《ダンジョン・ザ・チョイス》707.業の集い
「――吹雪腳!!」
“吹雪の卓越者”に進化させたサブ職業のスキルを使用――“偽エイリアン”の顔面を蹴り抜いて凍結砕。
「フー、水槽から出て來た時はビビったっす」
偽エイリアンりの培養槽が立していた巨大空間の隅に、サンヤが腰を下ろす。
「死が消えないせいで、そこら中、奴等のだらけですね」
不快そうなヒビキ。
「とっととここを離れよう」
し前辺りから、エリアの様相が不気味なに変わりつつある。
「……なんだか、腐臭がしますね」
クオリアの指摘。
「どうやら、まだまだ休めそうにないな」
し歩くだけで一層腐臭が酷くなり、生臭いじも強くなる。
次第に、牢屋のような格子で區切られた部屋へと辿り著く。
「……これ、本ではありませんよね?」
ヒビキがサカナに尋ねる。
「ええ、こ・こ・ら・の・死・・は・」
黒く濁ったがそこかしこに散しており、かろうじてそれが人だったと認識できる程度には原形を留めた死がそこかしこに。
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原型を留めていないを含めれば、いったい何十人分のでこの空間を穢しているのか。
「……」
天井から垂れ下がったフックに、上半と左腕だけがかろうじて殘った子供の焼死。鎖で壁にり付けにされ、心臓に杭を打たれて亡くなっている、おそらくの腐死。首を切斷された、半ば白骨化している大柄の死。
一番多いのは、子供の死だろうか。
「なんか、凄い憎悪をじる殺され方だね」
サンヤには、そう見えるらしい。
「私にはむしろ、殘行為に悅楽を見出している連中の仕業に見え――」
通路奧から、腐の人間が集団で現れる。
「リューナ様、牢からも」
クオリアの言うとおり、腐の山から“ゾンビ”が這い出て來た。
「とっとと片付けるぞ!」
さほど手こずらずに駆除し終えるも、死が消えないのもあって神的負擔が大きい。
休むにしても、ここでは生理的に無理だ。
常軌を逸したサイコパスやソシオパスでもなければ、この空間に留まるなど不可能だろう。
腐の匂いがしなくなって暫く、かなり広大な空間に出る。
「フー、ここは空気が綺麗だな」
地下エリアにってから暗い場所ばかりだが、ここも隨分と暗い。
「ここは……駅なのか?」
こんなところに電車があるだと?
「あそこに6って書いてあるけど、6番駅ってこと?」
線路の上部に番號が書かれたプレートを見て、推測するサンヤ。
「というより、エリアの番號を現しているようですの」
線路手前にあるコンソールを見ながら、そういうサカナ。
「十二あるエリアの6番て事か」
「ええ。どうやらこの地下鉄、パーティーごとに一度だけ、隣のエリアに移できるようですの」
「つまり、5番か7番エリアに移れると?」
「ええ、正解ですの」
ルールで、同じレギオンのパーティーは同じエリアに配置しないと言っていた。
SSランクを手できる數は減るが、他エリアに移って合流を図るのも一つの手か。
「音が……」
クオリアに一瞬遅れて、列車の音が近付いてくる事に気付く!
「誰かがエリアを移してきたのか!」
急いでを隠す。
列車は、向かいの線路に止まる。
「アテルは見付けたら任せるって言ってたけれど、本當に良かったのかしら?」
聞き覚えの無いっぽいの聲だが、下りてきた連中からアテルの名が出た?
「適當なようで、アイツの読みは當たるわ。現に、この列車の存在も予見してたじゃない」
この聲は――
「ツェツァ!!」
線路の向かいにいる親友であり戦友であり、共犯者であり、人だったに聲を掛ける。
「……リューナ」
●●●
「他エリアに移できる地下鉄か」
どうやらここは、12番エリアらしい。
「どうします、マスター?」
サキに尋ねられるも、困ってしまう。
「私達が配置された場所が、私達にとって都合の悪いエリアである可能はあるけれど……」
とはいえ、既に同じレギオンメンバーが居るエリアに移してしまったら、せっかくのSSランクを手にる機會を一つ潰す事に……。
「へぇー。エルフでもないのに、こんなにしく神々しいがいるとはね」
別のルートからここに辿り著いたのか、四人のを率いた金髪ロンのエルフが私を見ている。
「――マスター、あの男が手にしているのは!!」
「うるさいよ――不細工ちゃん」
エルフ男が小槌を振り上げた瞬間、雷が走り――サキが肩を押さえて倒れた!?
