《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第486話 絶の中訪れた希
トドメを刺されようとしたその時!
帝蟻の攻撃が、私の前に突然出現した水球によって減殺げんさいされ、一瞬だけ鈍くなった。
「何だ? 誰じゃ?」
その隙を突いて、電石火の速さで何者かにその場から救い出される。
「……もう大丈夫……」
私を救出してくれたのはアスモだった!
気付いた時には彼の腕に抱きかかえられていた。
「いや~、ギリッギリだったねベルゼ! あと數秒遅かったら、私たちは転がったあなたの首とご対面だったよ~」
続いてレヴィの聲がした。
助けに來てくれたのは水の國アクアリヴィアと雷の國エレアースモの王二人。
「な……何で? どうしてここが……!?」
頼もしい援軍にしだけ気力が湧き、聲にも張りが戻った。
「カイベルにベルゼの救援を懇願されてね、危機的狀況だって言うから急いで來たんだ。こっちに著いてみれば傷だらけだけどまだ生きてたからホッとしたんだけど、今まさにトドメ刺されようとしてたから焦ったよ!」
「……カイベルは空間魔法まで使えたんだね……」
カイベルが空間魔法を……? いや使えないはずだけど……
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あ! そういえば空間魔法と時間魔法をシステムから消そうと思って、思いとどまったんだった!
リミッターを解除することで、一時的に使える仕組みにしたんだっけ。 (第97話參照)
「ああ……こんなボロボロになって……片腕なんて無くなってるじゃない……」
「……カイベル、ベルゼをお願い……」
アスモに抱きかかえられていた私は、二人に付いて來ていたカイベルに手渡された。
カイベルに小聲で話しかける。
「……な、何で二人がここに……?」
「……その前にしでも回復しておきましょう……」
全に【自己再生魔法リジェネレート】がかけられ出が止まる。左腕の切斷面には【癒しの水球リジェネレート・スフィア】がかけられた。傷の痛みがいくらか引いていく。
カイベルはそのまま私を抱きかかえながら話を続ける。
「……私では魔王を倒すほどの力はありませんので、お二方のお力をお借りしに行きました……」
「……でも、どうやってここへ【ゲート】を繋げたの……? あなたここへ來たことないでしょ……?」
「……私の転移座標はアルトラ様の座標と同じですので。アルトラ様の行ったことがある場所なら私も行けるのです……」
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カイベルは私の魔力から生まれているから、転移座標まで共有してるってことか。ってことはカイベルが行ったところに、私も転移可能ってことか。
もっとも……私の場合はカイベルとは違って転移する場所を離れた場所から知ることができないから、カイベルが訪れた転移座標を利用することはできなさそうだが……
「コイツが『暴食グラトニー』を継承した今代のベルゼビュートってわけね。報部からはアリだって聞いてたけど、どう見たって亜人にしか見えないね」
「……まさかアリが宿主なんて……前代未聞……」
「まあ、國では突然私たちが消えたことになってるだろうし、早く戻らないと騒ぎになるだろうからちゃっちゃと倒して帰りましょうか」
「……そうしよう……」
え? 國で騒ぎになるって……
「カイベル、何て説得して二人を連れて來たの?」
「やむを得ない狀況でしたので、『アルトラ様がピンチです!』と一言伝え、強引に手を引いて【ゲート】へ引きれました」
それって突然攫さらって來たってことにならない?
拐罪とか不敬罪とかにならないかな……?
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そんなことまで考える余裕が出てきたのは、それだけこの三人が援軍として頼もしいからだろう。さっきまでの私ならそんな余裕は無かった。
カイベルに抱きかかえられながらも帝の方に目を向けたところ、私と戦っている時は違う表をしていた。今の私の心とは対照的に困したような表。
「な、何じゃそなたらは? どこから來たのじゃ!?」
突如として自と同格の魔王が二人も援軍として現れたため、先ほどまでの余裕綽々しゃくしゃくの表は消え失せ、焦りが見える。
「ああ、名乗らないのは王として失禮でしたね。私はあなたがたが侵略しようと働きアリを差し向けた水の國アクアリヴィアで王をしております、レヴィアタンと申します」
「……雷の國エレアースモで王をしている……アスモデウスと言う……」
「キサマたちが王だと! なぜわざわざ王が援軍に來たのだ!」
「そこのアルトラを救助するために馳せ參じたのですよ。さあ、私たちと第二ラウンドを始めましょうか」
「……悪いけど……手加減せずさっさと殺すから……覚悟して……」
そう宣言したのはレヴィとアスモだったが、先にいたのは帝蟻の方だった。
の小さいアスモに狙いを付け、疾風の速さで攻撃しようとしたが――
ゴゴオオォォォン!!
という雷撃音がした直後、から煙を立ち昇らせてきが停止した帝蟻が居た。
「かっ、はっ……」
地面に膝を突き、うめき聲を上げ、白目を剝いて全に電気がほとばしっている。
「い、今何をしたの?」
「帝蟻に近付かれる前に、強力な雷魔法をお見舞いしたようですね。アスモデウス様の右手から一直線に帝蟻のを貫通するのが見えました」
しかし、すぐに気を持ち直し、アスモより近くに居たレヴィに標的を変えた。
また素早いきで、レヴィの背後に回り込み、風を纏まとった斬撃!
「危ない!」
と言い放った私の言葉は杞憂だった。
レヴィの背後に水の泡が現れ、帝蟻の斬撃をけ止めたのだ!
しかも――
「う、な、何だこれは、離れぬ……」
その泡はかなり高い粘度を持っているらしく、帝蟻の右腕を包み込んで引き剝がそうとしても剝がれない。
「ごめんね~、私が警戒している時には自発するタイプの魔法だから、後ろから攻撃しても無駄よ」
「くそっ!」
腕をブンブン振り回しても離れないため、火魔法で側から蒸発させた。
「おのれ……何なのだキサマらは!」
イラついてきたのか、また帝蟻の口調が変わった。
「あなたと同じ魔王よ。まあもう數十年やってるだけに、私たちの方が一日いちじつの長ちょうがあるみたいだけど」
凄い!
私との戦いでは常に薄ら笑いを浮かべて、余裕で見下していたのに、彼らは二人がかりとは言え、完全に手玉に取っている。
帝蟻が後方へ大きくジャンプし、空中を高速で何度も蹴ると、風の刃が何本も重なった巨大な嵐の渦に変化した。
そしてその直後から強い風が吹きすさぶようになる。
「凄い風だ……! 痛っ!」
狙いはレヴィのはずなのに、遠くで見ていた私のに切り傷が出來た。
「あ、あの巨大な嵐の渦って、全部が風の刃の塊なんだ……!」
今度はレヴィが後方へ大きくジャンプし、巨大な高波を引き起こした!
高層ビルさえも飲み込めそうなほどの巨大な波。
「えぇっ!? あの波こっち來ない!?」
「アルトラ様、しっかり捕まっててください! このままでは私たちも巻き込まれるので、波に乗ります!」
「え!? 乗る!? どうやって! うわわっ!」
私たちへも牙を剝く高波の上へ、カイベルが私を腕に抱えながらジャンプし、サーフボードを模した氷の塊を足元に作り出し、その上に乗って波をる。
アスモはどこへ行ったかと見回したところ、上空に浮かんで帝を見據えていた。
私たちが離した直後、レヴィの喚よんだ高波と帝が作り出した嵐の渦が衝突! 『ドッパァァァ!!』という巨大な音を響かせ多くの波が霧のように散り、衝撃波が発生し、突風が吹き荒れる!
「うわぁぁぁ!! 痛っ!」
また複數の切り傷が出來た。何て危ない風だ……
凄い魔法合戦だ……
「あの帝蟻、私には全然実力を出してなかったんだ……」
風で吹き飛ばされた水は再び集まり、今度は水の巨人像に変わる。
水の巨人は上空から腕を振り下ろし、帝蟻をハエ叩きのごとく叩き伏せようとする。
が、それに気付いた帝蟻は一瞬で別の場所へ移。
それを見計らっていたかのように、アスモがを放ちながらそれ以上の速度で帝蟻に蹴りを叩き込んだ。
「があぁッッ!!」
帝蟻は斜めに勢いよく蹴り飛ばされ、地面を抉りながら地中をって行く。そして何かの拍子にバウンド。アスモはその吹き飛ぶ速さより更に早い速度で追いつき、水の巨人へ向けて蹴り飛ばした!
「ぐはっっ!!」
そして待ち構えていた水の巨人像が、今度こそ地面へ叩き伏せる!
