《ダンジョン・ザ・チョイス》714.天風の告白
「どうなりましたかね?」
サザンカさんの“分”が念のため先行し、味方でない事を確認した合図を機に、エルザさんから地形報を得たリエリアさんによる、“マキシマム・ガンマレイレーザ”の長距離砲撃。
更に、ミドリさんの“悪魔召喚”で呼び出された七十二柱、マルファスとビフロンス二の追撃によって、待ち伏せしていた方々は総崩れになっているはず。
「誰か來ます!」
正面から、高速で誰かが――“熾天使化”したがやってくる!
「お前達、よくも!!」
「……え?」
「な……ナノカ?」
目の前に現れたのは、私が所屬していたアイドルグループのリーダー……ミチコさん。
「……は? アンタ生きてたの、ナノカ」
二十ステージにあの男がいたから、ミチコさん達と遭うことは、おそらくもう無いと思っていたのに。
「ああ、そういうこと。あの時、私に攻撃してくれたバカはアンタだったってわけ、ナノカ」
「あの時? ――まさか、四十三ステージでのクエスト!?」
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腹いせまみれに不意打ちしてきたあのは!
「もう、とっくにくたばったと思ってたのに」
「……それは、私の臺詞です」
皆さんより前に出て、剣を構える。
「清純気取りのアンタが、よく今まで生きていられたわね」
「他のグループの人達は?」
「さあ? 何人か死んだあと、私は《カトリック》に接して、突発クエストの報酬でステージを十以上すっ飛ばして合流したから、他がまだ生きているのかどうかも知らないわ」
そんなアイテムが……し安心した自分が居る。
「でも嬉しいわ――この手で、ムカつくアンタを殺せるんだから!!」
「全ての通路から來てるぞ!」
エルザさんの聲が響いて間もなく、この部屋の全ての通路から、“偽エイリアン”や見たことないモンスターが雪崩れ込んで來た!?
「これは、ミチコさんの仕業ですか?」
「ク――アハハハハハハハハ!! そうよ! モンスターを呼び寄せる使い捨てアイテムを、ここに來る前に使っておいたのよ! ここまで集まるとは思ってなかったけれどねぇぇ!!」
「自分も死ぬ気ですか!」
「ハア? この私が自殺なんてするはずないじゃない。だって私には――コレがあるんだからぁ!!」
彼が掲げた左手に握られていたのは、ただの短い……鈍の柄? ――まさか!?
「“アルティメット……ハフト”?」
「そう! ――私にはあのSSランクがあるのよ!! “武鉄支配”!!」
虛空に、柄の無い無數の鈍武が出現!!
はったりじゃない――本だ!
「――皆さん、モンスターの相手はお願いします!! ――“熾天使化”!!」
六枚の羽の翼を生やし、ミチコさんと同じ目線まで高度を上げる!
「なに、自己犠牲の神か何か? アンタのそういうところがムカつくのよ、私は」
「違います。私が貴と戦うのが、一番効率的だと思っただけです」
私怨が無いと言えば、噓になりますけど。
「SSランク持ちのこの私に、一人で勝てると本気で思ってるわけ?」
「ごめんなさい、コセさん――オールセット3」
萬が一の時にだけ使う事を許された、“ディグレイド・リップオフ”をこの手に。
「何それ? まさか、それがSSランクとか言い出さないわよね?」
「これは一応、Bランクですよ」
ナオさんとチトセさん、私が持っていたランクアップジュエルを注ぎ込んでBまで上げた偽。
「アハハハハハ!! あんた、ボケのセンスが上がったんじゃないの? 昔は気の利いた事の一つも言えなかったアンタが!」
「天に誓います――――“雄偉なる極の花華を散らしてでも”!!」
私とコセさんの想いによって練り上げられた剣を、ここに顕現させる!!
「だから――そんな雑魚アイテムがなんだってのよ!!」
「――“隨伴の天風”」
の風で、殺到する鈍の武全てを蹴散らし――皆を苦しめるモンスター達に落として、數を減らす。
「……噓でしょ? なんで、アンタなんかにSSランクを……」
「私達のレギオンリーダーが、それだけ私達を大切に思ってくれているということです」
かみ合ってないのは理解していても、彼に合わせてあげるつもりなど無い。
「覚悟は良いですか、ミチコさん?」
「――ふざけんな!! なんで、なんでいつもアンタばっかり!!」
「え?」
「グループの仕事の半分はね、私が枕で取ってきた仕事なのよ……アンタ達がアイドル続けるために――私がいったい何人のオッサンに抱かれて、何本チンポしゃぶったと思ってんのよ!!」
「……」
「アンタ以外はね、なからずプロデューサーなりディレクターなり、どこぞの社長なりと寢てんのよ! なのに――アンタだけは、人気があるうちは清純派で売りたいからって、特別視されて!!」
「だったら、アイドルなんてやめれば良かったじゃないですか」
「…………は? ――私の夢を――――バカにしてんじゃないわよッッ!!」
天風の剣に十二文字を刻み、“アルティメット・ハフト”から生えた細い刀を切斷する。
「貴が何に執著するかは貴の自由です。けれど――私に貴を押し付けないでください」
「清純派気取りが、自分が一番人気があったからって!!」
刀を再生したミチコさんが、再度斬り掛かって來た。
大したことない剣の打ち合い……こんなことしている場合じゃないのに。
「アンタも、アンタの仲間もみんなムカつく――全員死ねぇぇ!!」
再び現れる鈍の武群を――風で薙ぎ砕く。
「――私の大切な人達を、貴なんかに傷付けさせない」
「……クソ――クソクソクソクソクソクソクソクソクソぉぉぉぉぉぉッッッッ!!!!」
「ああ、それと」
剣を頭上に掲げ、せめて苦しまぬよう、神代の力と天風を刀に集約していく。
「私、もう処じゃないので。とっくに清純でもなんでもないですから」
「…………うそ」
錬剣に、十五文字が刻まれる。
「“天使大地剣”――ヘブングランドブレイク」
お世話になったミチコさんを、一撃で跡形もなく消し去った。
「……さようなら、リーダー」
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