練場を大改造する

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勇者を倒して數日後

僕は依然と変わらぬ日常を過ごしていた。

「さぁ、今日も出掛けるか」

朝。著替えた僕は日課のランニングに出掛けようとしてドアを開けると――

「ボス、腹減った……」

カノンが行き倒れていた。

「――!? と、とりあえず何か食べるか?」

「食べる!」

僕はメイドさんに頼んで、カノンの分も朝食と作ってもらう。

「ありがてぇ……! 大豆ペーストのスープの旨味がに染みる~!」

出來たての味噌を、味しそうにカノンが飲んでいく。豆腐と焼き魚もあっという間に平らげてしまった。

「いやー、味しかった~! ありがとう、ボス!」

食事を終えたカノンは、満足そうにお腹をさする。

「それで、なんで行き倒れてたんだ?」

「そりゃお金がないからだよ! 最初はナスターシャ姉ちゃんの家に行ってご飯食わせてもらってたんだけど、そろそろ怒られそうだし。300年前に稼いだお金は、預けた銀行が無くなって引き下ろせなくなってるし……」

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カノンがうなだれる。

「というわけでボス! なんか仕事紹介して!」

カノンが両手を合わせて頼み込む。

もちろん村に住むことになったとき、カノンには新しい家を提供している。

しかし仕事までは與えていなかった。てっきり300年前の貯金で暮らしていると思っていたからだ。

「分かった。領主として、何かカノンが働ける場所を探してみよう」

「ありがとう! さすがボス、頼りになるぅ~!」

カノンの顔がぱっと明るくなる。

こうして、村でのカノンの仕事探しが始まった。

僕達がまずやって來たのは、図書館だ。

「うわぁ~! でっかい図書館だな~!」

カノンが嘆の聲をらしながら図書館を見上げている。

「エンピナ様が、返卻された本を仕分けて棚に戻す人の手が足りないと言っていたんだ。丁度良いから、カノンにここで働いてもらうのはどうだろう?」

「いいね! 本を運ぶってことは力仕事でしょ? アタシ、そういうの得意なんだわ」

僕達は図書館のり口をくぐる。

「おお、よく來たな我が弟子よ」

エンピナ様が迎えてくれる。

「後ろにいるのは拳闘の英雄ではないか。それで我が弟子よ、今日はなんの用だ? 今日は講義の予定は無かったはずだが。居ても立ってもいられなくなって我の魔法を學びに來たのか?」

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ウキウキした様子でエンピナ様が近寄ってくる。

「いえ、今日は別の用事で來ました。エンピナ様、以前に『本を運ぶ人手が足りない』とおっしゃっていましたよね?」

僕が言った途端、ウキウキしていたエンピナ様が一気に真顔になる。

「我が弟子よ。まさか、その暴なにこの図書館の本を任せよというのではあるまいな?」

エンピナ様が怪訝な顔で問うてくる。ああ、これはダメなヤツだ。

「おお! 8つ頭があるドラゴンにバンバン魔法撃ちまくってた、あの時の子供じゃん! 図書館で働いてたのか! 小さいのに偉いな~!」

カノンがエンピナ様に向かって駆け寄る。そして無造作に頭をで始める。

「前に見たときから思ってたんだけど、やっぱりちっちゃくて可いな~」

「こら、我は子供ではない! 頭をでるな!」

エンピナ様が腕をバタバタさせて抗議する。

「アタシ、子供は好きなんだよね~。ほら、飴をあげよう」

「要らぬ! 汝は絶対に雇わぬからな! 我が弟子よ、早くこの小娘をつまみ出せ!」

エンピナ様が怒ってしまった。

こうしてカノンの仕事探しは、最初から躓いてしまったのだ。

「まぁ、村には他にも働き手を探しているところがある。々當たってみよう」

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「おー!」

僕達は村の中で々と仕事を探した。

しかし。

極東風公園の樹木の整備を任せたら、手刀で松の木をバッサリ斬り。

畑の作の収穫を任せたら、力のれすぎで収穫した野菜の半分くらいがぐちゃぐちゃになり。

溫泉の掃除を任せたら、サウナの設定溫度を間違えてとても人がれないような溫度になった(ナスターシャだけは楽しそうにっていた)。

こんなことがあり、カノンに任せられる仕事は見つかっていない。

「くっそー。こんなはずじゃなかったのに……」

カノンが珍しく落ち込みながら歩いている。

「カノン、300年前はなにをして生計を立てていたんだ?」

「何もしなくても毎日のように魔族やらモンスターやらが攻め込んできたから、それをひたすらボコボコにしてたね。あの頃は、何も考えず魔族を毆り飛ばすだけで金も名譽も手にったんだよな~」

