《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第491話 介抱と輸送
王二人との談が終わった後、ほどなくして上空に風の國の空中偵察隊が二人現れた。
それに気付くと、レヴィが二人を手招きする。
が、警戒しているのか全く降りて來ようとしないため、レヴィが大聲で呼びかける。
「私は水の國アクアリヴィアの王レヴィアタンです! すぐにここに來たれかし!」
し空中に停滯し、二人で何やら話し合っている。本かどうか分からないから相談しているというところか。
……
…………
………………
一向に降りてこないな……
そう思っているとレヴィが痺れを切らした。
「あ~~! じれったいなぁ!」
二人の手足を水の泡で拘束して強制的に私たちのところへ引き寄せた。
「な、何をする!」
「無禮だぞ!」
「々手荒になって申し訳ありません。早く治療してもらいたい方がいるので、強制的にこちらに來てもらいました」
と、王モードの口調。
そして騎士二人の水の泡を解除し、私の方を見るよう促す。
二人は傷だらけの私を見るなりギョッと驚く表を見せ、すぐに対応が変わった。
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「じゅ、重傷じゃないですか!? 大丈夫なんですか!?」
「え、ええ……今は回復魔法が効いているので見た目ほど痛みはありません」
「す、すぐに輸送と病院の手配をします!」
「それで……貴がレヴィアタン殿というのは本當ですか?」
「はい。あなた方はアスタロト殿の命で偵察に來のですよね? アスタロト殿をすぐにここに呼んでください」
「了解しました! あの……そちらの方々は?」
「……雷の國エレアースモ王アスモデウスです……」
「ちゅ、中立地帯アルトラルサンズの國主アルトラです」
この二人と名前を並べるのもおこがましいじはあるが、一応挨拶だけはしておかないと。
「あ、あなたがアスタロト様の言うベルゼビュート様!? それにぜ、全員國家元首の方々ですか!? し、失禮しました! 急ぎアスタロトを呼んで來ますのでもう々お待ちください!」
急いで飛び去って行った。
◇
そして二十分ほど経って――
アスタロトが到著。
「ベルゼビュート様! ご無事ですか!?」
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遅い! もうし早ければアスタロトに『暴食グラトニー』を継承させてた押しつけられたのに……
「大怪我をされたと報告をけましたが………………こ、これは……は、早く! 救護隊! 輸送を! エアリア! 空間魔法の準備を!」
「はい!」
【自己再生魔法リジェネレート】で徐々に回復している最中とは言え、左腕は肘から先が無く、右腕は帝に付けられた深い切り傷が広がってしまっている。それに加えてさっき火事場のバカ力でいた時に太ももの切り傷からも出し、見た目には大量出しているように見える。
誰が見たって重傷。なんなら文頭に“瀕死の”と付けてもおかしくない負傷度合い。
「は、早くこちらへ!」
「前代王様が瀕死の重傷だ! 救護隊! 回復班! しでも回復しながら運ぶんだ!」
「「「了解!!」」」
擔架に乗せられ三人がかりで、左腕に【癒しの水球リジェネレート・スフィア】をかけてくれた。
「レヴィアタン殿にアスモデウス殿! 私の関知せぬ間に今回の討伐にご參戦いただいていたようで、風の國の國王代理として、謹んでお禮申し上げます」
二人の王に深々と頭を下げるアスタロト。
「……參戦って言うか……」
「半ば強制的に來なければならない事がありましたので……」
「お二方をかせる方とは、一どこのどなたなのでしょうか?」
と質問され、二人同時に擔架に乗せられた私を指さした。
「えっ!? 私っ!?」
「正確に言えばカイベルが呼びに來たんですけど」
「カイベルさんもいらっしゃるのですか? どこにおられるのですか? 彼にはお禮を言わなければなりません。彼の助言が無ければ被害はもっと甚大だったでしょう」
との問いに、レヴィが指をさそうとした瞬間に、救助隊がカイベルを発見。
「おい! もう一人が倒れているぞ!」
「……そのヒトが、ベルゼの専屬メイドのカイベル……」
「この方が?」
「気絶してるので一緒に運んで介抱してあげてください。怪我はないと思いますが、私たちの魔力による衝撃波をけているので検査をした方が良いかもしれません」
疲れと眠気と回復班に作られた水球の気持ち良さで朦朧とする意識の中、レヴィが発した『運んで介抱』という言葉と『検査をした方が良いかもしれません』という言葉で我に返る。
えっ!? カイベルを!? 病院に!?
「ままま、待って! カイベルは多分すぐ目を覚ますから運ばなくても――」
『運ばなくても良い!』と言いかけて慌てて口をつぐんだ。
自分の専屬メイドが気絶して倒れてるのに、病院に運ばなくて良いって……これ言い切ったら、私はカイベルをげている鬼畜主人以外の何者でもないわ……
で、でもどうしたら? カイベルが病院に運ばれて検査でもされようものなら、生じゃないことがバレてしまう!
