《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第469話 vs赤アリ その1
殲滅したカゼハナの巣と監視目的で駐屯していた場所の距離は、それほど離れていなかったため一分足らずで赤アリと會敵。
空中から見定めるフレアハルトとフレイムハルト。赤アリとの距離は七十メートルほど。
「目線が分かりにくいが、確実にこっちを見ておるな」
「ええ、自の放つ高熱領域に侵してきたので気になっているのでしょう」
人型の生と違い、白目が無く目線が無いためどこを向いているのか分からない。しかしフレアハルトたちは、アリが首ごと二人を見定めているため見られているとの印象を持った。
「これだけ距離が離れていても中々強力な熱波が伝わって來るな。アリはく様子が無いが……」
「もしかしたらけないのでは?」
「けない?」
「例えば、あの副腳を溶巖から出すと、今まで充填した魔力が霧散してしまうとか。可能の一つですが」
「なるほど、それは的をているかもしれんな。じゃあ襲っても來ぬようだし、この距離ではまだ攻撃もしてこない。ならば試しにこちらから先に仕掛けるのも良いな。剣でも投げ付けてみるか?」
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『じゃーん!』という合に持ってきた剣複數本を広げて見せる。
「ど、どこから持ってきたのですか?」
「本當に剣がドロドロに溶けるか興味が湧いてな、十本ほど借りて來た。というわけで、本気で投げてみる。我らの渾の力で勢い良く投げれば溶ける前に刺さるくらいはするかもしれぬぞ?」
「借りて來たと言うか、それはもう実質貰って來たに等しいのでは? 投げたら溶けるわけですし」
「まあ、あちらも了承済みだ。では投げるぞ? フンッ!!」
宣言通りフレアハルトが兵士から借りて來た剣を、地上で佇たたずんでいた赤アリに向かって渾の力を込めて投げ付けた!
超スピードで赤アリに向かう騎士団用達の剣。
レッドドラゴンの竜人形態で投げられた剣の速度は六百キロを超え、赤アリに到達する直前、剣が激しいを放ち大量の火花が散る! 投げ付けた剣が凄い勢いで溶けているのだ!
そして赤アリにぶち當たり、溶けた銀のが赤アリの側面を流れ、後方へと伝わり勢いよく飛び散って行った。
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「お? 刺さったか? スピードがあれば溶ける前に刺さるのだな」
「……いえ、刺さってないようですよ? 激しいを上げて飛び散って行くのが見えました。主な部分は赤アリに當たった瞬間に溶け落ちたようです」
刺さったかのように見えていたが、実のところ赤アリに屆く前にドロドロに溶解し、到達した頃には刺さらないほどらかくなっていた。
「溶けた? 鉄で出來た剣がか? あり得ん……あれはもう我らの使う【フレアブレス】の熱を超えてるぞ? なぜ常時あの高熱を放って平気でいられるのだ……」
「平気でいられる理由は分かりません。ただ、あの赤アリ、剣が當たった瞬間うずくまったので相當痛かったようですよ。流石にドラゴンの力で投げられれば刺さらずとも、溶けた金屬がぶち當たるみたいですね」
「ダメージは與えられたということか? じゃあお主も五本持て。続けざまに全部投げ付けるぞ。それとこれも試しておくか。ちょっと剣を持っててくれ」
九本の剣をフレイムハルトに一旦預け、フレアハルトが自の腕からウロコを剝がす。
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拳で打ち付け槍の形に形した。火の國で砂賊相手に使ったものと同じ、自のウロコを形して槍にする方法だ。 (第400話參照)
「それも投げるのですか?」
「火に強い我らのウロコなら燃えないかもしれんと思ってな。では行くぞ!」
二人で殘り九本の剣、そして一本の竜燐の槍を構える。
「おりゃおりゃおりゃおりゃ!」
「それ!それ!それ!それ!それ!」
二人の手により九本の剣が連続して飛んで行き、全てが赤アリに當たる直前に激しいと火花を散らして溶ける。しかし投げた時の勢いは殘っているため、金屬質のが次々とぶち當たる。
そして最後に投げる槍を殘し、うずくまった赤アリのに狙いを定める。
「最後に我特製の竜燐の槍だ、喰らえ」
勢いよくを反らせ腕を引き、剣の時より更に力を込めて投擲とうてき。
竜燐の槍は赤アリの放つ熱のバリアを押しのけ、へと一直線に向かっていく!
が、赤アリは咄嗟にをかし、槍は左腕に刺さった。
「には當たらんかったか……だがやはり我らのウロコで作った武は燃えぬようだぞ? ……しかし、これだけの本數投げたのに全く避けようとせんな。やはりけぬというのは正解らしい。もっと持ってくれば良かった。今からウロコで槍を量産するか? 遠距離から攻撃するだけで勝てるかもしれんぞ? 【インフェルノ・ブレス】の出番は無さそうだ」
「しかし、何か様子がおかしいですよ?」
「ギシャアアアアアアァァァァァァ!!!」
蟲が放つ聞き慣れない音を包した咆哮。同時に強力な熱波が放たれた!
「ヤバイ、怒ったようだ。どんな攻撃をされるか分からん、一旦上空へ逃げるぞ」
退避のために上空まで急上昇。
その直後に『ドォォォン! ゴゴゴゴゴ……!』という発音、直後に激しい上昇気流が巻き起こる。
「ぐっ……」
「くっ……凄い気流ですね……」
……
…………
………………
數十秒ののち、強い風が収まる。
「収まったようですね……」
「!!? おい! 下を見ろ!」
地上を見て二人が唖然とする。
「……あ、兄上、これはどういうことですか……?」
「………………」
地上は赤アリを中心に、溶巖の海が拡大していた。
赤アリが地上を広範囲に溶かし、ドロドロの溶巖地帯へと変えてしまったのだ!
