《ダンジョン・ザ・チョイス》697.苦悩を噛み締めて
「ハァーぁ、まだ眠い」
早朝、大きなあくびをするサンヤ。
「さて、ここからが鏡の城の後半戦か」
全が鏡で出來た城のような場所だが、鏡の迷宮殿に比べると綺麗で、淡いを放っているように見える。
「昨日の幻とは違った意味で、また混する場所だな」
「メルシュさんの言うとおり、ここで屬の攻撃は避けてくださいね」
「“線拳銃∞”がメインのノゾミに言われてもね~」
サンヤ、隨分リラックスしてるな。「なんとかっす!」て言わないのがその証拠。
「なんか出たな」
淡いの玉に、の手が隨行している?
「“フォトン・ゲイザー”です!」
そう言うなり、ノゾミが前に躍り出た?
「――“熾天使化”」
“フォトン・ゲイザー”が線を放ち、それが鏡に當たって反――ノゾミが自分を盾にして防いだ!?
“熾天使化”したら屬単一の攻撃が効かないとはいえ、無茶をする。
「“墮天化”」
纏う白の羽の翼を黒く染め、チャージした“線拳銃∞”から放たれた“魔力線”までもが黒い。
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私をオカマから救った攻撃もアレか。
「フー……じゃあ、進みましょうか」
「ああ」
「あんがと、ノゾミ」
「助かりました」
「いえ、どういたしまして」
暫く鏡の一本道を進むと、初めて鏡でないプレートを見付ける。
「サカナ、これはなんだ?」
「ネレイスと呼べとあれほど……クッ! そのプレートは、正しい道順ですの!」
「道順?」
「目の前の部屋を、鏡の柱を頼りに道順通りに進んで、り口から出る。それで初めてここを抜けられるんですの」
謎掛け要素は意外と久し振り。
「プレートの絵は、真上から見た図かぁ……判っちゃえば簡単そうじゃん。この二つの丸が柱っすよね~」
サンヤが一人で行ってしまう。
「……普通に戻って來たっすよ?」
「じゃあ、失敗ね」
「ええ? ちゃんと通ったつもりだったのに」
「全部鏡で出來ているから遠近が狂う上、フェイクの柱まであるんですの。視覚に頼るとクリアは難しいんですのよ」
楽勝かと思ったら、意外と難関。
「フェイクの柱? 円柱は二つしか無いようですが」
目が見えないクオリアが、なんてこと無いように発言。
「分かるのか?」
「はい。先程サンヤ様は、円柱の手前を曲がって戻ってきました。道順はあれで合ってます?」
「ええ、おそらく合ってますの」
「クオリア、先導を頼む」
「分かりました」
「念のため、手を繋いだ方が良いかと」
レミーシャの提案で、七人で手を繋ぐことに……なんか恥じかしい。
「あ!」
道順通りに部屋を出ると、いきなり真っ暗に!
「気を付けて! この先は一対一の戦闘です!」
レミーシャのびの直後、再び鏡の部屋の中で佇んでいた。
「一対一……そういう事か」
私とまったく同じ姿、裝備のが目の前に現れる。
「お前が、滯在ペナルティーで戦う“ドッペル”か」
《お前を殺して、私が本になる》
「偽という自覚はあるのか。面白い」
自分と戦うという行為には、し興味があった。
「行くぞ!」
“終わらぬ苦悩を噛み締めて”に九文字刻み、斬り掛かる!
「なに!?」
コイツの“終わらぬ苦悩を噛み締めて”にも、九文字が刻まれているだと!?
まさか、“ドッペル”が神代文字まで使えるとは!
《“吹雪魔法”――ブリザードトルネード》
「“逆さ立ち”!」
重力を逆さにし、天井に急速落下して避ける!
「“超噴”――“業王腳”!!」
《“瞬足”》
チ! さすがに、攻め方が大雑把すぎたか。
《直線的だな。攻撃の組み立ても雑そのもの。なにを焦っているんだ、リューナ?》
「私を気安く稱で呼ぶな、偽」
《私は、お前よりも強いのにか? ――“神代の剣影”》
剣に十五文字刻んだだと!?
「クソ!」
青白い剣の鞭を、後退しながら避け続ける!
コイツの能力……私にできることは、全て奴にも出來ると思った方が良いか!
《ハイパワーフリング――“散弾化”》
「ハイパワーフリング――“巨大化”!!」
奴の“自在玉”の範囲攻撃を、巨大化した“自在玉”で防ぎきる!
「スー――オールセット2」
左手にもう一振りのシャシュカ、“青き月で雪原を照らせ”を握って二刀流に。
《くだらぬことを》
「どうした、お前も裝備を変えれば良いだろう」
《……》
コイツ、コピーした狀態の裝備以外は持っていないのか?
なら、案外どうとでもなりそうだな。
「“六連瞬足”」
《“心霊”――ポルターガイスト》
“散弾化”した“自在玉”をって――おい、私が使ったことない戦だぞ!
“終わらぬ苦悩を踏み締めて”に十五文字刻み、加速してできる限り避ける!
「――クロススラッシュ!!」
《“六連瞬足”――“吹雪剣”、ブリザードブレイド!!》
躱された上に、背後に回り込まれて――
「――“瞬腳”」
橫加速で、余波の冷気を腕に浴びるに留める!
「“稲瞬跳”!」
《“疾風迅雷”》
刃は惜しくも屆かず、距離を取られた。
「“吹雪魔法”――ブリザードバーン!」
地面を凍らせる!
《「“空遊”」》
互いに空中戦へと移行――激しい剣戟へと発展! 毆打もえ、しずつダメージを蓄積しあう!
《パッチンラップ》
に衝撃が走り、きを止められてしまった!
《さようなら》
「――“幻影”ッ!!」
間一髪、幻影で避け切る!
「“衝腳”!!」
蹴りは腕でガードされるも、距離は稼いだ!
「“神代の剣”――“二刀流”、ハイパワーブレイド」
《“神代の剣”!!》
巨大化した刀を振り下ろすも、ギリギリでけ止められてしまう――が。
「ポルターガイスト」
二振りのシャシュカを、武のエネルギーを維持した狀態で固定。
「“三連瞬足”」
《しま!?》
腳に刻んだ神代文字より練り上げた力を込めて、掌底を腹部に叩き込む!!
《――がハッ!!》
「裝備セット3」
シャシュカを消し、“ウランナイフ”と“軽量のコサックダガー”の二刀流で、偽の全を切り刻む!!
《――ククク!! 酷いな。そんなに自分が憎いのか?》
眼球が黒く染まって……本を顕わにしたか。
「――まあな」
人を殺しまくった事を、後悔していないわけじゃない。
「だが――全部背負って、行けるところまで行くと決めたんだ」
コセと、行けるところまでならどこまでも!!
《偽善者め――》
顔面を蹴り抜いて、首をへし折り……殺した。
「……フ! 自分を殺すって言うのは、なかなか悪くない」
決別したい自分が居るならな。
“ドッペル”が消えたのちに現れたしい鏡を通り、ポータルが置かれた安全エリアで皆を待つことにした。
○“苦悩を噛み締めて”を手にれました。
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