《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1647話 妖魔山での基本隊列
――ソフィ達がこの里に訪れてから數刻程経った。
今回はあくまで討伐ではなく、改めて妖魔山の全貌を明らかにする為に、あらゆる『妖魔』の縄張りや生息する妖魔達のランクを推し量る調査を優先するものではあるが、妖魔山という場所は、り込んだモノを死へとう大変危険な場所である。
更に言えばこの里に集まった両組織が行おうとしている『止區域』の調査は、一つ間違えれば中に居る『妖魔』達に恨みを買う事にも繋がり兼ねず、妖魔退魔師と妖魔召士だけではなく、この『ノックス』の世界に生きる者達にも被害が及び兼ねない。
実際に行われたかつての『妖魔団の』の時も町の被害は大きく、その時は今回向かう『止區域』の『妖魔』達が山に下りてきたわけではなかったが、それでもランク『6』までの『妖魔』の集団であっても被害を収めるのに相當に苦労し、今でもその被害の爪痕は『ケイノト』の町を中心にあらゆる場所に殘っている。何より町民達に恐怖を植え付けた事が、何よりも大きい被害だったともいえる。
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決してこういった歴史を繰り返してはならず、妖魔召士組織に代わって、妖魔退魔師が『妖魔山』を管理するという新たな転換を迎えた事で、今までよりも安全に町人たちが暮らせる世界を作らなくてはならない。
その為の第一歩として今回の調査に臨む以上、多くの時間を要してでも確認を怠らず、両組織間の連攜を取らなくてはならない。
妖魔山の目標の全貌から始まり、重點的に見て回る為の山の部の道順などを、これまで管理を行っていた『妖魔召士』組織側と綿に計畫を組み立てていきながら話がわされていき、やがてはこの場に居る全員に細部に至るまでの報を共有し終えるのだった。
「それでは最後に『妖魔山』で行う隊列としまして、前時代までの両組織間における隊列の方法こそ、効率が良いと私と総長は考えるに至りました。前衛に攻撃に特化した者という事でヒノエ組長にスオウ組長お願いします。そして『百鬼』殿には、鬼人族の集落までの間は、この前衛の間にって頂きます」
ヒノエにスオウ、そして妖魔の鬼人である『百鬼なきり』も頷いて見せるのだった。
「中衛兼遊撃に、私とキョウカ組長がります。そして我々に挾まれる形で『エイジ』殿と『ゲンロク』殿には中にって頂きたく思います」
エイジとゲンロクは隊列容を淡々と話し始めたミスズに、反論を挾まずに頷きだけを返す。どうやら異論はないようである。
元々このエイジとゲンロクの隊列並び順は、最初にミスズが告げた通りに前時代に『妖魔召士』の護衛という立場を取っていた『妖魔退魔師』の隊列順序と瓜二つであった為、それを理解した上での頷きだっただろう。
「更に中衛側後ろの中後衛に、退魔組に屬されていた『ユウゲ』殿に『カヤ』殿、そして『イツキ』殿にって頂きます。その両隣にソフィ殿とヌー殿、並びにテア殿。そして全を見渡す形でシゲン総長に最後尾をお願いします」
ミスズの言葉にイツキとヌーだけが、視線を部屋に居る者達の方向へと這わせたが、それ以外の者達は首を縦に振り、やがては事前にこの取り決めを行っていた総長シゲンが、最後に返事代わりに頷く事となった。
『妖魔山で取る基本隊列』は以下の通りである。
…………
前衛 ヒノエ スオウ
中前衛 ミスズ エイジ ゲンロク キョウカ
中後衛 ユウゲ カヤ イツキ ソフィ ヌー テア
後衛 シゲン
…………
この隊列順を決めたのは主にミスズであるが、ある程度は理に適って組まれていると別世界で戦闘にを置いてきたソフィやヌー、それに前時代の『妖魔退魔師』を護衛において戦ってきたゲンロク達も考えるのだった。
索敵や突然の攻撃に対して、瞬間的な対応を要求される前衛に『スオウ』と『ヒノエ』。特に副総長のミスズを除けば、この役目を十全に擔える者がスオウであり、一歩スオウに遅れる形で対応を取れるのがヒノエ組長だが、こちらはその一歩分を十分に賄えるだけの攻撃力を有しており、スオウ組長によって作られた敵の隙を突いて確実に仕留められる信頼がある。
當然、ランク『5』や『6』程度の妖魔であれば、組長格のどちらか一人の対応でおつりがくる程であろうが、中腹以降を踏まえれば、中前衛にミスズの察力と、そのミスズの察力を活かすきを行えるキョウカ組長が加わる事で余裕が生まれるだろう。
接近を許さなければ『魔力』に特化した『妖魔召士』の扱う『魔波空転』といった『魔力波』で遠距離から一方的に攻撃を行う事を可能とする。
『妖魔山』の中腹付近から先までは、この前中衛だけで片が付くと見ても問題はないだろう。
だが、これは決して楽観視しているわけではなく、向かう場所がミスズ達『妖魔退魔師』組織の預かり知らない未知なる領域といえる『妖魔山』である為、あくまで『エイジ』や『ゲンロク』達からの報通りならば問題ないという判斷である。
中前衛までは基本的に組長格とある程度、戦力として問題ないと思われる前時代の長であった『ゲンロク』や當代の長である『エイジ』であるが、その後ろとなる中後衛に関しては、退魔組の三人が含まれている為、もちろんイツキなどは戦力として計算にはれてはいるが、あくまで補助的な意味合いが強い。
しかしその中後衛には、ミスズやシゲンが認めている『ソフィ』や『ヌー』が間に居る為に、懸念點は補って余りある結果を生むことだろう。
更にはその全てのきを見れるシゲンが、最後方から狀況に応じて対応を行い布陣を取る。
実際に妖魔山にって見なければ完璧かどうかまでは言葉にする事が出來ないが、ひとまず想像の中であれば、各々がこの形で問題はなさそうだという結論に至ったようである。
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