《T.T.S.》File.5 Worthless Road Movie Chapter 4-3

世の中はシンプルな方がいい。

バカがよくする考え方だ。

この世を敵か味方か、善か悪か、正か邪か、そんな安直な二元論で解釈したがる。そんなバカが、世の中に多すぎる。

ヴェラに言わせれば、そんなモノクロなモノの見方は実に退屈でくだらない価値観だ。

世界はもっと極才だ。

敵を利用したり、味方を売ったり、利己も利敵でさえも選択肢にる。そんな、“何でもあり”こそが本寸法であるべきだ。

しかしながら、世のモノクロ人間共は鮮やかな彼を見て顔を顰めるのだ。「お前は可笑しい」と、燻んだ暗いのグラデーションに塗れた心で斷じる。

全くもって失禮極まりない連中だが、そんなのでもオモチャとしては使える。

だから、ヴェラとしてはせいぜい楽しませてもらうつもりだ。

が一番楽しめる環境を整えて、そこでバカどもに目一杯踴ってもらって、理解できない価値観に押し潰されていく様を見屆ける。

いつだってヴェラはそうしてきたのだから。

「今日も同じことするだけ」

大きな聲で自分に言い聞かせながら、ヴェラは震えるって落ち著ける。

どんな評価を與えられようと、ヴェラの本質は軍人で、冷徹に冷靜に敵を知るリアリストだ。

だから、いかなはじめ源の正を調べるほどわかった。

一騎當千を現したような、掛け値なしの化けだと。

いや、その表現でも矮小化されている。むしろ「この千は千人ではなく千個大隊を指す」と誇大にしか聞こえない表現をした方が、よほど適切な形容になっている。

速でく彼の手は、軽く振るっただけでもツングースカ大発並の強いエネルギーを生むだろう。それだけでも手に負えないのに、いかなはじめ源には速すら捉える目もある。

こちらの弾丸攻撃は通らず、相手の空振攻撃は防げない。

さながら神のような、攻守ともに隙のない、余りにも完された生

り行きとはいえ、そんなのと事を構えるハメになってしまった。

だから、やれることはやった。

強化外骨格をけしかける依頼を出し、即席の風防になりそうな重機を掻き集め、出來るだけ仲間の介を減らそうと地中からの奇襲も仕掛けた。

仕上げに。

「いつもこんな事をしてるんですか?貴は」

震える聲を必死に押さえつけて、ロウティーンのが睨み上げてくる。

確か名前は、ブルーだったかブリーだったか、拘束した以上用がないので名前などどうでもいいが、人質を取れたのは一定の効果があるだろう。

ついでに転がり込んできたうるさいアジア人も、積み上げた重機の運転席に隠せた。これで無辜の男は戦いに巻き込まれて重機の中で圧死するはずだ。

改めて戦略の確認をしながら重機の折り重なる巖場を眺めていると、張り裂けそうなびが思考を遮った。

「ちょっと!聞こえないの?」

軍事用著両面汎用MARTWの部スピーカーをビリビリと振るわせる甲高い聲に、思わずヴェラも顔を顰める。

「何?うるさい」

「いつもこんなことしてるの?貴は!」

「ええ、そうよお嬢ちゃん、いつもこんな事やってんの!アンタが追ってるヤツも同じようなもんよ」

適當に返したが、容がミスだった。噛みつかんばかりの勢いで、が聞き返してくる。

「それっていかなはじめ源のこと?」

「そうだよ!……あのさ、ちょっと集中したいから靜かにしててくんない?」

賞金稼ぎたちを焚きつけるために報を流していく中で、ヴェラにコンタクトを取ってきた奇特なくらいの印象だったが、その元を調べてTVオールドメディアのインタビュー映像に行き著いた時、その有用に驚いたものだが、いかんせんうるさすぎる。

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