《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第513話 発電施設とアルトラ邸への電気設備新設

アルトレリア潤いの木下流・ダム建設現場――

発電施設の工事が終わるとのことで、ダム建設現場に來ていた。

「こんにちは、ローレンスさん」

「お、アルトラ殿、來ましたね」

「ダムが完したと報告をもらいました」

「はい、現在最終點検中です。あと二、三日程度で終わる予定です。この最終點検で問題が無ければ川の角度を元に戻してダムの稼働を開始します」

現在も技者による點検が行われている。

これで遂にアルトレリアの一般家庭でも電気が使えるようになるのか。

「各家庭の電気設備についてはどうなってますか?」

「この町の方々に電気技師としてのノウハウを伝授してあります。一般家庭への敷設ももうそれなりに進んでいるのではないかと」

私が知らないところで、電気を使うための準備が著々と進められている。

以前、ローレンスさんに聞いた通り、電線を使わない形で電気の供給が出來る『魔力力式』の設備が整えられていってるらしい。

役所など町民が公共で使う施設 → 産業などで使う工場などの施設 → 一般家庭の順番で優先的に敷設が進んでいる。

もちろんお金がかかることなので、設備投資できる者が優先される。必然的に経営者が先に電気を使うようになるのが早そうだ。

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『魔力力式』はもうすっかりこの町でもお馴染みになっているが、的に説明すると魔法を分解する効果を持つ『リダクティウム鉱石』という魔石を使って、発電施設で作られた電気を純粋魔力へと分解する。

この『純粋魔力』は、シャボン玉のような明の虹を発する魔力質で、これが我々がこの世界で魔法を使うためのエネルギー元になっている。別名『魔素』とも呼ばれているもの。

この魔界の大気中にはどこにでも存在するが、各家庭で大量の電気を使うと考えると、アルトレリア近辺に自然に存在している魔素だけでは全く足りない。そこで発電施設で魔素の生産をするわけだ。

この魔素は放っておくと流れて各地へ散っていくため、次はこの魔素を吸著して留めなければならない。

そこで、今度は魔力を吸著する効果を持つ『ミスリル銀』という魔石を用いて魔素を吸著し、これを家庭に設えた電力変換裝置を通すことで家庭で使われる電気へと変える。

そのため、魔力力式発電では電線のようなものは必要としないのだ。

なお、私の創る魔力力式魔道は原理は多分大して変わらないものの、ミスリル銀を使っていないためし異なる。『魔法的なイメージで』フワッと創ったため自分でもどういう仕組みか分かっていない。どなたかが解明してくれるまで仕組みが解明されることは無いだろう。

