《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第468話 赤アリを倒すために

「アスタロト殿はあの赤アリの目的は何だとお考えですか?」

「アルトラ殿の話を聞く限りは……恐らく風の國の戦力を削ぐことではないかと。風の國の魔王代理である私がここに居るのはヤツにとっては好都合でしょう。魔王代理と風の國の鋭・準鋭を一網打盡にできる。ここで我々が全員消滅すれば鋭のほとんどと國のトップを消し去れるのですから、風の國の國防力は大きく減衰します」

「魔王代理のお主がここへ來ることを予想して、自要員を配置したと思うか?」

「そこまでは分かりません。恐らくそんなことは考えなかったというのが私の見解です。しかし、ここへ各國の兵士を集めるよう仕向けられたのは事実ですのでこの予想、そして『ヤツの自の可能』は理由としてあり得る話なのではないかと」

「だとするなら、この司令本部を消滅させれば目的が達せられるわけか。カゼハナ部隊隊長殿、巣から本部までどれくらいの距離がある?」

風の國本國軍が來るまでカゼハナの巣攻略を擔っていた部隊隊長に訊ねる。

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「五キロほどではないかと」

「あの様子だと、五キロなら三十分もあれば本部までの範囲を消滅させるのに事足りそうだな」

「つまり、タイムリミットはあと三十分以下というわけですか……」

「もう悩んでいる時間は無いな、フレイムハルト!」

「はい、兄上」

「我らでアレを消滅させるぞ!」

「はい」

「どういった作戦を行うのかお聞かせ願えますか?」

「作戦などない。我とフレイムハルトで最強のブレスを叩き込む」

「先ほどあのアリと同等の魔力だと言った例のブレスですか?」

「ああ。今まであまりに広範囲に影響があり過ぎると考えていたためにやったことが無かったがその最強のブレスを二人がかりでやる。あれは我一人のブレスで倒せるような相手ではなさそうだ」

「しかし兄上、大丈夫なのですか? 先日も【インフェルノ・ブレス】を使ってに怪我を負ったと聞きましたが?」

「さあな、元々違和すらない。あまり使わない方が良いと思ったのも、醫者のアスクに言われたからそうなのだと思っただけだしな。それに仮に痛みがあってもこの狀況ではやむを得まい。ここでやらねば我らは全員死ぬのだからな。ああ、そうだお前たち――」

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と言いながらレッドドラゴンたちの方を向くフレアハルト。

「――我とフレイムハルト以外に【インフェルノ・ブレス】を使える者はこの中に居おるか?」

八人のレッドドラゴンに聞くもみな一様に首を橫に振る。誰一人として使える者はおらず。

「そうか、仕方ないな。もう一人くらい居てくれれば確実があったのだが……」

「二人で【インフェルノ・ブレス】を叩き込むというと、その作戦はお二人が心地にを置くことになるのではないのですか? 大丈夫なのですか?」

「それは……」

「我らにも分からぬな。何せ我ら自で【インフェルノ・ブレス】をけたことがないからな」

「直接喰らえば死は免れないと思いますが、著弾した時の発・風であれば、直接的ではない分ある程度ダメージも軽減されるでしょう。私たちが死ぬことが無いように祈っててください」

そのフレイムハルトの一言に、レッドドラゴンの一人が反応する。

「冗談はやめてください! 継承権のある王子が二人もいなくなっては、族長にどう説明すれば良いか分かりません」

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二人とレッドドラゴンたちの話を聞いていたアスタロトが話に割ってる。

「そこまで危険なことを客將のお二人にさせるのは……あちらはたった一匹ですし、まずは我らの部隊が何とか倒せないか試してみるのはどうでしょう?」

「お勧めはしません、と言うよりやめておいた方が良いと思います。様子を見るに、あの赤黒のアリ……今はってしまって既にの判別は付かなくなりましたが、ヤツが居る場所、その周囲までも地面がドロドロに溶けて溶巖のようになっています。今やあのの溫度は鉄ですら溶かす溫度に達しているとみられます。この騎士団の持つ剣や槍程度ではアリのに屆く前に溶け落ちる可能が高いでしょう。そう考えれば火に耐の無い亜人では恐らく十メートル以に近付いただけで火傷するレベルです。はっきり言ってしまえば無駄死にします」

