《ダンジョン・ザ・チョイス》737.狂おしき仁義

「“嘆きの牢獄”!!」

前に戦ったとき同様、念能力の思考容量を凍結対策に割かせる!

それにしてもアイツ、別の個と違って武を持っていな――

『“古代兵裝/兆星の門翼”』

アイツの背後の空間が裂けて、翼の形狀に夜空が覗き込んできた!?

でもあの夜空、異様に星のが多い。

『知っているぞ、その能力』

フワリと浮き上がり、數メートル上空で停止した?

「――クソ!」

私の“嘆きの牢獄”は、私の足元から地面を伝い、壁やを経由して凍結させる能力。

何も無い場所に浮かれると、凍結させる難易度が一気に跳ね上がる。

『次はこちらの番――』

夜空の翼から、が無數に飛び出して來た!

「――“神代の障壁”!」

九文字刻まれた円盾が付いた大杖から青白い障壁を生み出し、私達を守ってくださるサトミ様。

「空を飛ばれるのは厄介ね――“颶風魔法”」

サトミ様が魔法を使用しようした瞬間、アバターが空してきた!?

「裝備セット2 ――“回転”!!」

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腕に浮かぶ剣、“殺人鬼の狂おしや”と“コキュートスハリケーン”を回転させ、ジャンプ――進路狀に飛び出る!!

『蠻勇だな』

夜空を盾にしてけられたうえ、翼を翻すと同時に不可視の衝撃波を浴びせられ――壁に叩き付けられた!?

「が……ぁ」

こんな簡単に――前は善戦できてたのに。

「“魔法陣作”――ストームダウンバ-スト」

魔法陣を高速でかして、自分が効果範囲に居るにも関わらず魔法を!?

上からの重圧で叩き付けられる蜥蜴!

「――“神代の真秀颶風”!!」

至近距離から、あの暴力の化をぶつけた!!

「ハアハア……ちょっとショックかしら」

サトミ様のあの球を、夜空の翼と不可視の力でけきったっていうの、アイツ!

『何がショックだ……化けめ』

がひしゃげ、亀裂はっている。

『やはり、高次元存在は危険。クソみたいなに宿って尚、この脅威!』

急に的になったな、コイツ。

『死ね、魔よ! ――ッ!!』

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「惜しい」

迫る“嘆きの牢獄”の凍気を察知し、再び空に逃げられた!

コイツ、アルファ・ドラコニアンの割に小賢しいな。

「無事ですか、サトミ様!」

魔法耐を始めとした數々のダメージ減衰能力があるとはいえ、ご自分の魔法を浴びるなどという無茶をなさるなんて!

「アレで仕留める気だったんだけれど……見誤ったわ」

「後はお任せを」

これ以上、サトミ様に負擔を掛けてなるものか。

「“ホロケウカムイ”!!」

青いオーラを纏う。

「――“氷獄の大臺風”!!」

X字の“コキュートスハリケーン”が回転し、凍結の渦を上空に向かって撃ち出す!

『大雑把な攻撃だ――そういう事か!!』

壁から天井まで伝い、上下と左から“嘆きの牢獄”を迫らせ、唯一の逃げ道には凍てつく臺風を配置!! ――ここだ!!

「“氷獄転剣”――コキュートスブーメラン!!」

『やってくれる!!』

念で臺風を去なしつつ、私の“殺人鬼の狂おしや”は翼でけたか!

「――“殺人回転”!!」

“回転”の上位効果を発し、威力を強化――夜空の翼を切り裂く!

「……やりぃ」

アバターの右腕を、翼ごと切斷してやった。

『――獣人如きが、調子に乗るなッ!!』

重圧を叩き付けられる!

“嘆きの牢獄”を広範囲に展開したことで、自分の逃げ道までも減らしてしまっていた!!

『兆星に消えろ!!』

左翼から、無數の星が迫ってくる!

「“颶風魔法”――ストームブラスト!」

再び守ってくださるサトミ様!

「行って、リンピョンちゃん!」

「――“跳躍”、“変幻刃”!!」

アルファ・ドラコニアン・アバターにひざ蹴りを食らわせ、膝から生やした刃を鳩尾にぶち込んで組み付く!

『は、離れろ、穢らわしい!!』

コイツも、結局は他のドラコニアンと一緒か。

「サトミ様が行けと言ったのだ――離れるはずがないだろう!!」

左腕の“殺人鬼の狂おしや”に神代の力が流れ込み――より兇悪なフォルムの円鋸、“殺人鬼の狂おしき仁義”となる!!

「“神代の円刃”――“殺人回転”!!」

火花を散らしながら、アルファ・ドラコニアン・アバターのボディーが切り裂かれていく!

