《ダンジョン・ザ・チョイス》702.地下エリアへのり口
「俺が――生まれた國の首都だ……」
高いビルに、ドラマでよく見る警視庁本部庁舎。
それに、向こうに見えるのはおそらく……皇居。
俺達が今居るのは、それらを見渡せるビルの屋上だった。
「まさか……戻ってきたのか?」
「落ち著いて、マスター。街に人っ子一人居ないでしょ?」
メルシュに言われて冷靜になる。
「つまりここは、再現された空間てわけか」
となると、俺達はこれからどうしたら良いんだ?
「この広い場所から、地下へ下りる場所を探さないといけないのか?」
「それなら、もうマップの閲覧ができるから問題ないよ」
「あの、ユウダイ様。彼が、り口まで案してくれるそうです」
聲を掛けてきたナターシャの後ろには、サングラスとヘルメットを付けた男NPCが待機していた。
「ヘリで貴男方を、地下エリアへのり口の一つにお送り致します!」
どうやらこのビルの屋上はヘリポートになっていたらしく、既にヘリが待機していた。
「どうぞ、乗ってください」
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「信用して良いのか、メルシュ?」
「うん、問題無いよ。それより、もうクエストは始まってる。急ごう」
「おい、アレに乗るってどういうことだい?」
「判りませんが、行きましょう」
五人でヘリに乗り込み、ベルトをしたのが合図だったのか、ヘリはすぐに離陸を開始した。
●●●
「……ここ、ディ○ニーランド?」
見覚えのあるマスコットやアトラクションの數々。
転移した先が、世界的なアトラクションパークとは。
「バルバ、案を頼める?」
「ああ、任せろ。こっちだ」
ウララに頼まれたバルバが向かうのは、ディ○ニーランドの象徴的な白いお城。
「懐かしい。配置は違いますけれど、雰囲気は五年くらい前に行ったときと同じです」
楽しそうなウララ。
「英語表記だから、もしかしたらアメリカの方のディ○ニーランドかもな」
「あら、メグミちゃんは詳しいの?」
「いや、テーマパークの類は好かん」
ああいう場所に行って、時間と金を消費する奴等の気が知れん。
「私も、あんまり興味は無いのよね。でも不思議よね。なんで學校の修學旅行って、東京に行ったらディ○ニーランドが必ずと言って良いほど組み込まれているのかしら?」
「東京じゃなくても、旅行先のテーマパークには確実に連れて行かれるな」
半ば強制的に積み立てさせておいて、勝手に容を決められるのが修學旅行か。アホくさ。
「案外、そういう利権絡みとかか」
「二人とも、ディ○ニーランドが嫌いなんですか?」
「「嫌いと言えば嫌い」かしら?」
好きになる要素がどこにあるんだ?
「メグミちゃん、調が悪くなったらすぐに言うのよ?」
「ああ……本當ならクエスト參加を見送るべきだったんだろうが、途中からは抜けられないからな。迷を掛けたらすまん」
今、私の中で起きている現象はおそらく……。
「もう、その時はその時よ♪」
サトミの笑顔に救われる。
周りのくアトラクションにキョトンとしているリンピョンとカプアを放置しているうちに、城まで辿り著く。
「こっちだな」
「ここって、関係者用の口か何か?」
客がらないようなり組んだ狹い場所へとっていくこと數分、鍵の掛かった扉へと辿り著く。
「これ、壊して進んで良いのか?」
「あら?」
サトミの前にが現れ、夢の國に似つかわしくない安っぽい鍵になる。
「私が開けよう」
け取った鍵でドアを開けると……無人の暗い、狹い通路が。
「なんだか、急に不気味になって來たわね」
「カプア、バルバ、後ろを頼む」
「「了解」」
私を先頭に進むと、階段を発見。
長く狹い階段を下り続けて十分ほどが経った頃、ようやく終わりが見えた。
「これって……トロッコ?」
「大人が乗るにはし小さいな」
私がサトミと會話している間にバルバが機械を作し、トロッコがき出した!?
「地下エリアへの口はこの先だ! 乗れ!」
まだり口にすらたどり著けてなかったと?
各々、さっさとトロッコに乗り込む。
「どうしたんだ、クリス?」
背後のトロッコに乗る彼に聲を掛ける。
「……世界中のテーマパーク、子供攫いの恰好の場所、聞きまぁした。たぶん、この施設は……」
「ああ。DSの下部組織が用意した、子供の輸送ルートだろうな」
それらのルートをわざわざ大規模突発クエストの舞臺モデルとしているのなら……。
「この先の地下エリアは、まさしく現代の地獄……そのものだろうな」
○○○
「ええっと……エプ……エプスタイン……アイランド? で読み方で合ってる?」
掠れた看板の英語を、なんとか読み解くアヤナ。
「ああ、たぶんそれで合ってる……それにしても、あの殘非道で有名なエプスタイン島に飛ばされるとは」
気がついたら、この島の海岸にいた私達。
「ルイーサが知ってる島なのか?」
ザッカルに尋ねられる。
「直接來たことはないよ。なにせ、この島は世界中のセレブや政治家達が集まる最悪の島と呼ばれていたからね」
「なにがそんなに最悪なんだよ?」
フェルナンダに案される道中、ザッカルの質問に答えることにした。
「エプスタインという數學者が買い取ったこの島には、世界中で攫われた子供が集められ、セレブ達のみものにされたという話があってね。公表されている報はだいぶオブラートに包まれていたけれど、実態は想像を絶する悍ましさだっただろうな」
ルーカスのモモカに対する執著をヒビキ達から聞いた今なら、そういう人種が存在するという事実を嫌でもけれられる。
「フェルナンダ、地下エリアへのり口は?」
「この先にある屋敷の地下から、潛水艦に乗り込む必要があるらしい」
「潛水艦て……」
「ハ○ウッドのアクション映畫かよ」
どこまでがリアルと同じなんだか。
「ルイーサ、ここいらにモンスターの気配はねえ。ちょっと急ごうぜ!」
ザッカルからの提案。
潛水艦の中なら、特にやることもなく休めるか。
「よし、走るぞ!」
この先で見せられるかもしれないへの恐怖を紛らわすため、私は足に過剰に力を込めた。
○○○
「り口は……この先か」
私の転移先に広がっていたのは、ロンドンの街並み。
そこからビッグベンを素通りして辿り著いた場所は……エリザベス王の公式住まいとされるバッキンガム宮殿。
「イギリス王室の末席……か」
ルーカスが言っていたという臺詞。
「ジュリー姉、大丈夫?」
クレーレに心配させてしまう。
「うん、問題無いよ」
DSと世界中の権力者、このゲームの観測者達は繋がっている。
そして、ルーカスは五十ステージまで辿り著けなければ使えないはずの“竜化”を使用した。それはつまり……。
「イギリス王室は――人食いのレプティリアン集団である可能が高い」
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