《ダンジョン・ザ・チョイス》724.廻の蛇エルフ・ネファーク
「……なんだあれ?」
鍾の真っ只中に流れる河と、開けた場所に聳える一戸建て。
「へー、良い家じゃないか」
男三人に一人のパーティーが、別方向から現れる。
「ヒュー! だけの五人パーティーかよ。たまんねーな」
野な異世界人がリーダーか。
「ネファーク。あの、隠れNPCのサンダーバードだ」
教えてくれたのは私の隠れNPC、ペルーダのペンペン。
し前の突発クエストで、敵から殺して奪った隠れNPC。
でなければ、エルフである私が隠れNPCと契約できる機會はなかった。
私のSSランクと相まって、使・い・潰・し・や・す・い・隠・れ・N・P・C・の・存・在・は・あ・り・が・た・い・。
「どうするの、ネファーク」
サナの奴隷になった、鼠獣人のマウーサに尋ねられる。
「あの家を調べて、使えるなら使いたいからさ――殲滅だ」
ペンペン以外のパーティーメンバーが、素早く敵パーティーを囲む。
「そういえば、このクエスト中は隠れNPCを奪えるんだったな」
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「おいおい、俺のダッチワイフをお前らなんかに渡すかよ」
ダッチワイフ?
「サナかクロニー、隠れNPCを手にれるチャンスだぞ」
「私はいつでも機會があるでしょうから、クロニーさんに譲ります」
サナは異世界人で、クロニーはフェアリーだからな。
……譲るのは良いけれど、敵にこちらの狙いを絞らせる報は與えないでしいんだけれど、サナ。
「セリーヌに差を付けるチャンスかしら!」
昔、何かあって対抗意識を燃やしているらしいクロニー。
「おい、ワイフを守れ」
「「おう!」」
ワイフって、まさかサンダーバードの名前じゃないよな?
「行け、ペンペン」
「はいよ!」
荒々しい白髪ポニーテールのペンペンが、両腕の“ペルーダの火毒爪”を武に仕掛ける。
「“天蓋落雷”!!」
リーダーらしき異世界人のスキルで、頭上から雷を浴びるペルーダ。
ペンペンのの大部分が炭化して四肢が崩れ落ちていく……なんて威力。
「ハハハ! “天蓋落雷”は、天が見えない場所でないと威力がカスになる分、絶大な天雷系統のスキルだ!」
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「解説どうも。けど――」
「……アー、いったー!」
ペンペンのの炭が剝がれ、欠損した四肢がものの數秒で再生していく。
「なんだ? “瞬間再生”なのか?」
この男は、キクルやホタルみたいにゲームに詳しいらしい。ま、外れだけど。
「違う。そこのエルフののペンダント、SSランクの“ウロボロス・メダリオン”の力」
「ネタばらしありがとう、サンダーバードの隠れNPC」
“再生支配”。私を起點とする半徑十メートル以のパーティー・レギオンメンバーの全ての再生能力を三倍にし、“即死”を無効、欠損部分さえ自再生する。それが、“ウロボロス・メダリオン”の力。
回復特化だから、他のSSランクと違って微妙だけれど。
ペンペンの再生能力だって、數々の裝備とスキルで回復と耐を底上げしたからこその。
「いつまで寢ている気、ペンペン」
「人使いが荒すぎだっつーの、クソマスター」
これくらいの軽口は、私達の間では日常茶飯事。
「SSランクだと……ハ、ついてるな! 回復特化であろうとなかろうと、レアアイテムを手にれるチャンスだ!」
SSランクの脅威度を理解していないらしいな、この男は。
「來い――“守護神/刑天”!! “古代兵裝/ヒュドランザ”」
――守護神と古代兵裝に同時展開!?