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「ミスリル銀のし分けてもらうことはできますか?」

「何に使うんですか?」

「うちにも電気設備を敷こうと思いまして」

「でしたら我々がお宅へ伺いますが?」

「いえ、まだまだアルトレリアの町の方で忙しいでしょうし、我が家のことは我が家でやれますんで」

「電気設備を個人でですか? 専門が高いですが、設置できる方が居られるのですか?」

「はい、問題無いと思います。私の方でやってみて、それでも無理な場合は再度お願いに伺います」

やってもらうのに気が引ける理由はもう一つある。

我が家はもう大分ガタが來ている。そこに工事でってもらうのも何だか気が引ける。電気整えてもらったのにすぐに家を取り壊す自になってしまったら申し訳ない。

とは言え、家が潰れたらリディアとネッココが危ないし、そろそろ建て替え時かな……

「分かりました。々お待ちください」

と言いながらローレンスさんは、ダム近くに建てられた仮宿舎の方へ引っ込んで行った。

そういえば、持ってきたミスリル銀って、両拳大《りょうこぶしだい》くらいの大きさなんだっけ? にして使うって言ってたし削る必要があるのかな? 第279話參照

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しして――

「お待たせしました。魔力の吸著パネルです。この大きさで一般家庭の電気くらいは賄えるはずです」

「わざわざパネルをいただけるんですか!?」

「ええ、持って行ってください」

「ありがとうございます!」

これを使って、カイベルに電気設備を整えてもらおう。

我が家に戻った。

「と言うわけで、我が家に電気設備を整えてもらえるかしら?」

「今までのように魔法を浮かべて源とすれば良いのでは?」

「せっかく電気が町に通ることになったんだから、うちでも文明をしたいじゃない!」

「なるほど、一般庶民が電気を使っているのに、國家元首が使っていないというのも格好が付きませんしね」

「そ、そうだね……」

そんなこと考えてもいなかったが……言われてみると確かに……

周りが進歩していってる中、私だけ質素な暮らしをするのも何か違う気がする。

「それに魔法だと私が家に居ないと明かりを點けられないけど、電気ならリディアやネッココでも自由に點けられるようになるでしょ?」

「そうですね。ただ、そういうことは工務店の方々にお願いした方がよろしいのではないでしょうか?」

「今は町の電気整備の方で忙しそうだったから、うちで個人的にやるって斷って來たんだ」

「なるほど、意図はよく分かりました」

「リディアとネッココが帰って來るまでにやっちゃえる?」

「大がかりな工事になりますので數日はかかると思います」

「え? 工事する必要があるの? 工事って何するの?」

魔力吸著パネル設置したら電気が流れるんじゃないのか?

「家の中に電線を通す必要がありますので、壁の外側へ敷設します」

「え? エレアースモの発電技って電線は必要としないんじゃないの?」

「電線が必要無いのは外からの電線ですね。日本で言うところの電柱に繋がってるあの線のことです。あれは魔力力式発電では必要としません」

「い、家の中への敷設は必要なのね……」

「電化製品にはプラグがありますので。どうしてもコンセントに挿さなければかせません」

た、確かに……コンセントが必要なんだ。ってことはそれに繋がる電線も、當然必要ってわけか。

「全てミスリル銀による吸著パネルにしてしまえばそれも必要無くなりますが、それには見逃せない欠點があって、吸著パネルが近い間隔に複數あると魔素の取り合いが発生してしまって効率的に魔素の吸著ができないので、発電能力が著しく落ちてしまいます。あとミスリル銀はレア鉱石ですので電化製品の改造費用が莫大になります」

「そ、そうなんだ……」

「発電能力が落ちても構わず、金額に糸目をつけないのであれば、電化製品を魔力力式に改造しますが……?」

「どれくらいお金がかかるの?」

に依りますが……數萬イェンから數十萬イェンになります」

「それって普通の電化製品と大して変わらなくない?」

日本でだって、テレビみたいな小さいは數萬円だったし、冷蔵庫みたいなのは十數萬円だったし。

…………いや、待てよ……今のイェンの価値って、確か日本円の半分くらいだったはずだから……単純計算で二倍の価格?

「いえ、『數萬イェンから數十萬イェン』は上乗せ額です」

上乗せの額!? 二倍の金額の上に更に上乗せ!? もっと高かった!!

もし日本で買ったら冷蔵庫だけでも五、六十萬くらいするんじゃ……?

「高たっかっ!! じゃ、じゃあ発電能力が落ちるってのはどれくらい?」

「私の見立てでは電力を多大きく必要とする電化製品を二臺使うだけで、蛍燈ですと一割から二割ほど出力が低下します。力で言えば二百ルーメンから四百ルーメンほど暗くなると考えられます」

何か聞いたことない単位出て來た……

「ル、ルーメンって何?」

源の明るさを示す単位ですね。この部屋は十六畳ほどですので照らすのに適切なのが三千から五千ルーメンほど、アルトラ様に分かり易いもので例えるなら……四十ワットの蛍燈二本分ほどです」

二百から四百減るって言うと……的には結構薄暗くなってしまうわけか。

しかも電化製品二臺でソレってことは、三臺も四臺も使ったらもっと暗くなるわけだ……

「ただ、魔力力式は停電しないメリットがあります。電線で繋がっていないのでどれほど沢山の電化製品を使っても消費超過の狀態に至りません。もっとも……出力は臺數が増えるごとに低下していきますが」

