《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1723話 種族違いの大事な仲間
応援を呼びに行った鬼人が集落へ戻ると、直ぐに集落にある高い櫓の上で見張りについていた鬼人たちが同胞の存在に気づき、慌てて數の見張りが門の戸を開けて駆け寄ってくるのだった。
「お前は確か麓側を見回っていた奴だな。そんなに相を変えて戻ってきて何かあったのか?」
「す、直ぐに応援の部隊を寄こしてくれ! また人間の妖魔召士達がこっちに向かって來ていやがる! そ、それも今度は奴らが『式』にしたんだろうが『百鬼』様の姿もあった!」
「な、何だって!?」
「い、急いで族長に知らせろ!」
「ああ!」
戻ってきた同胞の言葉に、今度は集落の見張り達が相を変えて集落の中へと駆け出していく。
…………
そしてイダラマ達の一件もあって、すでに臨戦態勢を築き上げていた集落の主だった鬼人の戦士達は、現在の鬼人の族長である『玉稿』の屋敷に集っていた。
直ぐに『百鬼』の存在や、彼を『式』契約しているであろう人間達が、こちらに向かっているという報告が『玉稿』に伝えられるのだった。
Advertisement
「まさか一日に二度までも人間達が、この『妖魔山』の中腹にまで訪れるとは……。まさか奴らは我々が目的というわけではなく、この『妖魔山』自を侵略しようと考えているのだろうか?」
「族長、流石にそれはないでしょう。人間達もそこまで馬鹿ではない筈です。この山には妖魔神であらせられる『神斗』様や『悟獄丸』様。それに妖狐の『王琳』の存在や、天狗の『帝楽智』といった山の重鎮たちが數多く存在しているのですよ。どうせまた妖魔山の調査と銘打って、妖魔召士たちが仲間たちに対して裁を保とうと考えているといったところでしょう」
鬼人の一がそう玉稿に伝えると、他の鬼人の一が口を開いた。
「たとえそうであっても奴らは単なる人間ではなく、我々を従う事の出來る面妖なを持っている。もし裁を保つためにここに乗り込んできたのだとしたら、間違いなく結果を殘そうと我々を連れ去ろうとする筈だ。そうなればまた戦爭は避けられぬぞ」
これまでもこんな風に彼らの縄張りにまで向かってくる人間達は居た。そのたびに鬼人達は山の同胞達と結託しながら追い返す事に功していたが、被害は決してなくなく、毎回必ず數の同胞は強引に『式』契約を結ばれて連れ去られてしまっている。
Advertisement
人間達も妖魔山に登る以上は、何か果を殘さなければと考えているのだろう。死に狂いで襲い掛かってくる妖魔召士たちは非常に厄介この上なかった。
そして今回もまた妖魔山に妖魔召士達がきたとの報告をけた事で、玉稿や他の鬼人たちも頭を抱えるのであった。
――しかし今回はいつもの會議とは違う點があった。
それはこの場でたった一人、集落の鬼人たちからも慕われ始めている人間の存在があった事である。
その人間とは加護の森でイダラマ一派の襲撃にされて、何とか『鬼頼』に救われながらこの『妖魔山』の鬼人達の集落へと運び込まれた『特別退魔士』の『イバキ』であった――。
「待ってください。ここに向かってきている人間というのは、間違いなく妖魔召士なのですよね? それでしたら俺に彼らと話をさせてもらえませんか?」
「い、イバキ……! あ、アンタ何を言って……っ!」
突然のイバキの提案に、彼の橫に立っていた額に角が生えているのが印象的な、鬼人の『忍鬼』が驚きの聲をあげるのだった。
「イバキ殿、悪いがそれは出來ぬ。お主がここに運ばれて來た時に、ここまでの事は大まかにではあるが『鬼頼』から聞かせてもらっている。お主は妖魔召士に襲われてここに運び込まれたのだろう?」
どうやらある程度の事は、この集落の長である玉稿も鬼頼から聞いていたのだろう。
これがまだ彼が妖魔召士に襲われていたという事実がなければ、このイバキの提案にも乗るのも一考の余地はあったが、再び襲われる可能がある以上は、玉稿も表に出すつもりはなかった。
何故ならすでに『イバキ』の事をこの集落の者達は、同じ同胞のように思い扱っているからであった。
運び込まれた當初こそ、誰もイバキを信用してはいなかったが、目を覚ましてからのイバキは、謝の気持ちを表そうと、懸命に集落の仕事を手伝い始めて、その裏表のない格が直ぐに鬼人達に伝わっていき、やがては跳ねっ返りの手に負えない鬼人である『忍鬼』さえ、彼を認めて今ではイバキの事を慕っている程である。
そんな今では大事な同胞となったイバキを襲ったという妖魔召士の一派の前に、再び差し出すわけにはいかないと玉稿は考えたのであった。
