「――“竜砲”」

竜王の霊山の廃虛にて、パーティーが四方八方に散った狀態でドラゴン狩り。

「狙いのスキルは手にったか、クリス？」

「メグミぃ、今のは“ワイバーン”でぇす」

「なんだ、外れか」

私達が狙っている“竜腕”、“竜腳”、“竜尾”、“竜翼”、“竜気”のスキルカードはドラゴン系のモンスターが落とすらしいが、ワイバーンは何故か対象外らしい。

「というか、競馬村の突発クエストで、結構な數を手にれたと聞きましたが？」

カプアの言葉。

「一応、異世界人分は揃えるつもりで集めるんだとさ。他にしいのもあるみたいだけれど」

「なんとかの竜核っていうのと、“王竜”のサブ職業ね。稀に竜王っていうモンスターが、“竜魔法”と“竜技”のスキルカードを落とすそうよ～」

リンピョンとサトミの會話。

「ウララ、竜王って見た目で判るか？」

「ええ。竜王はフレイムドラゴン、ウォータードラゴン、ウィンドドラゴン、サンダードラゴン、アイスドラゴン、メタルドラゴン、ライトドラゴン、ダークドラゴンの上位種の総稱で、司る屬によって○○キングドラゴンと呼ばれます」

オリジナル経験者のウララに尋ねたら、凄い饒舌に語り出した。

「竜王は先に挙げたドラゴンより數回り大きく、見た目も筋質になります。ただ、出現數はあまり多くなくて。私も苦労しました♪」

「楽しそうだな、ウララ」

私は、さほどゲームはやったこと無いからか、ウララの覚はよく分からない。

「……おい、アレは結構デカそうだぞ？」

バルバの視線の先から――巨大な顎で捕食する気満々で突っ込んでくる巨竜の姿が!!

「“竜砲”!!」

――掠っただけで避けられた！

「せっかくの獲、逃がしてたまるか！　裝備セット３――“超噴”!!」

“クリムゾンバーニアスラスター”を裝著し、その効果で急上昇!!　竜王を追う！

「速いな――」

それにしても、からしてフレイムキングドラゴンなんだろうが……の左右の形が、けっこう違って見える気が？

『――ガアアアッｆｂｈ!!』

急反転して、炎を吐いてきた!?

「――“高潔の仁王立ち”!!」

翠の鎧、“泰然なる高潔の仁王立ち”の能力で翠のオーラを纏い、ダメージを半減――炎を突っ切って頭上を取る！

「“竜砲”――“連”!!」

いきつかせぬ程の砲撃を放つも、ほとんど避けられてしまう！

「コイツ、速い上にい！」

ドラゴンだからか、“竜砲”があまり有効打になっていないのか？

一発で、ウィンドドラゴンやワイバーンを仕留めれる威力があるはずなのに。

「――“高潔竜の雄び”!!」

発中、竜屬の威力をランダムに數倍にする効果を発！

この能力は強力な分、燃費が悪い――一気に仕留めさせて貰うぞ!!

「“豬突猛進”!!」

パワーアップした“竜砲”によるダメージできが鈍った瞬間、直線狀に急加速――腹部に直撃させる!!

「“竜武”――ドラゴンブレイズ!!」

右腕の“泰然なる高潔竜の雄び”を力の限りぶつけ、紅の爪を抉り込ませた!!

「――ガふッ!!?」

紅の手が……私の腹部を背後から貫いている……だと？

「――“竜王剣”ッ!!」

青緑の剣を呼び出し、刺さった手を背後で切り裂かせる！

『ググギギギュギギけｙｃｇｈ５ッ!!』

コイツ……私を嘲笑っているのか？

「なめるなよ――“竜砲”――――“連”ッ!!」

“高潔竜の雄び”で一から四倍の威力となる“竜砲”の連続砲撃を、左腕の“ドラゴンの顎”から腹の傷口へと――何十発も叩き込むッ!!

新たな手數本を掻い潛りながら、必死に攻撃を浴びせていく!!

