《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第475話 世界中に出現したジャイアントアント その3(水の國、火の國の狀況)
■水の國アクアリヴィア・リップル海岸――
水の國の空間魔師サリーの転移魔法によって、潛水アリの上陸が確認されたリップル海岸を訪れるレヴィアタン。
「うわ……結構な數じゃない?」
「四十から五十と報告にありましたね」
「もうちょっと居そうだけど?」
既に海岸から上がって町の方へ行ってしまった潛水アリもいた。
「ま、まだ海岸を上がって來るアリがいますね……お、お一人で大丈夫なのですか?」
「ん~……問題無いんじゃない? じゃあとりあえず私の目にったやつから処理しちゃおうか。水場に出現したのは間違いだったね。私は水の魔王だから水場で最も力が上がるしね」
海岸で列をして上陸してくる潛水アリに向かって、水のレーザーを橫に一閃。
次の瞬間、まだ海岸に上がり立てだった潛水アリ二十匹ほどのの上半分が上空へ吹き飛び、レーザーが當たった後方の波間に巨大な水しぶきが上がる。
レヴィアタンが放した超高水圧の水によって分斷されたのだ。
「おお……素晴らしいです……流石レヴィアタン様!」
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帯同していたサリーが嘆の聲を上げる。
「さ、二十匹くらいは駆除できたでしょ。次は町の方へ行ったやつを処理しちゃおう」
町へ著くなり、既に侵していた潛水アリを次々と水球の檻に閉じ込めていく。
アリは、どうにか水球から出しようと中でもがくものの、レヴィアタンが対流までコントロールしているのか、その場でグルグル回るのみ。
「何で閉じ込めるんですか?」
「だって、さっきの水のレーザーなんか使ったら、町のヒトも建も分斷しちゃうかもしれないでしょ?」
「た、確かに……それで、閉じ込めた後どうするのですか?」
「圧し潰す」
「ど、どうやって?」
「水球の水圧を上げていく。じゃあ試しに水深五百メートルってところでどうかな?」
水球の中の潛水アリに変化は無し。
「五百程度じゃ全然ものともしないってわけか。じゃあ一気に十倍の五千メートル行っちゃおうか」
水球の水圧が突然十倍になったことで、潛水アリの外骨格が軋み側へ側へと折り畳まれていく。數秒ののち水球をアリ自ので白く汚し (※)、圧死。
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(※アリの:チャットGTPによると明、もしくは白いそうです)
「な~んだ、海から這い出て來たからもっと耐えるかと思ったけど、この程度が限界なのね」
潛水アリとして進化してはいても、元々のベースのジャイアントアントは海底の水圧に耐えられるような構造をしておらず、それに加えてあまりにも巨大な軀たいくをしているため外骨格に隙間が多く、一気に水深五千メートルもの水圧に変化させたため耐えることができなかった。
「さて、殘りの町に行ったヤツらも倒しちゃいましょうか」
レヴィアタン一人の力で、リップル海岸・およびその近隣の町の潛水アリは全て駆除された。
そして殘った水球だが……中には當然死骸が殘されている。
「この死骸はどうするんですか?」
「海へ捨てて魚の餌にでもしちゃいましょう」
そう言うと死骸のった水球に近付き――
「よっ! ほっ! それっ!」
――という軽快な聲を出しながら、水球を次々海のある方の空へ蹴り上げていく。
こうして潛水アリの水球は、全て海の彼方へと蹴り飛ばされた。あとは海の生が掃除してくれるだろう。
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「よし! 終わり! じゃあ帰ろうか。お城まで空間転移お願いね」
「かしこまりました」
この後、リップル海岸と近隣の町の潛水アリは魔王レヴィアタン一人で制圧。トリトナ港の方は騎士団により沈靜化された。
◇
■火の國ルシファーランド・屬國フラメラ國東にある港町――
政府軍がジャイアントアントの討伐に乗り出すまでの時間稼ぎをする反政府組織『宵の明星』のメンバー。
港町の住民は、『宵の明星』メンバーの手によって救い出される者がなくなかった。
「この區域はしばらくは大丈夫そうだな」
「おい! 政府軍が派遣されて來た! 俺たちはすぐ退散するぞ!」
政府軍に面が割れているメンバーはここに留まるわけにはいかなかった。
特にフードを被った砂の霊・サンドレッドはその特異な生態から、火の國政府には要注意人とされていたのである。
「では、引き続き潛伏の方をよろしくお願いしますね。私たちは不測の事態が起こった時にけるように、しの間ここから見えるあの高臺に潛伏します」
サンドレッドが、現地潛伏メンバーにそう言い殘して港町を去る。
◇
町を去った後、町並みを見下ろせる高臺に潛伏。
港町はまだ沈靜化していないため、もしもの時に駆け付けられる狀態を保っていた。
メンバーの一人が雙眼鏡で高臺から様子を窺っていると――
「ん? 空間転移魔法か?」
港町り口に転移魔法による空間の裂け目が現れた。
その中から出て來た人に驚く。
「…………おい! あいつルシファーじゃないのか!?」
「ルシファー!? 魔王のか!? ちょっと貸せ!」
別のメンバーが雙眼鏡をひったくる。
「本當だ……何でこんな辺鄙へんぴな町にまで直接出張って來たんだ……?」
「屬國フラメラは反政府活が盛んですから、潛水アリの駆除と、そのついでに取り締まりにでも來たというとこでしょうか」
「しかし、あのルシファーが地方屬國の駆除要請に、わざわざ自分で來るとは思えないが……『傲慢』の大罪だぞ? あいつがこういう面倒ごとを自でくことなんてほとんど無い。自分に利益がある時くらいだ」
「あ! アリが飛び出してルシファーを襲いましたよ!」
雙眼鏡で見ていたところ、飛び出してきた潛水アリを一瞬で焼き殺した。
「本當に駆除に來ただけなのか?」
反政府組織レジスタンスメンバーがそう思った矢先――
「でもちょっと様子がおかしいですよ? 港町にって行った政府軍が全員町から出てきました」
「全員? アリはもう駆除し終わったのか?」
雙眼鏡で町の中を見渡すと、
「いや、まだまだ暴れてるアリはいるぞ?」
「どういうことだ? 町を見捨てるということか?」
「だとしても、あれって多分ジャイアントアントの亜種ですよね? あれだけ巨大な生を放っておいたら周囲にも影響があるのだから、國が放置するはずが無いと思うんですけど……」
この場に居る全員が、軍を引き上げたことを疑問に思い、その考察をしている最中さなか、突如港町全が炎に包まれた!
