《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1645話 妖魔召士の里へ
ソフィの『高等移呪文アポイント』によって、サカダイの町から一瞬で『妖魔召士』達の里へと移を果たすと、里のり口に張ってある『結界』の前を見張っていた二人の赤い狩を著た『妖魔召士』が、何やらぼそぼそと言葉をわす。
すると若い方の『妖魔召士』が慌てて里の中へと走っていき、もう一人の三十代くらいの『妖魔召士』がソフィ達に聲を掛けてくるのだった。
「お待ちしておりました。直ぐに里の長を呼んで參りますので、皆様方はどうぞこちらへ」
前回の時とは明らかに違い、懇切丁寧こんせつていねいな扱いで迎えれられるソフィ達であった。
そして一際大きな建の前まで案されると、見張りの男はソフィ達に頭を下げて直ぐに持ち場へと帰っていく。ソフィ達が男の後ろ姿を見ていると、直ぐさまその大きな建から背の高い別の『妖魔召士』が出てきてソフィ達に深々と頭を下げるのだった。
どうやらそのタイミングの良さを見るに、どうやら先程り口で見張りを行っていたもう一人の『妖魔召士』の男から事を伝えられていて、すでにその場で待っていたのだろう。
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「ここからは私が案をさせて頂きます。さぁ、どうぞ中へ」
そう言って背の高い『妖魔召士』はソフィ達に建の中へと迎えてくれるのだった。
…………
通されたその部屋には、當代の『妖魔召士』組織の長となった『エイジ』と、先代の長である『ゲンロク』の姿があった。
「おお、お待ちしておりましたぞ!」
エイジとゲンロクがその場で立ち上がると、直ぐにミスズが口を開いた。
「今回もまた事前連絡なしとなってしまい、申し訳ありません」
「はっはっは、分かっておりますよ。それに待って頂いたのはこちらの方なのですから、謝るのは我々の方です」
そう言ってエイジとゲンロクも頭を下げて、雙方共に頭を下げる形となるのであった。
エイジが『妖魔退魔師』組織の者達と話を始めると、ゲンロクは『ソフィ』の前に駆けるように寄って來て、自分の隣に座らせようとするのであった。
「ソフィ殿、待っていましたぞ! さぁさぁ、こちらに來て下され! おい、そこの! すまぬが、直ぐに用意していた菓子を持ってきてくれ!」
「はい、直ちに持って參ります」
脇に控えていた『妖魔召士』はゲンロクに指示をされると、慌てて部屋を出て行った。
「う、うむ! すまぬな、ゲンロク殿」
「かっかっか! いやはや、ソフィ殿が來るのをずっと待っておったのじゃ。それにしても本當にソフィ殿の『魔法』とやらは素晴らしい。この里に到著するまでソフィ殿の『魔力』をじ取る事すら出來なかったぞ!」
甚く上機嫌な様子でソフィにそう告げるゲンロクであった。
前回、ソフィが彼の戦友とも呼べる『ヒュウガ』の亡骸を里に運ぶ際に、々とゲンロクに接して気遣い、そしてその後も共にヒュウガの亡骸を弔った事でゲンロクはソフィを甚く気にったようであり、それからというもの彼はエイジ以上にソフィの事を信頼し、気に掛けている様子であった。
今回の『妖魔山』の調査に関しても、準備が出來るまで『サカダイ』ではなく、この里に居てくれないかとまで言われた程であった。
長年共に居たエイジにしても、ヘンクツ者の爺といえる『ゲンロク』が、他者に対してここまで気を配る姿は見た事がない程であったらしく、前回の時もソフィに接する『ゲンロク』の態度に大層に驚いていた。
菓子が屆けられた後も変わらず、他の者達が見ている前でもベラベラと上機嫌にソフィに話しかけていたゲンロクに小さく溜息を吐いたミスズが、仕方ないとばかりに彼の方を見ながら口を開いた。
「さて、各々積もる話も當然ある事でしょうが、まずは『妖魔山』の調査の話をさせて頂きたく思います。よろしいでしょうか?」
「むっ、こ、これはすまぬ……!」
ゲンロクはミスズだけではなく、その場に居る全員から視線を向けられている事に気づくと、居住まいを正しながら謝罪を行うのであった。
(へぇ。あの爺さんがこんな姿見せるのは初めての事だな。しっかし、よっぽどソフィって化けは、ゲンロクの爺さんに気にられてんだな、これは驚いたぜ……)
今までこの里ではなく、ケイノトの町に居を構えていた『イツキ』は、退魔組や妖魔退魔師組織との會合の時に見せていた時とは同一人だとは思えなかったようで、心で驚きながらゲンロクを見るのだった。
そしてゲンロクの言葉をけ取ったミスズは軽く頷き、新たに新調した眼鏡をくいっと上げながら、視線をシゲンに向けるのだった。
「それではまず、うちの組織からいくつか『妖魔山』で行う調査に関しての説明を行わせて頂く」
ミスズから合図をけ取ったシゲンは、徐に妖魔山の調査の話を始めるのであった。
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