……朦朧としながらも神代文字の力を六文字分込めているっていうのに、まだ倒しきれないのか……。

が、口から垂れ始め……これは、もうダメか――――ふざけるな。

「ま……だ――私は死ねないッッッ!!　――力を貸せぇぇぇッ!!」

このまま死ぬくらいなら、この怒りのままに貴様も地獄へと連れて行くッ!!

右腕の“泰然なる高潔竜の雄び”に十二文字が刻まれ――――“泰然なる高潔神竜の激昂”へと昇華!!

「――“神代の激昂”」

竜の爪盾から放たれた巨大衝撃波により、フレイムキングドラゴンが吹き飛んで派手に落下。

「くたばれ」

十二文字分の力を集約した“竜砲”を“連”し、今度こそ……タフな赤竜を滅ぼし盡くした。

「――ハアハア、ハアハア」

神代文字を解除した途端、止まっていた呼吸が急速に働き出す！

「ハアハア、ハアハア……あれ？」

私を貫いていたはずの手も、貫かれたはずの傷もなくなっている？

「私のに……何が起きたんだ？」

●●●

「ここか」

午前でスキルカードを集め終わった俺は、俺とジュリー、メグミの三人で空の地下四階と五階の間にある……赤味の強い朱の社のような場所へとやって來た。

「それにしても……“竜化”に、皆がここまで興味無いなんて」

ジュリーが嘆いている。

今のところ、俺とメグミくらいしか“竜化”を修得する気が無いらしい。

獣人組は、當たり前のように“獣化”を修得していたのに。

「來るよ」

社に祀られた青い寶玉が輝き、俺達三人の前にが飛んでくる。

○“竜の奧の印”を手にれました。

「これが、異世界人だけが手にれられるアイテムか」

「このアイテムを所持するだけで、“竜化”のスキルカードを作製可能になった。あの強力なサブ職業も」

ジュリーの本命は、おそらく後者。

「サカナが使っている、“霙王竜”と同格のサブ職業が作れるんだっけ？」

メグミがジュリーに尋ねる。

「“王竜”のサブ職業に竜核を用いると、屬付きの竜技と竜魔法を使えるサブ職業になる。けれど、この印があれば、二つの竜核を同時に合し、“霙王竜”のような三屬サブ職業を生み出せるんだよ」

偶然手にれた“霙王竜”は、水と氷と竜の三屬。

《日高見のケンシ》のミキコが持つ“焱王竜”は、火と土と竜屬らしい。

《白面のケンシ》のレイナさんは、と星と竜の“晄王竜”だっけ。

「カナが使っている“暗澹竜”は、三十三ステージのボス戦で手にれた“暗黒の竜核”と“王竜”の合で作られた」

「そう言えば、あの時手にれたアイテムは、よく分からなくてメルシュに丸投げしてたな」

あの頃は離ればなれになっていたのもあって、あんまり詳しく教えられなかったし。

「“蝕まれし竜核”は星、“狂気の竜核”は霊、“褪せた竜核”は古代、“炎の竜核”は火、“瀑布の竜核”は水、“大嵐の竜核”は風、“雷走の竜核”は雷、“氷雪の竜核”は氷、“鉄塊の竜核”は鉄、“輝の竜核”は、“暗黒の竜核”は闇屬を付與する」

ジュリーがチョイスプレートを作しだした？

「はい、メグミ」

彼が差し出したのは、カードと青いメダル。

「これは？」

「“竜化のスキルカード”と、雷と風を司る“凰王竜”だよ」

「ありがとう、ジュリー。じゃあさっそく」

スキルカードを使用するメグ――ミが苦しみだした!?

「が……ぁあ」

脇腹を押さえている!!

「大丈夫か、メグミ！」

「……ああ、大丈夫だ。晝の傷が疼いたのかな」

メグミが強がっているように見えて仕方ない。

「そろそろ戻ろう」

メグミに肩を貸し、“神の館”へと帰還した。