《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1760話 大魔王ソフィVS妖魔山の全天狗族

「ちっ! 華親かしんの奴め……っ! 仕方ない『擔臨たんりん』よ、お前は妾の攻撃に合わせてけ! そして『壽天じゅてん』、お前は妾が攻撃を行う為の道筋を作り出せっ!」

「「意!!」」

司令であった『華親』が、大魔王ソフィというたった一の存在の強さに魅了されたかの如く、きを見せなくなってしまった為に、本來であれば事が終わるまでどしっと構えながら一番後ろで眺めているに留まるつもりだった『天魔てんま』の『帝楽智ていらくち』も仕方なく戦闘態勢にるのだった。

艶やかな赤い袴を履き、五つに小袿を重ねた長く黒い髪が印象的な『天狗』は、ふっと息を吐くと同時に『青いオーラ』を纏い始めるのだった。

流石は全天狗を束ねる『天魔』なだけはあり、彼が本気で大魔王ソフィを『敵・』として認めてからの行は早かった。

一気に戦力値と魔力コントロールを行い、一介の妖魔召士であれば目を背けたくなる程の膨大な『魔力』を準備し終えると、大魔王ソフィに向けて『魔力波』を放とうと手を翳し始めるのだった。

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そして『天魔』が攻撃態勢にるのを見た『世來二親せらいにしん』と呼ばれる『天従十二將てんじゅうじゅうにしょう』の中でも最高位の幹部達二名もまた、大魔王ソフィという敵対する存在を葬る為に戦闘態勢にる。

まず『世來二親』の『擔臨』が『青』を纏いながら、天魔の『魔力波』が現化されていくのを見計らい、大魔王ソフィを止める為に『呪詛』の詠唱を始める。

そしてもう一の大天狗である『壽天』が、何と天魔の『魔力波』程範囲に自らり込んだかと思うと、そのままを一直線に恐ろしい速度で駆けてソフィの元へと向かっていく。

――どうやら先程の『天魔』の命令にあったように、何らかの手法でソフィを導させて『天魔』の攻撃を直撃させようというのだろう。

大魔王ソフィは周囲の天狗達を相手に『絶殲アナイ・アレイト』で躙を行い続けていたが、自分に向けて敵意を放ち始めた『帝楽智』と『世來二親』の存在に気づいたようで、くるりと踵を返して視線をこちらに向かってくる『壽天』達に合わせるのだった。

「ほう……? 殘っている奴らは中々に大した『魔力値』を持っているようだな。どれ、実際にどれ程戦えるのか直・々・に・試・し・て・や・ろ・う・」

そう言って大魔王ソフィの目が金に輝くと同時、一番遠くからかずに『呪詛』を呟いていた『擔臨』の姿が忽然と消え始めると、一瞬のにソフィの前へと転移させられるのだった。

「まずは貴・様・からだ!」

大魔王ソフィの用いた『逆転移』によって、何が何だか分からずにソフィの間合いに寄せられた『擔臨たんりん』は、詠唱するのも忘れて驚愕の目を浮かべてソフィに視線を送っていたが、次の瞬間にはソフィの振り切られた左手によって顔半分が吹き飛ばされてしまい、が噴水のように吹き出したかと思うとフラフラとが揺れいた後に糸の切れた人形のようにドサリとその場で足から崩れ落ちて絶命した。

「なっ!?」

突如として自分の走行する道の先に、同胞である同じ『世來二親』の大天狗である『擔臨』が出現したかと思えば、あっさりと顔を吹き飛ばされて絶命する瞬間を見てしまい、無意識に『壽天』はその足を止めてしまうのだった。

そしてそんなきを止めてしまった『壽天じゅてん』の前に、いつの間にか大魔王が転移を行いながら現れる。

「敵が堂々と近づいてくるというのに、そのように呆けていては殺してくれと言っているようなものだ。どうやらそれなりに戦える『魔力』を持ってはいるようだが、貴様らは全くそれを活用するを知らぬとみえるな。戦い方すらもろくに理解しておらぬ分際で、よくもまぁ命のやり取りを行う戦場に立てたものだ。それとも群れをなした事で気が大きくなっていたか? いずれにせよ、よくも我の仲間に手を出してくれたな……」

――今・度・は・我・が・直・々・に・相・手・を・し・て・や・ろ・う・。

恐ろしく冷徹な目をした大魔王ソフィは、殘忍な程の形相を浮かべながら右手で『壽天じゅてん』の顔を摑み上げた。

大魔王ソフィに顔を摑まれた『壽天じゅてん』のが、あっさりと地上から浮き始めていき、やがてソフィの指の間からその視線をソフィに向けてしまい、しばらくその冷酷無比な大魔王の視線に曬されて震え上がる『壽天じゅてん』であった。

――そして恐怖に襲われた『壽天』は、衝的に口を開いて必死に弁明を行い始めるのだった。

「ひっ! し、知らぬ!! 儂はお前の仲間に手を出した覚えがっ……、かへぁ――っ!!」

だが、自分は無関係だとばかりに弁明を行おうとした『壽天』の顔が、ソフィの手によって握り潰されたかと思えば、そのまま次の瞬間には左手を『壽天』の肩口に手を置き、グチャグチャになった『壽天』の顔を持つ右手と合わせて、強引にから力任せに引っ張り上げると、ぶちぶちと音を周囲に響かせるように音を立てた後に、強引にの繊維ごと首・を・引・き・ち・ぎ・る・の・で・あ・っ・た・。

「さ・て・、次・は・ど・い・つ・だ・……?」

『壽天じゅてん』の返りによって真っ赤に染まったソフィだが、持っていた『壽天』のほとんど原型を留めていない顔を放り投げると、全く返りを気にしてはいない様子で金に輝く目をぎょろりとかして、周囲に視線を這わせ始める。

その悍ましい大魔王ソフィの姿を視界に捉えた事で、遠くの地で震え上がってしまった『華親』と、信じられないといった様子で『帝楽智』は、無意識に周囲に聴こえる程の大きめのうめき聲を上げてしまうのだった。

この圧倒的な強さを誇る大魔王ソフィによる躙の時間は、まだしばらく続くようであった――。

……

……

……

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