《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第497話 全部が不可解…… その1
フレアハルト帰還の翌日。
フレアハルトたちの住む借家にて――
「おう! フレハル! 今日は仕事出られるのか?」
フレアハルトたちの借家を訪れて、そう聞くのはアルトレリアの建築を請け負う親方のトーリョ。
「今日はまだ用事があるから明日からにしてもらいたい」
「お前さんが居ると居ないとじゃ仕事の速さが全然違うからな、早く帰って來てくれよ」
「すまぬな」
「仕方ねぇな」
トーリョは帰って行った。
「フレハル様、どこか行くんですか?」
「アルトラに帰って來た時の狀況を聞かれておるから、その説明に行く」
「で、では、わたくしたちは何でも屋の仕事を再開しておきます」
「じゃ、じゃあ、私も帰って來て早々、海の方への運搬頼まれてるから行って來ますね」
何だかよそよそしいなと考えるフレアハルトだったが、詳しい説明を二人にも聞いてもらうべく引き留める。
「いや、お主らも來てくれ、詳しく話しておきたい」
「でも、帰って來れた理由なら昨日聞いてるじゃないですか~」
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「昨日とは違う話だ。ここで言うより集まってもらって話した方が手間がない、頼む。それに……何だかアルトラとの関係が変ではなかったか? よそよそしいと言うか」
「「うっ……」」
フレアハルトが居ない時にアルトラに対して冷たい態度を取ったことがわだかまりとして二人の心に殘っていた。
「それについての解消もしておけ。どうせ大した理由では無いのだろう?」
「「大したことはあります!!」」
「お、おう……そうか。ではまだ顔を合わせたくないのか? もしそうなら無理強いはしないが」
「……いえ……確かに修復は早い方が良いですね。わたくしも同行します」
「じゃ、じゃあ私も行きますよぉ……」
◇
フレアハルトが我が家を訪れた。
アリサとレイアも同行して來て真っ先に謝られた。
「せ、先日はアルトラ様を無視するような態度を見せてしまい、申し訳ありませんでした!」
「わ、私も『話しかけないで』なんて言ってごめんなさい!」
「い、いや、狀況考えたら當然のの振り方だと思うから……原因作ったのも私だしね……まあこの話はこれで終わりにしましょう。フレアハルトも無事に帰って來たし」
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「「はい!」」
「何があったのか知らんが、わだかまりは解消できたようだな」
フレアハルトにどうやって生き延びたのか説明を求める。
「それで……どういうことなのか全部説明してもらえるのよね? 人伝ひとづてでだって連絡してくれれば良かったのに、それすらできなかったのはどうして?」
「まだ理由を聞いてませんが、どうしてわたくしたちまで同行されたのですか?」
「昨日私たちには赤龍峰で説明してくれたじゃないですか~。あれで終わりじゃないんですか?」
それぞれが疑問を口にするとフレアハルトが話し始めた。
「ああ、どうやって生き延びたかだが、赤アリの発攻撃によってカゼハナから數十キロ飛ばされて辛うじて生きていられた我は現地の住民に救われた」
「現地の住民?」
「ああ、の霊でな、その村で醫者をしておる者だ。その者が居らねば我は生きてここにはおらんだろう。そこで傷が癒えるまで世話になった。回復したのが一週間前で、そこから一週間かけて歩いて戻って來たのだ」
「なるほど、だから二週間も行方不明だったのね」
黙って頷いたが、この話おかしい……風の國に居たなら、カイベルが捕捉できなかったはずがない。
何か裏があるな。
「昨日私たちに話してくれたのと同じ話じゃないですか~」
「わたくしたちに言わなければならないこととは何なのですか?」
「ああ、聞いてほしいのはここから先だ。ここまでが我が表向きに考えた“噓の”生存話だ」
「噓!?」
「赤龍峰の方たちには噓を教えたということですか!?」
「ああ、すまぬな、真実の方は……説明したとて多分にわかに信じる者はおらん。が、ここに居る者は全員関係しているから、お主ら二人にも同行してもらった」
「関係している?」
「わたくしたちまでですか?」
ここに居るのは私とカイベルを含めて五人。全員に関係していることなのか?
フレアハルト以外の四人は恐らく赤アリとは一切関わってないのにどんな関係が?
