《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第二十二話 共闘(1/2)

ローザスから話を聞いて考えがまとまった。

神殿でもパシリカを行う。教會が行っているパシリカとは違う方法で・・・。ロルフが言っている本當のパシリカを公開する。

あと可能であれば、ミヤナック家や王家に近い貴族家でも同じように、本當のパシリカを行わせたいが、時期尚早だろうか?

教會と敵対するのは確実だ。そして、貴族の一部からも反を持たれるだろう。

そのためにも準備は必要だ。

すぐに公開しても意味がない。

「ハーコムレイ。神殿でパシリカを行うとして、例えば、ミヤナック家でも現在のパシリカと同じようなことができる道が用意できたとして、使うか?」

「どういうことだ?」

ハーコムレイの疑問は當然だ。

「今、教會がおこなっている”パシリカ”という行事は、本當のパシリカではない」

「え?」「は?」

「そうなるよな。俺も、神殿で事実を知った時には驚いた」

「リン=フリークス!」「リン君?」

「説明するから落ち著けよ」

二人に、ロルフから聞いた話と、実際に神殿で行った”パシリカ”を説明した。

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「・・・」

「リン=フリークス。貴様の言っていることは、”理”にかなっている。しかし・・・。教會と王家が本當に隠したかった事は・・・」

「パシリカで、スキルが”芽生える”という話は間違っている。本當のパシリカは、”新しいスキルを覚えさせる”が正しい」

「何が違うのだ?」

「ローザス。あぁハーレイにも聞きたい。魔と言われる生もスキルを使うよな?」

「あぁ」

ハーコムレイは、俺の話を聞いて何かを考えていたようだが、呼びかけに肯首でこたえてくれた。話はしっかりと聞いているようだ。

「亜人と呼ばれる人たちも、固有スキルだけど使うよな?」

「・・・。そうだな」

ハーコムレイは、何かに気が付いたようだ。

ローザスも、俺の話を肯定してくれているが、何かにきがついたようだ。

「不思議に思わないのか?」

二人に視線を向けてから聞いてみた。

「・・・」「リン=フリークス。魔がスキルを使うのは、そういう種族だからではないのか?エルフやドワーフも同じだ。獣人族と呼ばれる者たちも、固有スキルを持っていると言われている。だが、人は固有スキルを持っていない。だからこそ、パシリカでスキルを得るのではないのか?」

ハーコムレイの疑問は當然だと思うが、自分が答えをいってるのには気が付いていない。

「ハーレイ。人は種族的な固有スキルを持っていない。そうだな」

「あぁ。人族には、”ジョブ”が存在する」

ロルフに指摘されるまで俺も勘違いをしていた。

人族は、固有スキルがない代わりにジョブを持っていて、ジョブに関連したスキルが芽生える。

”白い部屋”でのやりとりを思い出しても、ジョブに関連したスキルが固有スキルだと考えてしまっていた。

「ハーレイ。それは違う。獣人族にも、それこそ魔にも、ジョブは存在している」

「それは・・・。”名持ち”だからではないのか?」

そう考えるのも當然だ。

しかし、それでは説明ができない事象が多い。特に、魔と呼ばれている者たちは、ジョブを持っていないと思われていた。しかし、俺の鑑定では、ジョブは存在している。空白になっている者も多いが、種族が明記されている者もいる。種族とは別の種族名が明記されている者もいる。進化している者や、”名”を持ったことで、種族名ではなく”ジョブ”として認識したのだろう。

は、種族=ジョブだと考えても大丈夫だ。

「それだとしても、”ジョブ”が存在しているのは間違いない」

「・・・。リン君。ジョブとスキルは違うよね?」

ローザスが、ジョブとスキルが違うと言い出している。

意味合いは違うが、ジョブもスキルに関係している。しかし、ジョブとスキルは違うだ。ジョブは、指標でしかない。特と言い換えてもいいのかもしれない。しかし、スキルは明確に力に直結している。