「「「えっ!?」」」
「「「なにっ!?」」」
「何だ? どういうことなんだ!? なぜ町が炎に!?」
◇
港町が炎に巻かれた時からし時間を遡さかのぼり、ルシファーサイド――
「なぜわざわざ自らアリごときの駆除に乗り出すのですか?」
普段自でくことはないルシファーが突然潛水アリが発生した港町へ赴くと伝えられたアルドリックは、普段絶対に起こさない行を疑問に思い訊ねる。 (アルドリックについては第414話參照)
「なぜそれをわざわざ貴様に言わねばならんのだ? 俺は俺の考えでく。おい、巨大なアリが出現したという港町まで早く送れ、そこから別のところへ広がったら面倒だ」
空間魔師にそう言い捨てる。
「か、かしこまりました」
そして首都アグニシュの王宮から屬國フラメラの港町へと空間転移魔法で移。
「既に戦火が……現地の駆除隊は到著しているのか!?」
ルシファーに帯同していたアルドリックが駆除隊の派遣の有無を確認。
その直後、港町のり口付近から潛水アリの一がルシファー目がけて突進してきた。
「ふんっ、目障りだな」
ルシファーはそれを意にも介さず、飛び出してきた潛水アリの頭にれる。その瞬間から炎を噴き出し灰だけを殘して焼失した。
「この港町全にこのようなのが大勢居るのか?」
「お、恐らくは……」
「面倒だ、政府軍を全軍撤収させろ。俺が始末を付ける」
「りょ、了解しました」
◇
政府軍が引き上げていくのを見た港町の住人たちは――
「ど、どういうことなの!? 巨大アリはどうするの!?」
「おい! 俺たちを見捨てるのか!?」
その聲を聞いた政府軍は、
「申し訳ありません、上からの命令ですので。しかし悪いようにはしないと思います。ここら辺はもうしばらく安全だと思いますので、作戦が決まり次第ここへ帰ってきますので」
と誠意をもって返す。
「本當か!? 本當だろうな!?」
「はい、必ず」
そう言い殘して政府軍は港町を出る。
この時點で、多くの兵士たちは効率的にジャイアントアントを処理する何らかの作戦を伝えられ、ここへ戻るのだと信じていた。
◇
そして、全軍の撤収が終わった後――
「全員撤収し終わったな」
「はい」
「では――」
直後に港町全が巨大な炎に包まれた!
町全から多數の悲鳴が上がる。
「なっ!? 何をやってるんだレオナリオン!!」
アルドリックが、思わずルシファーの元の名をぶ!
「貴様! なぜ港町ごと焼く必要があるのだ!?」
「多數の潛水アリがまだ殘っている、そしてこの港町は反政府組織レジスタンスが拠點の一つとしている可能が濃厚だ」
「だとしても! ここには無関係の人々も大勢住んでいるんだぞ!?」
「害蟲を駆除できて、反政府組織敵まで葬り去れるのだ、一石二鳥ではないか。それよりも……以前俺に口答えするなと言ったはずだったな? さもなくば消し去ると」
「ぐっ……」
その後、アルドリックは口を噤つぐむ。
そして心の中でこう呟いた。『レオナリオン……お前はもう本當にダメということなんだな……』と。
アルドリックはここで何らかの意志を固めることになる。
この慘狀を目にしていた政府軍兵士たちの間にも、ルシファーに対する不信が広がった。
◇
そして場面は再び港町を見下ろす『宵の明星』たちの居る高臺に移る――
「な、何が起こったんだよ……」
「何で突然炎が……?」
その直後、高臺に一人の影。
「くっ……」
高臺に著くなり倒れ込んでしまった。
その者は港町から逃げてきた反政府組織レジスタンスメンバーの一人だった。
全灰と煤すすだらけで、ところどころ火傷も負っていたが、命からがら高臺に辿り著いた。
「どうしたんだ!?」
「ル、ルシファーが巨大アリ討伐に來た兵を引き上げせ、全員退避の後突然町全を炎で囲みました……」
「港町そのものを燃やすなんて……」
「あそこには拠點の一つが……それに組織のメンバーも……」
突然町全に火を放つという暴挙を目にし、言葉を失うメンバー。
「こんな方法を使って反政府組織レジスタンスを潰しに來るなんて……」
結果として、火の國に侵攻してきた潛水アリは全滅されたものの、港町一つが焼失するという大慘事が引き起こされた。
この港町の大火は、多くの者に不信を生み、後世で火の國ルシファーランドの歴史的な転換點の一つになったであろうとの研究がなされることになる。
楽しそうに水球を蹴り飛ばすレヴィアタンとは対照的に、大慘事で茫然とする火の國の面々……
ルシファーについても今後描きますので行く末をお待ちください。
次回は6月3日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第476話【世界中に出現したジャイアントアント その4(アルトレリアの狀況)】
次話は來週の月曜日投稿予定です。
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