《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第500話 魔王回帰の能力を検証 その1

アルトレリア・クリュー在住の借家前――

コンコンコン

「クリュー居る?」

ガチャ

「お? 私の家を訪ねるなんて珍しいですね。お久しぶりですアルトラ。やっと風の國から帰って來たんですね」

「それはこっちのセリフよ! あなたこそどこ行ってたの? ジャイアントアントで大変だったからお手伝いしてもらおうと思ったのに居なかったから……」

「すみません、長期死神の業務で出払っていたので」

「そっか、それは仕方ないね。今日は暇? ちょっとお付き合い願いたいんだけど。その前にちょっと失禮、スンスンスンスン」

「な、何ですか? 突然匂いなんて嗅いで」

「あなた、確か死神業務の時は義から出て、本だけで行ってるのよね? 二週間くらい義から出てたんでしょ? それにしては腐敗臭とかしないなと思って」

「ま、まあこの義からだのまま行くこともありますから。この義の能力はアルトラと同程度の能力ですので、業務に特別支障はありませんし」

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正確には『“大罪継承前の”アルトラと同程度の義』だけどね。

「じゃあ、今回は義から抜けて本だけで來てもらえるかしら?」

ジャイアントアント騒により、不本意ながら魔王の力を得てしまった私は、その能力の検証のためカイベルとクリューを伴って、忌まわしの地 (無人島)へ來ていた。

「はぁ……また來てしまった忌まわしの地……」

「忌まわしの地って……ただ単にキミが不摂生で太ったから、ダイエットに來ただけじゃないか」 (第433話から第436話參照)

「あ~あ~聞こえな~い」

「キミ……もしかしてまた食べる量増えたんじゃない? リディアとネッココに食べ過ぎだって言われてないかい?」

そうなのよね……一回太ってるからなのか、止められることが多い……

かと言って、『もう太らないから』なんて言って信じるわけないし……

「言われてるけど……でも、まあ『暴食グラトニー』が戻ったことにより、太らないを再び得たのは不幸中の幸いだったわ!」

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「……それで、今日は何でこんな人気のないところに來たんだい?」

「実は――」

私がジャイアントアント討伐によって、七つの大罪『暴食グラトニー』を継承したことを洗いざらい話した。

「そのことは二大國の王とカイベル以外は誰も知らないってわけか。それで何で私には話したんだい?」

「あなたは私のを他の誰よりもよく知る人だからね。例えばカイベルが生じゃないとか。だからあなたを協力者に抱き込もうと思って。口も堅いし」

「なるほど」

「と言うか……私が継承したことにだって気付いてるでしょ? あなたは魂が見えるんだから、今の私のには二つの魂が混在してるはずだし」

「流石! よく分かってるね! パッと見た時からキミが継承したことは気付いてたよ」

「そうだと思ったから口止めも兼ねて、協力してもらおうかと思って來てもらったの」

「さて、どうしようかな~」

な!? 私のを散々知ってるくせに、この期に及んでバラそうっての!?

「じゃあキミの家に行っても文句言わないことが條件かな。毎日カイベルのご飯なら私も文句無いよ」

「うっ……し、仕方ない……でも、門限は十時にして……」

「了解了解。それで、今日は何をしにここへ?」

「今日は能力の検証に來たの。あなた、多分一度として本気で戦ったことないでしょ?」

「よく気付いてたね」

「そりゃ、焦ってるところ見たことないし。だから私が魔王になった能力を知るには打ってつけの相手だと思って」

「なるほど」

「そういうわけだから、早速始めましょう。新しく得た力は試しておかないといざと言う時に逆効果になっちゃうかもしれないしね!」

クリューとカイベルから離れる。

魔王回帰レグレシオンした時に魔素分解に巻き込まないためだ。

「いざ! 魔王回帰レグレシオン・暴グラト――」

「お待ちください!」

「なに?」

何だかカイベルに急いで止められたような気がするが……

「そのまま魔王回帰するのですか?」

「『そのまま』ってどういう意味?」

「魔力隠蔽もせずに魔王回帰などすれば、異変が一瞬のに魔界中に知れ渡ることになりますが……よろしいのですか? 目標とする強大な敵もいないのに膨大な魔力を垂れ流せば、すぐに各國からここに調査が差し向けられることになりますよ? しかも七大國とは全く関係無い中立地帯の土地での回帰となれば、真っ先にアルトラ様に疑いの目が向くと思いますが……」

「え? 各國から數百キロも數千キロも離れてるのに、こんなところで出した魔力が捕捉されるの?」

「もちろんです。魔王回帰した狀態で魔法を使えば魔力濃度地帯に変貌するほどの魔力を垂れ流すので、あっという間に各國に捕捉されるはずです」

そんなに神経質にならないといけない能力なのか?

一応クリューにも聞いてみる。

「クリューは最近三回魔王回帰レグレシオンされたことに気付いてた?」

「さあ? 私はその頃魔界に居ませんでしたので。ただ、膨大な魔力のきがあれば多分気付きますよ」

魔王回帰ってそんなにヤバイ能力なの!?

あっぶねぇ~~!!

