《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第493話 アスタロトがアルトラに心酔する理由

そうだ、こんな機會だからこれも聞いておこう。

「と、ところでさ、何でそんなに私に心酔してるの? 初めて會った時から好度MAXくらいの勢いだったけど……いくらベルゼビュートの生まれ変わりだって言ったって、今の私は他人も同然でしょ? それなのになぜ?」

「それは私があなたの側近に付くより前まで遡さかのぼります。私たちアスタロト族はご存じの通り毒の生の特殊能力を持っていました。特に私の能力は一族でも飛び抜けていましてね、ベルゼビュート様に召し抱えられるまでは一族ともども迫害された歴史のある忌まわしい能力なのです」

「忌まわしい能力?」

そういえばそうだったな……前々世では一時期城でも問題になってたっけ。

「ええ、相手のの一部を取り込んで、その相手に適する毒を生するのですから忌まわしいと言われてもおかしくないでしょう。髪の一本でも落としてしまえば、その者に害を與えることが可能なのですから」

確かに……

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期は迫害をけていたので今のように待遇の良い生活ではありませんでした。子供の頃は自制も利きませんからこの能力を『お腹を壊す』くらいの死なない程度に使うことはありましたね。謂いわれのない迫害をけることもそれなりにありましたからその仕返しとしてね。ある程度毒は変えられるので死なないように調整することもできましたし」

「でも、嫌な目に遭っても殺すことはしなかったんだね」

「ええ、魔界は過去爭いの多かった歴史がありますが、私がの頃にはこの國でももう『ヒト殺しが悪いことだ』という認識は定著しつつありましたから。そこを自制できなければ今の私は無いでしょう。その點は幸いでした」

彼の能力なら世を恨んで大殺しようと思えば出來るしね……迫害に耐える神力には敬意を表するわ。

「私は迫害されている一族出ですが、そこから立出世するため分は隠して必死で勉學に勵みました」

「種族って隠し切れるものなの?」

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人魚族とか人馬ケンタウロス族みたいに特徴が見たまま現れてればすぐに分かるけど、アスタロト族ってのは分からないものなのかしら?

「近隣の住民にはとツノの特徴ですぐに気付かれてしまいますが、私の住んでいた地域は首都とは遠いところにありますので、『魔人種』であるということ以外は気付かれなかったようです」

「確かに……言われなければ分からないか」

と言いながら、同じ魔人種であるエリザレアさんを見る。

確かにツノがあることと、が多違うことくらいしか分からないな。アスタロトを見たところで、「あ、コイツ、アスタロト族だ!」と特定はできそうもない。

「そして風の國の王城に召し抱えられ、首都開発部門への配屬が決まったところで、同じ地域の出者が居り、そこから私がアスタロト族の出だとれてしまいました。思えばやっかみなどがあったのかもしれません。彼は……言い方は悪いですが私の下位部署所屬でしたので」

「ああ……」

なるほど、分かり易い嫉妬か……

「噂を流した彼はもう生きてはいないでしょうけど……」

「生きてない!? 殺したってこと!?」

「いえ、種族の壽命を考えれば生きている可能は低いのではないかと。彼は亜人で私は魔人、魔人種は長命ですので」

え……ってことは、前世の私っていくつで死んだんだ……?

凄いおばあちゃんだったんじゃ……?

記憶が蘇ったのもまだまだ斷片的だから、死ぬ直前の記憶までは思い出せないな……

「噂が立ってしばらくのち、ベルゼビュート様がこう仰られました。『彼がその毒でヒトに害を與えたところを見たのか? そうでないのなら無益な差別はやめよ!』と。その一言で徐々に風當たりも弱まってきました」

へぇ~……全く記憶に無いが、それを前々世の私が言ったのか……?

何だか自信に満ち溢れた言葉だわ……

今の私では言えなさそう……

「その一言で種族全の向上をさせるには全が変わる必要があると思い、ベルゼビュート様にお仕えする時に一族全を説得し、約定やくじょう魔法で『亜人や魔人、霊などヒト種に対しては使わない』と誓約させました」

「誓約まで!? 容は?」

「『毒を使われたことを私を含めた裁定者十人が知る。裁定者が欠けた場合には族の誰かが自的に裁定者に選ばれる』という誓約です。それによるペナルティはありません」

「誓約なのにペナルティが無いの?」

「はい。元々は『その能力によって損害を與えた場合には、味覚を剝奪し、更にそれが元で殺してしまった場合は自も命を以もって償う』というペナルティを設けようとしましたが、種族全の能力を殺すことになるのと、自を守るを取り上げることになってしまうからというベルゼビュート様の意向でペナルティは無しになりました。危険な能力はなにも毒だけではないですから」

「なるほど。でも能力を使われたことを裁定者が知ってどうするの?」

「本人の言い分を聞き、例えば私利私のために毒を使って私腹をやすなど正當が無い場合、裁定者が判斷したペナルティを與えます」

なるほど、裁定者が十人もいるのなら斷罪することになっても間違いは起こりにくいってわけか。

「この誓約がされてから前代ベルゼビュート様の盡力によりアスタロト族全の信用も増し、地位も向上し迫害も徐々に起こらなくなりました。私があなたに心酔している理由は一族の立場を確立してくれ、更には私などにこのように要職まで與えてくださったからというわけです」

「そ、そうなんだ」

現在の私がやったことではないのに、ちょっと気恥ずかしいな。

「あとこれは余談になりますが、アスタロト族の能力は昔は暗殺にも使われていたそうですが、魔王には効かなかったという逸話が一族間に伝わってます」

「魔王には効かない? どういうこと?」

「さあ? そこまでは私にも分かりません。七つの大罪は元々は天使だったそうですし、その生態が毒を無効化するように出來ているのかもしれません」

なるほど。私の毒無効化って、元々は天使の特なんだろうか?

