《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第476話 世界中に出現したジャイアントアント その4(アルトレリアの狀況)

■そして最後にアルトレリアの狀況――

レッドドラゴン・リースヴュールとルルヤフラムは、カイベルに言われた通り赤龍峰のレッドドラゴンたちにも協力を仰ぎ、南西の海岸に來ていた。

今まさに海岸に上陸した潛水アリの大群を見て、

「うげっ! あれがカイベルさんが言ってた巨大アリの大群ってやつ?」

「アルトレリアの地面を這はってるアリさんとは違って大きいね」

「あっち (南の海岸)はどうしたの? 誰が行くって?」

「族長たちが行ってくれるっていうからお任せしたよ」

「族長って、五百歳だっけ? 六百歳だっけ? 流石に自分で出陣するのはどうよ? 疲れちゃわないかな?」

「『久しぶりの戦いにが騒ぐ』みたいなことを言ってたから任せておいて平気でしょ」

「じゃあ私たちの他にヒトはいないみたいだし、ちゃっちゃと焼き払っちゃおう」

「それじゃあ、みんな、よろしくお願いね!」

連れて來たレッドドラゴンたちに聲をかけるルルヤ。

「「「おう!!」」」

そこからはもう一方的な殺だった。

海岸から上がった潛水アリを、空からの炎で片っ端から焼き盡くし、海岸は一時火の海になる。

カゼハナの巣と違い、次々に湧き出してくるわけでもないため、十分かからずに殲滅した。

Advertisement

対して南の海岸――

南の海岸へ向かって飛んでいたレッドドラゴンの面々だったが……

「……はぁ……ひぃ……ふぅ……」

呼吸の荒いレッドドラゴンが一人。

「ぞ、族長、大丈夫ですか……?」

「ここで休んでても良いですよ?」

南の海岸との中間地點辺りで疲れて地上へ降りる。

「ま、まだまだ若い者もんには負けんと思っておったが……こ、ここまで衰えているとは思わなんだ……ア、アルトレリアまで飛んだ時はこれほど疲れなかったのだが……」

「ま、まあ海岸まではアルトレリアまでの六倍ほど距離があるそうですから」

「は、早く行かねばアリどもに上陸されてしまう……」

「我々で行って來ますんで、族長は山へ帰還してください」

「う、うむ……そうしよう……アルトラ殿に迷をかけられんからな……全く年は取りたくないものだな……では皆の者頼んだぞ」

「「「了解!」」」

海岸へ向かうまではグダグダしていたものの、結果として、こちらも海岸に著き次第十分かからず殲滅。働きアリの軍勢などレッドドラゴン數人かかればの數にもならないようだ。

余談であるが、もしもレッドドラゴンが味方になっていなかった場合、この潛水アリの進撃により、一日二日後にはアルトレリアの町は深刻なダメージをけたのではないかと予想される。

Advertisement

ジャイアントアントを一匹倒すにも、兵士でもなければ十人以上が必要なため、各國の一般兵士以下の戦力しか持たないアルトレリアの民たちだけでは全滅もあり得たことだろう。

そしてアルトレリアパートのメインであり、このサイドストーリーを締めくくるのは、カイベル。

の向かった南東の海岸――

ここには他二ヶ所とは違う々変わったアリが上陸しようとしていた。

それを踏まえて、南西と南の海岸をレッドドラゴンたちに任せ、カイベル自は南東を訪れたのだ。

海岸に上陸したジャイアントアントは五十匹ほどの潛水アリの集団。

それを、外骨格以外はほぼ人と同じ型をした一匹のアリが率いていた。

その集団に対し、カイベルが先に聲をかける。

「ようこそアルトレリアにお越しくださいました。しかしここより先へは皆様をお通しすることはできません」

海を渡って來た潛水アリの軍勢にそう言って挨拶するカイベル。

「ナゼココニ 上陸スルコトガ 分カッタ?」

何と! 人に近い姿をしたアリは、片言ながら人語を発するアリだった!

