《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1708話 呪詛と後悔
コウエンが素直に自分の言葉を聴いて後悔を噛みしめている様子を見せた事で、王琳は何かを決心するように頷いて見せるのだった。
「戦闘における『魔』の本質とは、相手を屈服する事にあると俺は思っている。だが勘違いするなよ? それはお前達が考えている単純な質量で押し切るだけという意味ではない。一定の『魔』の領域に辿り著く者が相手になれば、如何に自分の我を通す『力』を相手に屆けられるかという事が重要になってくる。そこで必要なのが相手の『魔』で出來た守りの要を崩す為の『魔』の概念という事なのだ」
「……」
コウエンは黙って王琳の話に耳を傾け始める。そこには、相手が自分の執著していた因縁の『妖狐』という気持ちが完全に薄れていて、まるで自分に指導をしてくれている教師から、必要な事をする生徒のように思える程の真摯さが表からじ取れる程であった。
「戦闘において相手が自分の『魔力』で押し切れない程の耐魔力を有する相手であった場合だが、一番手っ取り早いのが相手の耐魔力を下げる努力を行う事だ。まぁこれは『魔』を一定のラインまで修めている者が対象となるが、そこはお前程の『魔力』があれば問題ない」
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あっさりとお前程に『魔力』があれば大丈夫だと、暗に告げられたコウエンは相好を崩すのだった。
「その中でも一番効率良いのは天狗共の使う『呪詛』でな、短時間しか効力を維持出來ないが、その分に手軽に使えて効力もとても強力なのだ。この『呪詛』とは相手に影響を與えたいと強く意識を持つ事と、それを相手に理解させるような伝達を行う文言に『魔力』持たせる事が必要となる」
「ま、待て、妖狐! その『呪詛』とは天狗やお主ら妖狐のような妖魔ではないワシら人間でも使えるものなのか!?」
當然『呪詛』というものは妖魔を通してコウエンにも理解に及んではいるが、自分達人間が扱えるものではないと決めつけて、天狗達が扱うものだと彼は勝手に考えていたのであった。
「言っただろう? 『呪詛』とは相手に影響を與えたいと意識する事と、それを伝えればいいだけの事だと。勿論これもさっき言ったが、それには幾分か『魔力』を費やす必要があるが、お前達人間もこれまで知らず知らずのに使っていた筈だ。そうだな、たとえば分かりやすく伝えるなら……」
そこで王琳は可視化出來る程の紫の『魔力』を纏うと同時、コウエンを睨みつけながら言葉を吐きだした。
「――お・前・を・殺・す・」
「!?」
次の瞬間、コウエンの全が総立つのだった。
「今ので分かりやすく伝わっただろう? これはまぁ殺気や殺意をぶつけただけだが、原理的にはこの効果と同様な影響を與えるものが『呪詛』だ。もちろん會得に加えて自在に扱うようになる為には、言葉に『魔力』を注ぎ影響を確実に與えるための研鑽が必要となるが、これも一定の『魔力』の値があればそこまで時間を掛けずに覚えられるだろう。最初は相手の『魔』に干渉するものではなく、相手をけなくする、相手に恐怖心を植え付けるなど、想像や連想といった自分の持つ報を強引に相手と共有する為に言葉を伝達に用いるイメージが重要だ」
どうやらその報の共有が行いやすい言葉が、先程の殺気や殺意と同様の効力を來した『呪詛』という事だったのだろう。
コウエンは『呪詛』というものは、天狗や鵺といった妖魔が扱う特別な技法の概念なのだと考えていた為、紐解いていけばその幹の部分は、相手に自分の連想する『報』を共有する事で理解させる事で効果を発揮出來るなのだと知って、まるで言霊のようなものなのだなと銘をけたのだった。
「あっ……!」
そしてその銘をけると同時、ふと先程まで考えていたサイヨウの事が頭を過るのだった。
――確かにこの王琳と同じように、あのサイヨウは天狗の『呪詛』を『捉』に取りれようと提案を行っていた。
このサイヨウの提案は妖魔に取りって『』を會得しようという話ではなく、相手に影響を及ぼすために天狗や鵺の扱う『呪詛』を『殺意』や『殺気』に置き換えて、報伝達の役割を擔わせながら『捉』に繋げようと案を掲げていただけだったのである。
つまり王琳の今告げた言葉と同じ事を、あの時にサイヨウは告げていただけに過ぎなかったというわけである。
(な、何と言う事だ! くっ! サイヨウめ、お前は言葉が足りな過ぎるぞ……! い、いや、違うか……。あの時はサイヨウに対して聞く耳を持たずに『天狗』という妖魔や妖魔山を連想させる言葉のせいで、ワシらが必要以上に気持ちに過敏になってしまっておったのが原因だ。あやつはあの時に空気を読まずに自分本位の言葉を告げておったわけではなく、あくまで冷靜にワシらに今後の妖魔との戦闘のやり方に対して、改善點を伝えようとしておっただけだったという事だ。な、何とワシらは淺慮だったのだろうか、今回ばかりは本當に自分というものが嫌になったぞ……!)
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