300年前に思いをはせるカノン。

「でも、今の平和な時代の方がやっぱ好きだな。みんな余裕があるから飯は味くなってるし、ノンビリできるし、周りの人が急に死んだりしないからな」

そういうカノンの言葉には、重みがじられた。呑気そうに見える彼だが、きっと大変な思いをしてきたのだろう。

「さて、どこで働いてもらうのが良いかな……」

そう考えながら歩いていると。

「うおおお!」

「とりゃあああ!」

訓練場の方から、元気なかけ聲が聞こえてきた。

「折角だし、覗いてみるか」

僕はカノンをつれて、訓練場の様子を見に行く。

「お、領主サマじゃねぇですか! お疲れ様です!」

「「「お疲れ様です!!」」」

訓練場に足を踏みれると、タイムロットさんと冒険者さん達が挨拶してくれる。

「へぇ。訓練場か。いいね、折角だしアタシも気晴らしに軽く運していこうかな。そこの二人、この大英雄カノンが特別に相手をしてあげよう」

カノンが自信たっぷりにタイムロットさんと、良く彼と一緒に居る冒険者さんを手招きする。

「おお! こいつは栄だぜ! 大英雄サマに俺たちの腕を見せてやるぜぇ!」

「やるッスよ、タイムロットさん!」

タイムロットさん達が訓練用の武を構えてカノンに突撃する。

だが。

「ほいほいっと」

カノンが足払いであっという間に二人をこかす。

「「うわああああ!」」

タイムロットさん達がも取れず地面に転がった。

素人目には軽く足を蹴ったら二人が勝手に転んだように見えるかもしれない。だが、実際はものすごい技が必要だ。

「なんて見事な足払い……完全に二人の重心が軸足に乗った瞬間を狙って最小限の作で払ったのか……」

僕は唸る。

「いってて……何をされたのか分からなかったぜぇ」

「気づいたら地面に転がってたッス」

転んだ二人が立ち上がる。

「領主サマ、敵を取ってくだせぇ」

「領主様とカノンの戦い、見てみたいッス!」

タイムロットさん達が期待する様な目でこっちを見ている。さらに。

「「「え、領主様とカノンちゃんのバトル? 見たいみたい!」」」

と訓練場にいた冒険者さん達が集まってきてしまった。

これはやらざるをえない。

僕もカノンの実力についてしっかり知っておきたいと思っていたところだし、良い機會だ。

「よし、カノン。次は僕が相手だ」

「いいねボス、そう來なくっちゃ」

嬉しそうに笑って、カノンが拳を構える。

「あくまで近接訓練の一環だからな。魔法は無しで、剣だけで相手させてもらう」

僕は冒険者さんから訓練用の剣をけ取って構える。”虹剣ドルマルク”は腰に提げたままなので、能力向上効果は発揮されたままだ。

「じゃあ……行くぞ!」

僕は剣を構えてカノンに突撃する。

「ロードベルグ流剣14式、”無影突”!」

「そらよっ!」

カノンが、拳の甲で僕の攻撃をけ流す。

剣と拳が何度も宙でぶつかり合う。

「巧いな……!」

カノンはこちらのフェイントに引っかからない。こちらの本命の攻撃を全ていなし、なめらかに反撃、そして次の一手へとつなげてくる。

圧倒的戦闘経験がなせる技だ。

だが。

「これならどうだ!」

カノンの一瞬の隙を突く、薙ぎ払い。に見せかけて僕は足払いを仕掛ける。剣に意識が集中した相手は必ず反応が遅れて、足払いを喰らってバランスを崩す。はずだったのだが。

”スカッ”

僕の足払いは空振った。完璧に見切って避けられていたのだ。そしてそれだけではなく、カノンの腳が僕の腳を絡め取って、すくう。

「うわっ!」

足払いで勢を崩すはずが、逆に勢を崩されてしまった。立て直しが効かず、僕は地面に倒れ込んでしまう。

「よし、アタシの勝ちだ!」

カノンが僕の顔に拳を突きつける。実戦であれば、僕は死んでいた。

「……さすがだ、カノン。僕の負けだ」

僕は素直に敗北を認める。

「よっしゃ、ボスに勝った~!」

カノンが両腕を上げて勝ち名乗りを上げる。

「1対1で正面から戦って負けるのは、いついらいだったかなぁ。……悔しいな」

「ふふん。ボスもやるけど、アタシの方が上だったね。多分ボスが魔法使っても、アタシが勝つよ」

そう得意げに言い切るカノン。

「……言ったな?」

カノンの一言で、僕の心に火が付いてしまった。

僕はほとんど負けたことが無かったので知らなかった。自分がこんなに負けず嫌いだったとは。

僕は今、なんとしてもカノンに勝ちたいと思ってしまっている。

「じゃあカノン、今度は正真正銘の全力。魔法ありでやろう」

「そう來なくっちゃ。ボスに勝てば、アタシが勇者より強いってことだよね?」

というわけで改めて戦ったのだが。

「うぎゃー!」

僕が勝利した。

「その、二種類の魔法混ぜるヤツずるくない……?」

ダメージで倒れたままのカノンが不服そうに言うが、勝ちは勝ちだ。

「というわけで。近接戦闘だけならカノンの方が強いが、何でもありの戦いなら僕の方が強いって言うことでいいな?」

「ぐぬぬぬぬぬ……。認めざるをえないか……」

カノンは凄く悔しそうだ。

「ところでどうだカノン、僕の村の冒険者さん達は。カノンには及ばないけれど、強いだろう?」

僕が聞くとカノンが起き上がって考え込む。

「うーむ。ボスは強かったけど、他の連中はそこそこ止まりかな? 確かにボスの魔法で筋力もスピードも並の人間に比べればずっと強いんだけど、イマイチ実戦経験不足だね。技の組み立ても相手のきへの対応も甘い」

