《最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所屬してみました。》第1819話 冷靜に戦闘準備を進める者
神斗が山の頂にある自分の小屋の中で『魔』の概念についての考えを纏め始めていた頃、シギンと煌阿の戦闘に変化が生じ始めていた。
これまでの戦闘では一方的に仕掛けていたのがシギンであり、それに対応する形でいていたのが煌阿だったが、そのシギンが今度は自の周囲に『スタック』を展開し始めながら、相手のきを観察するように防の姿勢を取り始めたのである。
どうやら先程までのように、いくら『空間魔法』を織りぜた上で畳みかけていても、難なくいなされる様さまにシギンも思うところがあったのだろう。
今のシギンは先程までの圧倒的な『魔力』と『理』を用いた『空間魔法』で相手に何もさせない間に勝負を決める暴風のような戦闘スタイルではなくなってしまったが、それでも全く攻めやすくなったという風ではなく、むしろじっくりと準備を整えながら相手のきに合わせて行を取るというような、その戦闘スタイルは逆に攻め辛さすらじられるようであった。
Advertisement
戦闘の最中で冷靜さを失いながらもやるべき事には、普段通りの忠実さを守れる者というのは存在するが、このシギンという人間もまた、そういった人種にあてはまる人間だったようだ。
そして直接対峙する煌阿は、そんなシギンの戦闘スタイルの変貌振りに驚きのようなものはなく、むしろ嬉しそうに笑みを浮かべるのであった。
(ようやくあの『卜部兵衛』に近くなったな。ただ勢いに任せるだけの妖魔召士など、兵衛の筋の者に相応しくはない。この俺を長きに渡って封印してみせた憎き奴の子孫だ。この手で完なきまでに奴の幻影ごと々に打ち砕いてやるわ)
今はもう居なくなってしまった『卜部兵衛』の代わりに、その同じをけ継ぎし妖魔召士である『シギン』に対して、報復の対象に選んだ様子の煌阿だった。
「さて、目に映る『スタック』は四つか。だが、どうせ『空間』をるお前ら『卜部』の筋の事だ。一目で分からぬように何層にも偽裝を施して現実に見せかけているのだろう? 殘念だが、お前ら一族のやり口は誰よりもこの俺が理解している。あの頃のようにあっさりと突破してみせてやろう!」
煌阿は勝ち誇るような笑みに変貌させた表と共に、そのがブレて見える程の速度で、罠を張っているであろうシギンの間合いに自ら飛び込んでいくのだった。
先程彼は目に見える『スタック』は四つと言っていた――。
本來の『スタック』というものは、すでにその場所に者が『魔力』を貯めておき、発現のキーとなる発羅列を唱える事で『理』が用いられた『魔法』や『魔』の技法の數々を発させるものである。
この『スタック』は何も大賢者のような『魔』の理解者が使う為に編み出された者というわけではなく、無詠唱が行えない『リラリオ』の世界の魔法使いたちが、速度重視のために用いる事もあるくらいに、その用途には々と幅がある為に広く使われている技法とされている。
當然にかけだしの魔法使い達が準備を行う『スタック』と、このシギンが用意しているような『スタック』には大きく意味が異なっている。
速やかに詠唱なしで詠唱有りの効力を持たせた『魔法』を放ちたい時や、相手の向に合わせて発させるカウンターを仕掛ける罠の役割を擔わせたり、口で詠唱する『魔法』と連攜を取る為に準備をする意味合いも込められているのだ。
そしてあえて『スタック』を一つや二つではなく、數多く出現させる事で々な戦略を準備しているぞと相手に伝えてブラフの役割を持たせる者も居る。
このシギンの戦闘の待ちのスタイルになってから設置した『スタック』の數々だが、逆にこの四つという數字はむしろなすぎるといっていいと煌阿は考えていた。
かつて煌阿が対峙した卜部兵衛という妖魔召士もまた、このように『待ち』を得意とする戦をとっている妖魔召士であったが、その時の兵衛の『魔』の『スタック』は、常に十を越えている程であった。
それも一つ一つにしっかりと意味があり、ブラフの為などというつまらない理由ではなかった。
