《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1659話 妖魔神の扱うオーラと、特殊な技法

イダラマは『契約紙帳けいやくしちょう』の燃え始めていた新たな部分を破り捨てると、それを足で火を消しながら視線を神斗に向けて舌打ちをする。

(一何が起きたというのだ……。契約に用いたは全て上手く行った筈だ。それはこの『契約紙帳けいやくしちょう』に名が刻まれた事からも間違いはない。だが、あやつが新たに『魔力』を用いた瞬間に『契約』が解除される覚があった事もまた間違いない)

一度は『契約』に功した以上、本來は契約主となったイダラマが解除する意志を見せなければ『式』が解除される事はない筈である。

だが、すでにイダラマには『神斗』と契約が解除された覚と、実際に『契約紙帳けいやくしちょう』から一部分が燃えた事によって、それは完全に『契約』が解除された事を表しているのだった。

「納得がいかないって顔をしているね?」

図星を突かれたイダラマはハッとした後、苦蟲を噛み潰したかのような表になる。

「君達『妖魔召士』と呼ばれる人間達が編み出したそのは、確かに我々『妖魔』を契約という名の下に、一度は従わせる事を可能とするようだ。私自も先程実際にけてみた想としては、契約を行うその行為そのものに対しては抗いようがないなと判斷するに至ったよ」

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そう言って心したとばかりに、褒めるように何度も頷く神斗だった。

「――でもね、所詮そのは君達人間が短い歴史の中で編み出したに過ぎないんだ。君達が『捉』と呼んでいる『力』の源は『魔力』だ。その『魔力』を用いる『力』を使用してきた年數は、君達よりも私たち妖魔の方が遙かに長い。つまり君が使った『魔』の『式』に反する行いをすればいい。そうすれば解除する事はそこまで難しい事じゃない」

神斗はそう口にすると左右両方の手に、違うの『オーラ』を纏わせ始めるのだった。

「!?」

イダラマはその神斗の行った蕓當を理解すると共に、愕然とするのだった。

イダラマ達『妖魔召士』の常識では『魔力』は基本的に一人につき、一つしか扱う事が出來ない。如何に『魔』の研鑽を行おうともそれは変わらない筈とされている。

だが、彼は左手と右手に別々のの『オーラ』を宿らせて異なる『魔力』が同時に『神斗』に宿った。それもその宿っている『魔力』は、イダラマとは違って他者の『魔力』を奪うようにして扱っているのではなく、生粋の彼自の『魔力』なのである。

「いいかい? 『魔』というのは奧深いモノでね、式さえ覚えてしまえば覚えたその『力』の発は容易く行う事が可能だけど、その『力』を全てを司る『魔』の観點から見れば本當の意味で極めたとは言い難いんだ」

そして次の瞬間、神斗の左手の『オーラ』のと、右手の『オーラ』のが一瞬で一つの『オーラ』へとわるように変わった。

――同時にイダラマはその神斗の『魔力』がだけが変わったのではなく、全く別種の『力』が宿った事を知る。

「先程君が用いた『』は、私の『魔力』を君が使う事でに誤認させて契約させるという方法だろうけど、こうして違う魔力を用いれば、従わされなくてすむようだね。もうし複雑な式を用いている場合なら、更に踏み込んだ対処を行わなくてはならなかっただろうけど、君・の・・く・ら・い・な・ら・ば・使っている『魔力』を変えるだけで十分のようだね」

あっさりと何でもないような事のように言って笑みを浮かべる神斗だが、イダラマは先程までの自信が消沈してしまい、放心せざるを得なくなった。

(た、確かに契約に用いる『魔力』が別の『魔力』となってしまえば、それは『式』には出來ぬだろう……。だが、こやつは新たに用いた『魔力』もまた、最初に使っていた『魔力値』と遜がない……。つ、つまりこやつは本來の『魔力』と異なる『魔力』でさえ、私より遙かに高い『魔力』を有していたというのか!?)

『二の併用』の事を知らないイダラマは、まさに見當違いな事を考えてしまうのだった。

もし、この瞬間にこの場に居る『エヴィ』が目を覚ましていれば、妖魔神である『神斗』が行った事が『二の併用』だという事に気づけた事だろう。そして単なる『二の併用』ではなく、彼の元の居た世界である『アレルバレル』では誰・も・著・手・を・し・て・い・な・い・新・た・な・技・法・をが使われているという事にも――。

だが今のエヴィは『帝楽智ていらくち』の呪詛によって眠らされてしまっており、神斗こうとの行っている事を真に気付けた者は誰もいないようであった。

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