「お前……魔法戦士なのか?」
「へー、正解だよ」
だからこそ、戦士専用の守護神と魔法使い専用の古代兵裝の両方を使えるんだろう。
だが、コイツが魔法戦士だとすると――
「……素でLv100越えか」
いったい、どこのステージまで進んでいる連中なのやら。
「解ったか? こ・の・俺・の・凄・さ・が・。SSランクを手にれれば、マサハルにだって負けないんだよ、俺は!」
妙な言いだな。
サナ達も戦闘を始めている。探りをれるなら今か。
「まるで、自分だけが強いみたいな言い方だな」
「當然だ。レギオン、《聖王騎士団》でLv100越えは、俺だけだからな!」
攻略最前線に居ると思われるレギオンのメンバーか。
「良いね。最上位陣の力を図る良い機會だ」
●●●
「“獣化”」
安全策を取って、醜い鼠の二足歩行姿に。
『私が隙を作る』
「ハイハイ」
決め手はクロニーに任せ、“閻魔焔の大刀”と“恐怖慌の大刀”を手に斬り掛かる!
「“聖印”――“衝撃槍”、インパクトプリック!」
大雑把な攻撃。これなら、避けつつ懐に飛び込んで槍を――
「――“四連突き”」
武の威力を纏った狀態で、突きを連続!?
『ハアハア、ハアハア』
鎧に罅がったか。ネファークのSSランクのおかげで再生が速いから、傷の割にMP消費はないけれど。
「これで、君の攻撃は僕には効かなくなった」
『はあ?』
最初に突かれた左眼の辺りが、妙に眩しい。
「“聖印の聖槍”。“聖印”を刻んだ相手は、者である僕に対し、ありとあらゆる攻撃が効かなくなるのさ」
このクソ異世界人が!
「なるほどね。でも、使用できるのは一人に対してだけなんだ」
クロニー? ……ライブラリで効果を確認したってわけ。
「マウーサ、私がメインになるわ!」
『仕方ないか』
また足手纏いに。
「僕たちは攻略最上位の人間。君達如きに負けるはずがないんだよ!」
自分に言い聞かせるみたいに。
「“ピリカカムイ”――“煉獄蝶”!!」
紫炎の蝶々の群れ。クロニーのお気にりのスキル。
「“聖水槍”、セイントチャージ!!」
聖水のエネルギーで、炎の蝶群を強引に突破する気か。
「間抜けが――インフェルノブラスター!!」
直線にしかけない武だから、正面からぶち抜くと。それも詠唱破棄で対応しづらく。
「――“四連瞬足”」
武を発したまま、クロニーの背後を取った!?
『“瞬足”!』
間一髪で、橫合いからショルダータックルをぶつけて弾き飛ばす!
『“飛剣・紅蓮”!!』
男に直撃する直前、スキルが砕け散るように消えた。
『これが“聖印”の効果。でも、通常の攻撃には対応していないみたいね』
でなければ、私の當たりに対してもなんらかの効果を発揮していたはず。
「鼠が。っぽいからって調子に乗りやがって」
『は? 今の私は醜いでしょうが?』
“獣化”狀態の私は、自分でも気味が悪いと思ってるのに。
「僕はケモナーなんだよ!!」
『あっ、そ!』
大刀で斬り掛かると、予想通り回避した。
「“守護神/煉獄領の大獄卒”」
クロニー、切り札を切ったか。
思い切りが良いのは、彼の長所だ。
「ぶちのめしなさい、大獄卒!!」
紫炎の並み持つ悪鬼が、金棒から生えた斧を振り下ろす!
「守護神持ち? 六十ステージ越えなのかよ、コイツら!」
違う。クロニーのアレは突発クエストの景品で、私達《白面のケンシ》で持っているのは、まだ彼だけ。
「僕は《聖王騎士団》の一員だぞ! 武換――“滅槍アーマゲドン”!!」
あの槍、ザッカルがたまに使っていた大剣に似ている? ――まさか!?
「“終末の穿撃”ッ!!」
この理不盡な暴威――クロニー!!
音が消え、戻ってくると同時に――背から激しい痛みッッ!!