シギンが得意とする相手を弱化させる『蒙』や、あの悟獄丸を封じるに至った『赤い真四角の結界』などもこの『スタック』から展開させて、同時に詠唱を用いてけなくなった相手に速やかに処理する一撃を放ったり、その『魔』の技法の數々を同時にりながら、しずつそして確実に弱らせて一網打盡にする『卜部兵衛』という妖魔召士の戦い方を知る煌阿は、確実にこのシギンもまたそのような戦い方をするのだろうというアタリをつけているようで、見えている四つの『スタック』は、逆になく見せて油斷させるブラフの役割を持たせて、本命は『空間』をイジって偽裝を施して見えないようにしている場所に、他の『スタック』ポイントを用意しているのだろうと考えていた。
だが、そこまで分かっていて、あえて煌阿はシギンの間合いへと向かっていったのである。
彼が考えている事は、このシギンがどれだけ『卜部兵衛』に戦闘における能力が近いかであった――。
……
……
……
12ハロンの閑話道【書籍化】
拙作「12ハロンのチクショー道」の閑話集です。 本編をお読みで無い方はそちらからお読みいただけると幸いです。 完全に蛇足の話も含むので本編とは別けての投稿です。 2021/07/05 本編「12ハロンのチクショー道」が書籍化決定しました。詳細は追ってご報告いたします。 2021/12/12 本編が12/25日に書籍発売いたします。予約始まっているのでよかったら僕に馬券代恵んでください(切実) 公式hp→ https://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=9784824000668&vid=&cat=NVL&swrd=
8 141継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》
☆TOブックス様にて書籍版が発売されてます☆ ☆ニコニコ靜畫にて漫畫版が公開されています☆ ☆四巻12/10発売☆ 「この世界には魔法がある。しかし、魔法を使うためには何かしらの適性魔法と魔法が使えるだけの魔力が必要だ」 これを俺は、転生して數ヶ月で知った。しかし、まだ赤ん坊の俺は適性魔法を知ることは出來ない.... 「なら、知ることが出來るまで魔力を鍛えればいいじゃん」 それから毎日、魔力を黙々と鍛え続けた。そして時が経ち、適性魔法が『創造魔法』である事を知る。俺は、創造魔法と知ると「これは當たりだ」と思い、喜んだ。しかし、周りの大人は創造魔法と知ると喜ぶどころか悲しんでいた...「創造魔法は珍しいが、簡単な物も作ることの出來ない無能魔法なんだよ」これが、悲しむ理由だった。その後、実際に創造魔法を使ってみるが、本當に何も造ることは出來なかった。「これは無能魔法と言われても仕方ないか...」しかし、俺はある創造魔法の秘密を見つけた。そして、今まで鍛えてきた魔力のおかげで無能魔法が便利魔法に変わっていく.... ※小説家になろうで投稿してから修正が終わった話を載せています。
8 88異世界転移した俺は異世界ライフを満喫する事にした
『異世界転移』 それは男子高校生の誰しもが夢見た事だろう この物語は神様によって半ば強制的に異世界転移させられた男がせっかくなので異世界ライフを満喫する話です
8 170転生チートで英雄に!
主人公 竜華星華は、お忍びで來ていた某國の王族の子供を交通事故に見せかけて撥ねようとしたトラックから身を挺して庇い死んでしまった。 だが、意識があることに疑問を持ち、目を開いてみたら………………………!?
8 145ルームメイトが幽霊で、座敷童。
とある日のこと。そうだ、その日だ。その日を境に、変わってしまったんだ。俺の日常は。幽霊や妖怪の退治からトイレ掃除まで行う『なんでも屋』を経営する俺にやって來た數々の依頼。さてと、今日も行きますか。 ◆攜帯版ので見づらい方は、エブリスタ版(http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=21377746)をご覧ください。第七話までまとめた形となっています。 ◆第一部完。第二部は2016年連載開始。 ◆「電子書籍大賞2013」最終ノミネート作品です。
8 115ワルフラーン ~廃れし神話
かつて地上最強と呼ばれた男、アルドは、國に裏切られた事で人を信じられなくなり、國を出てってしまう。あてもなく彷徨う男が出會ったのは、かつて森で助けた魔人。再會を喜ぶより先に、彼女は言った。 「魔王になって頂けませんか」 再び対峙する事になる魔人と人間。次に勝つのは、どちらなのか。 これは、人の愚かさが招いた物語である。
8 110