《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》31話 ろくでもない逃亡者と、久方ぶりのツーマンセルのこと 後編

ろくでもない逃亡者と、久方ぶりのツーマンセルのこと 後編

「―――田中野さんっ!田中野さん起きてッ!!」

神崎さんの聲が聞こえる。

起きてますよ、大丈夫。

ただ、ちょっと妙な狀態になってるだけです。

「グルガアアアアアアアアアアアッ!!!ガアアアアアアアアアアアッ!!!」

そして、この狀態の元兇だろうネオゾンビ。

あれ程あった距離は瞬く間にまり、もう100メートルもない。

あの速度からして、あっという間に俺に到達するだろう。

「っふ、ぐ、うぅ・・・!!」

頭が揺れている。

脳の中をシェイクされた気分だ。

足に、上手く力がらない。

まだ、立てない。

「ふぅう、う・・・!」

この狀態には、覚えがある。

徒手の組手で、師匠に側頭部を打ち抜かれた時のソレに似ている。

あの時は死ぬかと思った。

言うに事欠いて、『そのまましのいでみよ』とかほざくんだもんあの爺。

『脳が揺れただけで臆して死ぬようなら、はなから戦いには勝てぬぞ小僧』

ああ、なんかあの時の超腹立つニヤケ顔まで思い出しちまった。

こんな走馬燈は免だね。

『今、お主は酔っておるだけよ。に付けた技が抜け落ちたわけでも、手足が千切れたわけでもない』

師匠はそう言い、間髪れずに襟首を摑んで俺を投げ飛ばした。

ほぼ水平にカッ飛ぶという、貴重な験だったなあ畜生。

『さあ來い。立て、立ってみせんか』

「うる、せんだよ、クソ、じじい・・・!!」

あの時と同じことを口にしながら、鯉口を切る。

そうだ、酔っているだけだ。

手足が千切れた、わけじゃねえ!

「なぐも、りゅう・・・たなかの、いちろうた・・・!!」

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ネオゾンビが、迫る。

ゴテゴテとした裝甲が纏わりついた両腕を、ハンマーのように振り上げて。

―――りぃん

鞘から抜けつつある『魂喰』が鳴る。

おおかた、『さっさとしろ間抜け』とでも言ってるんだろう。

・・・見損なうなよ、相棒。

「ガアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

ネオゾンビが地面を踏み切った。

そのデッカイ両腕で、俺を地面に叩きつけるってか?

神崎さんが撃っている銃弾は現在進行形で殘らず命中しているが、ダメージを與えた様子はない。

その口元は、いつかの天蓋のように歪んでいた。

笑ったな、この野郎。

たったこれしきのことで・・・舐めてんじゃねえぞ!!蟲けらァ!!!

「―――參るッ!!」

抜き放った刀が加速する。

その勢いに乗って、弛緩した俺のもまたく。

そう、く。

相手の攻撃は弾じゃない。

単なる打撃だ。

それなら、避ける距離は最小で十分!!

「しぃいいいいいいあぁあッ!!!!」

振り下ろされる両腕を躱し。

『魂喰』の切っ先は、著地したばかりのネオゾンビの・・・足首を鋭く斬り裂いた。

のために裝甲板がない箇所を、正確に。

火花が散り、に斬り込んだがあった。

「ギャッガ!?!?!?!?」

やはりこいつらには痛みの概念があるのか、ネオゾンビが悲鳴らしきものを上げる。

ヘッドスライディングめいてすれ違い、その勢いを殺さずに利用する。

鞘を握ったままの左手の肘を起點に、コンパスよろしくクイックターン。

そのままネオゾンビに向き、右手を地面スレスレに構える。

南雲流剣、起死の型『地(じずり)』

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本來は足に大怪我を負い、立てなくなった時の為の型だ。

肘・膝や手で地面を突く反で最小限にかし、死にだと思ってトドメを刺しに來た相手にカウンターを決めるのが目的である。

控えめに言って頭がおかしい。

前からたまに使っている『転』よりもその姿勢はさらに低く、ほぼ地面と同じ高さ。

師匠にやられたからわかるが、地面を転がり回る相手を斬ったり蹴ったりするのはかなり骨が折れる。

をかいて大振りなきをしたら最後、足首やを斬られてお陀仏だ。

・・・ネオゾンビが銃とか使わなくってよかった。

そういう相手にはまったく効果がないもんな。

超間抜けな死に方しちまう。

なお噓か誠か、師匠曰く・・・この型を編み出した何代も前の大先輩は、この狀態で30人ほど斬り捨てて生還したらしい。

化けばっかりかよ南雲流。

「グルグウウウ!!!ガガァ!!!!」

振り返ったネオゾンビが吠えた。

楽に倒せると思っていた獲が存外に抵抗したもんだから、頭に來たのか?

