《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1766話 魔法使いとしてのソフィの戦い方
キィイインという音と共に大魔王ソフィの目が金にり輝くと同時に『特異とくい』が展開されると、同時にソフィは左手を空に上げて手の平を天に翳すかのように広げる。そして更には右手を迫りくる華親に向け始めるのだった。
は闇に、天は地に、森羅萬象の流転。
変遷する世界、それは止めようのない移ろいを示す――。
――魔神域魔法、『転覆カタストロフィ』。
ソフィに向かって駆けていた華親が唐突にその足を止めると、急に苦しそうな表を浮かべて蹲り始めた。
どうやらソフィの固有魔法である『転覆カタストロフィ』によって行を反転されてしまい、足をかそうとして止まってしまい、その上呼吸すらも反転させられている為に、息を吸おうとして上手く吸えずに何が起きたのか分からずに、脳が一時的なパニック癥狀を起こしてしまったのだろう。
――魔神域魔法、『天雷一閃ルフト・ブリッツ』。
唐突にけなくなった華親の頭上に、雨雲が次々と出來始めていく。どうやら大魔王ソフィの『魔法』による影響だろう。
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そして一際大きな雷鳴が山の上で轟いたかと思えば、無にも辺りを押さえながら苦しそうに俯いている『華親』に雷が降り注ぐのだった。
「華親かしん!」
後ろから覚束ない足取りのままで何とか走って華親の元に向かってきた『天魔』の『帝楽智ていらくち』が勢いそのままに華親を後ろからごとぶつかって雷の落下地點から必死に押し出してみせた。
大魔王ソフィの放った『転覆カタストロフィ』によって『帝楽智』もまた効力が及んでいるのにも拘らず、華親とは違って見事にも走る事や呼吸を行う事を可能としたようで、大魔王ソフィの目の前で無事に華親の命を救ってみせたのであった。
「ほう? 我のこの魔法を初見でけて、そのように他者を救える程にいてみせたか……」
――や・る・で・は・な・い・か・。
大魔王ソフィの口角がしだけ上がり、華親と共に倒れ込んでいる帝楽智に向けて右手を向ける。
すると次の瞬間、帝楽智たちを取り囲むように『スタック』が設置され始めていく。
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その數は全・部・で・七・つ・――。
全ての設置された『スタック』に、先程の『天雷一閃ルフト・ブリッツ』と同程度の『魔力』がじられている。つまりはこの『スタック』された魔力の源に『天雷一閃』の発羅列が伴われると、瞬時に七発のソフィの魔力から発せられる『雷』が自分達のに降り注ぐという事だろう。
「くっ……!!」
帝楽智は何とかじ取った『魔力』から防衛手段を取ろうと『スタック』された『魔力』の奔流から離れながら自にもオーラを伴わせようとする。
――しかし帝楽智の取ろうとした行だが、何も出來ずに終わってしまうのだった。
今、この場所は大魔王ソフィの支配下といっても過言ではない。
大魔王ソフィの目で捉える事の出來る範囲その一帯は、全てが彼の『魔法』と『特異』の影響下なのである。
つまりはこの周囲一帯では、取る行が全て反転した上で、魔力を用いようとする技法その一切の全てが発と同時に、発前の段階へと強制的に戻されてしまう。
更には一度発した『魔力』を伴った『技法』一切を打ち消された挙句に、その効果を生じさせようとした『魔力』そのものを全て大魔王ソフィに吸収されてしまう。
大魔王ソフィの『特異』の効力を理解していても、普段通りに戦う事は不可能に近いというのに、今この時に至っては『帝楽智』も『華親』も何が起きているのか分からない狀態なのである。
そもそもが『特異』というものを理解しておらず、また『魔法』という概念も『理ことわり』がない以上は、存在を認識出來ていないのである。
そんな帝楽智達に向けて、突然に見舞われた災難に上手く対処しろと言う方が酷というモノである。
しかしその帝楽智は原理というモノを理解出來ずとも、見事にこの影響下で『青』を纏わせる事に功しかけた。あっさりと功させた帝楽智だが、それは非常に難解な事をやってみせたのであった。
普段通りに『青』を纏わせる事でさえも相當の年數を要するというのにも拘らず、今この場で帝楽智が行った事というのは、魔力を練るという行いを反転狀態の世界の中、何の指標もなく、そして誰にも教わることもなく、ただ自らの覚だけで『魔力』をオーラの形に用いられたのである。
