《ダンジョン・ザ・チョイス》701.第三回大規模突発クエスト・地下エリアの機能を停止せよ

○第三回大規模突発クエスト開催日のお知らせ。

○クエスト開始日時は、四日後の9月1日、午前04:11。

○クエスト終了時間は、9月4日の午前04:11。

「まさか、參加締め切りと同時に開催日の通知とは」

読みが當たっていたな。

「四日後と言っていますが、実質三日ですね」

トゥスカが緑茶を煎れてくれる。

「三日なら、當初の予定通り、五十ステージに留まって々調整した方が良いな」

メグミの調も、し気になるし。

「あ、トゥスカ。コセさん」

貍獣人のカプアが、髪を下ろした狀態で現れる。

「どうかしました?」

「いえ、お風呂頂いたんですけれど、ウララ様達が見當たらなくて」

「二人なら見てませんよ」

それだけ言ってキッチンの方に居なくなるトゥスカ……今、笑ってた?

「……」

カプアが隣へとやってくる。

「カプアさん?」

「……私達って、夫婦ですよね?」

「え? まあ……そうですね」

婚姻の指のために、式は挙げてるし。

「じゃあ、その……責任、取って貰えますか?」

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「…………良いんですか? 責任とって」

「……はい、良いです」

なんだ、この空気

「「…………」」

「もう、そのままベッドに行けば良いのでは?」

トゥスカが盜み見てる!

「あの、さすがに下品じゃ……」

「カプアから、微かに発した雌の匂いがしましたよ」

「ちょ!?」

「ご主人様は、食前にお風呂ってましたし」

うん、もどかしい。

「カプア、俺が責任取っても良いって事だよな?」

「……はい♡」

クールなカプアのデレ顔は、凄い発力!

「よし、行こう」

「キャ!?」

をお姫様抱っこし、廊下側の扉へ。

「お茶は、私が片付けておきますね」

「頼む!」

「あ、あの……」

俺の腕の中で、目をそらしているカプア。

「ダメですか?」

「…………良いです♡」

誰にも見られないよう、カプアを急いで自室に連れ込んだ。

●●●

「――“飛王剣”!!」

神代文字を九文字刻んだ狀態で放った斬撃で、竜王の一を葬る。

○戦士.Lv82になりました。サブ職業セット機能が+1されます。

「ようやくLvが上がったか」

これで、サブ職業のセット機能が三つになった……けれど、サブ職業セット機能ってまず使わないからな。

「殘り二日、今日と明日でもう1Lvくらい上げたいところだけれど」

ドラゴンの経験値は高いらしいから、なんとか間に合うだろうか。

「ご主人様」

地上に戻ると、一緒にドラゴン狩りに來ていたトゥスカに呼ばれる。

「あれ、エトラ?」

トゥスカとメルシュと一緒に、何故か彼の姿が。

「どうしたんだ?」

コトリ達の姿も無いし、エトラ一人で危険な地上に出て來たのか?

し頼みがあって……もし、私の前のレギオンの仲間に會ったら、敵対しないでしいとレギオンメンバー全員に周知して貰いたいんだ」

全プレーヤーが自由に參加し、鉢合わせる可能のある第三回大規模突発クエスト。

生き殘ったかつてのエトラの仲間と、レギオンメンバーが接する可能はなくはないか。

「……もし相手が襲ってきたり聞く耳を持たなかった場合、正當防衛を認めてレギオンメンバーを恨・ま・な・い・。それが約束できるなら周知しても良い」

「それは……」

俺の発言の意図を読み取れたからこそ、複雑そうな表のエトラ。

「ご主人様の提案、どう思います? メルシュ」

「私の分である隠れNPCと使用人NPCには詳しい特徴を教えて、それ以外にはエトラのお願いだけを教える。てのが、一・番・安・全・じゃないかな」

下手に特徴を教えて、エトラの仲間を手に掛ける事を躊躇わないように……という配慮か。

「いや……だが」

「《真竜王國》のメンバーの名前と外見的な特徴、裝備の傾向を事細かに記憶できるなんて、NPCくらいだよ」

エトラの仲間探しに皆の思考を削がれるのは、余計な危険を呼び込む事になるだろう。

「……解った。誰も恨まないと約束する」

エトラは、決して淺慮ではないんだよな。

「私の我が儘を聞いてくれてありがとう、コセ」

「……ああ、うん。どういたしまして」

エトラとはあんまり喋った事ないから、禮を言われる日が來るなんて考えもしなかった。

「……今、誰かの悲鳴が聞こえたような」

トゥスカの不吉な報告。

「コセさん!」

猛スピードでやって來たのは、カプア!

「メグミさんが倒れました! 手を貸してください!」

「解った!」

この狀況、メグミはもしかして……。

●●●

○戦士Lv83になりました。以下から一つを選択して手できます。

●剣極の寶飾剣 ●槍極の寶飾剣 ●転剣極の寶飾剣

●盾極の寶飾剣 ●銛極の寶飾剣 ●斧極の寶飾剣

●棒極の寶飾剣 ●爪極の寶飾剣 ●甲極の寶飾剣

あっという間に二日が経ち、第三回大規模突発クエストの日を迎える。

「なにも、こんな早朝に開始時刻を設定しなくても良いのにな」

をしているルイーサの背後には、レギオンメンバーが全員集結済み。

「聞いてくれ――全員、生きて帰って來るのが第一目的だ。SSランクは二の次。最悪、クエストは失敗扱いでも構わない!」

とは言っても、全員がSSランクを手にれる気満々なんだろうけど。

「コセ!」

モモカが駆け寄ってきた。

「三日後には會えるから、良い子で待っててな」

大規模突発クエスト中、突発クエストが起きないのは幸いだ。二人を安心して殘していける。

「それじゃあ、モモカとバニラのこと、頼んだよ」

「お任せを、大旦那様」

この三日で各々が用意した、AIチップ未使用の使用人NPC達に、モモカとバニラを託す。

「ウサリーレ、モモカとバニラの面倒を見るんだぞ」

『……私の仕事は子守だと思っていないか? ジュリー殿』

見た目、可いのにダンディーな聲だな、ウサリーレ。

「そろそろ時間だよ、みんな」

メルシュの言葉に、全員の視線が俺に集まる。

「三日後には、全員ここに帰って來られるように――行くぞ!」

「「「「おう!!」」」」

○クエスト開始時刻になりました。參加者の一斉転送を開始します。

●●●

転送が終わり、目を開け――

「…………なんだこれ」

ご主人様の、呆然とした聲が耳に屆く。

「凄く大きな建が、そこら中に建てられていますね、ご主人様」

高い建の上から、不思議な街並みを見下ろす?

“多様學區”に似たじがあるの、なんというか……凄く歪な雰囲気と、淀んだ空気の匂い。

「……ご主人様?」

私の言葉に、返事を返してくれないご主人様は珍しい。

「コセ坊、どうかしたのかい?」

「……ここ、東京だ」

「トーキョー?」

「俺が――生まれた國の首都だ……」

「へ?」

こんな穢らしい空気漂う都市が……ご主人様の生まれ故郷?

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