「った、田中野さぁん!」

「手出し!無用!!」

俺を見て目を輝かせた神崎さんに、調子の戻ったぶ。

この狀態で援護をされて、ネオゾンビのターゲットがあっちに移る方がヤバい。

アニーさんの時と違って、この狀態では流石にまだ走れないからだ。

まだ頭は揺れているし、耳鳴りも酷い。

・・・それにしても、一何をされたんだ。

あの時のネオゾンビは、前の奴みたいにゲロを吐くような作だった。

も膨らんでいたし、てっきりゲロが來ると思ってたんだが・・・

「ガギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

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いかん、そんなことは後で考えよう!

しくじったら死ぬってことだけ、考えときゃいい!!

またもネオゾンビがこっちへ―――何ィ!?

あいつ、いつの間に腕の裝甲をばした!?

右腕の肘から先が剣みたいになってやがる!!

「ガアアアアアアアッ!!!ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

ネオゾンビは剣の先を地面に突き立て、トラックを抉りながら走り出す。

なるほど、考えたなぁ・・・

かがんで毆るよりもそっちの方が楽だもんなあ!

だが―――

瞬く間に距離が零になり、目の前に切っ先が迫る。

「そんな、淺知恵ェッ!!」

左手で地面を突き、橫に跳ぶ。

ズレた空間を剣が斬り裂く。

そして俺の狙いは―――剣を振り上げる時に踏み出した、その足首!!

「っしぃい!!!」「ギャアアアアアアアアアアアアッ!?!?!?!?」

さっきと同じ場所に食い込んだ切っ先が、傷口をさらに大きくする。

今度は、どす黒いゾンビが迸った。

管にも『蟲』が詰まってるのか!?

縦』が上手いのはそういうことかよ!!

「ッギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイアアアア!!!!!」

ネオゾンビはびながら、なんと真橫にいる俺に蹴りを放ってきた。

膝が人間には到底不可能な角度で曲がっている。

しまっ―――なんて言うとでも思ったか間抜けェ!!

てめえらの出鱈目なはとっくにラーニング済みなんだよ!!!!

「おおぉお!!」

俺に向けて迫る膝。

鋭利な裝甲板がいかにも痛そうなそこに、『魂喰』が隙間をって突き刺さる。

全力で膝蹴りかましてくれてありがとうなあ!!

「ギャガ!?」「っぐううぅ!?」

が、人間以上の力は膝に切っ先を突き刺されてもなお俺を吹き飛ばした。

気持ちの悪い浮遊と、後方へ流れる景

「っく、ううぅ、う!!」

なんとかをよじって足の方向を変え、足から地面に著地できる角度へ。

覚の戻った足先で、地面を踏みしめる。

ざりざりと後退しつつ、反を利用してなんとか立つ。

・・・まだしふらつくが、それでも・・・立てたか。

例の謎攻撃、効果時間はそれほどではないらしい。

「ウウウウウウウウウウウウウウ・・・!!!!」

ネオゾンビは俺を見て忌々しそうに唸り・・・待て!肺が膨らんでいる!?

またアレやる気か!?

は疲れるからもう嫌なんだよ!!

そうはさせ―――

「ォゴ!?!?!?!?」

手裏剣でも投げて気を逸らそうかと思った瞬間、ネオゾンビの口に何かが激突した。

付近に當たって跳ね返ったのは―――手りゅう弾!?

神崎さんか!!

「おぉおおっ!!!」

発の瞬間を見ないように目を閉じて地面を蹴る。

二歩ほど走った所で、前方から音と悲鳴が聞こえた。

目を開けると、ネオゾンビの頭部が煙に包まれている。

「ほんっと、最高ですよ相棒ッ!!」

驚いたように両手を振り回すネオゾンビ。

奴がパニックから回復する前に!!

視界が塞がっている今、有効打を!!

