《ダンジョン・ザ・チョイス》739.塩分戦士ミカゲと仮面の狂幻者ハルナ
「“粘糸化”――“出”!!」
“偽エイリアン”を粘の糸で捕らえて、壁の角に一纏めに!
「“出”」
左のグローブの指先からも、糸を発。
「――“切糸化”」
両手グローブからびる糸を鋭利にし――偽エイリアン八を切斷。
「隠れNPCのモーラ専用裝備、“運命の爪糸グローブ”。使いこなしているようどすな~、リンカはん」
九尾の隠れNPCらしいタマモに、一応は褒められる。
「ろくな裝備もないんだから、あるで戦わなきゃいけないでしょ」
一晩、考える時間があったとはいえ、自分が一度死んだという事実はけれがたい。
狀況的には信じるしかないけれど、私には私が死んだ時の記憶が無い。
プッツリと、ある時から記憶が……自意識が曖昧になって……長いことどこかに留まっていたような覚。
ただ不思議なのが……。
「“鏡面魔法”――ミラーサーフィスレーザー!!」
青く発する文字を神代文字と呼びながらり、“アイアンバリエーションズ”とかいうデタラメな敵を葬るマリナ。
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私は……彼を知っている気がする。
「……大規模突発クエストとかわけの分からない狀況……」
早く終わらせて報収集しないと、自分が置かれている狀況の整理もろくにできない。
「コトリ、後ろから新手だ!」
別レギオンのパーティーリーダーらしい、ミカゲからの報。
「アルファ・ドラコニアン・アバターが二。どうする?」
アンドロイドの隠れNPCが報をくれるも、私には相手の脅威度がまったく判らない。
「ここは私達が引きける。コトリ達は先に行け」
「本當に良いの?」
「お前らの方が大変かもしれないだろう? さっさとSSランクを回収して、クエストを終わらせてくれ」
「じゃ、お言葉に甘えるよ!」
迷いなく最深部へと突していくコトリ!?
他の奴等も、慣れたようにコトリの後を追うし!
「ねぇ、本當に良いの?」
「別レギオンだからどうせろくに共闘できないし、良いんじゃね?」
「だそうですよ」
「これが私達のパーティーリーダーだから、慣れといた方が良いわ」
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ケルフェとマリナは、隨分とコトリを信頼しているらしい。
「……ハァー、早く落ち著いて會話したい」
まあ、前の所屬先に比べれば、だいぶマシそうだけれど。
●●●
「ハルナ、一は任せたぞ」
初めてパーティーを組んだ仮面使いを頼る。
「おお、任せな~」
ちょっと言や好みは変な奴だけれど、戦闘センスは高い奴だ。
「アンナさん、ジャコンは私のサポート。ドーマはハルナをお願い!」
「相手が相手だから妥當か」
「了解」
「任せて!」
新手が來る前に終わらせる。
「裝備セット2」
アンナさんが普段の腕から、“アンドロイドレーザーアーム”と“アンドロイドミサイルアーム”に切り替える。
「食らえ!!」
計四発の小型ミサイルがトカゲ顔ロボットに接近――止められてしまう。
『返してやろう!』
「バーカ」
反転したミサイルに右腕から放たれたレーザーが直撃――大発を引き起こす。
「“守護神/同一武神”!!」
白鼻芯獣人のジャコンが、このクエスト中に寶箱から手にれた、白の武神を背後より呼び出す!
「“ニタイカムイ”」
ジャコン同様に緑のオーラを纏い、ジャコンと同じ太刀、“降雹の空を見上げよう”を手に――九文字が刻まれる!
「“降雹刀剣”――天罪雹撃!!」
雹の塊を刀剣に纏わせて振り下ろす、切るのではなく潰し打つ攻撃。
高さ五メートルはある守護神から繰り出す事で、威力も範囲も激増している。
『“六連瞬足”』
スキルで距離を詰めて來た!?
おまけに、ジャコンの攻撃を避けると同時に彼の首を狙って蹴り!
「“降雹の殺陣”!!」
一定領域にり込んだ敵を降雹系統の無數の刃で切り裂く、日に二度まで繰り出せる必殺能力。
とはいえ、敵のいボディーを切り裂くまでには至らない。
「“超兵裝銀竜”!!」
全銀の機械竜を呼び出し、アルファ・ドラコニアン・アバターを上から組み伏せさせる!
