《ダンジョン・ザ・チョイス》711.雄偉なる十字架と背負いし十字架
『まさか、アレが自らき出すとはね』
オッペンハイマー様の聲には、隠しきれない愉悅が滲んでいるように見える。
『アレは、私が韓國から回収させたの一つですね』
大金を使って、その手の犯罪組織に集めさせた呪いの品。
他にも、神を苛む骨董品からミイラ、絵畫、人形、刑務所で使われていた懲罰道、拷問危懼などを、幾つかのエリアに集中して配置しておいたのですが……。
「面白い事象だね。このクエストにはあれらの力を抑える自然環境などが無いからね。人の負のをし、テリトリーを自ら抜け出したか」
あの景を見ても、オッペンハイマー様は平気らしい。
アレらを集めたのが私とはいえ……このには、さっきから怖気が止まることなく襲ってくるというのに。
『良いのだよ、アルバート君。その怖気に、恐怖にを任せて狂えば。それが、この星を支配する我々の――正しいあり方なのだから』
『お、お気遣い……痛みります』
頭が……が……もう、私はダメなのかもしれない。
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「なんだ……コイツ」
黃金の仏像みたいなのが現れたと思ったら、不気味な変貌を遂げやがって!
もう、イチカに怒りをぶつけている場合じゃない!!
「――“寶石弾”!!」
“寶石倉庫の指”から取り出したルビーを投げ、火屬の発を浴びせる!
『ギギチィィッ!!』
全然ダメージを負っていないうえに、二の管から派生した黒い手で襲ってきた!?
「“鞭化”――“聖炎水鞭剣”、バーンセイントウィップブレイド!!」
手の群れを切り裂いたうえ、切斷面を燃やすイチカ――アイツに助けられるなんて!!
『ギギギ♪』
コイツ、ますます不愉快に顔を歪ませ――ッ!!
「裝備セット2――“神代の戦略砲”!!」
“愚かしきは縋り付くかつての栄”に十二文字刻み、戦斧の先端から――私の最大火力を撃ち込む!!
『ギ……ギギ』
「ハハ……左半を吹き飛ばしてやったぞ」
なのに……怖気が止まらないッ!
恐ろしい名作ホラーゲームをプレイしている時より、ずっと酷い覚にが粟立つ!
『ギョ――ぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺピィィィいいいいいいいいいいいいいいいいbへhvxっgfdfっghっjっっghjんrで4jgh!!!!』
――神代文字を、維持できない!!
「ホタルさん!?」
「ハアハア、ハアハア」
……私は、いつ膝を付いた?
イチカに名前を呼ばれるまで、意識が遠退いていたような……クソ!!
「しっかりしろよ、ホタル!!」
ケイコが、神代文字を刻めるマガジンをセットしている“マジックシリンダーガン”を連し、牽制している。
「アイツ……」
私が與えたダメージが、もうほとんど殘っていない……。
「手は――俺様に任せろ!!」
神代文字を刻んだ二丁ガトリングで、管手を潰していくチトセ……あの可らしい子、あんな過激な格だったのか。
「“聖炎水魔法”――バーンセイントスプラッシュ!!」
「食らってください!!」
イチカの魔法に、ムダンの“倍増薬ミサイルランチャー”四発分の“溶解”が決まる!
『ギギギヒイィィッッ!!』
「ほとんど効いてない?」
それに、私やチトセが與えたダメージと違い、二人の攻撃による傷は……ほとんど一瞬で再生していないか?
「隠れNPCシャドウ・グリードの本みたいに、神代文字無しの攻撃があまり効かないタイプ?」
イチカのやつは、グリード本と戦闘をしていたんだったか。
チ! 私が知らない報を!
「神代文字主で攻撃するぞ!」
あの化けをここで仕留められないと、何人死ぬか分からない!
「なら、切り札を切ります――オールセット1」
イチカの手に、枝のような武が?
「本気かよ、イチカ!」
「レンちゃん。こういう時のために、コセさんが託してくれたでしょ?」
コセが託した?
「背負い立て――“雄偉なる十字架はこの手の先に”!!」
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“ディグレイド・リップオフ”を依り代に、コセさんとの絆で生み出した十字剣を顕現!!
「――“隨伴の十字架”」
十字架を無數に生み出し、神代文字の力を宿して――不気味な仏像へと殺到させる!!
「“剣化”」
十字架の発が巻き起こる中、“背負いし十字架はこの手の中に”を大剣にし――二振りの剣に十二文字刻む。
『ギギギッ!!』
管手はともかく、本へのダメージはほぼ無し。
神代文字無しではほとんど効果が無いのであれば、小手先の攻撃は無意味。
「“二刀流”、“聖炎水剣”――バーンセイントスラッシュ!!」
即席で作られた手のガードごと、差させた剣で切り払う!
切り裂いた手が、一瞬遅れて青白く引火。再生を阻害する。
「“二刀流”、“聖炎水大地剣”」
グニャグニャになるほど歪んでいた黃金像の顔が、怯えを抱いているように見えた。
「バーンセイント――グランドプリック!!」
黃金像のに錬剣を突き刺し、聖なる水を部から燃やし點ける!!
