《ダンジョン・ザ・チョイス》704.地下エリアへのり口③

「マリナ、ここってさ……アレだよね?」

コトリの視線が、目の前の建に釘付け。

「確か……ホワイトハウスだっけ?」

アメリカ大統領が公務を行う場所。

り口は、どうやらこの白い建の地下にあるようやね。表向きは、地下シェルターになっとるようやけど」

なんで、わざわざホワイトハウスの地下にり口を用意したのか。

「考えてても仕方ない。さっさと行きましょう」

○○○

私達が転移してきた先は、無人の町の中。

「……福島県……大熊町」

「確か、原発汚染によって今も立ち止區域になっている町ですよね?」

私が読み上げた看板の言葉を聞いて、確認してくるクマムちゃん。

「野生化した豚が徘徊してるし、たぶんね」

まあ、どうせ本じゃないんだろうけど。

「ナノカ、り口はどっち?」

「向こう、町の外だな。小高い林の中だ余」

ナノカに案されながら、結構な距離を進んでいく。

「……」

「どうかしましたか、ミキコさん?」

ホーン・マーメイドのリエリアが尋ねた。

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「ああ……叔父夫婦がね、確かさっきの町で暮らしてたかなって……ね」

歯切れが悪いミキコ。

「なにこれ、発電所?」

ナノカに案された先にあった

「なんだ、貴様ら!」

銃を持った――軍人が二人!?

「――ぐぁぁ!?」

クマムちゃんのる細剣により、あっという間に始末される。

が……これ、本?」

「違う余、ナオ。忘れた? このクエストでは死が消えないってルール」

ナノカに言われて、ようやく思い出す。

「なんのためのルールかと思ったけれど……悪趣味ね」

思っていた以上に堪えるがある。特に人間の死は。

「コイツらって、もしかして自衛隊?」

アジア人ぽいし、でも銃まで所持して……この先も、自衛隊員が敵として出て來たりすんの?

「気になるなら、燃やしてしまうか余」

「私がやるわ」

“氷炎魔法”で凍らせて、景観を守る。

「消えない死か。思っていた以上にキツいクエストになりそうね」

ミキコの言葉を否定できる者は、誰も居ない。

発電所部の扉から、私達は地下エリアへと足を踏みれていく。

○○○

「アレって……」

乗り込んだヘリが向かっていたのは、前方後円墳らしい。

他にも上空を飛ぶヘリを見掛けたけれど、一機は皇居の方へ向かったようだ。

「では、飛び降りてください」

「は?」

縦席のNPCに対し、思わずキツい聲を発する。

「到著したので飛び降りてください。早くしないと引き返しますよ――燃料が足りないんだから早く行けよ!!」

なんなんだ、この態度の変わりよう?

「さっさと行こう」

ベルトを外し、トゥスカとナターシャを抱えた狀態でダイブ――“偉大なる黃金の翼”を拡げ、前方後円墳へと降り立つ。

「やっと著いたね」

「……き、キツい」

メルシュに抱えられて下りてきたシューラが……今にも吐きそうな仕草を。

あ、本當に吐きやがった。

「それで、この場所はいったい?」

「前方後円墳。大昔の墓と言われていて、許可が無ければ立ちりが許されない場所。まあ、許可が下りることは絶対に無いだろうけど」

これが現実だったら、逮捕されるのは間違いない。

「シューラが出すもん出して落ち著いたみたいだし、行こっか」

「ま、待て。せめてうがいを――カーッ、ペ!」

前方後円墳でゲロ吐いた挙げ句、うがいをするお婆ちゃん……これ、銃殺刑かも。

ナターシャに案されるまま辿り著いたのは、暗い窟の奧にある金屬の扉。

「ここからが地下エリアとなります」

「いよいよか」

なんで前方後円墳部に地下エリアへのり口があるのか疑問だけれど、この演出のためにわざわざ東京の街並みを再現するなんて、偉い手の込みようだったな。

ここまでモンスターの一も出てこなかったし、本當に演出のため以上の意味合いが無い。

「それじゃ、開けるよ」

「ああ、頼む」

メルシュがパネルを作し、見た目よりも重厚な扉を開けてくれる。

部は、金屬の通路か」

宇宙船や基地の部に居るような覚。

今までにもこういう場所を攻略してきたけれど、東京の街並みを見てしまったせいか凄お違和

「さっそく來たようだね」

シューラの警告と同時に、ゴブリンの集団が近付いてくるのを目視。

「カウントシステムとやらのポイントを、コイツらで貯めさせてもらおうか!」

「――“竜化”」

黃金の竜の姿を取り、パワーアップした能力に任せて“ギガント”を毆り倒す!!

『“剛力竜衝”!!』

ギガスの頭を吹き飛ばし、最低限の消耗で仕留めきってから“竜化”を解いた。

「お疲れ様です、ご主人様」

「トゥスカ達もな」

地下エリアに侵してから早數時間。

度重なる様々なモンスターの襲撃と罠を超えるも、未だSFじみた基地を延々と進むばかり。

「ユウダイ様、また寶箱です」

ナターシャの佇む橫に、黒い機械的な寶箱が置いてある。

「10000P貯めるのを優先する予定だろう?」

10000Pある狀態でクエストをクリアすれば、SSランクと引き換えできるらしいから、俺のパーティーは貪にそれを狙う予定だった。

「ですが、この寶箱は今までで一番高い500です」

よく見ると、寶箱表面に浮かんだピンクの數字は本當に500。

「ここまでの寶箱は、10~100ばかりだったのに」

「寶箱を開けるのに必要なポイントが高ければ高いほど、良いアイテムが手にるみたいだよ。10なら、十中八九Fランクだろうけれど」

ここまでのモンスター狩りで貯まったポイントは、2118。

「……500でどの程度のが手にるか、確認してみるか」

寶箱にれて出たチョイスプレートを作し、500Pを支払う。

○“暗い花弁の罪悪”を手にれました。

「なんかこの名前、どっかで見た覚えがあるような……」

「クリスの銃剣と、同じタイプのAランクだね」

「名前からして神代文字対応だし、Aランクなら悪くないか?」

500でAランクの武なら、600以上でS確定かな?

「ご主人様。し早いですけど、軽くご飯を食べませんか?」

トゥスカからの提案。

「そうだな」

まだ晝の十時くらいだけれど、もう六時間以上きっぱなしだし。

トゥスカとナターシャが準備を始める。

「マスター、今日はこの辺りで早めに休もうと思うんだけれど、どうかな?」

地下エリアのマップを表示し、あるカ所を指差しながら提案してくるメルシュ。

「現在位地は?」

「この辺だね」

地上からの現在位置と比べると、現在位置からメルシュ提案の位地は半分くらいの距離に見える。

「……その場所の提案理由は?」

「他部屋へのり口が前と後ろの二カ所だけなのと、広いから見張りやすい」

「もうし進んでも良いんじゃないか? そこだと三分の一も進んでないだろう?」

奧に行けば行くほど手こずるだろうし、楽なうちに距離を稼ぎたい。

「この部屋より一時間程進んじゃうと、他パーティーのルートと鉢合わせる確率が一気に上がるんだよ」

他の地上出口からのルートを辿ると、メルシュの言うとおり、提案された部屋から幾つか離れた場所辺りから、他ルートが合流していることに気付く。

「今日は早めに休んで、明日は早く出発する。幸い、この地下エリアなら晝夜なんて関係ないし」

確かにメルシュの提案場所が、安心して休憩できる最後の場所かもしれない。

「解った。今日はそこで野宿にしよう」

俺のような思考で進む選択をした連中に、有利な狀況で當たれそうだし。

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