その姿は、黒りする外骨格に覆われ、上半・下半共にヒトの型に近く、本來手足合わせて六本のはずが二本ずつの腕・腳しか持ち合わせていない。顔すらヒトの構造に近い形をしており、長も亜人種とそれほど変わらない大きさだった。

Advertisement

とは言え、百六十センチほどのカイベルと比べると頭二つ分ほど高い。

「キミ一人デ 我々ヲ 相手ニスルノカ?」

「そうです」

「亜人ゴトキガ タッタ一人デ じゃいあんとあんとノ 軍勢ニ 勝テルトデモ 思ウノカ?」

「ええ、問題ありません」

「隨分ト大口叩クジャナイカ! ナラ止メテミロ!」

漆黒をした人型のアリは空間転移魔法を使い、更に多數の働きアリを喚よび出した。

「はい、では參ります」

開戦直前、カイベルは自に組み込まれたリミッターを解除する。

カイベルには二段階のリミッターが搭載されており、普段は二十五パーセントほどの出力しか出せない。 (詳しくは第97話參照)

アルトラにより、急事態に限りこのリミッターを解除することが許可されている。

これにより一時的にだが、アルトラと同等程度の空間魔法と時間魔法を扱えるようになる。

そして間髪れずに放った空間魔法、

「【次元斷ディメンション・キル】」

カイベルが右手人差し指を左から右へスライドさせると、たった今漆黒アリが召喚した働きアリ數十匹のの上半分が消し飛んだ。

「ナ、ナンダトッ!?」

この語では散々言われている通り、空間魔法は使い方次第ではとても危険な魔法である。

空間転移魔法は、“口側と出口側が全く違うところにある”ため、空間に開いたを閉じる際に何らかのがその間にあると簡単に切斷されてしまう。 (空間魔法による切斷実験については第25話參照)

カイベルはこの“切斷する過程”を攻撃として転用した。

アルトラは殺用途に使うことを思いつきもしなかったため、集団戦であったデスキラービー騒の時ですら空間魔法を攻撃に転用することはなかった。

しかし、カイベル自が生ではないため、生を殺すのに『迷う』という思考パターンが存在しない。『アルトレリアに仇なす者を排除する』その一點のみを考えて行しているため、躊躇なく殺用途にも使う。

一応カイベルの行理論には、亜人や魔人などヒト種族が相手の場合、殺さずに制圧できるようなら生殺與奪の権利をアルトラに委ねるよう、捕縛を優先するよう設定されているが、事この場に至っては相手がヒトに屬する種族ではないため容赦が無い。

なお余談ではあるが、この空間魔法を攻撃に転用させる方法は、魔力が潤沢にある者にしか使えない。一般の亜人程度の魔力では攻撃のための出力が大きすぎて、すぐに魔力切れを起こすためである。

現狀、この語中に空間魔法の攻撃転用が可能な者は、アルトラ、リミッターを解除したカイベル、そして現在対峙しているこの漆黒アリに限られる。

「さて、これで今あなたに喚よび出された働きアリは全滅ですね」

「ククク、クソッ! クソッ! オ、オ前タチ、あ、あれヲ殺セ!」

元々引き連れていた働きアリはまだ殘っており、それをカイベルにけしかける。

あっという間に取り囲まれたが、なぜか全員きが停止。

「何ダ? ドウシタ?」

カイベルを囲っていた働きアリたちの外骨格が次々にひび割れ、白に近かった潛水アリのが瞬時に黃土に変化、そしてがボロボロと崩れ落ちて砂と化し塵となって消失、風に散り海岸の砂と消えた。

「ナ、何ヲシタ!?」

「【加速する時クイック・タイム】という時間魔法です。働きアリたちの時間を五千萬倍に早めて塵にしました。死骸を片付けるのも面倒ですので」

働きアリの壽命は一年ほど。ジャイアントアントも特殊アリや王アリ (帝含む)を除けばそれはほぼ変わらない。一年を秒數に換算するとおよそ三千萬秒ほどになるため、魔力の低い者はカイベルに一秒れていただけで壽命を迎え、二秒れていただけで塵となって消える。

この時間魔法についても、アルトラでは生を塵に変えるのに躊躇するところだが、カイベルは平然とそれを実行する。

「ジ、時間魔法ダト!? オ、オ前、ア、亜人デハナイノカ?」

「人間という種族です。それとただの専屬メイドです」

「ニ、人間? 亜人デハナイノカ? クソッ! ナラバ コチラモ 貴様ト同ジ空間魔法デ 攻撃シテヤル!」

漆黒アリも、カイベルと同じく空間魔法を攻撃に転用。

見えない空間の裂け目を複數作り出してカイベルに向かって放つ。

空間の裂け目に巻き込まれ、この場にまだ生存していた働きアリが次々切斷されていく。味方が巻き込まれているのも構わず、なおも空間の裂け目を発する。

が、発した瞬間は、攻撃の軌道も、攻撃自も全く目に見えないにも関わらず、漆黒アリの放った空間魔法の斬撃を何事も起こっていないかのように全てヒラリヒラリと危なげ無く躱かわすカイベル。

