《T.T.S.》File.5 Worthless Road Movie Chapter 4-6

空気が変わった・・・・・・・。

四肢も自由にかせない棺桶のような閉所で、ヴェラは敏にそれをじ取る。

革新によって、指一本かさずに戦場に立てる時代になった。

だがそれゆえに、生で戦場に立った経験の有無が大きなアドバンテージを生む時代にもなった。

それは、センサーで知できる報ではなく、カメラ越しに見る戦場の風景そのものが醸し出す。ある種の共のような気配。

堆積した重機の隙間から、割れ散ったバックミラーの破片から、れ出したオイルの油だまりから、無形の手がび出てくるような異様な気味の悪さ。

攻勢が揺らぎ、悪転し、防勢から一気に劣勢に立たされる時特有のバランスの欠落。

何かを見落としたか、あるいは、何かに気づかれたか。いずれにせよ、何らかのビハインドがヴェラにのしかかっている。

明確なサインは、音ではなく、振で現れた。

それも、3度。

1度目は、源がエリカのいたトンネルを崩落させ、キャタピラレギオンを大量に落とした衝撃。

2度目は、ユリアン邸地下まで退いたエリカが、対電磁狙撃銃アンチマテリアルレールスナイパーライフルでキャタピラレギオンを薙ぎ払った衝撃。

そして3度目は、対電磁狙撃銃アンチマテリアルレールスナイパーライフルが吹き飛ばした間隙を埋めるべく、乾燥した大地が崩れ落ちる衝撃。

「……化けめ!」

視界のインジケーターが千単位のキャタピラレギオンの消滅を告げ、振による位置探知センサーがエラーを吐く。

集音マイクは轟音に支配され、スピーカーをバリバリと割らんばかりだ。

『ん、いらね』

容赦なくスピーカーと振探知センサーを切り捨て、ドローンからのスキャニングの間隔を狹める。

だが。

「……いない?」

センサーのログを管理する全てのAIが、同じことを述べていた。

“トンネル崩落と同時に、いかなはじめ源の反応は消失ロスト。地上にも地下にもその存在を確認できない。”

層圏から見ても、地底から見ても、源の姿はなかった。それこそ、タイムスリップしてしまったかのように。

『そんなわけねえだろ』

検索範囲を変えてみる。下にいないのなら、上にいるだろう。それこそ、衛星軌道の高さだってあり得る。

そうして、上空のドローンを作した、その時だった。

《見つけた》

突如、知らない聲がヴェラのチャンネルに現れる。

「な!?は!?誰?……え!?」

予想も予測もしていない。

聲紋分析AIが弾き出したその名は。

「正岡絵!?」

《ふーん、私の聲紋は採取済みなんだ。でもそれ以上はわかってない。と。じゃあ源の頭にこびりついてる蚊のロボットはもう容以外の役目は果たしてないじか》

ヴェラが息を呑むのをじ取り、間髪を容れずに絵は畳み掛けた。

《デカッ!そこバケットホイールエクスカベーターのどの部分なの?東京あのみっんなちの方で見つけたコンロと同じ機にみたいだけど……》

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