《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第494話 知らされるフレアハルトの悲報
院して三日が経過。
病室にて――
左腕は見た目には完全回復できたもののきが悪い。とは言えきちんと指全部がくから神経は回復できているようだ。あとはしのリハビリか。
右腕と両太ももの傷はもう完治。既に歩けるようになっている。
そんな時、フレイムハルトさんが病室を訪れた。
「アルトラ殿、ご機嫌いかがですか?」
「フレイムハルトさん! お蔭様で大分元気になってきましたよ!」
見舞いに來た割りには表が暗い。
弟さんが一人で來ることに違和はあったものの、その場の流れで――
「フレアハルトは一緒じゃないんですか?」
――と聞いたところ、その瞬間に表が一層暗くなった。
「…………それが……」
フレイムハルトさんから、カゼハナで起こった赤アリとの戦闘の顛末を聞いた。
「フレアハルトが……行方不明……?」
「はい、我々は生きてると信じて捜索してきました。しかし兄上の消息が分からなくなってから三日間レッドドラゴン総出で探しましたが、未だ見つからず……場所が場所だけに我々しかれないような高熱を放っていますので、人海戦も使えません。既にマグマも冷えて固まって來ているので、このままではすら見つけられないかもしれません……」
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し……死んだ……!?
フレアハルトが死んだ……? しかもも上がらない……?
「カゼハナは元々の火山のような溶巖地帯ではありませんので、タイムリミットは々殘り四日ほどといったところでしょう。それ以降は完全に溶巖が固まってしまい捜索はできなくなります。現在は風の國の空間魔師にお願いして、赤龍峰のみんなを呼び寄せて捜索に加わってもらいましたが……みは薄いかもしれません……」
「そう……ですか……」
ハッ! まさか三日前にアスタロトが言い淀よどんでたことってこれのことか……?
「では、私も引き続き兄上を探さなければなりませんので、早急ですがご報告だけで失禮します」
急ぎ早に出て行った……
病室に誰もいなくなったため、カイベルに質問する。
「そうだ! カイベルならフレアハルトの居る場所分かるよね!? 生きているの? 死んでるの?」
「…………分かりません……」
「分からない!? 『生きてる』とか、『死んでる』じゃなくて、『分からない』の!? もし気を遣って言ってるんならそんなのは無用だからはっきり言って」
「……本當に分からないのです。この冥球に居るかどうかすら定かではありません」
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冥球に居ないかもしれない? どういうこと?
「赤アリと戦って生死不明になったってのは聞いてたよね? その後にどうなったのか分からないの? 何で冥球に居ないことになるの!?」
「申し訳ありません。赤アリとの戦闘により、赤アリとの戦闘以降のフレアハルト様のデータが取得できません。そのためフレアハルト様が現狀どうなってるのか分からないのです」
「いや、だってあなたならデータは後からいくらでも取得できるんでしょ?」
天界だか宇宙の中心だかどこだか知らないところから、アカシックレコード的なやつ (※)でデータ取得してるはずだし。
フレアハルトのデータだけ取得できないってのはおかしい。
(※アカシックレコード:宇宙創世からのあらゆる報が得られるとされている神世界にある書庫のようなものと考えられています)
「いえ……フレアハルト様が赤アリと戦っていた辺りの時間歴データがポッカリが開いたように取得できません。取得できないと言うか……アクセスできないと言った方が正確かもしれません」
が開いたように……?
「じゃあフレアハルトは、カイベルでも観測できないところに居るって言うこと?」
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「居るかもしれませんし、居ないかもしれません」
さっきから何言ってるんだ? カイベルらしくないな……
「じゃあ、あなたが観測できないところの定義ってどうなってるの? この冥球でも『地獄』みたいな神域は無理だってのは以前聞いたけど、他にも條件があったりするの?」
「はい、私が個人を捕捉できない條件がいくつかあります」
「その條件ってのは?」
「一つ目は『死んでいる場合』。これは捕捉対象が神域に行ってしまうため、それ以降の行は把握できなくなります。神域は『地獄』の他にも、『天球』……地球から見れば天國に當たる場所ですが、ここも神域の影響をけているため観測できません。ただし、『死んでいる』という事実を知ることはできます」
「『死んでいる』事実を知ることはできるのに、フレアハルトが生きてるか生きてないか分からないの?」
「はい」
『知ることができる』はずなのに『分からない』って矛盾してる!
