《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第515話 ダム稼働開始

そして一週間が経った――

ローレンスさんの宣言通り、三日間の點検で不合は無いとのことで、向きを変えられていた川を元に戻す作業を行い、ダム湖に川の水が流するようになった。

向きを変えられていた川を元に戻す時の水路は事前にきちんと整えられていたため、川の方向を変える作業は二日ほどで終了。

最後の仕上げと言うことで、我が町のレッドドラゴンも総出で作業を行ったためごく短時間で済んだ。

ダム建設中に臨時の川になっていた場所はそのまま川の形で殘された。予期せぬ大雨などで川が氾濫した場合に、そちらへ水を逃がして氾濫を防げるようにとのことらしい。

そして、完の竣工式が行われた。

竣工式については、潤いの木が植え替えられ、川が完した時に行っているため割。 (第168話參照)

ただ、前回のように屋外で町民全員を呼ぶ、というような派手なことは行われず、參加してくれた工事作業員だけでダム近くに建てられた仮宿舎の中でこじんまりと行われた。

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前回と大きく違うのは、町でお酒が生産されるようになったため鏡開きが行われ、建設に參加してくれたヒトたちに振る舞われたこと。

フィンツさんら三人も局所的ながらダム建設に參加していたため、主にドワーフさんたちがガバガバ飲んでたなぁ……私も嗜む程度にいただいた。

ローレンスさんはドワーフながら控え目な格なため、酒も控えめなのかと勝手に思っていたが、ここぞとばかりに浴びるように飲んでいた。格が控え目なのとお酒が控え目なのは比例しないらしい。

大いに貢獻してくれたレッドドラゴンたちにも振る舞われた。

フレアハルトはあまり酒が好きではないらしくあまり飲んでおらず。レイアとアリサは大分ほろ酔い。普段とは逆に介抱に回っており、珍しい景を目にした。アリサは船酔いはしないが酒酔いはするらしい。

工事の中期の頃にフレアハルトに無理矢理 (?)參加させられて手伝ってくれたルルヤとリースだが (第364話參照)、彼らは酒を飲んでも普段通りの関係。ルルヤが飲みまくって潰れてしまったため、リースが介抱していた。

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安心したのは、全員元ドラゴンの姿に戻って暴れまわるとか、そういうことが無かったこと。

巨大生は酔って千鳥足で歩き回るだけで被害が出そうだし……

また、余談ではあるが、今回はアルトレリア新聞社の取材が來ていた。

これにより竣工式の鏡開きのシーンが寫真に撮られて新聞に掲載され、ダムの完がアルトレリア中に知られることになる。

そしてこの時より、ダムの完に際して電気が純粋魔力に変換されるシステムが確立し、設備さえ整っていればアルトレリアの町中で電気が利用できるようになった。

時を同じくして――

我が家も一週間かけて、玄関先、リビングダイニング、キッチン、お風呂場、トイレ、私・リディア・カイベルの私室と、我が家の全ての部屋に電燈が設置された。

ダム稼働直後という、ちょうど良いタイミングで工事を終えてくれた。

「「おーーー!」」

リディアとネッココから歓聲が上がる。

「遂に明かりが點けられるんだナ!」

『私やりたい私やりたい!』

「私もやりたイ!」

外が薄暗くなっている中、リビングの初通電を取り合う。

「リディアは自室があるからネッココに譲ってあげたら?」

「ムーッ! 仕方ないナ!」

ネッココが電燈を點けるためにスイッチのところへく。

ネッココの主な生活スペースであるリビングダイニングについては、彼が小人クラスの大きさしかないのを考慮して、ネッココが屆く場所へのスイッチの配備も抜かりない。

長が五十センチほどしかないため、床から大三十センチほどのところにスイッチを配備してくれている。 (長については第426話參照)

『じゃあ點けるわよ?』

ネッココがスイッチをれ、『パチッ』という音が響く。しして部屋が明るくなった。

「「おお~~!!」」

再びの歓聲。

ただスイッチをれただけなのに、リディアとネッココ大興

が、すぐに真っ暗に!

「あれ? どうしタ?」

「どうしたの? まさかいきなりの停電?」

と思ったら、すぐにまた明かりが點いた。

と思ったら、激しく明滅を繰り返す。

「調子悪いのかしら……?」

カイベルらしくない結果だな……と思っていたら、

「いえ……」

とカイベルが答え、何かを指し示している。

指さした先でパチッパチッと音がする。

ネッココが面白がってスイッチのオンオフを切り替えてるだけだった……

「お、脅かさないでよ……電気設備敷設に失敗したかと思ったわ……」

『スイッチコレ押すだけで、明るくなったり暗くなったり楽しいわ!』

「あんまり頻繁に切り替えると電気代高くなるからほどほどに……」

ん? 電気代?

「そういえば電気代ってどうなってるの?」

「ローレンス様が、電気會社を作っておいてくれました」

「お~! 至れり盡くせり!」

「ローレンス様たちは近々お帰りになるそうですが、しばらくは部下のヘンリー様が殘って、役所で選別した方々に電気関係のノウハウを叩き込んでくれるそうです」

そっか……ダムが完したってことはもう帰る話になるわけか……

「電気會社は現狀は國の運営になります。先ほど電力擔當の方が家に來られました」

「家に來た? 來て何をしてったの?」

「電力消費メーターを取り付けて行きました。それと電気消費の契約書を」

契約書?

