『さあ、來なさい!!　――“アポピス”ッッ!!』

モンスターの聲が響いた瞬間、仄暗い空に浮かぶ黒い太より、黒い蛇？　が頭をこちら側に現出させる！

「ヤバい余、SSランクモンスターだ」

ナノカがし焦っている様子。

四十三ステージで戦ったアンラ・マンユと同格の存在と考えると、ナノカの反応は當然なのかも。

『《生贄が足りぬ。もっと生贄を》』

『面倒なルールだな、まったく！』

――船全が大きく揺れる!?

「おい、“メルセゲル”!!　なにをしている！　本當に船を沈めるつもりか！」

船長が慌てながら、ルートがどうとか言っていた半人半蛇のに怒鳴った？

『“皆既日食”の使用條件は満たした。これで、夜にしか活しないカンディルワーム系が活発化。殘り一時間で船は沈む』

「約束が違うぞ！　私の妻と娘を蘇らせる約束だろう！」

『ウッセーな、人形のくせに!!　この“死者の書”はな、最初から、私が新しいを手にれるためのなんだよ!!』

新しい？

「――まさか、ハユタタさんが捕まってる理由って！」

ツグミが慌てている？

『ちょっとガキっぽいけれど、あの子のを貰う事にしたのよ。同じ人魚のよしみでね!!』

「ニシィー!!　そこまで墮ちましたか!!」

『うるさい！　黙れ、エレジー!!』

エレジーさんの知り合い？

『“死者の書”に縋りし者よ、その魂を差し出しなさい!!』

「が、ぁぁ……」

「な、なにが……」

船長と側近のが膨らみ、頭が蛇のモンスターになっていく!?

「“アポピスの戦士”と“アポピスの神”か余」

目の前の二人以外にも、あちこちでモンスターに変貌している人達が居る……。

「アイツ、どこ行った!?」

ネロさんの聲……メルセゲルが居な――またがかなくなった!?

私だけじゃなく、モンスターやNPCのきも止まっている！

○生贄が444人に達すると、“アポピス”が完全復活します。

○今から一時間以に“メルセゲル”を倒し、“アポピス”を滅せよ。

○生贄數がない狀態で“メルセゲル”を倒すと、その分だけ“アポピス”が弱化します。

○生贄數47/444。

「噓でしょ！　今から、この広い船の中を捜し回れってこと!?」

ナオさんの弱音。

「エレジーさん、“袖振り合うも”で追えませんか？」

「あ！　……彼は一番區に居ます！」

この短時間で……転移したみたいですね。

チョイスプレートの畫面端で、テンカウントが始まった！

「エレジーさんとナオさんの二ペアで、メルセゲルを追ってください！　殘りは襲われているNPCを助けつつ各地に散り、生贄となる犠牲者を減らしましょう！」

アポピスは黒い太から出て來ていない。たぶん、“メルセゲル”を倒すまで戦えない仕組み。

もうすぐカウントダウンが終わる。

「この場は私とナノカで引きけます！　皆さん、ご武運を！」

「「「了解!!」」」

カウントダウンがゼロを刻むと同時に、喧噪が戻ってくる！

『がぁ……生贄……生贄』

『生贄を……我等が神に……』

憐れな者達は、私とナノカが仕留めましょう。

●●●

レギオンメンバーが去っていく。

「さあて、手數を増やすか余！　小魔神召喚」

“小魔神召喚の指”で、魔神・祖霊鏡、魔神・銛人魚、魔神・火喰い鳥の小魔神に加え、竜殺し戦で手にれていた“小魔神・竜人の指”より、竜人タイプの小魔神を呼び出す余！

「悪くない面子だ余」

祖霊鏡は半永久的にモンスターをランダム排出するし、他二も飛行可能だから機力がある。

「よろしく、新り」

“小魔神・竜人の指”は、ランダム要素が無い分、青黒い石でできた竜人タイプを呼べるから、“小魔神召喚の指”よりも扱いやすい。

「“アポピスの雑兵”を討ち取ってこい余！」

四が散っていく。

「さて」

ほとんどのNPCが変化した“アポピスの雑兵”は、Ａランクモンスター。

ただし、目の前の“アポピスの戦士”と“アポピスの神”はＳランク。

コイツら二は、雑魚とは言えない。

「戦士は引きける余」

「頼みます」

無數のレイピアを“超能力”でっていたクマムの攻めが、神に集中しだす。

『生贄だ――生贄になれぇッ!!』

「――魔神竜!!」

指から青黒い石のドラゴンを呼び出し、頭突きをかまさせる!!

『生贄だぁぁッ!!』

あの巨差で、毆り勝ちするか余。

やっぱり、本來のスペックよりも強化されてね？

「“魔人武”――サタニズムスラッシュ!!」

“魔神の大石刀”による、隙を突いた一撃――左腕一本だけか。

案の定、すぐ生えてくるし。

「アポピス系は、中途半端な攻撃じゃダメか」

奴等は、夜だと再生能力が跳ね上がる。

“皆既日食”のせいで今は強制的に夜扱いになっているから、実に厄介。

「“天賦覚醒”!!」

魔神・竜殺しから手にれたスキルを“魔神の大石刀”に施し、能を一時的に二倍に引き上げる。

“天賦覚醒”は、魔神系の武と魔神系の召喚獣に対して使うスキルなんだ余！

『生贄ぇぇッ!!』

「“豬突猛進”!!」

“突撃豬の石盾”を掲げながらぶつかり、きを止めに行く！

「“魔人武”――サタニズムブレイカー!!」

正面から“豬突猛進”を弾かれた瞬間、上段よりエネルギーを放出する強大な一撃を見舞ってやった余!!

『――生いけにッ』

かろうじて息のあった“アポピスの戦士”に魔神竜のサタニズムドラゴンフレイムを食らわせて、完全に息のを止めた余。

●●●

『“四重魔法”』

黒い蛇頭をした白の神が、魔法陣を四つ展開した!?

「“熾天使化”！」

『“暗黒魔法”――ダークランス!!』

闇の単一屬なら！

「――“墮天化”」

“熾天使”の白い翼と纏うオーラを黒く染め、闇屬攻撃を完全に無力化。

「“気炎萬丈”、“水妖竜穿”」

殺傷力を上げる能力を施した二本のレイピアを、蛇の神に深々と突き刺す。

『ハイヒ――ッ!?』

回復しようとした瞬間に、真上から落下させたり“猛毒凝のドレスソード”で口を閉じさせる。

「さようなら――“共振破壊”」

三本の細剣から発せられた部破壊により、“アポピスの神”はに還った。

「手こずらされた――急いで殘りも排除しないと」

○生贄數84/444。