『ギ――ギュバァァぁぁっぁぁ!!!!』
口が裂け、牙の付いた大量の黒い手を放出してきた――が。
「――貴方のような人間のしつこさは、よく知っています」
左手の“背負いし十字架はこの手の中に”を手ごと顔面に突き刺し、頭の部からも燃やしていく。
『ギ……ガギ……ギィ…………』
黃金像のが炎に包まれた段階で、死を振り捨てる。
「……が消えないから、生死を判斷しづらいですね」
十數秒ほど様子をみましたが、ピクリともかないため錬剣と神代文字を解除。
「――グッッ!?」
神代文字で律していた張を解いたからなのか、一気に疲労が込み上げて膝を付いてしまう。
「ハアハア、ハアハア」
「――イチカ!!」
――黒い手が、私を庇ったホタルさんの鎧を貫いて――――
『……ギギィ――――!!!!』
死を悟りながら、最後の嫌がらせのためだけに死んだ振りを!?
「テメーッ!!」
レンさんが、“邪悪すらもぶっ潰せ”でトドメを刺してくれる。
「が……」
「ホタル!」
「ホタルさん!」
すぐにムダンさん達が回復魔法を掛けていくも、目を覚まさないホタルさん。
「おい、ホタル! ……すまない、お前達は先に進め」
ケイコさんはそう言ってくれるけれど。
「私を庇って怪我をさせたのです、殘りますよ……」
それに、さっきの戦いで私もまともにけない。
「この先に、広くて一本道の空間がある。休むにしても、そこへ移してからにしないか?」
エルザさんからの提案。
「解った、そこへ移しよう。マズダー、ホタルを運んでくれ」
「了解」
仲間に指示を出していくケイコさん。
「イチカさん、ヘラーシャの肩を借りてください。キツいんでしょう?」
「いえ、私は……はい、お言葉に甘えます」
そうだ、意地を張っている場合じゃなかった。
私に敵意を剝き出しにしていたホタルさんを見ていたら……しだけそう思えた。
【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
「お前との婚約をここで破棄する! 平民の研究者が功績を上げて勲章を與えられたからな。お前をその褒美として嫁がせよう!」 王太子の婚約者であった公爵令嬢ヴィルヘルミーナは、夜會の席で婚約を破棄されて平民との結婚を命じられる。 王太子に嵌められ、実家である公爵家からも僅かな手切れ金だけ渡して追放され、顔も見たことのない平民の研究者の元へと嫁がされることとなった。 ーーこれがわたくしの旦那様、ダサい男ですわね。 身長は高いがガリガリに痩せた貓背で服のサイズも合わず、髪はもじゃもじゃの男。それが彼女の夫となるアレクシであった。 最初は互いを好ましく思っていなかった二人だが、ヴィルヘルミーナは彼の研究を支え、服裝を正すなかで惹かれ合うようになる。そして彼女を追放した実家や王太子を見返すまでに成り上がって幸せになっていく。 一方、彼女を追放した者たちは破滅していくのであった。 【書籍化】が決まりました。詳細はいずれ。 日間・週間総合ランキング1位 月間総合ランキング2位達成 皆様の応援に感謝いたします。
8 127過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか
夢を見た。どこか懐かしい夢だった。 元スーパー高スペックだった高校二年生 町直斗(まちなおと)はどこか懐かしい夢を見た。初めて見た夢なのに。その夢を見た日を境に直斗の日常は少しずつ変わりはじめていく。 大きく変わったことが二つ。 一つ目は、學校でNo. 1の美少女の先輩が家出を理由に俺の家に泊まることになったこと。 二つ目は、過去に戻った。 この物語はあることをキッカケに自分をガラリと変えてしまった高校2年生とその周りの人間関係を描いたものです。 本當の自分って何なのだろう。 人生とは何か。 過去に囚われながも抗う。 まだ未熟者ですが自分の“書きたい小説を書く”というのをモットーに勵んでいきたいと思います。応援よろしくお願いします。 そして數多ある作品の中でこの作品を見つけ目を通していただいた方に心より感謝いたします。 この作品のイラストは、ひのまるさんのをお借りしています。 https://twitter.com/hinomaru00 プロフィールは 霜山シモンさんのをお借りしています。 ありがとうございます。
8 132骸街SS
ーーこれは復習だ、手段を選ぶ理由は無い。ーー ○概要 "骸街SS(ムクロマチエスエス)"、略して"むくえす"は、歪められた近未來の日本を舞臺として、終わらない少年青年達の悲劇と戦いと成長、それの原動力である苦悩と決斷と復讐心、そしてその向こうにある虛構と現実、それら描かれた作者オリジナル世界観ダークファンタジーです。 ※小説としては処女作なので、もしも設定の矛盾や面白さの不足などを発見しても、どうか溫かい目で見てください。設定の矛盾やアドバイスなどがあれば、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。 ※なろう・アルファポリスでも投稿しています! ○あらすじ それは日本から三権分立が廃止された2005年から150年後の話。政府や日本國軍に対する復讐を「生きる意味」と考える少年・隅川孤白や、人身売買サイトに売られていた記憶喪失の少年・松江織、スラム街に1人彷徨っていたステルス少女・谷川獨歌などの人生を中心としてストーリーが進んでいく、長編パラレルワールドダークファンタジー!
8 55王女は自由の象徴なり
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8 108【嫌われ體質】自覚したら最強?かも
主人公『五色 大輔』は生まれ持っての【嫌われ體質】、幼馴染みが居ない、小さい頃から回りの者に嫌われる、友達も居ない、ペットも犬、貓、鳥、金魚にも嫌われる。生き物から嫌われ、病気にも嫌われ、死んだら神にも嫌われていた…。ネタバレ注意、主人公以外にも迷い子(転生者)複數登場。
8 53ダーティ・スー ~物語(せかい)を股にかける敵役~
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