《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1800話 遂に遭遇する妖魔と、相対するシギン達一行
シギンは妖魔山の『止區域』を目指す途中、一瞬だけじた『魔力』からもう意識を背く事が出來なくなってしまった。
(先程の存在が居る場所は、現在居る地點からそこまで離れてはいない。このまま進めば確実にその地點へと辿り著く事が可能だが、先程の『魔力』を俺以外にじられていない時點でもう、このままでは危険だと判斷出來る。どうする? 何か理由をつけて強引に引き帰らせるか? しかし今回の山の調査で俺は組織を引退すると言ってしまっている。まだ何も調査が行えていないというのに、ここで引き返させれば違和だけが殘ってしまうだろう……。組織を離れた後にもう一度俺だけここに戻って來るか? いや、そんな事をしても俺の『魔力』の殘滓だけは絶対に消し去る事は出來ないだろうから、確実に『最上位妖魔召士』に至っている連中なら俺が単獨でった事にも気づける筈だ。そうなった時に事態がややこしい事になるのは目に見えている。次代を擔うゲンロク達に説明をしておくか? いや、それでもどちらにせよ組織を離れた後にる事がご法度なのは全く変わらぬし、何より余計にゲンロクに責任を負わせる事になってしまう)
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もう『妖魔山』の調査という名目上の目標や、自の抱く『魔』に対する疑問より、先程じた『魔力』の持ち主をその目で確認する事の方が重要だと考えてしまったシギンは、如何に自分一人だけがこの山に殘れるかという考えだけが頭に殘ってしまうのだった。
そんな考えを先頭を歩いているシギンが考えている事など知らず、一行は『妖魔山』の中腹付近を『結界』を維持したまま通り過ぎる事に功する。
ここから先は山に登る前の取り決め通り、止區域までを『サイヨウ』が『結界』をけ持つ事になる。
その後に止區域からはシギンが『結界』を維持する事になる予定だが、一行はその天狗達の縄張りを通り過ぎて直ぐ、あっさりとサイヨウの『結界』を見破ってこの場に現れたであろう『妖魔』に足を止めさせられてしまうのであった。
「さて、ここまで山の中を見事に登ってきた勇敢なる人間達よ、その姿を俺に見せてくれないか? そんな『結界』などで、いつまでもコソコソと隠れていてもこの俺の目は誤魔化せぬぞ? どちらにせよ、この先へ進むにはこの俺を倒さねば進めぬのだし、早く姿を見せた方がよいぞ」
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ノマザルからサイヨウへと『結界』を展開する者が変わってから數刻程が経ち、もうしで『止區域』だろうという一際高い崖が目に映る場所でシギン達は、その一の妖魔に聲を掛けられてしまうのだった。
――その妖魔とは、まるで『止區域』にるのを防ぐかの如く、現れた番人のように振る舞うのだった。
(ああ……。どうやらこの妖狐が話にあった『王琳おうりん』とやらで間違いないだろう。確かにこれまで出會った妖魔達の中では群を抜いて強い力をじられる。だが……)
シギンは王琳を冷めた目で見つめていたが、何かを試すように視線を真面目なものに戻した。
しかしその後にシギンは、再び失するように小さく溜息を吐くのだった。
(ノマザル達は目の前に居る王琳達を『三大妖魔』と騒いでおったが、見たじ何も脅威はじられない。特に転生を幾度となく繰り返して最強の座に居る妖狐の存在が、一番脅威だという話ではあったが、どうやらその脅威の存在とやらが目の前の妖狐だというのであれば……)
そこまで考えたシギンは靜かに振り返り、背後に居る『結界』を展開するサイヨウの顔を見ながら口を開いた。
「サイヨウ、を解け」
「は、はい!」
その瞬間、あっという間にシギン達の姿を隠していた『結界』が解かれて、この山でようやくシギン達はその姿を妖魔の前に曬すのだった。
「ほう……! お主らの事は『魔力』を知する事で居る事は気づいていたが、思った以上に若い人間達だったのだな。これは楽しめそうだ……!!」
そう言って目の前の妖狐は口角を吊り上げて『魔力』を纏わせ始める。
確かに妖魔ランクは『9』以下は有り得ないだろうという程、膨大な『魔力』を妖狐は覆っているようだ。
それを証拠にシギンの後ろに居る『ゲンロク』と『コウエン』は、見るからにこれまでとは違う様相を見せ始めた。
コウエンは笑みを浮かべている為に、どういうを妖狐に見せているのかいまいちよく分からないが、その背後に居るゲンロクは見るからにこの妖狐に怯えを見せている。
このまま俺達が何もしなければ、やがてゲンロクは妖狐の『魔力』にあてられて意識を失いかねないだろう。