「そうだな。ハーレイ。人族と獣人族と亜人に何か違いはあるのか?まぁ魔しだけ違うけど、そうだな”名持ち”の魔れてもいいかもしれない」

実際には、魔と呼ばれる者たちにも違いは存在する。

意識がある者たちと、意識がない者たちだ。その違いに関しても、ロルフは何かを知っているようだが、まだ教えてもらえていない。今のところは、明確な違いは”意識”だけなのだが、その意識が”スキル”や”ジョブ”に関係している。

「・・・。違い?」

ローザスも何かを考えている。

「そうだな。スキルを持っていて、ジョブを持っていて、言葉によるコミュニケーションができる。それぞれの文化を持っている。なぁローザス。ハーレイ。何が違うか説明してくれないか?」

二人は黙ってしまった。

姿かたち以外の相違をあげることはできない。知識に関しても同じだ。教育をけているかどうかを二人は上げなかった。上げられても困らない。そうしたら、教育をける環境の違いをいえばいい。そうしたら、”種族”としての違いではない。環境の違いだけになる。

ようするに、産まれてからの”環境”が違うだけだ。

「すまん。今は、意味のない質問だ」

二人が考えてしまったことで、話を元に戻す必要をじた。

質問を取り下げるだけで、二人にはしっかりと考えてほしい。種族の違いとそれが産まれた意味と、現狀の歪な狀況を・・・。

「話を戻すけど、本來のパシリカは教會が行っている”スキルの確認”ではない。新しいスキルを芽生えさせることだ。そのうえで、あらためて確認したい。ミヤナック家に”本來のパシリカ”ができる道や施設があったら使うか?」

「リン=フリークス。答える前に、聞きたいことがある」

「なんだ?」

「実際にそんな道や施設があるのか?」

「ある」

「・・・。そうか・・・。”本來のパシリカ”で得られるスキルには制限はあるのか?」

「存在しない。しかし、パシリカで芽生えるのはスキルの種だと言ってもいい。そして、人にはスキルの枠組みのようなが存在する」

「え?」

「枠組みの話は、今は忘れてくれ、あとで説明する」

「わかった。スキルの種とは?」

レベルの話ができれば簡単だけど・・・。

「そうだな。テイマー系の、魔を使役できるスキルがあるとしよう」

「あぁ」

「そのスキルを得たからといって、すぐに”ドラゴン”の使役はできない」

「當然だな」

「スキルの種は、”スキルを得る”きっかけを與えるだけだ。そこから、スキルを芽生えさせる訓練を行う」

「訓練?」

「あぁ今、神殿で試している。特に合っていなくてもスキルの種は植え付けられる。芽生えまでは行えるだろうけど、そのあとでスキルとして使うことができるのかは、努力次第だ」

「ん?」「そうか・・・・」

「ローザス?どうした」

「リン君。神殿の・・・。”本當のパシリカ”が廃れた理由がわかったよ」

「”努力が必要”なことだろう?皆にも、指摘された」

「・・・」「リン=フリークス。あとひとつだけ教えてほしい」

「なんだ?」

「スキルの種は、どんなスキルでも可能なのか?鑑定を持っていない者に鑑定を覚えさせることはできるのか?」

「できる。條件はある」

「條件?」

「スキルの種と呼んでいることから想像ができるとおもうが、種を植えるのには畑が必要だ。その畑は、大きさが決まっている。訓練で畑を広げることはできるが、スキルを芽生えさせる努力よりも大変かもしれない」

「ねぇリン君。その方法を、公開するつもりなの?」

「そのつもりだ。あぁまだ條件というか、お願いに近いのだが・・・。ルアリーナは、短弓と長弓のスキルを持っている」

ハーコムレイが頷いていることから、聞いているのだろう。

「例えばだが、ミヤナック家では、”弓”と”赤”のスキルの大家を目指さないか?」

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