運んでるうちに目を覚ましてくれれば良いけど、もし覚まさなかったら……
そんなことを考えていたが、それよりも先にバレる危機に……
「いえ! 待ってください! この脈がありませんよ!? 溫もかなり下がっているみたいです!!」
手首にれた救護隊の発言に肝が冷える。
ま、まずい……こんな事態で脈採られるなんて考えてもみなかった。あ、そうだ! 心臓はいてるはず! そっちを確認してもらえれば……
「呼吸も無い! 心臓もいてません! 瞳孔も開き切っています!!」
えっ!? まさか機能停止してるから全部いてないのか!?
「「心臓がいてない!?」」
ただ『強力な魔力に當てられて気絶しているだけだ』そう思っていた様子のレヴィとアスモが同時に驚きの聲を上げた。
介抱よりも『暴食グラトニー』の対処を優先していたため、私含めて三人ともがカイベルを後回しにしていた。
「いつからここに倒れてたんですか!?」
「……偵察隊が來るし前から……」
「とすると……大きい魔力が消えたくらいからですか?」
「……多分、そう……」
「もう一時間近く経ってるじゃないですか!」
「この方は何の種族なんですか!?」
「私たちは『人間』と聞いていますが……」
私に代わってアスモとレヴィがけ答えしてくれる。
「人間族!? 魔界では希種じゃないですか!」
「だとすると危ういぞ! 早く蘇生しないと人間族は蘇生できるまでの時間がかなり短いと亡者から聞いたことがある! 十分を過ぎたら蘇生確率が劇的に下がると……!」
「も、もう一時間ですよ!?」
救護隊に焦りと迫が広がる。
「既に絶的な狀況だが……蘇生を試みてみよう。すぐに電気ショックだ! 雷魔師!」
「はい!」
救護隊の雷魔師らしきが、カイベルのに手を當て電気ショックで蘇生を促す。
一発目を喰らい、そのショックで機能が回復したらしくすぐにき出した。
「おお! 蘇生した!」
「奇跡的に間に合ったようですね!」
「大丈夫ですか?」
と聞く救護隊の面々に、
「これは……皆様どうされたのですか?」
目が覚めたカイベルは上半を起こし、この場に居る全員を見渡した。珍しく困気味だ。
「意識障害はありませんか?」
「……申し訳ありません、々お待ちください」
一點を見つめて數秒かなくなった。どうやら自が蘇生されるまでのデータを取得しているらしい。
「……私は命拾いしたようですね。皆様、ご迷をおかけしました。命を救っていただきありがとうございます」
すぐに置かれた狀況を理解し、座ったまま深々と頭を下げるカイベル。
「も、もう大丈夫ですか?」
「ええ、もう問題ありません。それよりもアルトラ様の怪我が酷いのでよろしくお願いします」
無事と分かり、アスタロトが話しかける。
「死んでしまわなくて安心しました。あなたの助言が無ければ、我が國は更に大きな被害をけていたでしょう。ありがとうございました」
アスタロトがカイベルにも深々と頭を下げた。
「いえ、お役に立てたようで幸いです」
カイベルにひとしきりお禮を言った後、レヴィたちの方を向いた。
「それで帝蟻はどうなったのでしょうか? 巨大な魔力反応を帝蟻のものと推定してここへ偵察に來たのですが……」
「はい、そこで黒焦げになって転がっているのが帝蟻の死骸です」
「あれが!? ではこちらで回収させていただきます」
「詳細をお話しする前に、まずベル……アルトラ殿を病院に運んでからにしましょう」
レヴィの先導により、まずは病院へ場所を移されることになった。
◇
エアリアさんの空間魔法と救護隊員による迅速な輸送ですぐに風の國首都ボレアースの國立総合病院に到著。
病室も用意してくれてるらしく、そこへ運び込まれた。
五人ほどで左腕だけでなく、右腕と両太ももの傷に【癒しの水球リジェネレート・スフィア】を施される。
「しチリチリと違和があるかもしれませんが、本日中には右腕と太ももの傷は完治すると思います。左腕の方は三日から一週間くらいはかかるかもしれません」
「はい、ありがとうございます」
回復魔師さんたちは、を施して退出していった。
対処が簡単なように見えるが、多分意識も鮮明で、命に別條は無いと判斷されたからだろう。
れ替わりにカイベル、レヴィ、アスモ、そしてアスタロトがって來た。
一息ついたため、報告と言う名の私にとっての尋問が始まる。
カイベル気絶というアルトラにとっての大誤算。何とかバレずに済みましたね。
次回は7月29日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第492話【それぞれの顛末】
次話は來週の月曜日投稿予定です。
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