《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1653話 不遜な態度を取る人間

イダラマ達の前に姿を見せた『妖魔神』とされる『妖魔』達。その二ともが人型を取っており、イダラマは豪快に笑っている大柄な妖魔は『鬼人』だと一目で見て気づけたが、もう一の方の小柄で中的な顔立ちの『妖魔』はその種族までは分からなかった。

ただ分かっている事は、この小柄な方の『妖魔』も大柄の『鬼人』の方もイダラマ達を見る目が変わらず、まるで路傍の石を見るような視線だったという事だけである。

――まず間違いなく、この二の『妖魔』はイダラマを含めたこの場に居る者達に対して、自分達を害する脅威とは思っておらず、単に『人間』という珍しい種族が現れたという認識しか持っていないだろう。

「神斗こうと様、悟獄丸ごごくまる様。人間達を二方の聖域に連れてきた事をお許しください」

そう言って七尾の妖狐は、二の『妖魔』に恭しく頭を下げるのだった。

「ふふっ、構わないよ。どうせ王琳おうりんに命令されてこの人間達を連れてきたんだろう? あの子は自分が興味を持った奴に対しては実に寛容に扱うからね」

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「ガハハハッ! その分、王琳は自分に興味がない奴に対しては、信じられない程にぞんざいに扱うがな」

「そうだね、悟獄丸。まぁ、あの子が通してもいいと思えた人間達だ。私も非常に興味がある。それで一どんな用があって私達の前にきたのかな?」

七尾の妖狐に『神斗』と呼ばれていた方の『妖魔神』が、そう言ってイダラマに話しかけてくるのだった。

「お初にお目にかかる。私は『妖魔召士』のイダラマと申す者。実は二方に葉えて頂きたい願いがあって、ここまでこちらの妖狐に案をして頂き、ここまで參った次第」

一見、イダラマは丁寧な挨拶をしているようにも見えるが、見る者が見ればその『神斗』達に対する言や態度には、我の強さが見え隠れしていた。

「へぇ? 最近の人間は怖いもの知らずだね。私達に願い事をするなんて、この山に居る君達の數倍、數十倍は生きてきた『妖魔』達でも言わないよ」

「確かに面白い人間だな。それで葉えたい願いってのは何なんだ? 言ってみろ」

「それでは僭越ながら申し上げさせて頂く。まず確認をしたいのだが、貴方がたはこの『妖魔山』を支配している『妖魔神』で間違いないだろうか?」

「ああ。別に私達がこの山に生きる者達に対して一から十まで指示を出しているというわけではないが、この山に生きる者達に一言何か告げれば、何でも言う事をきかせる事が出來る事は間違いないね」

「そんなめんどくせぇ事は、俺達は絶対にしないがな」

神斗の説明に悟獄丸が笑いながら相槌を打った。

どうやらこの目の前に居る『妖魔神』達が、妖魔山に居る妖魔に対して命令を出來る立場に居るのは間違いないらしい。

「では次の質問だが、貴方がたのどちらが偉いのだろうか?」

「……」

「……」

そのイダラマの言葉にこれまで笑みを浮かべていた『神斗』と『悟獄丸』を無表にさせた。どうやら一介の人間が『妖魔神』に尋ねるにしては、あまりにも予想外の質問だったようだ。

「き、貴様! な、何て失禮な言葉を……!!」

そして予想外だったのは『妖魔神』の両名だけではなく『七尾の妖狐』も同様だったらしく、慌てて口を挾んでくるのだった。

しかし七尾の妖狐がその先を言う前に、再び笑みを浮かべ直した『神斗』が軽く手をあげて妖狐を制止する。

「そんな事を知って、君はどうしようって言うのかな?」

先程までと変わらぬ態度をみせる『神斗』だが、しだけイダラマを見るその目が鋭くなっていた。

「私の願いを葉えて頂く上で約束を反故にされない為にも、貴方がたのどちらの方が立場が上なのか知っておく必要があると思って尋ねさせて頂いた」

流石にそのイダラマの言いに、形容し難い表を浮かべる『神斗』と『悟獄丸』であった。

「そもそもまだ君の願いすら聞いていないし、君の願いを葉えるかどうかの話ですらない。そんな狀況なのに君が私達のどちらが立場が上かなんて知っても、仕方がないんじゃないかな?」

神斗から至極當然の言葉を返されるイダラマであった。

「だが、いきなり俺達にそんな言葉を吐ける膽力は相當なモノだ。俺もお前に興味が出てきたぞ人間。お前が俺たちに聞いてしい願いとは何なのか言ってみろ」

今度は悟獄丸が不遜な態度をとっているイダラマに興味を持ったらしく、その願いとは何かと尋ねてくるのであった。

「……私達人間は臆病な生きでしてな。いつ前回の『妖魔団の』のような『妖魔山』から現れる『妖魔』達からの襲撃があるかと思うと、日々の生活を安心して送れぬのですよ。つまり妖魔山に居る妖魔達に対して、我々人間達を襲わないようにと、一言命令をして頂きたいというのが私の願いだ」

――真剣な面持ちで『妖魔神』達に対して、願いを告げるイダラマであった。

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