《ダンジョン・ザ・チョイス》723.不自然な鍾での戦い
「“振切斷剣”、“周波數王剣”――“稲瞬足”」
浮遊剣を摑んだ栗鼠獣人のリリルが、偽エイリアンを切り裂いていく。
「“周波數魔法”――フリークェンシースプランター!!」
バラバラにした死に雷を當てて、黒ずみに。
「ま、こんなね」
剣を消して戻ってくるリリル。
マリサのパーティーと合流してから早數時間。鍾のような場所をひたすら進んでいた。
「そうだルイーサ、リリルの職業について聞いたか?」
ユダヤ人のアムシェルに、肩を組まれる。
「職業? 獣人だから戦士じゃないのか?」
「実は、職業を変更できるアイテムを手にれてな。リリルは魔法使いに憧れてたらしい」
獣人は戦士にしかなれないから、解らなくはない。
「余計なこと言うな、アムシェル!」
「まあ、リリルの事だから、それだけじゃないんだろう」
小柄なリリルの頭を、ついでてしまう。
「ちょ……気安くでないでよ」
「ああ、すまない」
「ツンデレのお手本みたいな奴だな」
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「本當だね」
「たぶん自覚ないわよね、アレ」
フェルナンダ達が何か言っている。
「ツンデレってなんだ?」
「ツンツンしていると思ったら、急にデレる事です。この前、ナターシャさんとメルシュ様がそう言っていました」
「なんだそりゃ?」
ザッカルとアルーシャも、なんか話してるな。
「もう18時を超えたし、そろそろ休める場所を見付けたいところだけれど」
金銀の鎧を著た太の雙剣使い、マリサの言葉には同意だ。
「なら、この広い鍾は抜けたいな」
上からも下からもびた鍾石が、見渡す限り続いている広大な空間。
天井は元々平坦なようで、高さ六メートル程しか無く、どこも飛行して進むには危険。
「この空間を抜けるには、今のペースですと二時間は掛かるかと」
マリサの隠れNPC、ネクロマンサーのメフィーからの悲報。
「できるだけ距離を稼ごうとして、墓を掘ったか」
「モンスターの大群やプレーヤー同士の戦闘を避けて來たから、仕方ないわよ」
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「うん……あれは仕方ない」
「……だな」
「むしろ英斷ていうか」
「私、思い出したくもないんだけれど」
最短ルートを進んでいた際、“コッカローチ”の大群に、集する巣まで見付けてしまった私達は、ここまで必死に逃げてきた。
プレーヤーを避けつつ進んだのも、しでも遠くへ逃げたかったのと、コッカローチを他プレーヤーに駆除してしかったからだ。
まあ、カウンターシステムでポイントを稼ぐ絶好の機會ではあったが。
「姉ちゃん、前に遭遇した時は錯してたよね。今回は冷靜に対処して偉い偉い」
「姉をからかうんじゃないわよ、まったく」
アオイとアヤナのやり取りは和むな。
「ていうか、それならルイーサの方があの時よっぽど――」
「おい、やめてくれ! その話はするな!」
慌ててアヤナの口を塞ぐ!
「ルイーサがこんなに慌てるなんて……いったいなにがあったの?」
「教えてやろうか、リリル? 俺は直接見たわけじゃないが、ルイーサのやつコセによ」
「おい、本當にやめろよ、ザッカル!!」
私にとって、コセにゲロをぶちまけたのは人生最大の黒歴史なんだぞ!!
鎧の形狀が代わってなかったら、コセを見るだけで今でも思い出してたかも。
「どんだけ嫌がって――今、大きな水の音がしなかったか?」
アムシェルの神妙な顔。
「私も聞こえた」
「俺もだ」
リリルとザッカル、獣人組が肯定。
「ちょうど進行方向からか――じゃあ、ちょっくら行ってみようか♪」
「だな!」
マリサと私、パーティーリーダー同士が合意したことで、軽く走りながら進んでいく。
「……」
「どったの、リリル?」
アオイの聲?
「……生き返って良かったわね、アオイ」
「……うん、そう思うよ」
私達が死んだと思っていたリリルと、実際に死んだアオイ……何か思うところがあったんだろうな。
「なんか出て來たな」
地面から大量の骨が生えてきて――巨大で不気味な人骨に!?