『き――さまらぁぁッ!!』
「パワーニードル!!」
衝撃波で銀竜が弾き上げられた瞬間、隠れNPCである塩分戦士から手にれた裝備――“塩分ソード”をそのへと突き刺す!
『そんなで、この私が!!』
「いや、終わりだ」
ユニークスキル、“塩の悪魔”の“塩化”により、“塩分系統”を持つ武による攻撃には、れた者のを塩に変える能力が加わっている。
剣を突き刺された奴のボディーも、徐々に白塩化し始めていた。
『ク! ならば、一人でも多く道連れに!!』
「“大海魔法”――スクエアウェーブ!!」
“跳躍”と共に津波を差させ、全をバラバラにする重水圧を叩きつける!
「“海水作”!」
“塩分ソード”が突き刺さった狀態で大量の海水をり、拘束。
『――雑魚共が、調子に――!!』
津波から逃れていた“超兵裝銀竜”の“終末の柱”により、アルファ・ドラコニアン・アバターの頭部は全損。
機能を停止したのか、抵抗する素振りもなくが塩に変わりきり……沈黙した。
「お前の方が、よっぽど雑魚だったな」
まあ実際は、全力で畳み掛けたからこそ、被害なく終わらせられたんだろうが。
○○○
「“六重詠唱”、“紫電魔法”――“魔法生式”」
ドーマの青紫の槍、“天翔る紫電の夜空”から九文字分の力を込めた“紫電魔法”が、吻が鋭い魚の姿を取って突撃。
「さあ、私もショータイムだ! “仮面支配”!」
鼻から額までを覆う黃いSSランクの仮面、“怪人十二面相の仮面”の能力を発揮。
この仮面にセット可能な十二の仮面のうち八枚を、半明な狀態で周囲に顕現。
そのうちの一つ、“無自覚な殺人鬼の偽善者面”に十二文字刻む!
「“アッコロカムイ”! “ピリカカムイ”!」
“人魚の面”と“小妖の面”に、人魚とフェアリー専用のカムイを降ろし、私に同時適用。
「“タシロカムイ”! “ニタイカムイ”! “ミケカムイ”!」
“獣人の面”と、“メタモルコピーウェポン”二つで用意した疑似“獣人の面”、計三枚に、獣人専用のカムイも降ろす。
「ハルナ、準備できたの?」
「おう、ばっちしよ!」
「だったら、はよ行け!」
ドーマの最後の紫電魚が、衝撃波で掻き消される。
「荒れるぜい!」
“キャンディーのような蝸牛の狂幻杖”を手に、超スピードで毆り掛かるぜい!
最初の一発目は左腕をひしゃげさせたけれど、二発目以降はを覆うバリアか何かで防ぎつつ躱される。
「“六重詠唱”、“四重魔法”」
杖による攻撃を繰り返しながら、十の魔法陣を呼び出す。
「“狂言絵畫”」
《龍意のケンシ》から譲りけた大きな絵畫を出現させ――絵の中の化けがロボットに襲いかかる。
『ふざけた真似を!』
魔法陣が気になって、超能力の使いどころに悩んでいるな。
「――“魔斷障壁”」
『――なに?』
障壁を後退した奴の背後に生み出し、逃げ場を制限――“天國のような地獄絵図の狂幻絵畫”から、上半乗り出す化けによってロボットちゃんを拘束。直後に絵からのようなしい腕も生えてきて、アルファ・ドラコニアン・アバターを包み込む。
「武換――“マジックオーバーラップ”」
キャンデー杖から、マイク杖に持ち替える。
「“黃昏魔法”――トワイライトレイ!!」
“マジックオーバーラップ”の能力で十の魔法陣を重ね、威力を超増幅!
『鬱陶しいッ!! ――クソ』
狂言絵畫の拘束を超能力で吹き飛ばした瞬間、仮面に刻まれた神代文字で強化済みの黃昏のが――アルファ・ドラコニアン・アバターの上半を消し去った。
「ハルナちゃん、最強~!」
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