アスタロトの提案に、フレイムハルトがすぐさまそれを否定した。

「そ、そこまでの狀態なのですか……?」

「いずれにしても火に強い我らがやらなければ全滅だ。今飛んで逃げたところでヤツの自からは逃れられんだろうしな。他に選択肢もあるまい。それに……この怪我人の數では逃げることもままならん」

「分かりました……ではこの司令本部の命運はお二人方に託します。よろしくお願いします」

「ふぅ……面倒だがやらなければ我らも死ぬからやらんわけにもいくまい」

そこでアスタロトがフッとした疑問を口にする。

「ところで、なぜ地面がドロドロの溶巖狀になっているのにあのアリは沈まないのでしょう?」

「さあ? そこまでは私には分かりません。腳が溶巖に沈まないような構造で出來ている……とかでしょうか? それにどうやら溶巖からも魔力を吸収しているようですね。さっき刺さっていた地面が溶けて副腳が溶巖に沈んでいます」

「もしかしたら、あの副腳が攻略の鍵になるかもしれぬな。まずはあの腳を攻撃して、魔力の供給を強制的に止めさせよう。自までの時間を引き延ばせるかもしれん」

今まで黙って話を聞いていたレッドドラゴンたちが、作戦の間に何をすれば良いか役目を問う。

「我々はどうしたら良いですか?」

「お前たちは、私と兄上のブレスの影響から司令本部を守る役目をしてください」

「守る役目と言いますと……?」

「二つの【インフェルノ・ブレス】となるとその発力も凄まじいものになるでしょうから、司令本部が焼失しないように全員の【ストーンウォール】で巖壁を作って熱を遮り、更に【火屬軽減レジスト・ファイア】で本部を囲って守ってください」

溶巖の魔力に溢れた場所で生をけ、住処とし、その魔力を糧としているため、“レッド”というを冠するドラゴンでありながら土魔法の素養も高い。

「しかし我々ではお二人の【インフェルノ・ブレス】を抑えるには至らないと思いますが……」

「ここから司令本部まで五キロほどあるのは聞いていましたね? それだけ離れていれば防魔法さえしっかりしておけば直ちに焼失は免れるのではないかと思います」

「な、なるほど……わ、わかりました……」

不安を抱きながらも八人のレッドドラゴンはこれを了承。

「アスタロト殿もける者全員で司令本部に防魔法を張り巡らせ、防に専念してください。もし防魔法が半端な場合は……ここにいる全員が死亡もあり得るでしょう。生存できるかどうかは、我々がアレを倒せるかどうかと、防魔法をしっかりかけられているかの二つにかかっています」

「さて、最後にアスタロト殿に了承してもらおう、我々の作戦をれるかどうか」

「是非もありません。いずれにせよ、このままにしておけばあの赤アリの自で全員終わりですから」

「了解した。では作戦を開始する。その前にエアリアとやら」

「は、はい! 何でしょう!?」

突然のフレアハルトの名指しに、焦りながら返事をする風の國・空間魔師見習いエアリア。

「【強制転移フォースド・ゲート】は習得済みか?」

――【強制転移フォースド・ゲート】――

その場に居る者を強制的に別の場所へ転移するアルトラ考案の空間転移魔法。 (第341話參照)

アルトラが直伝したのは、水の國ルイス、樹の國ジョアンニャ、そして風の國イルリースの三人のみで、そこから先は各々の國の空間魔師が伝授している。

通常の空間転移魔法は、空間に開けたへゾロゾロと歩いてって行かなければならないため、大人數を移させるためにはそれなりの時間がかかる。そのタイムロスを無くして者の意志で強制的に転移可能にしたのが【強制転移フォースド・ゲート】である。