そんなの考えてもいなかった……相當慎重に扱わないといけないわけか。

レヴィやアスモが試しに一回発させたって言ってたからお気軽にやろうとしてたわ……

「あ、ありがとうカイベル。それは迂闊だったわ……」

「中立地帯この場所は常にいずこかの大國に見張られていると考えておいてください」

「わ、分かった……」

「まず【魔力遮斷シャットアウト・スペル】と空間魔法で隔離空間を作り、その中で発するのが良いと思います。終了の際は隔離空間ごと異空間に消し去ってしまえば、魔王回帰の際に噴出した膨大な魔力がれることも無いでしょう」

「OK! それで行こう」

「念のため、【魔力遮斷シャットアウト・スペル】の結界は二重にするのが良いかと思います。私の見立てでは一つでも大丈夫だと思いますが、アルトラ様の魔王回帰レグレシオンがどの程度か変してみなければ分かりませんので」

「了解」

言われた通り、【魔力遮斷シャットアウト・スペル】の隔離空間を二重に作る。

このままではこの結界が外界と“隔離”されてしまっているためれない。そこで、創魔法で私とカイベル、クリューから量魔力を回収し結界に混ぜ込む。これで私たちだけは通過が可能になる。

砂漠の宿で使ったものの応用だ。 (第392話參照)

「なるほど、アルトラにしかできない隔離空間の運用方法だね」

「よし! 準備OK!」

さっそく結界る。

「カイベル、じゃあ魔王回帰レグレシオン試すけど、もう問題無いよね?」

「いえ、結界に足を付けていると、恐らく魔王回帰レグレシオン発の魔素を取り込む作用で結界が分解されてしまうと思います」

ああ……ここでも魔素分解作用か……

「な、なるほど。じゃあ空中で試さないといけないわけね……」

ちょっと試すつもりが、各大國にバレないようにと考えるだけで、凄く手間がかかる……

羽を出して空中にホバリングし、再度カイベルに確認。

「も、もう気を付けるところは無いよね?」

「はい」

一度深呼吸し――

「魔王回帰レグレシオン・暴食グラトニー!」

その掛け聲と共に、私の周囲の魔力が変質するのが分かった。

そして黒い魔力に覆われ、周囲の魔素をどんどん取り込み、大量の魔素を得るに相応しいへと変化していく。

數十秒黒い魔力の渦に巻かれ、終わった時にはの変化が完了。

「お? おお!?」

まず目にったのは両手だった。

先ほどまでの人の手とは違う。白くてトゲのあるゴツイ手袋のような裝甲に覆われている。

「二人とも! 今の私ってどんな姿?」

「姿見を作ります、ご自分で見られるとよろしいかと」

カイベルが姿見を作って見せてくれた。

額辺りには蟲の複眼のようなものが生され、腕や腳には白いウロコ狀になった突起が出來ていた。

首回りには白いもふもふのが生えた。

羽はいつもの天使の羽ではなく、ハエのような羽だが、帝蟻のものと比べると何だか全的に白っぽい。

そして、いつもは存在しない虎のような尾が生えた。

の大きさはあまり変わらない。どうやらレヴィのように巨大化はせず、アスモのようにだけ変形するタイプらしい。

顔は特に変化無いようだ。ビジュアル的に忌避が薄くて良かった……あまりにも醜い姿だったら、有事の際でも使うのを躊躇してしまうかもしれない。

「あれ? が全的に白っぽくない? 帝蟻は黒いだったはずだけど……帝蟻と同じような姿になるのかと思ったけど、違うのね」

あちらはかなり蟲に寄ったフォルムでも黒に近く、を渋い金で反し、複眼は黒で、私たちの考えるまさに『ハエ』というような出で立ちだった。

しかし、私の魔王回帰レグレシオンは白がベースらしく、複眼は赤い。自畫自賛かもしれないが何だかしささえじる。

「どうやら大罪が宿主にした生によって姿が違うようですね」

「クリュー、この姿どう?」

「蝿の王には似つかわしくないくらい綺麗な姿だね」

「やっぱり? そう思う? 良かった~、魔王回帰レグレシオンの姿はあまり見るに堪えるものじゃないかと思ってたけど、この姿ならまあ……割と……」

好きになれそうだ。

「あ、この複眼飾りかと思ったらちゃんと機能してるわ。意識を複眼に移すと複眼の機能が得られるみたいだ」

學校の授業では『數百個の目』があると教えられたから、監視カメラのモニタールームのように複數の映像が見えるのかと思ったが違うようだ。生きの軌道や機微が読みやすい気がする。視力がかなり良くなるようだ。

でも、止まったモノを見ることには適さないように思う。何だか焦點が合いにくい。狀況に合わせて切り替えるのが良いのかも。

「これで魔法使ったらどうなる? って聞くまでもないな。変したことでどうなるか“理解”したわ」

魔法の規模にも依るが、隔離空間を壊してしまうくらいの魔法は簡単に放てそうだ。

ここからは能力の方の検証だけど……私から魔法は放てないから、カイベルとクリューに協力してもらって回避・防能力の検証といこうか。

忌まわしの地に再び足を踏みれたアルトラ。

アルトラは『忌まわしの地』呼ばわりしていますが、全部自業自得なんですけどね(笑)

遂に500話達。ここまで追って読んでくれてる方、ありがとうございます!(^^)

次回は8月29日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第501話【魔王回帰の能力を検証 その2】

次話は木曜日投稿予定です。

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