「何で!?」
「はい、それは順を追って説明します。まずは條件の続きを説明します。二つ目は捕捉対象が『魔力濃度地帯に居る場合』です」
「基本的なことを聞くようだけど、『魔力濃度地帯』ってなに?」
「その名の通り魔力が濃くなり過ぎた地帯ということです。そういう場所は特殊な魔石が発掘されたり、生の進化が促されやすくなったり、通常は起こり得ないことが起こり易くなる場所です。また、濃い魔力に慣れが無い者が立ちると調に異変をきたすなど、悪い影響が出ることがあります」
「なるほど、それでなぜその『魔力濃度地帯』では捕捉できないの?」
『私自、アルトラ様の魔力によって創られた存在ですので、魔力が濃すぎる地帯に捕捉対象が居る場合、濃すぎる魔力がジャミング (※)のような役割をして捕捉しにくくなります。とりわけ『超濃度地帯』となっている場所は、百パーセントに近い確率で捕捉できません」
(※ジャミング:一般的には通信などを電波によって妨害することを指すようです。今回は妨害の意味で使っています)
「魔力超濃度地帯ってどこにあるの?」
「今この魔界には五つ存在しています。樹の國の『ユグドの大森林』――」
トリニアさんが話してくれた虹のが見えたあの場所か。 (第320話參照)
そういえば『獣人はあそこから進化・発生した』みたいな話があったっけ。
「――土の國の『特殊鉱石採掘場』――」
あ~、これは多分ミスリル銀とかリダクティウム鉱石が採れる現場かな? (第279話や第379話參照)
魔石に特化した濃度地帯ってことかな?
「――氷の國の『永久氷晶地帯』――」
これはまだ聞いたこともないな……氷の國にも超濃度地帯があるのか。
「――そして、今回新しく出來た風の國の超濃度地帯です。帝蟻と戦った『東ボレアース平原』とカゼハナの溶巖地帯化してしまった『カゼハナ盆地』です」
「帝と戦ったあの平原も濃度地帯に変貌しちゃったの?」
「クレーターが出來ていた辺りを中心に超濃度地帯になっていますね。恐らく三人もの魔王が【魔王回帰レグレシオン】して高濃度に達する魔法を使ったことによって、超濃度地帯化してしまったのでしょう」
「カゼハナの溶巖地帯化してしまった盆地ってのはフレアハルトたちが戦ったっていう赤アリが出現したところ?」
「はい。元々は今回のジャイアントアント騒で最初に帝蟻が発見された巣があった場所ですね。巣周辺半徑一キロほどが溶巖地帯化し、そこを中心に超濃度地帯になっているようです」
つまり、超濃度地帯化したことにより、フレアハルトたちと赤アリとの戦闘もカイベルの観測の範囲外になってしまったわけか。
「ただ、新しく出來た後者二つに関しては、すぐに魔力の拡散が行われ、數ヶ月から三年ほど経てば濃度地帯ではなくなるでしょう」
ってことは時が進めば、その場所の観測が可能になるってことか。
ん?