「何で今アスタロトを呼び名に使ってるの?」

「この名は貴が地位向上させてくれた誇りある名ですので」

「そっか。ちなみに名前は何と言うの?」

「『ヴィンセント・アスタロト・ヴァーレ』と申します」

「じゃあヴィンセントって呼ぶ?」

「いえ、今までと同じにお呼びくだされば結構です」

「分かった、以降もそうさせてもらうわ」

この話が終わった後、カイベルがみんなに呼びかける。

「さて、皆様もお疲れでしょうし、アルトラ様も療養しなければなりませんので、この辺りでお引き取りいただけると幸いです」

「元気そうでしたけど、そういえば重傷なんでしたね」

「我々もまだ興が勝っていて疲れをじていなかったのかもしれませんね」

「では、お大事に」

カイベル以外がゾロゾロと病室を出て行く。

「じゃあベルゼ、私たちは國に帰るからね」

「……ベルゼ、お大事に……」

「二人とも命の恩人だよ! 本っ當にありがとう!」

「まあ、今後外で便宜を図ってもらうくらいしてもらおうかな」

「……その時はよろしく……」

「もちろん! 私にできる限りのことはさせてもらうよ!」

二人の王様も帰って行った。

そして最後、アスタロトが出て行く直前、こちらを振り向き、

「…………言うに言い出せなかったことがあるのですが……」

「どうかした?」

……

…………

………………

數秒沈黙。

「……いえ、やはりやめておきます。ベルゼビュート様の傷が癒えた時に改めて……」

「…………悪いことなの?」

「…………それもまたの機會に……今はゆっくり療養なさってください」

言い淀よどむことって……一何の話だったんだろう……

気になりはしたが、今の傷だらけの狀況を考えると引き留めて問いただすような元気は無かった。

『暴食グラトニー』を継承したことについて――

継承したことによる変化を誰にも伝えていないが、やはり変化はあった。

まず、前述したようにベルゼビュートだった時の記憶が蘇った。通常、前代魔王の記憶が継承されることは無いらしいが、私の場合は先々代が私本人のため元の鞘に収まったということで、自が魔王だった時の記憶が掘り起こされたらしい。

二つ目に、魔王の力を得たことで、私の包する魔力が飛躍的に上がった。元々魔人並みの魔力を持っていたため、大罪を継承した私の魔力はカイベル曰く恐らく當代の魔王の中で最強だとか。

わざわざ『恐らく』って付け足してるところが気になるけど……私には開示できない報を濁して『恐らく』という言葉で片付けたのだろう。

三つ目に、魔力知能力が鋭くなった。なくともリディアやフレアハルトに匹敵するか、それを凌ぐくらいに敏になったと思う。

四つ目に、カイベル曰く風魔法のLvが10から11に上がったらしい。それに伴って私の得意屬から風に変わった。今後は強化された風魔法を基點に戦っていくことになりそうだ。

そして一番大きい変化は、レヴィとアスモが使っていた魔王の本來の力を発揮する『魔王回帰レグレシオン・暴食グラトニー』という能力が使えるようになった。

“理解した”のはつい先ほど。やはり出戻りだから“理解”するのも早かったらしい。

帝が使っていた、狼の頭のような幻影が出る能力、あれは【悪食たちの晩餐會バッド・ディナー】と言うらしいことが分かった。その名の通り、あらゆるものを食べて魔力や生命力に変換する能力のようだ。どこまでいものが食べられるかは分からない。ただ、分厚い鉄でも何度も何度も噛みつけば分解してしまうことができるようだ。

強力過ぎて使うところは限られるが、もし使う事態が起こった時には私の大きな力になってくれると思う。これは後で要検証かな。“理解”しているとは言え、ぶっつけ本番で使ったらきっと痛い目を見るだろう。

この辺りは石橋を叩いて渡らない日本人思考だわ……

そして変化しなかったこともある。

『暴食グラトニー』を継承すると、空腹が増すとか、お腹が空いたらイライラするといった癥狀があるとのことだったが、現在はは出ていない。

その點は幸いだった。

空腹でいちいち狂暴化してたら、コミュニケーションも円に取れなくなってしまっていたところだ。

【悪食たちの晩餐會《バッド・ディナー》】は今後活躍の場を考えているのでお楽しみに^^

あと數話で第17章も終了です。

次回は8月5日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第494話【知らされるフレアハルトの訃報】

次話は來週の月曜日投稿予定です。

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