《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第481話 アスタロトの
次に仕掛けたのは大量に降り注ぐ水。
『今度は水のデュプリケートか?』と二人が思ったのも束の間。降り注ぐ水は氷に変化し、大量の氷柱つららへと姿を変え、ティナリスたちに向かって降り注ぐ!
ティナリスが巨鳥形態へと変し、羽ばたきで氷柱つららと水、そして多數のデュプリケートを吹き飛ばす。
しかし、翼には多數の氷柱つららが刺さり、痛々しい狀態に……そこから更に氷が翼全に広がる。
その直後、人型形態に戻って氷柱つららを外そうとするものの、既に左腕が凍り付いていてかせなくなってしまう。
◇
左半を火傷し、それでも戦するロックス。
左腕が凍り付かされ、片手一本で槍を振り回し、なおも多數のデュプリケートを屠ほふるティナリス。
傷だらけになり、重傷を負いながらも気力だけで戦い続けていた二人だったが……
遂に限界が訪れる。
「はぁ……はぁ……」
「フゥ……ハァ……」
もはや満創痍の二人だった。
疲れ切っていた二人は、樹の能力を持つデュプリケートのっこのようなものに絡めとられ捕まってしまう。
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「く、くそっ!」
「も、もう振りほどく力がありません……」
疲弊して力が続かなくなった二人に、アスタロトを守る風のバリアを維持することができずバリアは消失。
嵐のような竜巻狀のバリアが解かれ、アスタロトが姿を現す。
「ハハハハハ!! 二人ともようやく大人しくなってくれましたね。あとは串刺しにして終わりです!」
「アスタロトその方が風のバリアの中その中で何をしていたか知りませんが、アスタロトその方も潰してさしあげましょう」
その頃には、風で守られていたアスタロトの周りだけが特別綺麗な狀態で、その外側には死累々のデュプリケートの死骸だらけ。
バリアがあった部分と他との境界がくっきり出來ていた。
しかしその時、じっと佇たたずんでいたアスタロトが閉じていた目を開き、その口を開いた。
「二人とも時間稼ぎご苦労様でした。無事生が完了しました」
自分の周囲を見回して――
「壯絶な戦いがあったのですね……ですがもう大丈夫です。お二人が頑張ってくれたお蔭でデュプリケートを倒せます」
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依然、三人の周りには數百、數千のデュプリケート。全方位を囲まれ四面楚歌の狀態には違いない。
この絶的な狀況では、とても『大丈夫』などという言葉を言い放てるはずがないのだが……アスタロトは落ち著き払っていた。
それと言うのも、自の生した能力に絶対の自信を持っていたためである。
「私たちを倒せる?」
「あなたはこの圧倒的量の差を覆せると思っているのですか?」
「この場だけでもまだまだ數百の『私』が殘っている」
「あなた方は手負いを含めてたった三人、私は際限なく増できると言うのに」
「あなたご自慢の雙璧はもう私に捕まってこのざまなのですよ?」
木のっこのようなものに捕まった二人を一目見て答える。
「そうですね、すぐにでも助け出したいところですが、もうしだけお待ちください」
挑発しても乗って來ないアスタロトに、なぜこの全方位敵だらけの狀況で落ち著き払っていられるのか、その疑問の答えは『生』という言葉にあると考え、デュプリケートは更に質問を続ける。
「今『生が完了した』、そう言いましたね?」
「その生とは何ですか?」
アスタロトがその質問に答える。
「そうですね、お楽しみもそろそろ種明かしして良いでしょう。私の持つ特殊能力は『毒の生』です」
「ど、毒?」
「そう、作ったのはあなたを殺すための猛毒です」
……
…………
………………
その話を聞き全てのデュプリケートが沈黙した。
數舜の後、再びしゃべり出す。
「こ、この狀況でこの大量の數に効く毒を放つのですか?」
「わ、我々のは亜人より遙かに強靭です」
「こ、この狀況でそんな強力な毒を放ったらあなたの國の雙璧も無事では済みませんよ?」
「あなたは風の國の雙璧も殺すつもりですか?」