「それだとデメリットの方が大きいよ。ただ使えれば良いわけじゃなくて、“快適に”使いたいわけだし」

「だとすると結局のところ、家の外に一つ、または複數の吸著パネルを設置し、そこから電線で家の中へ電力供給する方が効率的ということになりますね」

「じゃあそのようにお願い」

しかし……數日も工事にかかるんだな……いくらカイベルでも半日じゃ無理か……

普通は電気設備整えるのに一ヶ月とか必要って畫で見たことあるし……數日程度なら文句言うような日數ではないか。

「では々必要なものを買いに行って來ます」

一時間ほどすると、電気配線、コンセントの元?、スイッチの元?、配線とは別の管?、蛍燈とそれをはめ込むためのパネル、ブレーカーらしきもの、半田、ネジなどをエアクッションに包んでリヤカーのような臺車に積んで戻って來た。

「お帰り……電気設備作るのに隨分んなが必要なのね」

生前技職じゃなかったし、半田なんて久しぶりに見たわ。

と言うか……アルトレリアって、今もうこんなに富になってるの!? この短期間で驚きの進歩なんだけど……

外國からが流れてくるようになったのと、モノ作りのドワーフさんたちの影響かな?

機械関係を扱うには、どうしても部品が進歩しないといけないから、急速に進歩せざるを得なかったってことなのかも?

「この筒狀になった管は何?」

「配線保護管です。配線そのままですと強度が弱いので不意の斷線を避けるために外側を保護管で包みます」

「へぇ~、なるほど」

「どうせ電気設備を整えるなら斷熱材もあれば良かったのですが、気溫関係はアルトラ様が何とかしてしまうと思いますし、問題無いでしょう」

確かに去年は問題無く過ごせてたな。

「こっちのはブレーカーに見えるけど、ブレーカーなの?」

「はい、キッチン上辺りに設置します」

「あれ? 半田は買って來てるのに、半田ごては無いの?」

「私なら火魔法と金屬の棒で代用できますので」

「あ、そう」

この世界、便利!

「それに、電気が通っていないので半田ごては使えません。我が家には自家発電機の備えもありませんし」

「ああ……そう言えばそうか……」

今やろうとしてるのが、その“電気を通すための”工事なんだっけ……

「では始めます」

と言いながら、部屋の壁の両隅に切り込みをれ、ベリッと剝がした。

「ちょちょちょ、何してるの!?」

ああ、壁が完全に剝がされちゃった……

壁の外側に敷設しなければならないので、一旦壁を剝がしてしまいます」

「えぇ~……」

「本來なら家を建てる過程で行なうものですが、この家は土魔法で建てられ、室や外側を樹魔法で補強されただけで、配線については考えられていない簡易的な造りの家ですので、一旦壁を剝がして終わった後に再度壁を形します」

何かナチュラルにディスられた気がするが、本當に電気のことなんて考えて建ててないから仕方ない。

「どうせ壁壊すんなら、家ごと新築しちゃった方が良いんじゃない?」

「それは私がやってしまうより工務店の方々にお願いするのが筋なのではないでしょうか? 経済を回してください」

「うぅ……そうですね……」

「本來であれば今からやろうとしている電気設備工事も専門の方にやってもらうのが筋だと思いますが、今は町の家々の設備を整えるのが忙しいとのことですので、今回は私が引きけます。ですが、私が今回行なうのはあくまで電気設備だけに限ります。アルトラ様が個人で行なうことでしたら家を新しくしようと何をしようと口を出しませんが、新築を希するならしかるべきところへお願いしましょう」

説教されてしまった……

カイベルの言ってることは確かに一理ある。言ってみればカイベルに頼むのって経費をケチってズルしてるってことだもんなぁ……広義の意味で言えば専門職の方々の仕事を奪っているわけだし。

知識関係でアドバイス求めるのはまだ良いとして、モノ作りに関してはお金が絡むのだからちゃんとしたところへお願いするのが筋ってもんか……

「分かったよ。今後は専門店へお願いするから、今回はお願い」

「はい」

本項の魔力力式のような、電線を必要としない電力供給方法ってできないものでしょうか?

そうすれば地震とか起こっても、斷線しなくて済むんですがね……

次回は10月14日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第514話【アルトラ邸への電気設備新設 その2】

次話は來週の月曜日投稿予定です。

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