「ああ、だが町の者に聞かれた時には“噓の方”を伝えておくから、“真実の方”はここだけのにしてくれ。我にも分からんことだらけだから話題にされるのも面倒だ。カイベルも頼むぞ」
「了解しました」
「分かったよ」
「「分かりました」」
そして、一度深呼吸して話し始めた。
「生き延びた方法は我にもよく分からん。だがどうやら我は冥球とは違う……恐らく異世界に行っていたらしい」
「は?」
カイベルの捕捉不可能條件4つ目、まさかの『異世界』説!? (第494話參照)
「何でそこが異世界って分かったの?」
「なぜって……魔界とは景そのものが違っておったからな。こんな魔界の暗々とした空ではなく、目も眩むような明るさだった。金に輝いておって、金の雨が降るようなそんな不思議なところだ。空には更に煌々と輝くが見えてな、あれが本の太というやつかと直した」
何だか私たち地球人が想像する死後の世界みたいだな……
ホントはどこかで仮死狀態にでもなってたんじゃ?
「そこでとある人に出會った」
そこからはその“謎の人”との會話の再現で説明してくれた。
(※今回から三話に渡り々特殊な書き方をしています。▼から次の▽まではフレアハルトの過去回想と獨白、▽から次の▼までは現在での會話劇でアルトラの一人稱となります)
▼
時は赤アリとの戦闘まで遡さかのぼる――
赤アリの発が目前に迫る中、
「さて……我はここからどうするか……萬事休すか……我一人ではもう打つ手が無い。このまま飛び続けてもすぐに追いつかれるだろう……さらばだフレイムハルト、アリサ、レイア、父上、アルトレリアの皆みな、そしてアルトラ……」
まあ、何だ……一応今生の別れを口にしたのだがな……
言い終わると同時に発に巻き込まれ焼失……するかに思われたのだが、偶然にも我の目の前に空間の揺らぎが見えたから、空間転移ゲートかと思って慌てて飛び込んだのだ。
だが、もうに火が點いておってな――
「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ!!」
などと言いながら空間転移した先で転げ回ることになった。
多火傷してしまったが、致命傷には至らずに済んだのが幸いだったな。
▽
空間の揺らぎって【ゲート】を使う時に起こる現象だけど……“空間の裂け目まで発展してない狀態の”疑似ゲートってじだったのかな?
「わたくしたちが燃やされるなんて、そんなことがあるのですね……」
「そうだな、我々を燃やせる生はないながら存在するらしい。我も初めて遭遇した」
「でも、何だか直前まで命の危機だったのに、一気にマヌケな展開ね~……」
「そこがフレハル様の良いところですよ~」
「……まあ続きを聞け」
▼
空間の揺らぎに飲み込まれた先に一人のが居おってな。
このが本當に謎のだった。
「あれ~、フレアハルトさんじゃない? 何で火だるまになってんの?」
突然名前を呼ばれてビックリした。
なぜなら、名前を呼んだこのが誰なのか全く見當も付かん。會った記憶すら無い。
見た目は人間や亡者のような容姿だった。はアルトラや人魚たちに近く、髪のはカイベルのように黒かった。ウロコとか獣とか、そういったのは見たところ生えてるようには見えんかったから、恐らく魚人や獣人ではない。
「今日はアリサさんとレイアさんは一緒じゃないのね。お付きだって聞いてたから常に一緒だと思ってたよ」
どうやらアリサやレイアとも顔見知りらしいが……
誰だか全く分からんから言葉が出ずに困っておったところ、
「あ! その顔! 私のこと忘れてる? 私、私、ミスティアだよ!」
自分に指をさしながら「『ミスティア』だよ」、とか言ってるがその名前にも心當たりは無い。
▽
「向こうははっきり顔と名前覚えてるのに、あなたは覚えてないの? ちょっと失禮じゃない?」
「いや、そもそも推定:異世界だぞ? そんなところに知り合いが居おることがおかしいと思わぬか?」
「そういえば、確かにそうね……」
「その方は、わたくしたちのことまでご存じだったのですか?」
「ミスティア……う~ん、人間のような容姿で黒髪なんて亡者やカイベルさん以外に見たことないけど……昔會ったことがあるヒトの誰かですかね?」
「三人とも分からないの?」
全員が忘れてることなんてある?
フレアハルトは分からなくても、常に側近として気配りしているこの二人まで分からないというのは……どういうことだ?
「それに、お主のことも知っておったようだぞ?」
『アルトラは元気? カイベルさんやリディアやネッココは? ケルベロスは?』
「と、言っておったからな」
「はぁ~!? 私の名前まで!?」
誰だ『ミスティア』って……全く思い出せない……
わ、私も失禮なヤツだったか!!
しかも私の名前だけでなく、カイベルたち三人 (+一匹)まで!?