「確かにそうですが、俺を襲ったのはもう妖魔召士組織の人間ではなく、はぐれと呼ばれる組織とはもう何ら関係のない退魔士だったのです。ですからここに來ているのが『妖魔召士』だというのであれば、俺を襲った退魔士とは関係がない筈です。それに俺も元々は妖魔召士組織……の、下部組織に居た人間です。同じ組織に屬していた俺が出向けば、わざわざ意味のない爭いは避けられるかもしれません!」
いまこの場で口にしたイバキの言葉に噓はないのであろうが、その言葉を聴いていた橫に並び立つ鬼頼は浮かない表を浮かべていた。
「……」
玉稿はそんな表をしている鬼頼を一瞥するが、鬼頼は小さく首を橫に振ってみせた。
「イバキ殿。先程も言ったが、ある程度の事はそこの鬼頼から聞いている。お主は確かにここに向かってきている妖魔召士の人間達と同じ組織に居たのかもしれないが、その組織の者達の頭領とやらに厄介がられていたのだろう? 聞けばお主は本來の役職とは掛け離れた下っ端扱いをされた挙句、あわよくば任務に際してその命を失わせようと企まれていたと聞く。そんな組織に居るような人間達の元にワシはお主を出させたくはない。もうお主はずっとここに居ていい人間なのだ。だから……」
「玉稿様! 俺は確かに自分が所屬していた『退魔組』というところでは、その組の頭領に爪弾きにされていましたが、それは妖魔召士組織全の中の一つの部署の中での話です。その組織の本當の長である『ゲンロク』様や、他の妖魔召士の方々はそこまで話の通じない方々ではありません。きっとしっかりと話をする事が出來れば分かってもらえると思います。こんな人間の俺の為にそこまで考えて下さっている事は非常に栄な事で嬉しく思いますが、避けられるかもしれない無意味な爭いを避けるために、一度俺にチャンスを與えてもらえないでしょうか!」
「い、イバキ殿……」
イバキのその必死の説得に、玉稿の瞳が驚きで揺れかされるのだった。
「よし、だったら私も付いて行くわ! もしイバキがやられそうになったら私が何とかする!」
「お、お前……!!」
イバキについていくと口にした忍鬼に、他の鬼人たちが慌てて止めようとするが、當の本人はもう引き下がるつもりはないらしく、イバキの肩に手を置いて忍鬼は勝気な笑みを浮かべていた。
「族長、イバキという主はこんな人間なんですよ。だからこそ俺はんで主の『式』になった。きっと上手く行くはずです。主に行かせてやってもらえませんか?」
「き、鬼頼、お前まで……!」
「分かった……。しかし奴らが聞く耳持たずに、襲ってくるような事があれば直ぐに戻ってくるのだぞ?」
「「族長!?」」
「分かりました」
イバキを死なせたくないと考える鬼人の同胞の一人が、族長である玉稿の下した決斷に驚いていると、鬼頼が返事をしてしまい、イバキも続いて頷いて見せるのだった。
……
……
……
愚者のフライングダンジョン
〖ニート〗×〖怪物〗=人間社會の崩壊??? 夢、信念、向上心。いずれも持たないニートがいた。ある日、祖母が所有する畑で農作業をしていると局地的な地震が地元を襲う。突如として倉庫に現れた大穴は蠱惑的なダンジョンの入り口だった。 〜半年後、世界中の陸地で大地震が発生。世界各地でダンジョンが見つかり、人々は新たな時代の幕開けを感じた。パラダイムシフトをもたらす理想の資源を手に入れたとき、小國と大國の均衡は崩れて戦亂の時代へ逆戻りする。 〜その頃ニートはダンジョンにいた。あれからずっと迷子の大人だ。奇跡的に生きながらえたが代償としておぞましい怪物へと成り果てた。 襲いくる牙。謎の鉱石。限界を超えてみなぎる力。自由を求めて突き進め。いざゆけ、ダンジョンの最奧へ! これは頭のネジが外れたニートが愛されるべき怪物になる物語。それを観察する戯作である。
8 95VRMMOで妖精さん
姉に誘われて新作VRMMORPGを遊ぶことになった一宮 沙雪。 ランダムでレア種族「妖精」を引き當てて喜んだのもつかの間、絶望に叩き落される。 更にモフモフにつられて召喚士を選ぶも、そちらもお決まりの不遇(PT拒否られ)職。 発狂してしまいそうな恐怖を持ち前の根性と 「不遇だってやれば出來るって所を見せつけてやらないと気が済まない!」という反骨精神で抑え込んで地道に頑張って行くお話。
8 129俺は、電脳世界が好きなだけの一般人です