その様に再び驚愕しつつ、混し始める漆黒アリ。

「ナ、何デ當タラナインダ……」

カイベルには全ての攻撃が“視えている”ためそれを避けるのは造作も無いことなのだが、漆黒アリにとってみれば、なぜ見えない攻撃を完璧に避けられているのか不思議でならない。

先に言っておこう。

この戦いはカイベルが一方的な攻勢に見えるが、決して漆黒アリが弱いわけではない。

むしろ能力的な面で考えるなら、魔王までとは行かないまでも魔力はアルトラと同等かそれ以上、膂力《りょりょく》 ※に至っては漆黒アリが遙かに勝っているため、基礎能力ではカイベルの方が遙かに劣る。

本來であれば各國の一個大隊、あるいは一個連隊程度なら、この漆黒アリ一人でも躙できるほどの力がある。

カイベルが特殊過ぎて、漆黒アリでも対応し切れないだけなのだ!

もし仮にレッドドラゴンたちを南東の海岸こちらに寄越していれば、全滅の可能もあり得るほどの脅威的な生であることに間違いはなかった。

(※膂力りょりょく:筋の力。腕力)

「ナラバ コレナラドウダ! レタラ最後、側ニぐちゃぐちゃニ 圧おシ潰サレテ死ヌ魔法ダ!」

重力を圧した黒い球をばら撒く。デスキラービー騒で、黒の蜂が使用したものとほぼ同じ能である。 (第349話參照)

この黒い球れることで、側へと強い引力で引っ張られ、が圧されて死亡するというもの。

周囲に居た多數の働きアリが次々と吸い込まれて圧され、潰されていく。

だが――

「これの対処法は既にありますので」

の蜂の時、アルトラがやったのと同じ方法で自に斥力《せきりょく》を流し、黒い球け流す。 第349話參照

そして右手に斥力せきりょくを集溜させて黒い球を摑んだ。

カイベルはアルトラより魔力作が格段に上手いため、握っていても吸い込まれずに済む狀態を保つことができていた。

「お返ししましょうか?」

握った黒い球を漆黒アリへ差し出す。

「ヤ、ヤメロ! ソレヲ近付ケルナ! 私マデ吸イ込マレテシマウダロ!」

で作った引力の塊とは言え、自に効果が無いわけではない。れれば漆黒アリとて吸い込まれて圧されて即死である。

「クソッ! ソレナラ貴様ノ 重ヲ數百倍ニシテヤル! 自分の重サデ圧おシ潰レロ!」

カイベルにかかる重力が數百倍になる。

重さにして、十五トンを超える重になっているはずだった……

「? 何デ這はイツクバラナイ? 頭こうべヲ垂レロ!」

十五トンもの重になれば『頭こうべを垂れる』どころか、自重でペシャンコになっていてもおかしくないが……

カイベルには全く変化が無い。

「ナ、何デ潰レナイ!?」

「無駄です。同じ規模の反重力で無効化していますから」

漆黒アリの使う重力魔法と全く同じ規模の反重力を自にかけているため、きの制限も一切無かった。『全く同じ規模の反重力をかける……』、全てを計算して予測するカイベルでなければし得ないまさに神業である。

「さあ、お遊びもこの辺にして。そろそろこの世からご退場願いましょう。大きな力を持ち、ヒトの生き方を理解できないあなたは、生きているだけで災害になりますからここで確実に死んでもらいます」

ジリジリと一歩一歩漆黒アリに近付くカイベル。

「ウゥ……ク、クソッ! 撤退ダ!」

空間転移魔法を使い、この場から逃れようとする漆黒アリ。

「逃がしはしません」

漆黒アリを捕まえようと、空間の裂け目に左手を突っ込んだが逃げられてしまった。

漆黒アリのれていたカイベルの左手は、空間の裂け目が閉じると同時に切斷されてしまう。

カイベルは左手を失い、まんまと逃げられた……かに思えるのだが……?

今更ながら自分で作った設定とは言え、カイベルが強すぎる……

設定の通りにエピソード作ってるはずが、凄く超人染みてしまいましたね……もうちょっと設定抑えた方が良かったかな?

決してサブキャラ贔屓とかそういうわけでは無い……はず。

た、たまの活躍なのでお許しを……

次回は6月6日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第477話【世界中に出現したジャイアントアント その5(カイベルの思)】

次話は木曜日投稿予定です。

    人が読んでいる<天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉體と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください