《【書籍化決定】公衆の面前で婚約破棄された、無想な行き遅れお局令嬢は、実務能力を買われて冷徹宰相様のお飾り妻になります。~契約結婚に不満はございません。~》ロンダリィズは、いつも人騒がせです。
『ラスリィ、俺の嫁になれ』
中央に進み出て、壇上に向かってそう告げたグリムド・ロンダリィズ子爵に、沈黙がその場を包み込んだらしい。
けれど彼はまるで気にせず、野な笑みを浮かべたままラスリィ様だけに真っ直ぐに目を向けていたと。
『テメェの才を、俺以上に評価してる男はこの國にいねぇ。添え花で終わる気がねーなら、俺のとこに來い!』
その言葉を聞いて、當時デビュタントを終えたばかりのランガン夫人の頭には『処刑』の二文字がよぎったと。
「だって、當時のロンダリィズ伯爵は下位貴族で、それもとんでもない事件を引き起こしたばかり……一言ラスリィ様が『不敬』と口にすれば首が飛んだでしょう」
「それは、そうでしょうね」
何せ、一族の多くを殺しても當主が許された世代の話である。
先帝陛下も、巨大になった帝國の政に傾注したとはいえ、帝國貴族の気を押さえてライオネルや北との戦爭を終結させた方であり、武斷の方であったことは想像に難(かた)くない。
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「結果は存じておりますが、どう場が収まったのです……? そもそも、わたくしは、ロンダリィズ夫人とオルブラン侯爵夫人がご姉妹であられたことすら存じ上げませんでしたが……」
帝室家系図に、オルブラン侯爵夫人の名はあれど『ラスリィ』の名はなかった筈だ。
ロンダリィズの家系は調べていても、ラスリィ様のご実家までは手をばしていない。
てっきり、初代帝王陛下のご兄弟のいずれかの、代落ちして現在侯爵家となっている家のご出と考えていた。
すると、ランガン夫人はますます楽しそうに々を乗り出す。
どうやら、クットニ様の噂好きの気質は彼からけ継いだもののようだ。
「勘當されましたのよ、ラスリィ様は。ロンダリィズ伯爵のおいに頷かれたので」
斷るとばかり思っていた貴族達は、大混に陥ったと。
「『傾國の妖花』と呼ばれたアザーリエ様に、當時のラスリィ様はそっくりでしたもの。家格も合わせて、人気も同様以上でしたわ」
そんな狀況に、先帝陛下の弟であらせられる父公爵は頭が痛そうに眉を寄せ、當時のセダック王太子殿下は固まっていたそうだ。
そして、一人冷靜だった先帝陛下は、こう仰ったという。
「『ラスリィの王位継承権、及び公爵家より名を抹消する、好きにせよ』と! そのご采配に、それはもう様々な噂が飛びいましたわ! 本當に様々な噂が!!」
ーーーなるほど。
確かに、先帝陛下のご采配に貴族達の疑問が殘るのは當然だろう。
そもそも先に問題を起こして降爵されたロンダリィズの家系、かつ、本人も問題を起こした上にさらに無禮を働いた子爵……それも、帝室一族への不敬。
その振る舞いを、許したに等しい。
本來であれば踏むべき、當主への婚約申し込みすら飛び越えて、ロンダリィズ夫人ご本人に求婚した。
そしてロンダリィズ夫人も、當主の意向を聞くこともなく了承。
當主の顔に泥を塗りたくるような所業である。
勘當でも、措置としては溫いどころか甘い。
けれどアレリラは、現狀の帝國を知っている為、その裏が読めた。
ーーーおそらく先帝陛下も公爵閣下も、ロンダリィズ夫人を元々、グリムド様に嫁がせるつもりだったのでしょうね。
しかし、本來はもっと穏當な形であった筈。
そう、グリムド様がアザーリエ様を北に嫁がせたのと同程度には角の立たない方法を、帝室は考えていた筈だ。
グリムド様が、それをぶち壊したのだ。
おそらく、そんな裏を何も知らずに、本當にロンダリィズ夫人をしたから。
『ロンダリィズの者は、自分の意志の下、自由に振る舞う』と、ロンダリィズ夫人も仰っていた。
自由に振る舞った結果、それが家を富ませることに繋がる……ボンボリーノの『幸運』とはし違う形ではあるけれど。
多分それが、姉妹をどちらも手放したという父公爵と、セダック現帝陛下が固まった理由。
そして先帝陛下がグリムド様を許された理由だ。
きっも、當時の貴族達の誰も考えていなかった裏側。
ーーーおそらくは『大人しくしていれば穏便に嫁がせたのに、余計なことをしやがってグリムド……!』である。
元々、ロンダリィズ夫人と執事は、ロンダリィズへの『帝室の枷』なのだろうから。
「なるほど」
話自は、報として興味深くはあった。
イースティリア様の言葉だけでなく、アレリラ自にもスーファ・オルブラン侯爵夫人の立ち位置が見えたからである。
當時から帝室は、お祖父様同様に『という理由を加味せず、有能な人をきちんと評価する』という現在を先駆けた人材運用をしていた、ということが理解出來た。
けれど、アレリラが知りたいことの本筋からはだいぶ逸れてしまったので、改めて問う。
「大変楽しいお話でしたが……わたくしは、スーファ様ご本人のお人柄についても、お伺いしたいと思っております」
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