簡単に自己紹介をしておこう。 俺は、高校生だ。確かに、親父に騙されて、會社の取締役社長をやっているが、俺だけしか・・・いや、幼馴染のユウキも社員になっていた・・・と思う。 俺の親父は、プログラマとしては一流なのだろうが、面倒なことはやらないとという変わり者だ。 そんな親父に小學生の頃から、プログラムやネットワークやハードウェアの事を叩き込まれてきた。俺が望んだと言っているが、覚えているわけがない。 俺が、パソコンやネットワークに詳しいと知った者からお願いという名の”命令”が屆くことが多い。 プログラムを作ってくれとかなら、まだ話ができる。パソコンがほしいけど、何がいいくらいなら可愛く感じてしまう。パソコンが壊れた、辺りの話だと、正直何もできないことの方が多い。 嫌いな奴が居るからハッキングしてくれや、元カノのスマホに侵入してくれ・・・犯罪な依頼も多い。これは、”ふざけるな”斷ることができるので気持ちが楽だ。それでも引き下がらない者も多い。その時には、金銭の要求をすると・・・次から話にも來なくなる。 でも、一番困るのは、”なんだだかわからないけど動かない”だ。俺は、プロでもなんでもない。 ただただ、パソコンが好きで、電脳世界が好きな”一般人”なのです。 そんな”一般人”の俺に、今日も依頼が入ってくる。
8 128シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます
───とある兄妹は世界に絶望していた。 天才であるが故に誰にも理解されえない。 他者より秀でるだけで乖離される、そんな世界は一類の希望すらも皆無に等しい夢幻泡影であった。 天才の思考は凡人には理解されえない。 故に天才の思想は同列の天才にしか紐解くことは不可能である。 新人類に最も近き存在の思想は現在の人間にはその深淵の欠片すらも把握出來ない、共鳴に至るには程遠いものであった。 異なる次元が重なり合う事は決して葉わない夢物語である。 比類なき存在だと心が、本能が、魂が理解してしまうのだ。 天才と稱される人間は人々の象徴、羨望に包まれ──次第にその感情は畏怖へと変貌する。 才無き存在は自身の力不足を天才を化け物──理外の存在だと自己暗示させる事で保身へと逃げ、精神の安定化を図る。 人の理の範疇を凌駕し、人間でありながら人の領域を超越し才能に、生物としての本能が萎縮するのだ。 才能という名の個性を、有象無象らは數の暴力で正當化しようとするのだ。 何と愚かで身勝手なのだろうか。 故に我らは世界に求めよう。 ───Welt kniet vor mir nieder…
8 80私は綺麗じゃありません。
身に覚えのない罪で國外追放された元伯爵令嬢アザレアは敵國との境の森で行き倒れになったところを敵國の魔法騎士、別名『魔王様(天使)』に拾われる。 獻身的に看病してくれる彼は婚約者や家族に醜いと評されたアザレアを「綺麗」と言ってくれる。 そんな彼に心を引かれつつ獨り立ちして恩返しをするために彼女は魔法騎士を目指す。 そんな中で各國はアザレアを手に入れるため動き出す。 リメイク作成中。なろうに上げ次第差し替えていきます
8 73貓神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!
勉強、運動共に常人以下、友達も極少數、そんな主人公とたった一人の家族との物語。 冷奈「貓の尻尾が生えてくるなんて⋯⋯しかもミッションなんかありますし私達どうなっていくんでしょうか」 輝夜「うーん⋯⋯特に何m──」 冷奈「!? もしかして、失われた時間を徐々に埋めて最後は結婚エンド⋯⋯」 輝夜「ん? 今なんて?」 冷奈「いえ、なんでも⋯⋯」 輝夜「はぁ⋯⋯、もし貓になったとしても、俺が一生可愛がってあげるからな」 冷奈「一生!? それもそれで役得の様な!?」 高校二年の始業式の朝に突然、妹である榊 冷奈《さかき れいな》から貓の尻尾が生えてきていた。 夢の中での不思議な體験のせいなのだが⋯⋯。 治すためには、あるミッションをこなす必要があるらしい。 そう、期限は卒業まで、その條件は不明、そんな無理ゲー設定の中で頑張っていくのだが⋯⋯。 「これって、妹と仲良くなるチャンスじゃないか?」 美少女の先輩はストーカーしてくるし、変な部活に參加させられれるし、コスプレされられたり、意味不明な大會に出場させられたり⋯⋯。 て、思ってたのとちがーう!! 俺は、妹と仲良く《イチャイチャ》したいんです! 兄妹の過去、兄妹の壁を超えていけるのか⋯⋯。 そんなこんなで輝夜と冷奈は様々なミッションに挑む事になるのだが⋯⋯。 「貓神様!? なんかこのミッションおかしくないですか!?」 そう! 兄妹関連のミッションとは思えない様なミッションばかりなのだ! いきなりデレデレになる妹、天然幼馴染に、少しずれた貓少女とか加わってきて⋯⋯あぁ、俺は何してんだよ! 少しおかしな美少女たちがに囲まれた少年の、 少し不思議な物語の開幕です。
8 70