“守護神/煉獄領の大獄卒”を消し去っただけでなく、クロニーを庇った私の背の大部分まで吹き飛ばされたッ……。
「マウーサ、あんた!」
『あれは……連発できない――チャンスだッ!」
「クソッタレ!!」
私の意図を汲んで、弾かれるように駆け出すクロニー。
「まだ生きてんのかよ、お前ら!!」
“聖印の聖槍”に持ち替えた男と、紫の鎚である“悪魂は煉獄に興じ絶えろ”に六文字刻んだ狀態のクロニーが――ぶつかり合う。
「コイツ、なんてパワーだ!」
「倒れなさいよ!」
裝備やスキルの差なのか、神代文字の力を纏ったクロニーでも押し切れない。Lv差は無いはずなのに!
「“四連突き”!!」
鎚を盾に防いだクロニーが吹き飛ばされる――ようやくチャンスが來た。
「――“超新星”」
紅い骸骨の杖、“スーパーノヴァ・レムナントレッド”の力を行使――一日に一度だけ放てる範囲指定型の超発を、ケモナー野郎中心に発生させる!
「バカですか! お前には“聖印”が――」
お前が槍を持ち替えた時點で、私から“聖印”は消えている!
「――しま!!」
対応が遅れた時點で、アンタの負けよ。
「ハアハア……私、すっかり男の趣味が変わったみたい」
昔は、ちょっと強引なくらいが良かったけれど……バカを見ていると、蟲唾が走るようになっちゃった。
三分間で世界を救え!「えっ!ヒーローライセンスD級の僕がですか!」 就職したくないからヒーローになった男は世界で唯一のタイムリープ持ち。負け知らずと言われた、世界一のヒーローは世界で一番負け続けていた
ある日、地球に隕石が飛來した。大気圏に突入した際に細かく砕けた隕石は、燃え盡き 地上に居た人々にケガ人は出なかった。 その日、大量の流れ星が空に現れ、消えて行った。 SNSでは流れ星の寫真が溢れ、多くの人が話題に上げ、連日ニュース番組では街行く人に街頭インタビューをしていた。 數週間と時が過ぎ、話題にも上がらなくなった時に異変が起きた。 外見的変化が世界中から報告され始めた。 次第に外見の変化は無いが、「個性」と言われる能力が確認され始めた。 するとSNSでは自分の個性を載せようと、寫真、動畫がアップされ始めた。 そして事件は起きた。 隕石によって影響を受けたのは、人類だけでゃなかった。 動物にも変化が起きた。「突然変異」によって巨大化、兇暴性の増した「怪物」達が 人類に牙を向け始めた。 街を破壊して暴れまわるその姿は、まさしく「怪物」 生物の頂點に居た人類は、淘汰される危機にあった。 そんな中、個性を使った強盜事件、犯人は個性を使い犯行を行い 警察から逃げきる事に成功した。 世界中の國々で同様な事件が発生し対応に追われていた。 そんなある日、一人の男が現れえた。 街中で暴れ、警察が対応出來ずに困っていた時に、仮面を付けた男だけが犯人に向かって行った。 その様子はテレビ局のカメラや周辺に居た人々の攜帯でも撮影された。 個性を使った犯罪に、個性で立ち向かった勇敢な姿は見ていた人に勇気を與えた。 事件から數日後、政府がある事を発表した。 それはヒーローの組織設立を國が進めると言う事、ただ後日発表された詳細は、公務員として雇用するわけでは無く、成果報酬型のフリーランス。 報酬はバイトと変わらず、自分の個性を使って楽に稼げると、期待していた人は報酬もさることながら、他があからさまに酷いと、SNSで政府を批判した。 そんな事があった為に人は集まらなかった。 そんな時だった。 一人の資産家が政府に代わって新たなヒーローの組織「イポテス」を設立した。 ヒーローとして怪物から街を守り、個性を使う犯罪者達から市民を守るヒーロー。 この物語は「無敗のヒーロー」と言われた男、赤波新屋の物語である。 カクヨム掲載中
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