天井が低いからか、四つん這い狀態でこっちを睨んでいる。
「……“蛾者髑髏”」
何やら実ありげに、目の前のモンスターの名を教えてくれるメフィー。
「コイツか。私達が遭遇できなかった妖怪モンスターは」
「ルイーサのパーティー、コイツは私達が貰っても良いかな?」
アムシェルとマリサは、何故かやる気満々らしい。
「……お手並み拝見といこうか」
●●●
「とっとと仕留めるよ!」
雙剣である“レーザーツインエッジ”に、レーザー刃を発生させる。
『ガギャギャギャギャ!!』
巨大なを生かして突撃して來る――進むほどに、鍾石と手腳を破損させながら!
「俺がやる!!」
前に出たのは、黒い一本角を持つホーン族のサレナ。
「“大衝紋”!!」
サレナがスキルで撃ち込んだが蛾者髑髏の頭蓋に命中――蛾者髑髏の巨大頭蓋に匹敵する大きさの魔方陣となる。
「“跳躍”――“二刀流”」
振りかぶりながら、眼前に飛び出るサレナ。
「“鉄巖鎚”――アイアンロックブレイク!!」
“竜殺しの大鎚”と、六文字刻んだ“この力の前にひれ伏せ”による両打ち込みにより、蛾者髑髏の行進が止まった。
“大衝紋”による打撃攻撃の範囲増加に、衝撃を炸裂させるブレイク系のチョイス。さすがだね、サレナは。
アテルと一緒に購した時は野犬のように噛み付いてきて、上手くやれるか心配だったものだけれど。
「“抜剣”」
アムシェルが、両腰の“ゴイムの奈落鞘”から二振りの魔剣、“ゴイムの願いの魔剣”と“ゴイムの魔なる古代王剣”に九文字ずつ刻みながら抜く。
さすがに、この狀況で“ダーインスレイブ”は使わないか。
「“二重武”、“逢魔剣”」
背を低くし、腕を差させた?
「オミナスブレイク――“追放”!!」
ブレイク系の斬撃を差させながら飛ばし、きが鈍っていた蛾者髑髏の大部分を破壊してみせるアムシェル。
「骨が來ます!」
メフィーの言うとおり、派手に飛び散っていた骨が襲い掛かってきた!
「“太法”――ソーラーレイ!」
私の魔法で、直撃コースの骨を消し去る。
「マリサ、ギルマンに囲まれてる!」
リリルからの報。
「水場が近いからか――ギルマンは私とリリルで対処する! 後は任せた!」
「おう、すぐに終わらせる!」
「人使いが荒いリーダーだ」
アムシェルとサレナの攻撃力なら、任せて大丈夫でしょう。
「“飛剣・連斬”!!」
私の金と銀の鎧、“覆われし太の”に六文字刻み、力を流した“レーザーツインエッジ”をオールを漕ぐように振るうことで――連能を高めた斬撃を連続発!!
の軸をしずつ左にずらしながら、ギルマンとその上位種を殲滅していく。
「“千狐鳴”! “高周波滅”!!」
リリルも、問題なく右側のギルマン種を殲滅している。
さすがに、後ろはルイーサ達に任せるか。
「“三重魔法”――“鉄巖魔法”、“古代屬付與”――アイアンロックバレット!!」
サレナの魔法が決まり、蛾者髑髏の巨が見事にバラバラに……だが、まだ再生する兆候があるな。
死が消えないという今回のクエストの質上、再生能力の高いモンスターが実質無敵になっている……なんて事はないだろうな?
「――“腐食土葬”!!」
々になった骨を、地面から湧き出させた土に飲み込ませるアムシェル。上手い!
「行って」
メフィーがる“プラズマロイドKケンタウロス”が、けないアムシェルの援護にり、機械槍をって骨から守る。
「“怨霊魔法”――エクトプラズムコントロール」
無數のプラズマ球をメフィーがり、飛び回る骨を吸い寄せて“腐食土葬”に次々と突っ込ませていく。
「フー、ようやく片付いたか」
「お疲れ、アムシェル。サレナとリリルも」
「マスター、私は?」
メフィーは頭をでてあげる。
「フフ♪」
「……アレは手にった?」
「うん。“蛾者髑髏の腕”は、確実にドロップするアイテムだから」
ネクロマンサー固有のスキル、“死霊支配”で強化可能な蛾者髑髏は、メフィーの裝備としてぜひしいって話になってたんだけれど、運悪く私達は遭遇できなかった。
まさか、このクエスト中に手にれられるとは。
「急ごう。向こうから戦闘音らしき音がする」
ルイーサ達が前に出て走って暫く、鍾石の無い一角と大きな河を発見。
その河の向こうで戦闘をしているのは――《白面のケンシ》所屬の青髪エルフ、ネファークがリーダーのパーティーだった。
快適なエルフ生活の過ごし方
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