やれやれという態度で肩をすくめるアスタロト。
「ちゃんと話を聞いていましたか? “あなたを”殺す毒です。この毒はあなたの生態報を私ので魔力解析し、あなた専用に作った猛毒です。あなたは先ほど『ここに居るデュプリケート全てが同一個』だとおっしゃっていましたね? 全員が『同一個』と言うことは異種族に影響無いように毒の効き目を調整する必要も無く、実に簡単な生が行えました。ですので、あなた以外の生には全く効果がありませんのでご安心を。毒はもう放っています。さあ、そろそろ効いてきたのではないですか?」
會話している間に見えない毒を既に撒き散らしていたアスタロト。
「なん……だと……!?」
「ひっ!?」
「うげっ……」
「ガホッ……!」
「ゲホッゲホッ!! ガホッ! ゲェーー……!」
突然多數のデュプリケートが口からドバドバドバと白いを垂れ流し、続いて目、鼻、耳からも同様のが流れる。
顔から大量出した後は、中がボコボコと歪いびつに膨らみ、灰をしていたデュプリケートのはところどころドス黒いへと変貌。
更にし経つとに出來た歪いびつな膨らみは空気が抜けたように萎しぼみ、やがて乾いて崩れ、多數のデュプリケートのが塵となって風に消えた。
この毒は生主であるアスタロトの居る場所から放狀に、離れたところに居るデュプリケートへと徐々に徐々に伝染していく。
「う……あ……な、何だこれは!?」
「これが毒!?」
「ここに居たらヤバイ!」
「く、くそっ! 撤退だ! 撤退! 一度撤退して十分に戦力を増やす!」
「全員ここから逃げろ!」
「今度は対処すらできないほどの大軍勢を用意してやる! 覚えておけ!」
アスタロトへ指をさして捨て臺詞を吐き、生き殘っていたデュプリケートが焦って蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの方向へ逃げ出した。
この毒の染過程で、ティナリスとロックスを捕らえていた木ののようなものも、デュプリケートの細胞で出來ていたため乾いて崩れ去り、拘束を解かれて二人は地面へと落下。
「二人とも大丈夫ですか?」
「かなりの大怪我だとは思うが……命には関わらないだろう」
「アスタロト! 私たちのことより、ヤツら逃げてしまいますよ! 大丈夫なのですか!?」
「逃げるのは問題ありませんが説明がまだ途中です。一匹捕まえてください。意識を共有しているという話ですのでソイツ一匹に説明すればデュプリケート全員に知れ渡るでしょう」
ロックスは重傷を負いながらも、逃げようとするデュプリケートの一匹を風魔法で拘束する。
「な、何をする! 離せ!」
「うちの大將が言うことがあるって言うからまあ聞いてけよ」
「離せ! 死んでしまうだろうが!」
死が差し迫っている狀況であるためか、デュプリケートの嫌味を含む紳士的な口調も無くなっていた。
「まだ説明していないことがあるのであなたに伝えておきます。この毒、非常に消えにくく作りました。半減期は五十年というところで、向こう百年は世界中の風に混じって飛ぶでしょう。そしてあなた専用に作った毒ですので、あなたはひと吸いしただけで即死します。もうこの世界のどこに居ても死を免れることはありません」
「そ、そんなぁ~……せっかくの不死に近いなのにガボガボガボ……」
捕まってる間に毒に冒されたのか、顔からが流れ、が膨れていく。
もはや死ぬ寸前だが、アスタロトは話を続ける。
「まだ聞こえてますか? しだけ壽命が延びる方法をお教えしましょう。風にれることのない土の中なら數年くらいは生き長らえることができるかもしれません。まあ、毒が雨水で土の中まで浸してしまえば土中でも染するかもしれませんが。一つ言えることは、もうあなたが地上に出られることは無いでしょう。では侘わびしい余生をお過ごしください」
話の後半が他のデュプリケートに伝わったかどうか分からないが、ロックスが捕まえたデュプリケートも最期は塵となって消えた。
「さて仕上げです。その傷だらけのに鞭打つようで申し訳ないのですが、お二人の風魔法でこの國全域にこの毒をばら撒いてください。これでデュプリケートは今後隠れること以外何もできなくなります。再度集団化して亜人が躙されるような未來も來ないでしょう」