「がっはっは! 俺たちは歴戦の冒険者だぜぇ? いくらカノンちゃんが英雄だっていっても、経験なら長生きしてる俺たちの方が上だぜ」

タイムロットさんが笑い飛ばす。

「へぇ。どれくらい実戦やってるの?」

「俺たち村の冒険者は、シフトを組んで村の安全を守るために週3日くらい森を探索しに出掛けてモンスターを狩ってるぜぇ」

タイムロットさんが自信満々に言う。

「アタシは月に1日だったかなぁ」

「がっはっは! 全然すくないじゃねぇか」

村の冒険者さん達が笑う。

「月に1日。戦いがない日があった。それ以外はずっと戦ってたかなぁ。周りの人間がバンバン死んでいく中で、ひたす

ら戦い続けてた。相手は魔族か魔族がるモンスターども。たまに魔王とか勇者とも戦ったね。」

「――!!」

村の冒険者さん達が一斉に押し黙る。カノンの圧倒的戦闘経験を聞くと、何も言えなくなるのだ。

300年前の大戦を生き抜いた猛者。年上のタイムロットさんでさえ遙かに及ばない経験値をカノンは持っている。

そこで僕は閃いた。

「カノン、村のみんなに戦いの修行を付けてやってくれないか?」

「それはいい! 俺たち、領主サマのためにもっと強くなりてぇ! 俺たちを鍛えてくれ!」

タイムロットさんがカノンの手を取る。

「何!? カノンちゃんが稽古付けてくれるのか?」

「あの英雄カノンが鍛えてくれるなんて、願ってもないぞ!」

他の冒険者さん達もやる気満々のようだ。

「しっかたないな~! よし! このアタシがお前達全員、勇者に勝てるくらい強くしてあげよう!」

仕方ないと言いながらも嬉しそうに、カノンが宣言する。

「「「うおおおおお!!」」」

冒険者さん達は大盛り上がりである。

「ふふん。よし、今日からアタシのことはカノン師匠と呼べ!」

「「「はい、カノン師匠!」」」

カノン、絶好調である。

「話は聞かせてもらいました」

カエデが僕の前にかしづいた姿勢で現れる。

「実は私の部下のシノビ達も、一段と鍛えたいと思っていたのです。これを機に、村の訓練場を大幅拡張して見るのは如何でしょうか?」

「それは良いな。よし、早速拡張に取りかかろう!」

こうして、村の訓練場の大幅改築が始まったのだった。

「さぁ、まずはここの土地をならしていこう」

マリエルが指揮を執って、新しい訓練所の建設をしている。

これまでより大きな施設になるため、より広い場所へと移転した。

マリエルの指揮で、村の冒険者さん達がテキパキと手をかしていく。土地をならし。柱を建て。建材を組み付けていく。

訓練場の建屋が順調に組み上がっていく。

「あれ? なんだろうこれ?」

マリエルが首をかしげている。

「どうしたんだ?」

マリエルの目の前には、いろいろな部材が並んでいる。

「この部材は、この村じゃ作れないからキャト族さん達が他の街で買ってきてくれたものなんだけどね。注文してないはずのものも來てるんだ」

そう言ってマリエルが指さすのは、布で厳重に梱包された大きな包み。

中を開けると――

「これ、カノンちゃん……?」

包みの中から出てきたのは、カノンの等大の石像だった。

「なんでカノンちゃんの石像が……!?」

マリエルは目を白黒させている。

「ねぇ、こんなもの注文してないはずだけど?」

近くにいたキャト族さんをマリエルが呼んで聞く。

「ニャ? この石像は、注文書を作っているときに、カノンさんがやって來て書き足していったのニャ。……まさかカノ

ンさん、費用を管理しているマリエル様に許可を取らずに書き足したのニャ!?」

キャト族さんとマリエルが目を見開く。

「おー! 屆いたか! 待ってました~!」

そこへ、目を輝かせながらカノンがやって來た。

「カノンちゃん? これは一どういうことかな~?」

「やっぱここはアタシが管理する訓練場だし、アタシの石像の1つ2つなきゃ始まらないじゃん? というわけで、サプライズで石像を注文しちゃいました~! 出り口前にどーんと飾っちゃおう!」

「認められるわけ無いでしょそんな出費!」

マリエルが怒りの聲を上げる。

「ええ、それくらいいじゃん! アタシの石像があった方が、みんなやる気出るでしょ?」

周りの冒険者さん達が、一斉に首を橫に振る。

「カノンちゃん! また悪いことしたんですかぁ~!」

騒ぎを聞きつけて、ナスターシャがやって來た。いつもの様にカノンを羽い締めにする。

「分かった、アタシが悪かった~!」

こうして、カノンの村の冒険者さん達に稽古をつける指導者として働くことになった。

そして石像の費用はカノンの給料から分割して天引きされることになった。

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