例の攻撃が何の原理か知らんが、とにかく肺経由でを通って発生するんだろう。

それなら、狙う場所はただ一つ!!

―――ぶっつけ本番だが試すか、あの技!!

走りながら脇差を抜き、前方に放る。

縦に回転するその柄を、『魂喰』の柄で叩いて飛ばす。

南雲流剣、奧伝ノ一『飛燕・春雷』

「ェグ!?!?!?!?」

を反して飛んだ脇差が、もたつくネオゾンビの元に突き刺さる。

まだだ!まだこっからァ!!

「るうぅ、あっ!!」

両手で振り上げた『魂喰』

その柄を―――もう一度に突き刺さったままの脇差の柄へ、叩き込む!!

い木材に釘を打ち込むように!!!

「ガッギャアアアアッガガガガガガガ!?!?!?!?」

まだ力がりきらないとはいえ、その一撃は重く分厚い脇差をさらに奧へと進ませた。

ネオゾンビのに、刀が半分以上埋まる。

南雲流剣、『骸貫(むくろぬき)』

本來は、刀を突き刺した相手のを貫通してさらに背後の敵を狙う頭のおかしい技だ。

もしくは、貫通した切っ先を何かに突き刺して標本よろしく相手を磔にする。

・・・まあ、それ以外にも用途はあるがな。

ともあれ、人の二倍以上いだろうネオゾンビには効果があった。

普通の人間相手ならオーバーキルだが・・・なあ?

「ァガ、ガアア、ゴボオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

案の定、ネオゾンビは口から謎を吐きつつもまだ元気だ。

むしろ、ここからが本番かもしれん。

いつか師匠に言われたように・・・『瀕死の獣を侮るな』だ。

「オォオオッ!!!!」

俺も油斷は、ない!!

この隙に、さっき攻撃した片足を完全に殺す!!

背後に抜ける軌道を取りつつ、すれ違いざまに足首を狙う。

びゅお、と雄々しく鳴った『魂喰』が、傷口に喰らい付いて食い破る。

黒いが飛び散り、ネオゾンビの足首が半分切れた。

人間なら問題なく骨を斷つ一撃だが、そこまでは切れていない。

だが、これで機力は半減しただろう!!

「ギャアアアッ!?!?!?アアッッガッガガガガガガガ!?!?!?!?!?!?」

さすがのネオゾンビもこれは痛手だったか、ぶちぶちと嫌な音を足首から立てながらよろけて倒れる。

よし!いくら謎蟲でも、千切れた神経や筋繊維まではなにもできまい!!

この間に、急所を狙う!!

「っふ!!」

地面に手をついたネオゾンビの後方から飛び掛かる。

狙いは、延髄!!

「ッギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!!」

が、肩甲骨の付近から雄びと同時に鋭利な裝甲板がびた。

「っし!いぃい、い!!」

こちらにびてきた裝甲板に刀を沿わせ、け流す。

びている最中は意外とらかいんだな!

後で古保利さんにも教えてあげよう!

「っしゃぁあ!!」

空中で捌いた後、『魂喰』を旋回させて突きの形へ。

再び裝甲板がびるより先に、可の為か裝甲が気持ち薄い延髄に切っ先が突き刺さる。

「ガッギャアアアアアアアアアアアッ!?!?!?!?」

「もう、いっちょォ!!!!」

悲鳴を上げるネオゾンビに構わず、後ろ腰からスタンバトンを引き抜く。

電源をれるなり、先端を刺さったままの『魂喰』の刀に添えてトリガーを引く。

「ッガ、アア、アアアアアアアアアアアアア、アアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!??!?」

ばちちちち、という軽い作音に似合わない悲鳴を上げ、ネオゾンビが痙攣する。

直に延髄経由は効くだろう!?

古保利さんのアレを真似したんだ!!

グローブはゴム製だから電気を通さないし!!

あと『魂喰』、ビリビリさせてゴメン!!呪わないでください!!!

「そのまま、くたばれ!!」

何度も何度もトリガーを引き、続けざまに電流を流す。

その度にネオゾンビの痙攣は大きくなり、各所の裝甲板が出鱈目にび始めた。

中の謎蟲がパニックでも起こしてんのか!?

だが、これは好都合だ!