「赤アリはどこへ行った? まさか自したのか?」
二人は退避に専念していたため地上を見ていなかった。
その時地上では、大規模な発が起こり、アリの周囲に存在していた巖山や砂山などが吹き飛んで全てが溶巖の海に変貌。
カゼハナで最も隆盛を誇っていたジャイアントアントの巣のあった場所は跡形も無く焼失……前述通り既にドロドロの溶巖地帯と化している。
先ほどフレアハルトや風の國騎士団が駐屯していた場所も既に溶巖地帯に変貌している。もしもここに風の國の者が一人でも殘っていればその者は確実に消滅していたであろう。
距離にして半徑一キロほどが溶巖の海に変わった。
「いえ、殘念ながら……あそこにいます」
「い、今のは自ではないのか……? 何なのだアイツは……もはや蟲の域を超えているぞ……こ、これは早く倒さんとどんどん溶巖の海を増やされてしまうな……今の発、司令本部は大丈夫だろうか?」
「あ、でも見てください兄上! 赤アリのから輝きが薄らいでますよ!」
先ほど煌々こうこうとるをしていた赤アリのは、今は薄っすらを放つ程度にまで輝きが減退していた。
「今の発で魔力を消費したからでしょうか?」
「ちょっと待て! 何かやってるぞ?」
「左腕を……引き千切った!?」
赤アリは、フレアハルトが放った槍の刺さった左腕を投げ捨てる。
「片腕で我らと戦うつもりか?」
「いえ……再生していきますね……」
「周囲の魔素から腕を再生しているのか? アレは我ら以上の魔力食いだぞ。たかがアリごときがまさか霊のような質まで獲得しているのか? アレは本當に蟲に分類される生なのか?」
「もはやドラゴン以上の生と言えるかもしれませんね……」
如何に魔力を糧とするレッドドラゴン族であろうとも、周囲の魔素から自のを再生させるまでには至らない。
この赤アリはそれを可能としており、一部霊と類似する質を獲得していた。
「だとすると再生される前に殺し切らなければならんということだな」
「しかし今の魔力消費によってのが収まったということは、自までまた三十分以上の余裕が出來たということではありますが……」
……
…………
………………
ここで二人同時にと・あ・る・事実に気付く。
「…………一つ思い違いをしている可能に気付きました」
「……奇遇だな、我もだ。言ってみろ」
「あのアリ、もしかしたら許容量いっぱいまで魔力を溜めても自しないのではないでしょうか?」
「我も今の魔力放出を見て同じことを思った」
「『自しない』ということは、『死ぬことがない』、つまり……充填さえできる環境ならさっきのより遙かに強力な発を“何度でも”起こせるということになりませんか?」
「そうなるな。しかも、ある程度魔力充填が進むと、ヤツの周囲の溫度が高溫になり過ぎて、火に強い我らのような特定の生以外は近寄ることすらできなくなる。攻撃のために魔力を充填しながら、自を守る壁まで作ってしまえるのだからな」
「攻撃と防を同時に可能とは……ますます放っておけない理由が出來ましたね。アレを野放しにすれば、魔界全土がアリに乗っ取られるどころか、焦土に変えられてしまうかもしれません」
「ああ、今ならヤツの周囲の溫度も下がっただろうし、また魔力を溜められる前にさっさと倒すぞ!」
上空での會話が終わり、地上へ振り返るとそこに赤アリはいなかった!
「いない! どこへ行った!?」
「わ、分かりません!」
『魔力の充填のため“絶対に”かないであろう』との先観を抱いていた二人は、數秒目を離した隙に突然消えた赤アリに度肝を抜かれる。
急いで魔力知を開始し、場所を特定。
「兄上! 上です!」
フレアハルトの頭上より魔力を知。どういうわけか一瞬でフレアハルトの頭上まで移してきていたのだ!
既に自の頭上で両手を組んで攻撃勢にっている赤アリ。
赤アリの攻撃直前、一瞬早くフレアハルトが気付き、赤アリを見據えるも、時既に遅し。赤アリのダブルスレッジハンマー (※)がフレアハルトの脳天へと振り下ろされる。
(※ダブルスレッジハンマー:自の頭上で両手を組んで相手の頭部へ打ち付ける技の名稱。詳細は後書きへ)
『バキキッ』という音ともに、超スピードで溶巖の海へ真っ逆さまに落下していくフレアハルト!
巨大な水しぶき……否、巨大な溶巖しぶきとも形容できる火柱を上げ、溶巖の海へ叩き落された。
「兄上!」
赤アリは、帝蟻のために風の國一団を全滅させることを最優先に考えていたが、魔力充填し目的を達するためには先にこの二人の敵を始末する必要があると考え、優先順位を魔力充填から二人の処理へと変更していた。
「くっ、一瞬でどうやってここへ!?」
※ダブルスレッジハンマー
ドラゴンボールを知ってる方ならベジータが空中でよくやるやつと言えば分かるでしょうか? (笑)
作中でしょっちゅうやってるのを見ます。敵を空中へ蹴り上げてからのダブルスレッジハンマーで叩き落すやつ。
ちなみに、『ダブルスレッジハンマー』でGoogle検索しようとすると、予測検索に『ダブルスレッジハンマー ドラゴンボール』と表示されます (笑)
次回は5月13日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第470話【vs赤アリ その2】
次話は來週の月曜日投稿予定です。
が、依然ストックが厳しい狀況ですので、投稿できなかった場合は來週の木曜日になります。この狀況はもうし続いてしまうと思いますが、よろしくお願いしますm(__)m
人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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