あ……ああ、今後はそういう話になっていくのか。

隨分と文明的な話になってきたなぁ……

『先進國と比べ、後進國の方が文明が発展する速度が格段に早い』なんて話を聞いたことがある。きっと文明が発達したところの技をそのまま取りれられるから早いんだろうな。

先進國は試行錯誤して正解に行き著くけど、後進國は最初から正解を教えてもらえるわけだからね。うちの場合も雷の國エレアースモという先進國から技を教えてもらえたから早いのだろう。

「で、料金は引き落とし?」

「はい。私が契約書類に記しておきました」

「ご苦労様」

電線とか無いから電気を消費した分の金額はどう払うのかと思っていたけど……きっちり料金請求するそういう機械があるわけね。

「というわけで、あまりパチパチしないようにね、二人とも!」

『何で點けたり消したりはダメなの!?』

「點けた瞬間に電気が沢山流れるから、點けたり消したりを繰り返すとその分電気料金が高くなるのよ」

『そうなの!?』

「へぇ~、そうなのカ~」

頻繁な點滅を繰り返すことで電気料金が高くなるのは常識的な話、そう思っていたがカイベルの言葉でその常識をひっくり返された。

「いえ、電気料金自は大した差はありません」

「えっ!? 『あまり頻繁にオンオフを繰り返すと電気代が高くなるからやめろ』って言われたことがあるんだけど!?」

「対した差はありません」

「そ、そうなんだ……知らなかった……」

「じゃあ、別に何回點けたり消したりしても良いってことなのカ?」

「いえ、頻繁なオンオフを繰り返すことにより蛍燈の壽命が短くなるため、頻繁な切り替えをしない方が良いのは間違い無いと思います。平均壽命一萬時間と言われており、一回の點滅で三十分壽命が短くなると言われています」

「じゃ、じゃあたった二回で一時間……」

ネッココは何回やってたのかしら……?

激しく明滅してたから十回? 二十回?

「頻繁なオンオフで電気代は変わらないとしても、買い替え時が早く訪れてしまうので、節約を考えるならしない方が良いでしょうね」

リディアが何だかそわそわしている。

「それで、やっぱり何回も點けたり消したりはダメなのカ?」

「やめた方が長く使えるってさ」

「そっカ……リディアもネッココみたいなことやってみたかったんだけどナァ……」

初通電はネッココに譲った上に、こういった (子供にとっては)面白いこともやれないとなると、何だかちょっと可哀想ではあるな……

「じゃあ今日だけは何回やっても良いことにするわ。二人とも今日一生分やってしまって!」

『もっとやって良いの!?』

「やっタァ!」

ちょっとの時間でも集中的にやれば飽きてやらなくなるだろ。

何せ、電燈が點くか消えるかのことだし、視覚効果は別段面白いというわけでもない。

――そう思っていたのだが……

いつまで経ってもパチパチが鳴り止まない……

一旦止まったかと思うと、スイッチの橫を通り過ぎる時にパチパチ、クリューが食事してる際に悪戯のようにパチパチ、夜中になってもことあるごとにパチパチ。

夜十二時を過ぎて日をいでもスイッチの近くに行く度に繰り返すため、流石に、

「二人ともいい加減にしなさい! 早く寢ろ!」

の一言でやっと終わりを告げた。

散々パチパチを繰り返したため、この日以降はオンオフを繰り返すということも無くなった。その點は思通り。

だが……魔法の時は強制的にを消してしまえばあとは就寢するだけという狀態だったが、自由に明かりの切り替えができるようになったことによって、夜更かしが可能になってしまった。

數日後――

ダム建設作業員で來てくれたローレンスさん、ジョンさん、ハーバートさんが雷の國へ帰るということで見送りに行った。

「ダムの建設の指導、ありがとうございました! お蔭で我が町も一段と文明が進歩しました」

「いえ、ここで過ごした日々は我々にとっても有意義でした。また何かお手伝いすることがあればお聲がけください」

「じゃあな、たまには酒を飲みに來ると良い」

ヘパイトスさんの兄弟子であるフィンツさんの言葉。ルドルフさん、フロセルさんも三人を見送る。

「はい。じゃあヘンリー、後のことをお願いしますね」

「了解」

カイベルからの前報通り、ガーゴイル族のヘンリーさんだけ殘るらしい。

「はい、ではまたお會いしましょう」

と一言言い殘し、三人は雷の國からの迎えで空間転移魔法で帰って行った。

今回も通例通り寶石を三人にお守りとして贈った。贈ったのは雷によって発見されたと言われているタンザナイト。通例のことなので詳細は割

ここからは町中で電気が利用されるようになります。

次回は10月21日の20時から21時頃の投稿を予定しています。

第516話【アルトレリアに出來た小學校の検】

次話は來週の月曜日投稿予定です。

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