『―――Time out』

「ぬんっ!!」

イケメン音聲が電力切れを報告した瞬間に、『魂喰』を捻る。

手に、ぶちぶちとしたが伝わった。

首の中の何かが切れた、たぶん!

裝甲板がびていない箇所を蹴り付け、刀を引き抜きながら後方へ跳躍。

著地すると同時に下段に構え直し、殘心。

「―――ァッ・・・アァ、ア」

吐息をらし、ネオゾンビが地響きを立てて地面に倒れた。

前のめりに伏したその背中は、ピクリともしない。

・・・元々呼吸しない生きだから、死んだ?かわかりにくくってしょうがない。

向こう側から、神崎さんがライフルを構えつつ近付いてくる。

・・・中にマガジンが裝著されてる。

どんだけ撃つ気なんだろう。

スタンバトンをたたみ、後ろ腰に戻す。

だが、まだ刀はそのままだ。

『魂喰』は靜かなもんだが、それで油斷していいってことにはならない。

空いた左手で棒手裏剣を抜き、ネオゾンビに投げる。

裝甲に跳ね返って澄んだ音を響かせるが、相手はかない。

・・・死んだ、か?

「ぶはぁっ!・・・はあ、ふぅ」

止めていた呼吸を開始すると、顔中に汗がわいてきた。

・・・存外にピンチだったもんな、無傷で勝てたけど。

一手間違えれば死んでたな・・・

「田中野さん!」

ネオゾンビを照準したまま、神崎さんが円を描くように俺の近くまで來た。

「いやあ、次から次へと・・・退屈しませんねえ、本當に」

「ご無事で何よりです・・・あ、あの、その・・・素晴らしいきでした。あとで教えていただいても?」

『地』のことかな?

あれ、傍から見たら超間抜けなんだけども。

2人で何分か、そのままネオゾンビを見た。

きはない。

「大丈夫そうですね・・・しお待ちを」

神崎さんは拳銃に持ち替え、構えながらネオゾンビに近付く。

「ふっ、んぅ~~~!」

そしてしゃがみ込むと、片手で後頭部を照準しながらネオゾンビをひっくり返そうと四苦八苦していた。

かわいい。

・・・じゃない!?

「ちょっとちょっと!手伝いますから言ってくださいよ~」

慌てて駆け寄り、2人でひっくり返す。

「す、すみません・・・し離れていてください」

恥ずかしそうにした後、神崎さんが懐から粘土のようなものを取り出した。

なーんか、大木くんが似たようなの持ってたような・・・?

神崎さんは続いてペンチのようなを取り出し、そいつをネオゾンビの口に突っ込む。

握り込むと、口がゆっくりと開いた。

なんか歯醫者みたいだな。

続いて粘土みたいなものをネオゾンビの口に詰め込み、ポケットから取り出したパーツをそれにつけている。

あー!あれってまさか!