「ちょっと待って、平原も超濃度地帯って言ったけど、あなた気絶から覚めた時にデータ取得するようなきしてたじゃない! あの場でデータ取得してたんじゃないの!?」
「あの時はデータを取得しようとした際、エラーが出てしまって、私が気絶していた間にどんなことが起きていたのか知ることができませんでした。私の周囲に集まっていた方々の心配しているような表と狀況、そして救護部隊の方が仰った『蘇生した!』という一言から判斷して、私がシステムダウンして仮死狀態のようになっていたと結論付けました」
カイベルのデータ取得にもエラーを出すほどの高濃度の魔力ってことか。
「じゃあ『カゼハナ盆地』と『東ボレアース平原』はどの時點までデータ取得が可能なの?」
「『カゼハナ盆地』の方はフレアハルト様とフレイムハルト様が【インフェルノ・ブレス】を同時に放った直後まで、『東ボレアース平原』は王お二人が【魔王回帰レグレシオン】した直後までですね。ここ以降は魔力が濃くなり過ぎてデータ取得できません」
フレアハルト、息袋いきぶくろに傷を負ってるって言ってたのに【インフェルノ・ブレス】使ったのか……それほどの強敵だったわけね。二人同時に放ったから濃度地帯化したってわけか。 (息袋いきぶくろについては第430話參照)
「條件について話を続けますね。三つ目は『捕捉対象に魔力が全く無い場合』。これも私には捕捉できません。とは言え、この魔界に魔力が全く無い生・質というものは存在しませんので、捕捉できなくなる可能は限りなく低いですが」
「ってことは、私が【魔力遮斷シャットアウト・スペル】を使っている時には捕捉できていないってこと?」
「はい、そうなります。もっとも……その狀態で移すれば、周囲に漂う他の魔素を押しのけて移するので、押しのけられた魔素のきを分析すれば場所の特定くらいは可能ですが」
「あ、そうなの?」
これって魔力が無い者でも個人捕捉は可能ってことになるのかな?
でも、仮に魔力を遮斷した部屋で何かをしていても、それをカイベルが知るは無いってことか。そんなわざわざ隠して何かするようなことがあるのかは私には分からないが……
「そして最後に四つ目は『異次元に行ってしまった場合』です」
「異次元!?」
「はい、この世界には一応空間魔法で異次元に行った前例があります。 (第306話參照)そして以前お答えしたように、私には異次元で起こった現象を知るはありません。つまり、フレアハルト様がこことは別の異世界に行ってしまっている場合は、生きていても死んでいても知るがありません。もっとも……フレアハルト様は空間魔法の素養はありませんので、この推論は限りなく現実的ではありませんが……」
「そっか……」
條件を聞く限り、フレアハルトの生死は絶的と言わざるを得ない……
樹の國は風の國の隣だから、『風の國に出來た超濃度地帯西ボレアース平原から樹の國の超濃度地帯ユグドの大森林まで飛ばされた説』に希を見出したいところだが……數百キロも離れている場所へ飛ばされるとは考えにくい。
それに超濃度地帯を一瞬でも離れれば、飛ばされて行く間のフレアハルトを捕捉できるはずだからこの説も恐らく無い。
『異次元へ行ってしまった説』も、空間魔法の使えないフレアハルトがそんな次元を超えるを作り出せるとは思えない。
「それで……一つ目の條件で“『死んでいる』という事実を知ることはできる”って言ったけど、超濃度地帯で死んだ場合であってもそれを知ることは可能なの? 不可能なの?」
ここでカイベルが『可能』と答えてくれれば、『死んでない』ことが確定するから希が見えるが……
「はい、そのケースでは二つ目の條件が邪魔になります。今お伝えしたように超濃度地帯そのものが、私にとってブラックボックスになってしまいますので超濃度地帯での生死の判別は不可能です。もしそこで死んでいる場合、その後魂はすぐに神域に行ってしまうため、これもまた捕捉不可能となります。また、生きている場合でも超濃度地帯に居る限り捕捉できません。ですので現在フレイムハルト様やレッドドラゴンの皆様がカゼハナの溶巖地帯でどのように捜索に當たっているかも全く不明です」
つまりは『知ることは不可能』ってわけか……
ということは、三日も探して見つからないことを考えると、希はほぼ無いに等しい……カゼハナの溶巖地帯に沈んでしまっているか……赤アリの攻撃で跡形も無くなっているか……
「何ヶ月か後に超濃度地帯でなくなった場合、そこにフレアハルト様のごが埋まっているかどうかくらいは分かる日が來るとは思いますが、現時點では……」
聞いていて絶的な覚がを支配する。
「………………」
カイベルに聞けば希があるかと期待していただけに、もうそれ以上は話すことができなくなってしまった……
「……いずれにしても、フレイムハルト様からの続報を待ちましょう」
「……ごめん、疲れたから寢るわ……」
さて、フレアハルトの行方は如何に?
次回は8月8日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第495話【風の國を離れる時】
次話は木曜日投稿予定です。
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8 63【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
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