「サキ姉!!」
「まさか……SSランク」
「頭の良いは好きだよ、僕はね」
「マスター、アレは1番目のSSランク――“ケラウノス・ミョルニル”です!」
アレが、この世界で最初に生み出されたSSランクというわけ――面白い。
「なら、予定より一つ多くSSランクが手にるな」
「言ってくれるね、僕の神よ」
「誰がお前なんかに」
「ジュリー姉! 後ろからも來てる!」
クレーレのびに後ろに注意を向けると、そこにいた一団は――
「アイツは……《カトリック》の」
私のきを封じて、悪魔モンスターの囮にしてくれた白フードの眼鏡魔法使い!
「おやー? なるほど、そういう狀況ですか」
いやらしい笑みを!
「クレーレ、後ろは任せる! 殲滅しだい私の援護を! エリーシャはクレーレの援護! サキ、遊撃は任せた!」
「ジュリー姉、SSランク相手で大丈夫? 替わった方が良くない?」
「悠長に喋って、僕を無視しないでくれよ!」
クレーレを狙った雷の槍!
「――“避雷針”!!」
エルフ男の雷を、“避雷針の魔剣”に引き寄せて封じる!
「私を無視するなよ、優エルフ」
「では、外野は無視して一緒にダンスを踴ろうか。神殿」
気持ち悪いやつ。
●●●
アイツを抑えるなら、私よりジュリー姉向きか。
「――“雄大なる悪魔神の夢”」
手加減なんてしてる場合じゃない――一気に終わらせる。
「“悪魔支配”!!」
黒の鎧から、“アバター”を大量に出現させて襲わせる!
「コイツ、まさかSSランク持ちか!?」
「落ち著きなさいよ――裝備セット2」
眼球付きの白い杖――アレは!
「“停止視眼”!!」
「バーカ」
アバターを視線に紛れ込ませて、代わりになってもらった。
「クソ獣人が!」
こういう奴のせいで、ヴァルカお義父さん達が異世界人嫌いになるんだ。
「今の言葉――ちゃんと償ってよね」
私の最強の力で、まとめて潰してあげる!!
「“三連瞬足”――“悪魔大地剣”、デビルグランドブレイク!!」
明後日の方向から急接近してきた男が使ったのは――ギオジイ達の共鳴剣じゃなきゃ使えないはずの!!!?
「ぁ……がぐ」
けた右腕はちゃんと殘ってるけれど……クソ痛いしッ!!
「おお! レギオン、《スーパー・サタニズム》の!」
「ウォルターさんの仲間だ!」
「助けに來てやったぜ、《カトリック》!」
コイツら、仲間なのか。しかも、たぶん同盟を結んでる別レギオン。
「これ、ちょっとまずい?」
SSランクを持っているかもしれない相手含めて、十人を私一人で相手しなきゃいけないのか。
「ハ! 私のSSランクは、お前らなんかに負けないし!」
ジュリー姉達は――家族は、私が守る!!
沒落令嬢、貧乏騎士のメイドになります
アニエス・レーヴェルジュは美しく、気位の高い伯爵令嬢である。 社交界の麗しの薔薇と呼ばれた彼女は、高嶺の花であった。 一方で、騎士である貧乏貴族のベルナールは、夜會の晩に生まれや育ちを嘲笑うような蔑んだ目でアニエスに見られたことを根に持っていた。 ――最悪の出會いから五年後、アニエスの家は突然沒落する。父親の不祥事が原因だった。 周囲の人々は冷ややかで、何もかも失ったアニエスに手を差し伸べたのは、ベルナールだけだった。 彼は使用人として働くならば、衣食住を保証すると言った。 提案を受け入れるアニエスを見ながら、ベルナールは一人、ほくそ笑む。 「――ざまあみろ、お嬢様、うちでこき使ってやる!!」 しかしながら、一緒に暮らし始めて、アニエスの本當の姿が判明する。彼女はベルナールが思っていたような娘ではなかったのだ。 仕返しのつもりで家に招いたのに、予想の斜め上の展開となる。そんな元令嬢と不器用な騎士の、ほのぼの戀愛物語 表紙畫像:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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