弾ですか」

「はい、サンプルは三等陸佐が確保しているのでこちらは萬が一にも『再利用』できないように・・・破壊します」

セッティングが終わったので、神崎さんと一緒に距離を取る。

「3、2、1・・・破」

神崎さんが手元のスイッチをいじると、音と一緒にネオゾンビの口から上が綺麗に吹き飛んだ。

・・・さすがに、アレなら大丈夫か。

「そういえば神崎さん、手りゅう弾ナイスでした。助かりましたよ」

思い出したのでお禮をしておく。

アレはほんといいタイミングだった。

「い、いえ・・・無我夢中でしたので。でも、田中野さんがご無事で本當によかったです!」

神崎さんは真っ直ぐ俺を見つめて微笑んだ。

うおお・・・眩しい、眩しすぎる。

「んなっ!?なんで拝むんですか!」

「ありがたや、ありがたや~」

「やめてください!怒りますよ!!」

もう半分くらい怒っている神崎さんに、俺は慌てて頭を下げるのだった。

今日もなんとか生きてて偉いぞ、俺。

・・☆・・

『・・・何その攻撃、こっちの2は普通?の個だったのに・・・田中野くん、悪運強すぎでしょ』

「やめてくださいよソレ・・・もうお腹いっぱいですよ俺は」

ネオゾンビを駆除し終わり、車に乗り込んだ。

帰りの車で古保利さんに報告をしておく。

「私は田中野さんとかなり距離が離れていたのでさほどダメージはありませんでしたが、軽い立ち眩みと耳鳴りをじました」

神崎さんが続けて言った。

マジか、あれくらい離れてても影響あるのな。

『ふむ・・・高周波か超音波か、どちらにせよ厄介だねえ・・・まさか耳栓して探索するわけにもいかないし』

だろうな、それ以外のゾンビに味しくいただかれちまう。

『ともかく田中野くんの癥狀から察するに、三半規管へ何らかの影響を與える攻撃だろうね。酸を吐かれるだけでも厄介なのに、これ以上は勘弁してほしいなあ』

それに関しては俺も同意である。

これ以上となったら・・・どんなじだろうか。

空とか飛ばれたら手が付けられんぞ。

「ですが、ゾンビがあれほどになるには12の『脳』では無理なはずです。おいそれと同じものが現れるのは難しいかと」

「あ、そういえばそうか」

の謎蟲だって無限にいるわけじゃないんだ。

そうそう合できるとも思えん。

『こちら側にできることはノーマルゾンビの駆除が一番簡単で大事かな、數を減らせば減らすほど安全になるし。大は・・・南雲流に丸投げしようかね』

「やめてください死んでしまいます・・・あ!そうそう古保利さん、もう1つ新報があるんですよ!」

裝甲のこと、この機會に報告しておこう。

俺は、戦いの最中に見たことを喋った。

び始めの裝甲板はらかいから逸らしやすい、ってことをだ。

だが。

『・・・一般隊員にそれは無価値な報だね』

思ったのと違う返事だな!?

『あのねえ、そもそも超至近距離でびる裝甲板に対応できるだけでもそれなりの練度なんだよ?基本的に我々は遠距離もしくは中距離の撃戦で安全マージンを確保しながら戦闘するのがセオリーなんだよ・・・南雲流みたいにカウンター狙いで飛び込まないの、普通の人間は』

「まるで普通ではないようにおっしゃる・・・」

『いやいやいや、今更そこを疑問に思わないでほし・・・おっと、どうぞ』

なんだか通話の向こうが騒がしい。

『一朗太さんは普通じゃないところが最高なんであります!お疲れ様でありました!!』

「アッハイ・・・アリガトウゴザイマス・・・」

・・・式部さんまでそんなことを・・・

何故かやたらテンションの高い式部さんとしばらく會話し、報告は終了した。

・・・しかしまあ、疲れたな。

なんとか高柳運送へのピンチは発生しなかったからよかったけども。

「・・・そういえばここらのスーパー、見てなかったな。神崎さーん、なんか予定がないなら2人で探索d」

「行きます!!!!」

いいお返事ですこと。

「それじゃ、帰るまでにお土産でも探しましょっか」

「はい!さんにすぐ連絡を取りますね!」

言うや否や、神崎さんは凄まじい勢いで高柳運送へコールし始める。

まあ、誰だって息抜きは大事だからね。

超絶有能クールビューティ神崎さんも、毎日気を張りすぎると疲れちゃうだろうしな。

俺の息抜きも兼ねて、もうしお付き合い願おうか。

・・☆・・

カーナビと相談した結果、近所のスーパーをすることにした。

ネオゾンビの聲の範囲外だったのか、何かのノーマルゾンビが確認できたが・・・

『田中野さんはお疲れでしょうから』

そう神崎さんは言い、それら全ての脳天を殘らず撃ち抜いた。

うーん、エイム力の化・・・

略奪が何度かあったようでそんなに資は殘っていなかったが、それでもいくつかのお土産をゲットすることができた。

こないだ大木くんんが持ち帰っていたように、イースト菌や類だな。

いやあ、料理上手がいると寶の山に見えるよ。

俺しかいなかったらこねて焼くくらいしかできないからな。

パンも確保できたし、卵が安定して手できれば豬カツ丼までの道のりはそう遠くないな!!

卵がアレならソース豬カツ丼にするって手もあるし!

アレはアレで好き!!

「大漁!いやー大量ですよ神崎さん!夢が広がりますねえ!!」

「ええ、とても・・・ふふ」

未來の食生活を夢見ながらテンションを上げる俺を、神崎さんは嬉しそうに見つめていた。

・・・アレ?俺の方が年上なんだよな!?

「(田中野さん・・・とってもかわいい)」

・・・なんか生暖かい目で見つめられた気がする!?

ナンデ!?!?

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