「いえ……まだ存じていません」

「そうか……では仕方ないな。今思いつきで【強制転移フォースド・ゲート】でどこか別のところへヤツを飛ばしてしまえばと思ったのだが……」

「しかし、その転移先で発されたらここと同じなのでは?」

「まあ、そうだが、海上とかに落とせば鎮火できる可能があったかと思ってな」

「周囲の海水が大規模に蒸発して大慘事になる可能もありますが……」

「う、うむ、そうか……まあただの思い付きだからな。本題はもう一つの方だ。エアリア殿、通常の空間転移魔法でも良い、至急我とフレイムハルトを除いたレッドドラゴンを含む全員をこの場所から司令本部へ空間転移させてくれ! 四十人くらいであれば転移可能だろう?」

「そ、そこまでの人數はまだ経験がありませんが……や、やってみます!」

「今から行う作戦は、この辺りに殘ればほとんどの亜人や魔人、霊すらも風と放熱で焼け死ぬでしょう。発を直接浴びなくても、レッドドラゴン以外は即死か重度の熱傷にかかると予想されます。一人でも殘せばその者は死んでしまいます。無理をしてでも全員の避難をお願いします」

「は、はい……」

「こんがり焼かれたければこの限りではないがな」

「それは冗談が過ぎます兄上!」

「それとアスタロト殿!」

「はい」

「近くに……五十キロ圏に既にヒトはいないと言ったな? では町などは存在するか?」

「あ、ありますが、それが何か?」

「アルトラから聞いた話では、砂漠で我が【インフェルノ・ブレス】を使った際、大量の砂埃や石つぶてが飛んできたという話を聞いた。ここだと木の破片や巖石、他にも石片や巖石の欠片のような刺さるものまで飛んでいくかもしれん。五十キロは大袈裟かもしれんが、町の建や施設を大きく壊してしまうと予想されるが構わぬな?」

「半徑五十キロの範囲をですか!? …………し、仕方ないでしょう……あ、あの赤アリを倒さなければもっと大きな被害が予想されます。世界の命運には代えられません……」

「よしわかった、事後処理は頼むぞ?」

「しかしお二人だけで本當に大丈夫なのですか?」

「他にヤツに近寄って戦える者がおらんし我ら二人で戦う他あるまい。心配するな、我ら二人はレッドドラゴンの中でも特別製だ。お主らは我らとヤツの戦いによる放熱で死なぬように協力して生き延びてくれ」

「では出撃する! フレイムハルト、その前に【火屬軽減レジスト・ファイア】を纏え。アレを相手にしたら我々でも焼け死ぬかもしれぬ。予め火を軽減させる防魔法をかけておく」

「火に強い我々が、よもやこのような魔法を自に対して使うことになるとは思いませんでしたね」

「確かにな……溶巖にすら耐えられる我らが火を恐れる時が來るとはな……さあ、もう時間も無い、往くぞフレイムハルト!」

「はい! 兄上!」

二人はレッドドラゴン形態へと戻り、飛び立つ。

「一刻でも時間が惜しい、ブースト飛行で行くぞ!」

火魔法を使いロケットエンジンのように加速。自のために魔力を蓄えるアリの下へと猛スピードで急ぐ!

タイムリミットは30分。

余談ですが、アニメでこういったじに、「あと5分で発する!」ってなった時に、アニメ放映時間の30分が過ぎても発しない景はよく見ますよね。「もう5分経ってるやん!」って思うシーンをよく見ます (笑)

次回は5月9日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第469話【vs赤アリ】

次話は木曜日投稿予定です。

が、依然ストックが厳しい狀況ですので、投稿できなかった場合は來週の月曜日になります。この狀況はもうし続いてしまうと思いますが、よろしくお願いしますm(__)m

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