ケルベロスのことまで知ってるってことは私はそのミスティアを我が家に招待したことがあるってことなのかしら……?
全く記憶に無いってことは、記憶消されたりしてる?
「誰だか思い出せたか?」
「い、いや……そんな名前ののヒトに出會った記憶は無い……そもそも私は異世界へも行けないし……」
仮に異世界に行けるがあったとしても、このに備わった『冥獄めいごくの枷かせ』の効果で私は魔界からは出られないから行けるはずがない。 (『冥獄めいごくの枷かせ』については第105話參照)
かと言って前世でも會った覚えが無い……いや、『アルトラ』呼びだったってことは、やっぱりこの魔界で會ってるのか?
小聲でカイベルに訊ねてみる。
「……カイベルなら分かる……?」
流石にカイベルなら覚えてるだろう……と期待したのだが……
「……いえ……『ミスティア』という名前の方は魔界にもいらっしゃるようですが……アルトラ様が出會ったことがある方は一人もおりません……」
「……ホントに……!? あなたが分からないってどういうこと……!?」
「……現時點では何とも……」
カイベルにすら分からないということは、私が記憶作されてるわけでは無いらしいな……
また、不測の事態が起こってるのか?
やっぱりこことは違う『異世界のこと』だから?
帝蟻に続いてのトラブルはゴメンなんだけどな……
「談は終わったか?」
「ああ、はいはい! 続きをどうぞ」
▼
名前を聞いても誰だか分からんから、困っておったところ、どこからか低い聲が聞こえて奇妙なことを言い出したのだ。
『お前が出會った時間軸のフレアハルトではないのではないのか?』
「あ、そうか。このヒトは私のことを知らないフレアハルトなのか」
「誰だ!? 他にもヒトが居おるのか!? どこに居おるのだ!?」
と周りを見回してみたが誰もおらず、次の言葉でどこから聞こえているかが分かった。
「ああ、これ私のの中から聞こえてる聲だから、気にしないで…………う~ん、まあ紹介しちゃおうか、二回目だし」
すると、そのの腹辺りから、白とも銀ともつかぬ何かがニュっと出てきてヒトの形を模してな、こう紹介された。
「この人 (?)は『テアラース』、まあ見た通り人間じゃないけどよろしくね」
とな。
▽
今『人間』って言った?
ってことは『ミスティア』って人が居る異世界は地球? いや、地球ならカイベルが観測できるはずだし、そもそも地球では魔法は使えない。
もしかして別次元にある“地球”の“人間”なのか?
それに『時間軸』って……時間魔法で過去や未來へは行けないってカイベル言ってたのに……この『ミスティア』にはそれが可能ってことなのか。
まだ今の時間軸で會ったことがないってことは、今後その子が私の前に現れる可能があるわけか。
これら全部が、この魔界とは別次元だから時間魔法のルールが違ってるとかなのかしら?
『テアラース』ってヒト (?)のことも気になるわ。聞いてる限りは、人間に寄生する生命かしら? は白とか銀とか言ってるし、しゃべってるから知的生命みたいだけど……まさか宇宙人?
三回に渡ってお送りするフレアハルトの異世界未知との遭遇祿。
二回の予定でしたが、筆が乗ってしまったので三回になります。
次回は8月19日の20時から21時頃の投稿を予定しています。
第498話【全部が不可解…… その2(時間軸と彼らの生態)】
次話は來週の月曜日投稿予定です。
【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される
『氷の王子』と呼ばれるザヴァンニ王國第一王子ウィリアム・ザヴァンニ。 自分より弱い者に護られるなど考えられないと、実力で近衛騎士団副団長まで登り詰め、育成を始めた彼には浮いた噂一つなく。それによって心配した國王と王妃によって、ザヴァンニ王國の適齢期である伯爵家以上の令嬢達が集められ……。 視線を合わせることなく『コレでいい』と言われた伯爵令嬢は、いきなり第一王子の婚約者にされてしまいましたとさ。 ……って、そんなの納得出來ません。 何で私なんですか〜(泣) 【書籍化】ビーズログ文庫様にて 2020年5月15日、1巻発売 2020年11月14日、2巻発売 2021年6月15日、3巻発売 2022年1月15日、4巻発売 【コミカライズ】フロースコミック様にて 2022年1月17日、1巻発売 【金曜日更新】 ComicWalker https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_FL00202221010000_68/ 【金曜日更新】 ニコニコ靜畫https://seiga.nicovideo.jp/comic/52924
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