本當に見事という他なかったが……――。
――しかし。
「クックック、反転する世界の中で『青』を纏わせる事を可能としたか。やるではないか。だが、上手くオーラを纏わせられかけたせいで、貴様は今ので多くの『魔力』を我に奪われてしまったようだぞ? 喜べ、今度は貴様の『魔力』で更・な・る・絶・・を與えてやろうではないか」
そう言って大魔王ソフィは笑い聲を上げると、両手をの前で差させながらこれまで以上の『魔力』を高めていく。
――魔神域魔法、『絶殲アナイ・アレイト』。
大魔王ソフィはこの場で二つ目の『固・有・魔・法・』を展開させると、現化された『真っ白なの束』がその場に出現を始めた。
現在、大魔王ソフィが展開している発羅列待ちの殺傷能力に満ちている魔力の『スタック』が七つ。その全てにソフィが『魔力』を點火させる事で『理ことわり』を伴った『大魔法』や『極大魔法』があっさりと発されるだろう。
更にこの場には相手の『魔力』を伴った攻撃全てが無効化される『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』が展開されており、その『魔力』が伴った攻撃を行えば、全ての効力が打ち消された挙句にそこに用いられた『魔力』が先程のように全て詠唱者であるソフィに吸収されてしまい、更にもう一つソフィが段階を上げれば『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』は『死・の・結・界・』と揶揄される領域に変わってしまい、その生命すらを危ぶませられてしまうだろう。
そして殘酷な事にこの場では行全てが反転されてしまい、その『魔力』を伴う技法全てが『特異』によって巻き戻されてしまう。
そして『帝楽智』程度の存在では、ソフィの『特異』の効力を突破出來ない為、この場では『魔力』や『オーラ』を纏う事はもはや永久に出來ないだろう。
――行が全て反転されてしまう世界の中、魔力を伴った技法その全てが発と同時に巻き戻されて、更には効力が打ち消されてしまって発揮されぬまま、用いた『魔力』だけがこそぎ大魔王ソフィに奪われてしまうのである。
最早、結論を言ってしまえば『天魔』の『帝楽智』と、天狗族の副首領である『華親』の生殺與奪の権利は、大魔王ソフィが握っているという事と同義である。
次々と弱化させられていく『帝楽智』と『華親』に反して、大魔王ソフィはこれまで以上に戦力値と魔力値が上昇されていく。
――どうやら大魔王の本・質・部・分・が、強・く・表・に・出・て・き・て・い・る・所・為・だろう。
……
……
……
「ちっ、もうどうしようもねぇな。あの天狗共は何があっても終わりだ」
「ああ。悔しいが、俺もお前の言葉に同意する。こうして客観的な立場となってようやく、俺があの時にされた事が理解出來た。こりゃもうどうしようもねぇよ……。俺も『魔力』を利用して戦う側の人間だからこそ、余計に理解出來るってもんだ。あの化けがやっている事は、魔・力・を・用・い・て・戦・う・『存・在・』全・て・の・否・定・だ・。勝てるわけがねぇ」
大魔王ヌーとイツキの會話を聞きながら、傍に居たミスズとシゲンも中で同意せざるを得なかった。
こ・れ・は・も・う・戦・闘・と・い・う・狀・態・に・さ・え・な・り・得・て・い・な・い・――。
いくら自己を鍛えて強くなろうとも、その持ち得る武となる部分が本から無効化されてしまってはどうにもならない。
相手が自分より強いから勝てないとか、やっている事が理解出來ないとか、そういう次元の話ではない。
大魔王ソフィがやっている事を理解出來たとしても、その対処法が思いつかないのである。
対策を取ろうとする為にこうとすれば反転させられてしまい、かといって『魔』の概念を用いて打破しようとすれば、その全てを巻き戻されて再び行使しようとすれば同じく反転させられた順序から正解を導き出さなければならず、先程の『帝楽智』と名乗っていた天狗達の首領のように上手く功させられたとしても、その効果が反映される前に打ち消されて『魔力』を全てこそぎ奪われて相・手・は・更・に・強・く・な・っ・て・い・く・。
一こんなワケの分からない一方的な狀態を展開されて、どうやって耐えろというのだろうか?
この場に居る多くの者が、改めて大魔王ソフィという存在が、どうしようもない程の最・強・の・存・在・なのだと、自覚させられるのだった。
……
……
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