二人で風を吹かせ、アスタロトの生した毒をばら撒いた。
「これで良し。二人ともお疲れ様でした」
「せっかく地上で生活できるようなで生まれたのに、しだけ可哀想な気もしますね……」
「それは仕方ないだろう。姿は亜人に近くなっても、俺たちから見れば害蟲でしかないからな。元々はただのジャイアントアントから生まれたものだし土中生活に戻るだけだ。しかし久しぶりに見たが、やはり強烈な能力だな」
「そうですね……まあ役に立つ時もたまにはありますが、この能力の所為でろくでもない期を過ごしましたから、私自あまり好きな能力ではないのですが……」
表にし影を落としながら続ける。
「さて、私はベルゼビュート様の援軍に向かいます」
「俺も行く……と言いたいところだが、この満足にかせぬでは囮おとり役にすらならん。すまないがここで戦線離させてもらう」
「私も……このの開いた腕では行ったところで足手まといにしかならないでしょう」
「ええ、イルリースかエアリアをここへ向かわせますので、空間転移魔法で醫療機関に連れて行ってもらってください」
「すまない……」
「すみません……」
「デュプリケートにやられた兵士たちのは……」
と言いながらアスタロトが周囲を見回すものの……そこに死はほとんど見られず……
「……くっ……どうやら取り込まれてしまってどころか、鎧やネームタグすら殘っていないようですね……ジャイアントアントの駆除でこれほどの被害が出るのは前代未聞だ……」
「死者の照合には時間がかかるかもしれませんね……」
「かなりの數の兵士がアルトラ殿と共に転移して行ったようだが?」
「……そうですか! 死者がなく済んでいると良いのですが……」
……
…………
………………
「…………まだ落ち込んでる暇は無いので、もうボレアース城に向かいます。その進行ついでにイルリースたちに聲をかけて行きますので、二人はここで休んでいてください」
「武運を祈る」
「武運をお祈りします」
アスタロトは二人を置いて、イルリース、エアリアの居る場所へと向かった。
毒の生能力、これはヨーロッパ伝承の悪魔・アスタロトの毒の息に由來しています。
相手の生態を解析して毒を生する能力も面白いなと、思い付いた能力です。
第17章も長くなりましたが、次話からはこの章の最終盤です。
次回は6月24日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第482話【帝蟻の脅威】
次話は來週の月曜日投稿予定です。
包帯の下の君は誰よりも可愛い 〜いじめられてた包帯少女を助けたら包帯の下は美少女で、そんな彼女からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜
雛倉晴の通っていた小學校には、包帯で顔を覆った女の子――ユキがいた。小學校に通う誰もが一度もユキの素顔を見た事がなく、周囲の子供達は包帯で顔を覆うユキの姿を気味悪がって陰濕ないじめを繰り返す。そんな彼女を晴が助けたその日から二人の関係は始まった。 ユキにとって初めての友達になった晴。周囲のいじめからユキを守り、ユキも晴を頼ってとても良く懐いた。晴とユキは毎日のように遊び、次第に二人の間には戀心が芽生えていく。けれど、別れの日は突然やってくる。ユキの治療が出來る病院が見つかって、それは遠い海外にあるのだという。 晴とユキは再會を誓い合い、離れ離れになっても互いを想い続けた。そして數年後、二人は遂に再會を果たす。高校への入學式の日、包帯を外して晴の前に現れたユキ。 彼女の包帯の下は、初めて見る彼女の素顔は――まるで天使のように美しかった。 そして離れ離れになっていた數年間で、ユキの想いがどれだけ強くなっていたのかを晴は思い知る事になる。彼女からの恩返しという名の、とろけた蜜のように甘く迫られる日々によって。 キャラクターデザイン:raru。(@waiwararu) 背景:歩夢 ※イラストの無斷転載、自作発言、二次利用などを固く禁じます。 ※日間/週間ランキング1位、月間ランキング3位(現実世界/戀愛)ありがとうございました。
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