『おのれ――おのれぇぇッッッ!!!!』

から頭に掛けて切り上げると機能を停止し、凍てつく氷の上へと落ちて……氷像と化した。

「じゃあね、醜いトカゲちゃん」

足裏からスパイク狀に生やした“変幻刃”で、氷像を蹴り砕く。

「――ハアハア、ハアハア!?」

思っていたより……余裕が無い。

「ごめん、メグミにクリス」

すぐには、加勢に行けそうにないや……。

○○○

「援護は任せたぞ、クリス」

「はぁい、お任せ!」

右手の盾を消し、“雄偉なる高潔神竜の激昂”に九文字刻んで前に出る!

『たった二人か――舐めてんな、テメーら!』

“ハイパー・ドラコニアン・アバター”が駆け出す!

『とっとと死ね!』

「な!?」

奴が腕を振る前作にったと思ったら、腕が飛んできた!!

「ぐッ!!」

ワイヤーでしてきた機械の鉤爪。

剣で防ぎはしたの、念能力による底上げでバカにできない威力!

「くたばれでぇす!」

クリスが銃剣による狙撃で、奴の気を引いてくれる。

よくよく見ると、通常のアバターよりも食恐竜があるな、コイツ。

「“隨伴の竜気”」

のオーラを、無數の竜の顎とする。

「“竜技”――ドラゴンブレス!!」

八つの顎から、同時に息吹を轟かす!!

『“魔力障壁”』

スキルを使用して防いだ?

の類を裝備しているようには見えない。あのボディーに臓された能力か。

『まずはお前だ!』

クリスに狙いを絞り、腕の振るいと共に不可視の斬撃を放った!?

「“可変”――クロススラッシュ!!」

神代の力を纏う銃剣で、迎撃するクリス。

「私を無視してて良いのか、ドラコニアン!」

竜気で生み出した顎共を、食らい付かせる!

『この程度じゃ、このボディーには傷一つ付かないらしいな』

「なら、これはどうだ? “竜砲”!!」

左腕の“竜の顎”より、神代文字の力を込めた一撃を放つ!

竜気で押さえ付けた所に、回避不可能な一撃。

『ハ! 念能力が制限されている分、頑丈なだぜ!』

左腕の一部がスパークしているの、ボディーは多歪みが生じた程度か。

SSランクが使えないのが、一気に重たくのし掛かって來る。

「“薔薇魔法”――ローズレーザー!!」

『じゃかぁしい!!』

神代文字が込められたレーザーでも、念能力で一瞬防いだ隙に避け――クリスに接近していく!

●●●

ドラコニアンと正面から――以前のような足手纏いには、もうならない!!

「“豬突猛進”!!」

自ら前に出て、機先を制す!

「“二刀流”、“薔薇剣”――ローズスラッシュ!!」

エネルギーのを破られるよりも早く、ハイパー・ドラコニアンのボディーを切――ほとんど刃が通らない!

“甘い蕾の中の逢瀬”と“熱い蕾の中の逢瀬”、両方に九文字刻んでいるのに!

『雑魚は目障りだ!』

「――“瞬足”!!」

手刀を橫に避ける!

「――薔薇腳!!」

“薔薇剣”のスキルは、“免許皆伝”によって“薔薇の卓越者”になっているのよ!

「クソ!」

簡単に防がれ――奴の口が輝いている!?

「“跳躍”!!」

直後、青白い線が地面を焼き切った!!

「“可変”」

この聲――“雄偉なる高潔神竜の激昂”の刀が割れて、砲撃形態を取っている!

「――“薔薇魔法”、ローズバインド!!」

棘だらけの蔦で拘束!! 神代文字を注いで強化!

『こんなもの――』

「――“神代の激竜砲線”!!」

コセさんの剣と同じ能力宿した一撃に、ハイパー・ドラコニアンが呑み込まれる!

「……悔しぃですね」

ドラコニアンに通じる攻撃手段が無いのも、錬剣を作り出す資格すら無いのも。

『腕を……持っていかれるとは』

それでも、左腕以外はほとんど無事とは……。

「ハアハア、ハアハア」

メグミの消耗も激しい。

『さすがは裏切り者共だ』

私とメグミのことを言っている?

「心外でぇす!」

――不可視の重圧を浴びせられ、床を転がる羽目に!!

「“可変”」

錬剣を……大剣に戻すメグミ。

『くたばれ!!』

「――“拒絶領域”!!」

回転しながらの跳び尾攻撃を、円柱狀の衝撃波で弾き返し――メグミが即座に距離を詰める!

「“凰竜大地剣”――メイストームグランドブレイク!!」

十五文字刻まれた剣で念のバリアを易々と破り、ハイパー・ドラコニアン・アバターを破壊した。

『絶対……ゆるサネ……ェ…………』

「黙ってろ」

頭部に剣を突き刺し、機能を停止させるメグミ。

……結局、最後までメグミにおんぶに抱っこでしたねぇ。

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