(まぁ、當然だろう。今のゲンロクならばここが時だな。しかし何と良いタイミングで現れてくれたものだろうか。こんな妖狐などは俺が手を下せばあっさりと倒せるだろうが、先程じた『魔力』の持ち主が居る元へ向かえば、まず間違いなく俺以外は全滅するだろう。ここはゲンロクには悪いが、調査を打ち切る為の材料にさせてもらうとしようか)
「そのようにやる気を漲らせているところを悪いのだが、どうやら俺の連れは慣れぬ山登りで気分を悪くしているようなのでな。すぐに帰ろうと考えていたところだったのだ。その気持ちの高ぶりは違う奴にぶつけてやってくれ」
何と予想だにしない言葉をシギンは妖狐に言い放つのだった。
その言葉に心底驚くような表を浮かべた妖狐だったが、何も驚いていたのは妖狐だけではなく、背後に居る四天王の面々にゲンロクも唖然としていた。
「この俺がお前達をこのまま帰すと思うか?」
「そんな事は知らぬな。勘違いするなよ? お前が俺達を帰す気がなくとも、俺達は勝手に帰らせてもらうだけだ。お前にそれを止められるは持ち合わせてはいない」
ぴしゃりと言い放ったシギンに妖狐は、ぴくりと眉をかした後にシギンに向けて、恐ろしい程の『殺意』を放つのだった。
――だが、そんな妖狐の『殺意』が込められた視線を涼しげな表のまま、シギンはけ止め続けるのだった。
そして妖狐は自分の視線で全く怯まない青い瞳をしているシギンの様子を見て、こんな視線で何とかなる相手ではないと本能で理解するのだった。
「なるほど……。調がすぐれぬ者を連れたままでは、お主も存分にはその力を出せぬやもしれぬな。しかし大した人間だ。お主、名を何と申す?」
「さぁな。他人に名を訊ねるのであれば、先に自分から申すのが禮儀だと思うが?」
あれほどの殺気と『殺意』を直接向けられたというのに、シギンは全く普段と変わらずに強気にそう言い返すのだった。
「ふふ、はっはっは! すまぬ、それはそうだったな。俺はこの山に居る妖狐達を束ねている九尾の『王琳』だ」
そう自己紹介を行った王琳は、次はお前の番だと告げるようにシギンの顔を見るのだった。
そんな視線を向けられたシギンは、だんまりを貫いたまま思考の海に潛り始めた。
(や・は・り・こ・や・つ・が・王・琳・だ・っ・た・か・。まぁ他の妖狐にはない『魔力』を持っていた事からも分かっていた事だがな。さて、それよりも先程の『魔力』の持ち主を詳しく調べる以上は、當面は俺一人この山に潛伏する事になるだろう。そんな時にこいつに顔と名を覚えられるのは非常に面倒だな。別に顔などは見られても姿を隠蔽すればもうこの程度の『魔』の理解者であれば、俺を見つける事は出來なくなるだろうが、名を知られれば麓に下りてきて厄介な事になるかもしれぬ。ここは偽名を出しておくか)
「俺の名は『卜・部・・兵・衛・』だ。王琳、そう言うわけだからここで俺達は失禮させてもらうぞ」
「ふふっ、そうか。それでは麓まで手下共に案させようか?」
「いや、結構だ。ここまで勝手に上がらせてもらった手前、お前ら妖魔共の心証も相當悪いだろう? ここに來た時のようにこっそりと帰らせてもらうさ」
「ふふふふっ! 誰もお主らがここに來た事に気づいていないのだ。そんな心配をする必要はあるまい? しかしまぁその方がお主らには都合がいいようだからな。これ以上は突かずにおいて見逃してやる。さっさと立ち去るがよい」
「ああ。そうさせてもらうさ」
妖狐の王琳との會話はその言葉で最後となり、次の瞬間には他でもない『シギン』が『結界』を展開すると同時にこの場に居る王琳を除いた全員の姿と『魔力』すらも完全に掻き消える。
「!?」
もう王琳の目からも先程までいた筈の『シギン』達の姿が見えなくなり、その場にまだ居るのか、それとももう居なくなったのか『魔力知』ですら分からなかった。
「『卜部兵衛うらべかんべえ』だったか? 確・か・ど・こ・か・で・そ・ん・な・名・を・耳・に・し・た・な・ぁ・……?」
やがてまだ居るのかもしれぬシギン達の前で、試・す・よ・う・に・王琳は獨り言ちた。
――だが、結局は何も反応がなかった為に、もうこの場からシギン達は去ったのだろうと判斷を行うのだった。
(奴が最後に見せた『魔力』の奔流は、どこか神斗様が『魔』の技法を見せた時に似ていた。つまり奴も『魔』の理解者で間違いないという事だろう。卜部兵衛が奴の本名とは思えぬが、そう偽名を用いたという事は、もう俺の前に姿を見せるつもりはないという事だろう。やれやれ、俺は悉く興味を抱いた者とは縁を持てぬようだ)
そう言って仕方なく王琳もまた、この場から音もなくその姿を消し去るのだった。
――彼もまた、強すぎるが故に悩みを抱えて生きている。
もし、この時にシギンと戦えていたならば、九尾の『王琳』もしはその悩みを解消出來た事だろう。
しかし彼が抱いている悩みはこの數十年後に葉えられる事となる。
――それは、大魔王ソフィという一の魔族と相まみえる事によって。
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