ヌーと並走をするように空を飛んでいたテアだが、そんな彼もヌーと比べれば數ではあるが、同じであるヒノエやミスズを擔ぐようにして空を飛んでいた。

そんな彼はヌーが空の上で苛立ちを見せた辺りから、心配そうに彼を見つめていた。

本當であれば寄り添っていつものように揶揄う言葉を投げかけたり、逆にヌーが話をするのを黙って隣で聴いてやりたいところではあるが、現在は空を飛べないミスズやヒノエといった人を連れて空を飛んでいる最中である為、それすらも葉わない狀況にやきもきして、ちらりとちらりと視線を向けるに留めざるを得なかった。

そしてそんな視線を向け続けるテアに、ヒノエが靜かに呟いた。

「アンタ相當あの男にれ込んでいるんだね？　でも私はあの男だけは止めといた方が良いと思うぜ、理想が高すぎるのか知んないけど、アイツはいつかを滅ぼすタイプだ」

「ちょ、ちょっと、ヒノエ組長……！」

いきなりのヒノエのテアに対する発言に、同じようにテアに擔がれて空を飛んでいたミスズが慌てて咎めるように口を開くのだった。

「――」（私は死神だから、人間である貴方がたが何を言っているか分からない）

テアも自分に向けられた言葉なのだという事は理解しているようだが、この場に通訳を果たせる魔神やヌーの存在が居ない為に、振り手振りという程ではないが、空の上でヒノエに対して言葉が通じないと懸命に説明する彼であった。

「言葉が通じないなら通じないでいいさ。どんな男でも選ぶのはアンタの自由だしね。ただ、の丈にあったをしねぇと、辛くなるのはアンタだというのは覚えておきなよ？」

んな男を相手にしてきた私だから分かると最後に呟いて、ヒノエはそっとテアの頭に手を置いて優しくで始めるのだった。

やはり言葉は分からないテアだが、どうやらヒノエが自分に向けて口にした言葉は優しい言葉だったのだと、そのでる手の平からも伝わったようで、にこりと笑ったままで表を向けるのだった。

「ヒノエ組長、し変わりましたか……？」

何処か心したように自分に視線を向けてくるミスズに、ヒノエはふっと小さく笑みを零した。

「さぁ、どうでしょうね。でも貴方もし変わりましたよ、副総長」

「ほう？　私の何処が変わったのか、後學のために是非聞いておきたいところです」

「可くなりましたよ。とてもらかな表をされるようになって魅力が増したように見えます」

「はっ、はぁ？　ヒノエ組長、私に対しても揶揄っているつもりなのであれば……」

「揶揄からかっていませんよ。貴方はソフィ殿が來る前と來た後では全く印象が変わりました。それは數年來と共に行をしている私が言うんだから間違いはないですよ。何ならキョウカ組長にも聞いてみて下さいよ、きっと私と同じ事を言う筈だ」

いつものようなスオウ組長に対して揶揄うような口振りであった為、ヒノエが自分にも冗談を言っているのだと考えていたミスズだが、どうやら最後の言葉を聴いた上で、ヒノエの表から冗談を言っているようには思えず、ミスズはヒノエが本音で言っているのだと理解するのだった。

「ソフィ殿が來・て・か・ら・ですか……」

（程、確かにそれはあるかもしれません。彼と共に居ると自分が気を張らなくても何とかしてくれる安心のようなものがあり、それに私が甘えてしまっている自覚が確かにあります。シゲン総長と居る時は逆に期待に応えようと意が高まり、気を張ってしまう傾向があるのも確かですし、シゲン総長とソフィ殿は共に他者に対して影響を與えている事は確かです。そこには両者ともに全く與える影響は違うようですが……）

シゲン総長と共に居ると使命というものを強く意識出來ていたミスズだが、どうやらソフィと行をする機會が増えてからは、自分が無理に前に立とうとせずとも、全てソフィが何とかしてくれるような気になり、あくまで自分は客観的なアドバイスのような事を口にして、彼に何らかのひらめきを與えるようなポジションが似合っているような気にさせられるのであった。

「確かにソフィ殿は不思議な方ですね。特に偉ぶる様子もないというのに、何故か彼の言葉には強く惹かれてしまうような、自ずと従ってしまいそうになる時があります。そして私自がそれを嫌とは思えていない。むしろもっと彼について行きたくなってしまう何かを私自がじています」

真剣な様子でそう語るミスズの言葉に、ヒノエのテアをでていた手が止まる。

「ふっ、やっぱり私だけじゃなかったか……」

「？」

靜かにそう口の中でらす彼の言葉は、近くに居るミスズにも聞こえないような、それは小さな小さな呟きであったようである。

……

……

……