「ぐあっ!!」
帝蟻が地面に叩き落され、その直後に上空で見ていたアスモが水の巨人へ雷を落とした。
雷は水の巨人に更なる力を與え、雷の力を帯びる。
そして、帯電した拳で帝を追撃!
「ぎゃぁあぁぁあぁ!!」
水圧の一撃とそれに混ざった強力な雷をけ、激しいを放ちながらび聲を上げる。
再び煙を上げながら、その場からかなくなる帝。
「このまま窒息してもらうね。せめて綺麗な狀態で死なせてあげる」
気絶している間に水の巨人の中へ帝蟻を取り込み閉じ込めてしまった。
私はその様子を見て一つ思い出した。
「これって……私がブルーソーンの時にやられて溺れかけたヤツと同じような狀態だ!」 (第324話參照)
この魔法の恐ろしいところは、水が意思を持つかのようににって來ようとするところ。
その所為で魔法で蒸発させようにも、失神しかけて魔法の使用自ができなかった。
閉じ込められた帝蟻はすぐに気絶から復帰するが、自が水の中に居ると気付くと必死に水の巨人の中で出を図る。しかし、ただただ水を掻くだけで何も変わらない。
再び白目を剝き、失神寸前になって土壇場で魚に変した。
「あらら、流石『暴食』の大罪、魚にも変できるようになってるのね。じゃあアスモお願い」
「……了解……」
魚に姿を変えて巨人から出しようとしていた帝蟻に向かって、アスモが再び強力な雷魔法を放った。
ゴゴオオォォォン!!
という音の後、再び水の巨人に帯電し、しして弾ける。
後には全から湯気を放つ魚に変した帝蟻が橫たわっていた。
「水の中に居たから伝導率凄そうだね……」
「……念のためもうちょっと雷落としとく……?」
気絶しているらしい魚の姿の帝蟻に向かって、更に二度三度と強力な雷を落とすアスモ。
よ、容赦無いな……アスモちょっと怖い……
「じゃあ気絶してる間に首を刎はねちゃおうか」
「……そうだね……」
魚になって気絶している帝の頭を水圧のカッターで刎はねる。
首だけになった帝蟻は、変が解け本來のジャイアントアントの姿に戻った。
「よし、これでこの騒も一応終わりかな」
「……じゃあ帰ろうか。カイベル空間転移で雷の國までお願い……」
「カイベル、この後の処理頼めるかしら? いないはずの私がこの場に居るのも面倒そうだし」
「はい」
「それとベルゼを早く病院に連れて行かなきゃね。ああ、それとアスタロト殿へ帝蟻を倒したと伝えてくれる? まだ微かに生きてるだろうけど命が盡きれば、大罪『暴食グラトニー』が帝蟻から飛び出すはずだから、誰かに継承させて」
「かしこまりました」
二人とも淡々としている。
それだけ隙を與えたらまずい相手だったってことなのだろう。
こうして、二人の連攜によりいとも簡単に倒された……
そう思っていたが……
魔力の増大をじ、この場の全員が帝の方へ振り返る。
「「「なにっ!?」」」
帝蟻の頭がまだいている。
そして、顔の半分がアリの顔からエルフの顔に変しかかっていて、とても気持ち悪い狀態になっていた。
あんな姿になっても、まだ生きようとしてるのか……
「よくも……よくも……わらわを辱はずかしめてくれたなぁ……!」
頭だけになりながらも、魔力の増大は止まらない。
「あ、頭だけになってもしゃべれるなんて、凄い生命力ね……」
「……蟲だから私たち哺生とは違ってしばらく生きられるのかも……」
「不穏な空気しかじないし、厄介なことになる前にさっさと始末しちゃおう」
そう言って帝蟻に向かって歩を進めたレヴィだったが、直後に帝の周囲の魔力が黒く変化した。
「しまった! 覚醒しかけてる! アスモ、もう一回雷! 私の水で増幅させるから!」
「……待って……もう遅いみたい……近付かない方が良い……」
―― 魔王回帰レグレシオン・暴食グラトニー ――
帝蟻の頭とが一つの黒いに包まれた。
魔王の共同タッグで圧倒!
次回は7月11日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第487話【魔王回帰】
次話は木曜日投稿予定です。
- 連載中66 章
12ハロンのチクショー道【書籍化】
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